マッチングアプリで投資を勧められたら|恋愛から投資詐欺への誘導と対処

マッチングアプリで知り合い、LINEでやり取りを続けている相手から「2人の将来のために資産を増やそう」「私が使っている投資アプリを教える」と誘われた。この記事は、そうした誘いを受けて迷っている方、すでに入金してしまった方に向けたものです。

結論から書くと、会ったことのない相手に勧められた投資サイトやアプリには、入金しないのが最も確実な対策です。国民生活センターも、出会い系サイトやマッチングアプリで出会った相手の指示で投資するのはやめるよう呼びかけています。すでに入金している場合は、追加の入金を止めることが最優先です。

以下では、2026年9月時点で警察庁・金融庁・国民生活センターが公開している統計と事例をもとに、誘導の流れ、入金前の確認点、出金できないと言われたときの考え方、入金後の相談先を順に説明します。

出会いから投資に誘導される被害の規模

警察庁は、SNSなどを通じて対面しないままやり取りを重ね、恋愛感情や親近感を抱かせて金銭をだまし取る詐欺を「SNS型ロマンス詐欺」として集計しています。恋愛感情を利用して投資を勧める手口は、「投資詐欺」ではなくこちらに分類されます。

警察庁のSNS型ロマンス詐欺の解説ページによると、「2人の将来のために」などと投資の勧誘をしてお金をだまし取る手口が約7割以上を占めています。出会いから投資へという流れは、ロマンス詐欺の中心的な手口だといえます。

期間SNS型ロマンス詐欺の認知件数被害額補足
令和7年(確定値)5,645件546.4億円当初の接触ツールはマッチングアプリが1,846件で最多
令和8年上半期(暫定値)2,509件246.6億円当初の接触ツールは被害額・件数ともにマッチングアプリが最多

令和8年上半期の暫定値では、SNS型ロマンス詐欺の既遂1件あたりの被害額は984.1万円とされています。1件あたりの金額が大きく、借り入れをしてまで入金してしまう例もあるのが特徴です。

マッチングから入金までの典型的な流れ

国民生活センターは、出会い系サイトやマッチングアプリをきっかけとする投資の被害が、次のような段階で進むと整理しています。

  1. 出会い系サイトやマッチングアプリでマッチングが成立する。
  2. 実際に会う前に、別のサービスでやり取りしようと持ちかけられる。
  3. 相手から投資サイトを案内され、投資を勧められる。
  4. 投資用資金の送金を指示される。
  5. 初めは少額の投資を勧められ、投資サイト上では利益が出る。
  6. さらに高額の投資を勧められ、送金する。
  7. 出金しようとすると、さまざまな名目で送金を求められ、結局出金できない。
  8. 相手とも投資サイトとも連絡が取れなくなる。

ここで押さえておきたいのは、5の段階で見える「利益」や、少額なら出金できた経験は、安心材料にならないという点です。国民生活センターが紹介する事例では、30歳代の女性が少額の投資で利益が出て出金もできたことから、借り入れまでして合計約500万円を投資し、出金しようとすると総資産の15%にあたる180万円を保証金として求められました。

止めるなら2か3の段階、遅くとも4の段階が理想です。別のアプリに移ろうと言われた時点で、一度立ち止まってください。

入金する前に確かめたい5つのこと

警察庁と金融庁は、投資の勧誘を受けたときの確認点を公開しています。相手を問い詰める必要はありません。次の5点を自分で調べるだけで、多くの違和感に気づけます。

  1. 勧められた業者が国に登録されているか:金融商品取引業や暗号資産交換業は登録制で、無登録での営業は違法です。金融庁の「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」や事業者検索で名前を確かめます。登録業者の名前をかたる無登録業者もあるため、連絡先やURLも照合してください。
  2. 投資アプリや暗号資産の名前を検索して出てくるか:警察庁は、実在しない暗号資産や偽の投資アプリを使わせる例が相次いでいるとして、名前をインターネットで検索するよう勧めています。
  3. 振込先が個人名義の口座になっていないか:警察庁は、本物の投資話で個人名義の口座を指定されることや、振込のたびに口座が変わることはまずないとしています。
  4. 「必ずもうかる」「あなただけ」と言われていないか:警察庁は、こうした儲け話や「あなただけ」に教えるという誘いは、まず疑うよう呼びかけています。
  5. 相手と実際に会ったことがあるか:会ったことがない相手から投資の話が出た時点で、警察庁は振り込む前に警察へ相談するよう呼びかけています。

一つでも当てはまれば、入金は見送ってください。金融庁の金融サービス利用者相談室(0570-050588、平日10時〜17時)でも、投資の勧誘についての相談を受け付けています。

誘いを断るとき・アプリに通報するとき

警察庁は、マッチングアプリで知り合った後、早い段階でLINEに誘導された場合は詐欺などを疑うよう呼びかけています。投資の話が出る前の、この段階で距離を置けるのが一番の理想です。

断り方は短くてよい

「投資はしないと決めている」「お金の話はしたくない」と一言伝えれば十分です。理由を説明したり、相手を説得したりする必要はありません。断ったとたんに冷たくなる、責める、急がせるといった反応があれば、それ自体が判断材料になります。

マッチングアプリの運営に知らせる

国民生活センターは、出会い系サイトやマッチングアプリはルールに従って利用するよう呼びかけています。利用しているアプリの利用規約で投資やビジネスの勧誘が禁じられていないか確認し、アプリ内の通報機能があれば、相手のプロフィールとやり取りを添えて知らせてください。通報の前に、相手のプロフィール画面とメッセージを保存しておくと、あとで相談するときにも使えます。

ブロックする前に記録を残す

ブロックや削除をすると、相手の情報が見えなくなることがあります。まだ入金していない場合でも、相手の表示名・ID・勧められた投資サイトのURLは控えておくと、同じ相手から別のアカウントで連絡が来たときに気づきやすくなります。

「出金できない」「税金や保証金が必要」と言われたとき

投資サイトの画面で利益が増えているのに、出金しようとすると次のような理由で支払いを求められることがあります。

  • 出金には利益の一定割合の保証金が必要
  • 利益にかかる税金を先に納める必要がある
  • 口座の凍結を解除するための手数料が必要
  • 監督当局に資金が差し止められているので解除費用がかかる

警察庁の事例紹介にも「保証金が必要です」「この手続きには税金として●%の額がかかります」と言われ、複数回振り込んだケースがあります。国民生活センターの報告でも、利益を出金しようとすると所得税の支払いを求められたという相談が挙げられています。

編集部の考えでは、出金のために追加で払うお金が、それまでの入金を取り戻す助けになることはまず期待できません。画面上の利益は、相手が表示させている数字にすぎない可能性があります。支払いを求められた時点で入金をやめ、画面と振込記録を保存してください。出金トラブルの見分け方は出金できないと言われたら確認することでも解説しています。

入金してしまった後の手順

すでに入金している場合は、次の順で動いてください。

  1. 追加の入金をやめる。相手に「もう払わない」と宣言する必要はなく、黙って止めるだけで構いません。
  2. 記録を保存する。相手のプロフィールとトーク、投資サイトやアプリの画面(残高、取引履歴、URL)、振込明細、暗号資産の送付記録を残します。保存手順は出会い系詐欺の証拠保全で説明しています。
  3. 振込先の金融機関と警察に連絡する。銀行口座に振り込んだ場合は、口座の取引停止を依頼します。口座が凍結されれば、振り込め詐欺救済法の手続きで残高から分配金を受けられる可能性があります。流れは振り込め詐欺救済法の口座凍結手続きをご覧ください。
  4. 公的な窓口に相談する。警察相談専用電話「#9110」、消費者ホットライン「188」、金融庁の金融サービス利用者相談室が窓口です。海外の投資サイトが相手の場合は、国民生活センターの越境消費者センター(CCJ)も相談を受け付けています。

振り込め詐欺救済法で戻るのは、凍結時点で口座に残っていたお金の範囲に限られます。残高が少なければ一部しか戻らないこともあるため、連絡は早いほどよいと考えてください。

「投資の手伝い」でお金の受け渡しを頼まれたら

見落とされがちなのが、自分の口座にお金が振り込まれ、それを別の口座に送るよう頼まれるケースです。警察庁は、相手が「投資の手伝い」などと称して、被害者の口座に振り込まれた金銭を他の口座へ送金させる事例があり、被害者がマネー・ローンダリングの道具として利用されることがあると注意しています。この場合、組織的犯罪処罰法違反に問われるおそれもあるとされています。

相手から「あなたの口座を少し貸してほしい」「入ってきたお金をこちらに送って」と頼まれたら、応じずに警察へ相談してください。自分の口座を使わせることは、自分がだまし取られるのとは別の深刻なリスクにつながります。

マッチングアプリから投資に誘われたときの注意点はマッチングアプリから投資に誘導された場合の注意点でも整理しています。

よくある質問

Q. 少額なら出金できました。それでも疑うべきですか?

A. 疑うべきです。国民生活センターや警察庁が紹介する事例では、初めは利益が出て出金もできたように見せ、その後に高額の入金をさせる流れが繰り返し出てきます。少額の出金ができたことは、安全の根拠になりません。

Q. 相手は日本人で、日本に住んでいると言っています。

A. 警察庁の令和7年の統計では、ロマンス詐欺で被疑者が詐称した身分の約6割が日本(国内)でした。国籍や居住地よりも、会ったことのない相手から投資を勧められたかどうかで判断してください。

Q. 出金のために税金を払うよう言われました。払えば出金できますか?

A. 出金のための税金や保証金の支払いを求められた事例は、警察庁や国民生活センターが注意喚起の中で紹介しています。払えば出金できるという保証はありません。支払わずに記録を保存し、#9110や188に相談してください。

Q. 勧められた業者が金融庁に登録されているかは、どこで確かめられますか?

A. 金融庁のウェブサイトに、免許・許可・登録等を受けている業者の一覧と検索ページがあります。金融庁は、無登録で金融商品取引業を行う者として警告した業者の名称も公表しています。登録業者の名前をかたる例もあるため、URLや連絡先も照合してください。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。