出会い系詐欺を弁護士に依頼する前に|費用・回収の見込み・事務所の確かめ方

出会い系サイトやマッチングアプリでお金をだまし取られたかもしれないとき、弁護士に頼めば取り戻せるのか、費用はどれくらいかかるのか、どの事務所を選べばよいのか。この記事は、そうした迷いを持つ方に向けて、依頼する前に確かめておきたいことをまとめたものです。

最初にお伝えしたいのは、「相談する」と「依頼する」は分けて考えてよいということです。相談は状況を整理して見通しを聞く場で、依頼は費用を払って交渉や手続きを任せる契約です。相談の段階で回収の見込みと費用の総額を聞き、見合うかどうかを自分で判断してから依頼に進むのが、後悔の少ない順番だと編集部は考えています。

内容は、日本弁護士連合会・東京弁護士会・第一東京弁護士会・法テラスが公開している情報(2026年9月時点)をもとにしています。

弁護士に依頼するとできること、難しいこと

弁護士は依頼者の代理人として、相手方や関係する事業者への請求・交渉、訴訟などの法的手続きを行えます。出会い系サイトの運営会社が国内にあり、連絡先が分かっている場合は、支払ったポイント代などについて交渉の相手がはっきりしています。

一方で、個人を名乗る相手に送金したロマンス詐欺型の被害では、事情が大きく変わります。東京弁護士会の非弁提携弁護士対策本部は、国際ロマンス詐欺案件について次のような特徴を挙げています。

  • 口座を凍結しても、残高は少ない場合がほとんどである
  • 暗号資産で送金した場合、交換所の追跡はできても詐欺師の特定までは難しい
  • 他の特殊詐欺事案と比べても、被害金の回収が極めて困難である

同本部は、依頼者が支払う着手金などの額が、結果的に取り戻せる額を上回る、いわゆる「ペイしない」可能性が極めて大きい案件で、それを説明せずに受任するのは不適切で不誠実だとも述べています。弁護士に依頼すれば必ず返ってくる、という前提は持たないでください。そのうえで、見込みを正直に説明してくれる弁護士を選ぶことが大切です。

相談と依頼のタイミング

相談は早いほど選択肢が残ります。振込先の口座が凍結される前にお金が引き出されてしまえば、振り込め詐欺救済法の手続きで戻る額も減るためです。ただし、口座の取引停止の依頼は、弁護士に頼まなくても振込先の金融機関と警察に自分で連絡できます。預金保険機構も、被害に気づいたら直ちに警察や振込先の金融機関へ連絡するよう案内しています。

編集部がすすめる順番は次のとおりです。

  1. 支払いを止め、金融機関と警察に連絡する(弁護士を待たずにできる)。
  2. 記録を保存し、時系列メモを作る。
  3. 法律相談を受け、回収の見込み・方法・費用の総額を聞く。
  4. 見込みと費用を比べて、依頼するかどうかを自分で決める。

相談で「今日決めないと間に合わない」と契約を急がされた場合は、いったん持ち帰って構いません。相談の準備については弁護士に相談する前に準備しておくべきことも参考にしてください。

弁護士費用の内訳と、契約前に確かめること

日本弁護士連合会は、弁護士費用の種類を次のように説明しています。弁護士費用は事務所ごとに定められているため、同じ種類の費用でも金額は事務所によって異なります。

費用の種類内容確かめたいこと
法律相談料法律相談に対する費用初回無料かどうか、時間の区切り
着手金依頼した段階で支払う。結果が不成功でも原則として返還されない金額と、回収できなかった場合の扱い
報酬金成功した場合に、成功の度合いに応じて支払う。全く不成功なら支払わない回収額の何%か、最低額の定めがあるか
実費・日当印紙代、郵便切手代、記録の謄写費用、出張の交通費・宿泊費・日当など概算額と、預り金の精算方法

弁護士職務基本規程は、弁護士が事件を受任するときに、報酬に関する事項を含む委任契約書を作成しなければならないと定めています(第30条、例外あり)。契約前に、費用の総額の見積りと委任契約書の案を受け取り、次の点を自分の言葉で説明できるか確かめてください。

  • 回収できなかった場合に、最終的にいくら払うことになるか
  • 途中で依頼をやめた場合の着手金・実費の扱い
  • 進捗報告をいつ、どの方法で受けられるか

費用の目安は詐欺被害の弁護士費用相場でも整理しています。

業務広告と事務所を確かめるチェックポイント

東京弁護士会は、国際ロマンス詐欺案件を取り扱うとするウェブ上の弁護士業務広告に、弁護士法や日弁連の規程に違反するおそれのあるものが散見されるとして、具体例を公表しています。そこから、依頼前に確かめたい点を拾うと次のようになります。

  1. 取扱事例が本当にその分野のものか:架空の事例や、他の詐欺事案での高額回収例を、あたかもロマンス詐欺で回収したかのように見せる広告が問題視されています。
  2. 「専門」「特化」の表示に実績の裏付けがあるか:これから取り扱おうとする案件なのに「専門弁護士」などと表示する例が挙げられています。
  3. 対応体制の表示が現実的か:弁護士が一人しかいないのに「24時間365日相談対応」と表示する例が指摘されています。
  4. LINEや電話の相談に弁護士本人が対応しているか:実際には事務職員がメッセージを作成し、弁護士が対応していない例が挙げられています。
  5. 所属弁護士会の表示があるか:同会は、事務所のウェブサイトに所属弁護士会の表示がないものは違反広告だとしています。

加えて、弁護士の名前が分かったら、日本弁護士連合会の弁護士検索で登録を確かめ、登録されている事務所の連絡先と広告の連絡先が一致するか照合してください。東京弁護士会の同じ記事では、広告の電話番号が日弁連に登録されている番号と違う(0120など)ことも、注意したい特徴のひとつに挙げられています。

契約の場面で確かめたいこと

東京弁護士会は、依頼するときはその弁護士の法律事務所に行き、弁護士本人に会い、直接かつ詳しく説明を聞き、紙の委任契約書に署名押印することで、被害に遭う確率を大幅に下げられるとしています。いったん持ち帰り、家族や友人、別の弁護士に相談すればさらに確実だとも述べています。

反対に、弁護士と一度も話さないまま、電話口の事務員の説明だけで電子契約を結び、すぐに着手金を振り込むよう求められる流れには注意が必要です。同会は、電子契約書であること自体が問題なのではないとしつつ、会わせずに短時間で契約させる手段として使われることがあると指摘しています。

弁護士を名乗る連絡や「返金代行」に注意する

被害に遭った後は、二度目の被害にも気をつける必要があります。第一東京弁護士会は、仮想通貨詐欺や国際ロマンス詐欺の被害者に、実在する弁護士や法律事務所を名乗る人物から「詐欺グループが捕まったので被害金を返せる」「返金手続きのために供託金や証拠金が必要」といった連絡があった事例が数多く寄せられていると注意を促しています。実在する弁護士の顔画像を無断で使ったウェブサイトで法律事務所を装う例も確認されているとのことです。

また、日本探偵業協会は、詐欺被害の救済をうたう調査業者について注意を呼びかけています。報酬を得る目的で被害金の返還請求やその交渉をする行為は、弁護士などの資格が必要な法律事務にあたり、資格のない者が行えば処罰の対象になるとしています(弁護士法第72条)。

「調査すれば返金される」「手続き費用を払えば戻る」と、向こうから連絡してくる相手には応じないでください。相談する弁護士は、自分で調べて選ぶのが原則です。

費用を抑えて相談できる公的な窓口

いきなり民間の事務所に依頼する前に、公的な窓口で相談する方法もあります。

法テラス(日本司法支援センター)の民事法律扶助

収入や資産が一定の基準以下の方は、無料で法律相談を受けられます。法テラスの案内では、相談は1回30分、同じ問題について3回まで無料です。基準は地域や家族の人数で変わり、たとえば東京都特別区などに住む3人家族の場合、月収299,200円、資産270万円以下が目安として示されています。依頼に進む場合は、着手金などの弁護士費用を法テラスが立て替え、利用者が分割で返済する制度もあります。詳しくは法テラスの無料法律相談を活用する方法をご覧ください。

弁護士会の法律相談センター

日本弁護士連合会の「ひまわりお悩み110番」(0570-783-110)に電話すると、最寄りの弁護士会の法律相談センターにつながり、相談の予約ができます。通話料がかかり、一部のIP電話からはつながらない点に注意してください。

消費生活センター・警察

出会い系サイトの運営会社との料金トラブルなら消費者ホットライン「188」、だまされてお金を払った疑いがあるなら警察相談専用電話「#9110」でも相談できます。弁護士に依頼するかどうかを決める前の情報収集としても役立ちます。

当サイトへのご相談は相談予約フォームからお申し込みください。どの窓口を選んでも、返金や解決が約束されるわけではない点は同じです。

よくある質問

Q. 着手金を払えば、お金は必ず返ってきますか?

A. 返ってくるとは限りません。着手金は結果が不成功でも原則として返還されない費用です。東京弁護士会は、国際ロマンス詐欺案件は被害金の回収が極めて困難だと指摘しています。依頼前に、回収できなかった場合の総費用を必ず確認してください。

Q. 相談だけで依頼しなくても構いませんか?

A. 構いません。相談で見通しと費用を聞き、見合わないと判断すれば依頼しない選択もできます。契約を急がされた場合は、いったん持ち帰って検討してください。

Q. LINEで相談できる事務所を選んでも大丈夫ですか?

A. LINE相談そのものが問題なのではありません。東京弁護士会は、LINE相談と表示しながら実際には事務職員が対応していた例を問題として挙げています。弁護士本人が対応しているか、所属弁護士会の表示があるか、日弁連の弁護士検索で登録を確かめられるかを確認してください。

Q. 被害額が少なくても弁護士に相談できますか?

A. 相談はできます。ただ、被害額が少ないと、着手金などの費用が回収額を上回る可能性が高くなります。法テラスや弁護士会の法律相談、消費生活センターなど、費用を抑えられる窓口から始める方法も検討してください。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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詐欺返金相談ナビの相談前整理事例

サイト名、サービス名、担当者名、LINE名、決済名などで確認している方は、事例パターンと証拠の残し方を分けて確認してください。個別の違法性、返金可否、削除可否、解決を断定するものではありません。

相談前に、被害状況を整理しておきましょう

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。