SNS広告からLINEへ誘導されたクリック副業|経路と証拠の残し方

クリック作業の副業の多くは、SNSの広告や投稿から始まり、いくつかの画面を経てLINEのトークにたどり着きます。この経路のどこかで見たものは、時間がたつと消えてしまうことが少なくありません。広告は二度と表示されず、誘導サイトは閉鎖され、トークは相手に取り消されたり、アカウントごと消えたりします。

この記事は、SNSからLINEに誘導されてクリック副業に関わった人に向けて、警察庁の統計で分かる誘導の経路と、それぞれの段階で何が消えやすいか、どういう順番で何を残せばよいかをまとめたものです。相談の準備全体は別の記事にまとめてあるので、ここでは「消える前に押さえる」ことに絞って説明します。

統計で見る入口|最初の接触はSNS、やり取りはLINE

クリック副業だけを数えた公的な統計は見当たりませんが、近い手口であるSNS型投資詐欺については、警察庁が令和7年の数字を公表しています。最初に接触したツール(当初接触ツール)と、被害にあったときに使っていた連絡手段は次のとおりでした。

区分主なツールと認知件数
当初接触ツールInstagram 1,934件、YouTube 1,229件、LINE 1,211件、投資のサイト 1,071件、TikTok 830件、Facebook 822件、X(旧Twitter)815件
被害時の連絡ツールLINE 8,906件(全体の9割以上)

入口は多様なのに、実際のやり取りはほぼLINEに集まっているという形です。最初の接触手段では、バナーなどの広告が3,785件、ダイレクトメッセージが3,549件で、この2つで全体の約8割を占めました。

国民生活センターが2024年9月に公表したタスク副業の手口でも、SNS広告をタップすると別のウェブページに移り、そこにあるメッセージアプリの友だち追加ボタンから登録させる流れが描かれています。つまり証拠になりうるものは、広告、誘導サイト、LINEのアカウントとトーク、送金記録の4か所に散らばっています。

誘導の型は4つ|自分がどの道を通ったか確かめる

警察庁の資料や公表事例を並べると、LINEにたどり着くまでの道筋はおおむね次の4つに分かれます。どの型だったかによって、最初に残すべきものが違います。

  • 広告型:SNSや動画サイトの広告をタップし、紹介ページを経てLINEに登録する。警察庁の集計では、広告経由の内訳はYouTubeが1,024件、投資のサイトが697件、Instagramが617件でした。広告の画面と誘導ページのURLが要になります。
  • ダイレクトメッセージ型:知らない相手からのDMで話しかけられ、LINEに移るよう誘われる。DM経由の内訳はInstagramが1,000件、LINEが633件、Facebookが485件です。最初のDMの画面と、相手のプロフィールを残します。
  • 動画の説明欄型:解説動画の概要欄にあるURLから、グループチャットに招待される。警察庁の事例紹介にもこの流れが載っています。動画のタイトルとチャンネル名、URLを控えます。
  • グループ招待型:個別のトークから複数人のグループに移される。グループ名と参加者一覧、招待したアカウントを記録します。

警察庁は、令和7年3月以降にバナーなどの広告を入口とする被害が増え、著名人の画像や動画を無断で使った広告が確認されているとも述べています。

段階ごとに消えやすいものと、残し方

段階消えやすいもの残し方
SNS広告・投稿広告そのもの(同じ広告は再表示されにくい)広告の画面、広告主として表示された名前、投稿日時が分かる画面を撮る。閲覧履歴から開ければURLも控える
誘導サイトページ全体(短期間で閉鎖されることがある)URLをメモに貼る。ページを上から下まで数枚に分けて撮り、運営者表示の有無も写す
LINEの友だち追加相手のアカウント(利用停止や削除で表示されなくなる)プロフィール画面、表示名、ID、アイコンを撮る。グループなら参加者一覧とグループ名も
トーク相手が取り消したメッセージ、自分が退会したグループの履歴画面の撮影と、トーク履歴のテキスト保存を両方行う
別のアプリ自動で消えるメッセージ表示されている間に撮影する。消えた後は、消えたこと自体と時刻をメモする

警察庁は、犯行に使われたLINEアカウントの利用停止などを促すため、令和7年中に18,214件のアカウントをLINEヤフー株式会社に情報提供したと公表しています。相手のアカウントが止められるのは望ましいことですが、その後は自分の画面から相手の情報が見えにくくなる場合もあります。通報やブロックは、保存を済ませてからにしてください。

トークを残すときの具体的な手順

1. 画面を撮る

相手の表示名と、メッセージの日付・時刻が同じ画面に入るように撮ります。日付の区切りが写っていない画面は、前後の画面と続けて撮っておくと、いつのやり取りか後から特定できます。途中を飛ばさず、最初のあいさつから最新のメッセージまで順に撮るのが基本です。金額や口座番号が書かれたメッセージは、拡大した画面も別に撮っておくと読み違いを防げます。

2. テキストでも保存する

LINEには、トークルームの設定メニューからトーク履歴をテキストで送信・保存する機能があります(表示される項目名は端末やアプリのバージョンによって異なります)。自分宛てのメールやクラウドに保存しておけば、スマートフォンをなくしても残ります。テキストには画像が含まれないので、相手から送られてきた画像(振込先の案内、報酬の画面など)は、別に端末へ保存します。

3. 保存が済むまで、退会・ブロック・削除をしない

グループから自分で退会したり、トークルームを削除したりすると、その履歴は読み返せなくなります。ブロックだけなら履歴は残ることが多いものの、同じ画面で削除も選べるため、操作を誤りやすい場面です。相手から「このグループは終了します」と言われたときも、まず保存を優先してください。

遠隔操作アプリを入れていた場合

国民生活センターは、遠隔操作アプリで画面を共有すると、証拠となるやり取りを勝手に消去されることがあると注意を呼びかけています。記録を確保したら、そのアプリはアンインストールし、銀行アプリやメールアカウントのログイン情報も新しいものに切り替えましょう。

送金記録は「支払った側」と「受け取った側」を両方残す

送金の記録は、自分が払った記録だけでなく、最初に受け取った少額の報酬の記録も大切です。どの口座から報酬が振り込まれたかは、相手側の口座を特定する手がかりになります。

  • 銀行振込:ネットバンキングの取引明細を、振込先の銀行名・支店名・口座番号・名義が分かる形で保存する。通帳なら該当ページを撮る。報酬が入金された明細も同じように残す
  • カード払い:利用明細の画面またはPDF。明細上の加盟店名は、相手が名乗った名前と違うことがあるので、そのまま控える
  • 電子マネー・プリペイドカード:購入時のレシートとカードの台紙。番号を送ったトーク画面とあわせて保管する
  • 暗号資産:取引所の購入履歴と送金履歴、送金先アドレス、取引ID
  • 借入れ:貸金業者から届いた契約内容のメールや書面、借入れの日時

国民生活センターが紹介した事例には、振込先がほぼ毎回異なる個人名義の口座だったというものがあります。口座が変わるたびに、振込先の情報を1件ずつ記録しておいてください。

散らばった記録を1本の台帳にまとめる

画像やファイルが増えてくると、どれがいつの何なのかが分からなくなります。表計算アプリやメモに、次の列を持つ台帳を作っておくと、相談や手続きのときにそのまま使えます。

列書く内容
番号時系列の通し番号
日時出来事が起きた日時(分かる範囲で)
場所Instagram広告、誘導サイト、LINEトーク、銀行アプリなど
相手の表示アカウント名、ID、口座名義
内容何を言われたか、何をしたか
金額受け取った額はプラス、払った額はマイナスで
ファイル名対応する画像やPDFの名前

画像のファイル名を台帳の番号にそろえておくと(例:「03_LINE_振込先案内.png」)、後から探す手間が減ります。元のデータは端末に残したまま、クラウドや外部の記録媒体にも写しを置き、保存先を2か所以上にしておくと安心です。

保存の一般的な考え方は証拠の残し方・保存方法、副業トラブルで特に押さえたい証拠は副業詐欺で確認すべき証拠でも解説しています。

保存が済んだら、通報と相談へ

記録がそろったら、次の順番で進めます。

  1. 振込先の金融機関と警察へ連絡:振込から日が浅いなら最優先です。窓口の選び方は相談先の記事を参照してください。
  2. オンラインで警察に情報を届ける:警察庁のサイバー事案の相談窓口のページから、都道府県警察の窓口を確認できます。
  3. LINEや広告を出していたSNSに通報する:アプリ内の通報機能を使います。通報で相手が見えなくなっても、保存済みの記録は手元に残ります。
  4. 消費者ホットライン188に相談する:相手の事業者名が分かっているなら、契約の解除について助言を受けられます。

相談の場では、台帳を印刷するか画面で見せられるようにしておくと、説明が短く済みます。記録が完全でなくても、相談をためらう理由にはなりません。分からない部分は「不明」と書いて持っていけば十分です。

よくある質問

Q. SNS広告をもう一度探しても見つかりません。証拠としてあきらめるしかありませんか?

A. 広告が消えていても、誘導サイトのURL、LINEのアカウント名、トークの記録、送金の明細が残っていれば、経緯を説明する材料になります。見た日時と広告の内容を、覚えている範囲でメモしておいてください。

Q. LINEの相手をブロックしてしまいました。トークは残っていますか?

A. ブロックしただけなら、自分の端末に表示されていたトークを見られることが多いです。削除や退会をする前に、すぐ画面の撮影とテキスト保存を済ませてください。

Q. クリック副業の相手に、自動で消えるアプリを使うよう言われました。どう記録すればいいですか?

A. 国民生活センターの公表事例にも、同じ指示を受けた相談があります。メッセージが表示されている間に撮影し、消えた後は、いつ何が消えたかをメモに残してください。以後はそのアプリでのやり取りに応じないことをおすすめします。

Q. スクリーンショットだけで証拠になりますか?

A. 日時と相手の表示名が写ったスクリーンショットは、経緯を示す大切な記録です。テキストの書き出しや送金明細と組み合わせると、内容を裏付けやすくなります。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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サイト名、サービス名、担当者名、LINE名、決済名などで確認している方は、事例パターンと証拠の残し方を分けて確認してください。個別の違法性、返金可否、削除可否、解決を断定するものではありません。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。