電話で「ビットコインは必ず儲かる」と勧誘されたら|取消しの考え方

知らない番号から「ビットコインは必ず値上がりします」「今だけ特別に買える枠があります」と電話がかかってきたら、その場で決めないことが何より大切です。名乗った会社名と電話番号は、金融庁の登録一覧に載っている代表電話番号と照合できます。すでに電話の説明を信じて契約や送金をした場合、将来の値動きについて断定的な説明を受けて誤解したのであれば、消費者契約法で取り消せる可能性があります。ただし期限があり、相手が誰か分からなければ実際に使うのは難しくなります。

この記事は、電話で暗号資産の投資を勧められた人と、その家族に向けたものです。通話中に確かめること、法律上の考え方、着信を減らす手段、送金後の動き方の順に説明します。電話をかけてきた特定の事業者を詐欺と断定する記事ではありません。

電話でかかってくる暗号資産の勧誘の特徴

電話による投資の勧誘には、SNSや広告と違って記録が残りにくいという特徴があります。話の内容は相手のペースで進み、後から「そんなことは言っていない」と否定されても、こちらには証拠が乏しくなりがちです。

注意したい言い回し

  • 「このコインは来月上場するので、必ず何倍にもなる」
  • 「元本は保証します。損は絶対にさせません」
  • 「お客様だけに特別枠をご用意しました。今日中に決めてください」
  • 「ご家族には言わないほうがいい。反対されると機会を逃します」

1本目の電話の後で、別の会社を名乗る人物から「その暗号資産を高値で買い取りたい」と連絡が来て、購入を後押しされる流れにも注意が必要です。立場の違う人物が口をそろえて勧めてくると、話の信ぴょう性が増したように感じてしまいます。

登録業者の勧誘と比べたときの違和感

国内の登録業者は、口座開設の申込みを受けてから本人確認を行い、取引の仕組みやリスクを書面や画面で説明したうえで取引が始まるのが通常の流れです。見ず知らずの人に電話をかけて特定のコインを勧め、個人名義の口座やウォレットアドレスへ直接送金させるやり方は、この流れとはかけ離れています。勧めてくるコインの名前を検索しても、登録一覧の「取り扱う暗号資産」の欄や大手の情報源に一切出てこない場合も、慎重に考えるべき材料です。

着信そのものへの備え

警察庁は国際電話を使った詐欺への対策として、+で始まる国際電話番号や見覚えのない番号からの着信は「無視」するよう呼びかけています。投資の勧誘も、知らない番号からかかってきた時点で身構えておくのが無難です。

通話中にその場で確かめる3つのこと

  1. 会社名・担当者名・折り返し先を聞き取る:「会社の正式な名前と、代表番号を教えてください」と尋ね、メモします。答えをはぐらかす相手なら、それだけで話を切り上げてよい理由になります。
  2. 登録一覧の代表電話番号と照らし合わせる:金融庁の暗号資産交換業者登録一覧には、登録番号・商号・本店所在地とともに代表電話番号が載っています。令和8年9月1日時点の登録は27業者です。聞いた番号が一覧と違えば、一覧に載っている番号にこちらからかけ直して、その担当者が実在するかを確かめます。
  3. 書面で送ってもらう:「検討したいので、会社の資料を郵送してください」と伝えます。登録を受けた交換業者には、暗号資産の性質の説明や、手数料など契約内容についての情報提供をする措置が法律で求められています(資金決済法第63条の10)。資料を出さずに入金だけを急がせる場合は、取引を見送る判断材料になります。

通話はスマートフォンの録音機能や、録音機能つきの電話機で残しておくと、後から内容を確かめられます。相手に録音していると伝えるだけで、強引な勧誘が止まることもあります。

断るときのひと言

理由を説明する必要はありません。「投資の勧誘はお断りしています。今後の電話もやめてください」と伝えて切れば十分です。言い争いになりそうなら、何も言わずに切っても構いません。

「必ず儲かる」と言われて契約したときの法律上の考え方

「必ず上がる」を信じた契約は取り消せるか

消費者契約法第4条第1項第2号によると、将来の値段や受け取れる金額のように先行きが分からない事柄について、事業者が「こうなる」と言い切る説明(断定的判断の提供)をし、消費者がその通りになると思い込んで申し込んだ場合、消費者はその申込みを取り消せます。「このコインは必ず上がる」という説明を信じて購入したケースは、この規定が問題になりうる典型です。

取消権には期限があります。同法第7条により、追認できる時(誤認に気づいた時など)から1年、または契約から5年が過ぎると時効で消えます。気づいたら早めに動く必要があります。

登録業者にも禁じられている勧誘

資金決済法は、暗号資産交換業者が勧誘の際に虚偽の表示をしたり、暗号資産の性質について誤認させる表示をしたりすることを禁じています(第63条の9の3)。登録を受けた事業者の担当者が「必ず儲かる」と言ったのであれば、その業者の苦情窓口や金融庁に伝える意味があります。

取消しが使えても、回収は別の問題

取消しの権利があっても、相手の会社名や所在地が分からなければ、請求を届ける先がありません。海外に拠点があると名乗る相手なら、書面を送ること自体が難しくなります。電話だけでやり取りし、会社の実体が確かめられないまま送金した場合は、回収が難しくなりやすいのが実情です。筆者の結論としては、電話の勧誘は「取り消せるから大丈夫」と考えず、通話の段階で断るのが最も確実な防ぎ方です。

詐欺にあたる場合は民法第96条による取消しも考えられますが、どの規定を使うかや請求の方法は事情によって変わるため、弁護士などの専門家に相談して判断してください。

繰り返しかかってくる電話を減らす方法

  • 国際電話の着信を止める:固定電話は、国際電話不取扱受付センター(0120-210-364、通話料無料)に申し込むと、国際電話の発着信を無償で休止できます。オペレーターの受付は平日9時から17時で、自動音声とウェブでも申し込めます。
  • スマートフォンの着信設定を見直す:警察庁は、非通知や電話帳に登録していない番号からの着信を拒否する設定、国際電話の発着信を規制できる防犯アプリの利用を勧めています。
  • 留守番電話を基本にする:知らない番号にはすぐ出ず、用件を録音してもらってから折り返すかどうか決めます。
  • 家族と合言葉を決めておく:高齢の親がいる場合は、「お金の話が電話で出たら、切って家族に電話する」という約束をしておくと効果があります。

一度話を聞いた相手からの電話が続くのは珍しくありません。番号を変えるほどの対応は多くの場合必要ありませんが、しつこい場合は警察相談専用電話(#9110)に相談してください。

電話の後に送金・契約してしまった場合の手順

記憶が新しいうちにメモを作る

通話履歴の画面を保存し、次の項目を書き出します。電話は録音がなければ記憶が頼りなので、できるだけ当日のうちに作るのが理想です。

  • かかってきた日時と相手の番号、何回目の電話か
  • 相手が名乗った会社名・部署名・担当者名
  • 「必ず」「保証」など、印象に残っている言葉とそのときの状況
  • 送金を指示された口座・ウォレットアドレスと、実際に送った日時・金額

支払い手段ごとの連絡先

支払った方法最初に連絡する先
銀行口座への振込振込先の銀行と警察。口座が凍結されれば、振り込め詐欺救済法の分配手続きの対象になることがある
国内の交換業者経由で暗号資産を送信利用した交換業者と警察。送信自体は原則取り消せない
現金を手渡し・郵送すぐに警察へ。現金を送るよう求める投資の話は極めて不自然

取り消しの意思を伝える場合は、後から「受け取っていない」と言われないよう、内容証明郵便など届いたことを証明できる方法を使うのが一般的です。送金直後の流れは仮想通貨を送金してしまった場合の対応、警察署へ出向く前にそろえる書類は警察相談の準備ページで確認できます。

相談先の選び方

  • 消費生活センター(188):電話勧誘で結んだ契約の取消しや、業者とのやり取りの進め方を相談できます。
  • 金融庁:暗号資産を含む金融サービス全般は金融サービス利用者相談室(0570-016811、平日10時〜17時)。詐欺的な投資については専用の相談ダイヤル(0570-050588)があります。
  • 警察:#9110。お金をだまし取られた疑いが強い場合は、最寄りの警察署に被害を届け出ます。

相談のときは、上で作ったメモ、通話履歴の画面、送金の記録をまとめて持っていくと話が早く進みます。弁護士への相談を考えている場合は相談前の整理が役に立ちます。ほかの接触経路との違いはビットコイン投資の利益保証の経路別ガイドで比べられます。専門家につなぐ窓口として当サイトの相談予約もありますが、お金が戻ると約束できるものではない点はご理解ください。

よくある質問

Q. 電話で「ビットコインは必ず儲かる」と言われただけなら、何か手続きは必要ですか?

A. お金を払っていなければ手続きは不要です。番号を着信拒否にし、同じ番号や似た名乗りの電話が続く場合に備えて、日時と内容をメモしておくと安心です。

Q. 電話の説明を信じて買った暗号資産の契約は、いつまで取り消せますか?

A. 消費者契約法第7条では、この取消権は、取り消せる状態になった時(思い込みに気づいた時など)から1年、または申し込んだ時から5年のどちらかを過ぎると使えなくなります。当てはまるかどうかは事情しだいなので、期限が迫る前に188か弁護士へ問い合わせてください。

Q. 相手が「金融庁に登録している」と言っています。信じてよいですか?

A. 口頭の説明だけでは確かめられません。金融庁の暗号資産交換業者登録一覧で商号と登録番号を照合し、一覧に載っている代表電話番号にこちらからかけ直して担当者の在籍を確かめてください。

Q. 親が電話で勧誘されて送金したようです。家族が代わりに相談できますか?

A. 家族からの相談も受け付けている窓口は多くあります。本人の了解を得たうえで、通話履歴や振込の控えを一緒に集め、188や#9110に連絡してください。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。