「スマホだけで月10万円」「いいねを押すだけ」。こうした広告やDMからLINEに登録し、気づけばお金を払う側になっていた、という相談が増えています。副業をうたうトラブルは入口も名目もさまざまですが、何の名目で払わされたかを見ると、どの制度を使えるか、どこへ相談すべきかが見えてきます。
このページは、副業の勧誘を受けて迷っている人、支払ってしまい解約や返金を考えている人、家族が副業にお金をつぎ込んでいるようで心配な人のための入口です。入口ごと・手口ごとの詳しい記事へ案内します。数字と制度は、2026年9月時点で確認できた国民生活センターや消費者庁の公表資料にもとづきます。
相談件数は4年で約2.8倍、平均の支払額は100万円を超えた
2024年9月4日付の国民生活センターの発表をたどると、「簡単なタスクで稼げる」とうたう副業の相談は2020年度に1,341件。それが3年後の2023年度には3,694件へふくらみました。相談のうちSNSがきっかけだったものの割合は、2020年度の23%から、2024年度(7月31日まで)には70.1%に上がっています。
見逃せないのは金額の変化です。相手から請求された費用も含めた平均の契約購入金額は、2020年度が279,519円だったのに対し、2024年度は7月末までの集計で1,059,658円に達しています。4年余りでおよそ3.8倍です。小さな作業の話から始まり、最後は100万円を超える支払いに至る流れが、数字にも表れています。当サイトは、副業の相談を「少額だから様子を見よう」と後回しにしないほうがよいと考えています。金額が小さいうちに相談した方が、選べる手続きも多く残るからです。
2026年5月にも、同センターは続けて二つの注意喚起を出しました。一つは、動画に「いいね」をして約2,500円の報酬を受け取った後、「グループの連帯責任」として約50万円を請求された事例などを紹介したもの。もう一つは、何社もの貸金業者から立て続けにお金を借りさせ、それを副業サポートや投資の代金に回させる手口を扱い、20歳代以下の相談が多いと指摘したものです。
LINEに登録した後にたどりやすい流れ
入口はSNS広告、DM、求人サイト、知らない番号からのSMSなどに分かれますが、LINEに移ってからの展開には共通点があります。
- LINE公式アカウントや「担当者」を友だち追加すると、無料の特典や簡単な作業が案内される
- 最初は数百円から数千円の報酬が本当に振り込まれ、信用してしまう
- 「もっと稼げるプラン」「上位の案件」を勧められ、登録料やサポート費、作業用の入金を求められる
- 払った後、ミスの補填、出金手数料、アカウント凍結の解除費など、名目を変えた請求が続く
- 連絡が途絶えるか、「残りを払えば全額戻る」と言われて払い続けることになる
当サイトは、2から3に移る瞬間、つまり「報酬をもらう側」から「お金を払う側」に変わった瞬間を、いちばん大事な引き返しどころと考えています。仕事を紹介すると言いながら先にお金を求められたら、その場で手を止めてください。グループの中の雰囲気に流されやすい点は オープンチャットで副業に誘われたら で詳しく説明しています。
払わされる名目で見分ける5つの型
| 型 | よく使われる名目 | 気をつけたい点 | 詳しい記事 |
|---|---|---|---|
| 登録料・教材型 | 登録料、マニュアル代、研修費、検定料 | 仕事の提供を約束してお金を取るなら、特商法の業務提供誘引販売取引にあたる可能性がある | 在宅ワークの登録料を求められたら |
| 高額サポート・コンサル型 | 個別サポート、コンサル契約、スクール代 | ビデオ通話の面談で数十万円以上の契約を迫られやすい。契約書面と返金規定を必ず読む | 副業コンサルの契約書で見る条項 |
| タスク前払い型 | 作業用の入金、連帯責任の補填、出金手数料 | 報酬を受け取るために先に払う仕事は、通常の雇用や業務委託では考えにくい | タスク副業が前払いに変わる流れ |
| 借入れ指示型 | 「すぐ返せる」「後で返金する」 | 業者が返済すると言っても、借りた人の返済義務は残る | 遠隔操作アプリと借入の後の対処 |
| 紹介報酬型 | 入会金、商品購入、「紹介すれば元が取れる」 | 人を誘って報酬を得る仕組みは連鎖販売取引(マルチ)にあたる場合がある | 友人に誘われた情報商材・副業 |
一つの勧誘の中で型が移り変わることもよくあります。登録料を払った人に高額サポートを勧め、払えないと言うと借入れを指示する、といった具合です。いま払おうとしているお金がどの型にあたるかを、表で一度確かめてから判断してください。
契約の形で変わる解約のルール
特定商取引法には、取引の形ごとに無条件で契約をやめられるクーリング・オフの期間が定められています。日数の数え始めは、法定の書面を手にした日です。
| 取引の形 | 副業での典型例 | クーリング・オフ |
|---|---|---|
| 業務提供誘引販売取引 | 「仕事を紹介するので、そのための教材やツールを買って」 | 20日 |
| 連鎖販売取引 | 「会員を紹介すれば報酬が入る」組織への入会 | 20日 |
| 電話勧誘販売 | 業者からの電話で講座やサポートを契約 | 8日 |
| 通信販売 | 広告を見て自分からネットで申し込んだ教材 | 制度なし(返品の特約による) |
書面を受け取っていない、書面に必要な事項が欠けているといった場合は、期間が過ぎたように見えても解約を主張できる余地が残ることがあります。当サイトとしては、まず「契約書面を受け取ったか」「それはいつか」を確かめることを勧めます。
勧誘の中で事実と違う説明をされた、断ったのに帰してもらえなかったというのなら、消費者契約法の取消しという別の道も考えられます。ただし取消しには期限があり、だまされたと気づいた時から1年、契約した時から5年を過ぎると使えなくなります。「事業者どうしの契約だから解約できない」と言われることがありますが、業務提供誘引販売取引や連鎖販売取引の規定は、個人が副業を始める場面をもともと想定しています。そう言われたら、自分で判断せずに188へ相談してください。解約できるかの考え方は 「クリックだけで稼げる」副業は解約できる? でも扱っています。
借金や遠隔操作を指示されたら、その場で止まる
2026年5月20日の国民生活センターの資料に載った事例の一つでは、アフィリエイトで稼ぐためのサポートを勧められた人が、画面共有をしながら業者の指示どおりに申し込み、1日で計450万円を消費者金融から借りています。資料は、「すぐに返せる」という業者の言葉を信じて借りたとしても、借金を返す責任は借り手本人に残るとはっきり書いています。
同じ資料のアドバイスから、特に大切な点を挙げます。
- 借金をしてまで契約しない
- 年収や借入れの目的について、業者に言われても事実と違う申告はしない
- 遠隔操作や画面共有のアプリを、業者の求めに応じて入れない
すでに入れてしまったなら、通信を切ってから問題のアプリを消し、そのスマホで使っていた銀行・カード・メールのパスワードを、できれば別の端末から変更してください。借りてしまったお金については、借入先の貸金業者に経緯を説明するとともに、消費生活センターや法テラスで今後の対応を相談するのが現実的です。
払ってしまった後にやること
- 追加の支払いをやめる:「あと少し払えば全額戻る」は、請求を続けるための言葉であることが多いと考えてください
- 記録を残す:LINEのトークはテキスト形式で書き出して保存できます。相手のアカウント名、友だち追加したURL、広告の画面、振込明細もまとめます
- 相手の正体を確かめる:販売ページに特定商取引法にもとづく表記があれば、事業者名・住所・電話番号を控えます。表記がない、住所が架空らしいといった点も、相談のときに伝える材料になります
- 払った方法ごとに連絡する:銀行振込は振込先の銀行と警察、カード払いはカード会社、電子マネーは発行元へ。手順は 登録料・サポート費を返してほしいとき にまとめています
- 相談窓口に電話する:契約の解約や返金の交渉は消費者ホットライン 188、だまし取られた被害は警察相談専用電話 #9110。弁護士費用が心配なら法テラスの立替制度も使えるかもしれません(法テラスの費用立替の条件)
相談の前にそろえておくものは クリック副業で払ったお金の相談先と準備 でも確認できます。
家族が副業にお金をつぎ込んでいるように見えたら
本人は「仕事をしている」つもりでいるため、家族が「だまされている」と頭から否定するほど、心を閉ざしてしまうことがあります。次のような変化があれば、責めずに事実を一緒に確かめるところから始めてください。
- スマホを手放さず、LINEの通知に追われるように作業をしている
- 「もうすぐまとまった報酬が入る」と言いながら、生活費やカードの支払いが苦しくなっている
- 見慣れない消費者金融の郵便物や、暗号資産の取引アプリが増えている
確かめるときは、「報酬を受け取るために払ったお金はあるか」「業者の会社名と住所はわかるか」の二つを聞くのが近道です。答えに詰まるようなら、本人の同意を得たうえで一緒に188へ電話してみてください。家族からの相談にどう応じてもらえるかも、その電話で確かめられます。
入口別・手口別に詳しく読む
- YouTube広告から副業LINEへ:無料特典と個別相談の先にあるもの
- リール視聴の副業:LINEグループで出金できないとき
- アンケートの副業:受取口座や送金代行を頼まれたら
- 文字入力の副業:教材・検定費を先に払う前に
- 動画視聴の副業:別アプリへ移るよう言われたら
このページの内容は、公的機関の公表資料をもとにした一般的な解説です。個別の契約で解約や返金ができるかどうかを請け合うものではないので、実際の判断は消費生活センターや弁護士にご確認ください。
よくある質問
Q. LINEの副業で最初に報酬が振り込まれました。本物の仕事ではないのですか?
A. 最初に少額の報酬を払って信用させ、その後に前払いを求める流れは、国民生活センターの相談事例にも見られます。報酬を受け取った後に、作業のための入金や補填を求められたら、払わずに消費者ホットライン(188)へ相談してください。
Q. 副業の教材やサポート契約はクーリング・オフできますか?
A. 仕事の提供を約束して教材などを買わせる業務提供誘引販売取引なら20日、電話で勧誘された契約なら8日の期間があります。期間は法律で決められた書面を受け取った日から数えます。広告を見て自分からネットで申し込んだ通信販売には、クーリング・オフの制度はありません。
Q. 業者の指示で消費者金融から借りたお金は、返さなくてもいいのですか?
A. 国民生活センターは、業者の説明を信じて借りたお金であっても、返済の責任は借りた人自身にあると注意を促しています。借入先に経緯を説明し、消費生活センターや法テラスで今後の対応を相談してください。
Q. 副業LINEで払ったお金を取り戻せると言う業者から連絡が来ました。
A. 向こうから連絡してきた「返金代行」には、先に費用を払わないでください。弁護士を名乗るなら日本弁護士連合会の弁護士検索で確かめられます。相談先に迷ったら、まず188か#9110に電話するのが安全です。
この記事の出典
- 国民生活センター「スキマ時間に気軽に稼げる等とうたう副業トラブル!-簡単なタスクを行う副業でお金を払う??詐欺に騙されないで-」(2024年9月4日)
- 国民生活センター「簡単なタスクで稼げるとうたう副業トラブルに注意!」(2026年5月19日)
- 国民生活センター「副業サポートや投資の名目で借金させる業者に注意!」(2026年5月20日)
- 消費者庁 特定商取引法ガイド「業務提供誘引販売取引」
- 消費者庁 特定商取引法ガイド「連鎖販売取引」
- 消費者庁 特定商取引法ガイド「電話勧誘販売」
- 消費者庁 特定商取引法ガイド「通信販売」
- 消費者庁「消費者契約法」
- LINEヘルプセンター「トーク履歴をテキスト形式(.txt)で保存するには?」
- 法テラス(日本司法支援センター)
※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。