海外在住・外国人を名乗る相手の出会い系詐欺|送金前の確認点と相談先

海外在住の外国人を名乗る相手と、マッチングアプリやSNSで親しくなった。会う前に「立て替えてほしい」「日本へ行く旅費が必要」「一緒に投資しよう」とお金の話が出てきた。この記事は、そうした状況で迷っている方に向けたものです。

先に結論を書きます。判断の基準にすべきなのは、相手が外国人かどうかではありません。一度も会ったことがない相手から、お金の話が出たかどうかです。警察庁は、実際に会ったことがない人からお金の話が出たら、振り込む前に警察へ相談するよう呼びかけています。

以下では、警察庁の統計や国民生活センター・東京弁護士会の公開情報(2026年9月時点)をもとに、よく使われる設定と口実、相手の話を確かめる方法、送金してしまった後の動き方を順に説明します。

「外国人を名乗る相手」だけを警戒しても防げない理由

海外に住む外国人を装って近づき、恋愛感情や親近感を抱かせてお金をだまし取る手口は、「国際ロマンス詐欺」と呼ばれることがあります。東京弁護士会も、外国人を装いSNSを通じて被害者に接近し、一定期間交流したうえで金銭をだまし取る被害が多発していると注意を促しています。

一方で、警察庁が公表した令和7年(2025年)の確定値では、SNS型ロマンス詐欺5,645件のうち、被疑者が詐称した身分(地域)は「日本(国内)」が3,461件で約6割でした。東アジアや東南アジア、日本(国外)など海外の地域もみられるものの、多数派は国内在住の日本人を名乗るケースです。

つまり「外国人だから怪しい」「日本人だから安心」という見方では判断を誤ります。編集部は、国籍や住んでいる国よりも、次の三点が重なるかどうかで警戒度を上げるべきだと考えています。

  • 実際に会ったことがない
  • 早い段階でLINEなど別のアプリに移ろうと言われた
  • 会話の中でお金の話(立替、旅費、手数料、投資)が出た

警察庁の同じ統計では、SNS型ロマンス詐欺の当初の接触ツールはマッチングアプリが1,846件(32.7%)で最も多く、被害時の連絡ツールはLINEが9割以上を占めています。令和8年上半期の暫定値でも、SNS型ロマンス詐欺は2,509件・被害額246.6億円にのぼり、当初の接触ツールは被害額・件数ともにマッチングアプリが最多とされています。

公的機関が紹介している設定と送金の口実

相手が名乗る属性や、お金を求める口実には一定の傾向があります。以下は警察庁と国民生活センターが公表している事例・統計から拾ったものです。

公表元相手の設定お金を求めた口実
警察庁(事例)英国在住の韓国人と称する男性。会わないまま結婚を約束「仕事で必要な金を立て替えてほしい。立て替えないと契約違反で警察に捕まる」
警察庁(事例)マカオ在住の30代独身を自称する女性暗号資産の短期取引を勧め、購入名目で振込をさせる
国民生活センター(事例)マッチングアプリで知り合った自称外国人経営者「2人の将来のため」の投資。出金時に保証金を要求
警察庁(注意点)ー「会いたいから旅費を送って」「荷物を送るから手数料を払って」

また警察庁の統計では、被疑者が詐称した職業として投資家(627件)、会社員(507件)、会社役員(378件)のほか、医療関係や芸術・芸能関係などがみられたとされています。社会的に信用されやすい肩書きが選ばれやすいと考えられます。

「税関で荷物が止まっている」という名目の送金要求については、税関名目の送金要求の特徴で個別に解説しています。

相手の話を確かめるときに、あてにならない目安

相手の身元を確かめようとして、次のような点で「本物だ」と判断してしまうことがあります。どれも決め手にはなりません。

ビデオ通話で顔を見た

警察庁は、SNS上に公開された写真や翻訳アプリ、AIなどを使えば誰でも他人になりすますことができ、本人の音声や動画を作れてしまうと注意しています。ビデオ通話やボイスメッセージがあっても、本人である保証にはなりません。

日本語が自然だった、または片言だった

翻訳アプリや生成AIを使えば、自然な日本語も、あえてたどたどしい日本語も作れます。言葉づかいで見分けようとするより、お金の話が出たかどうかを見るほうが確実です。

写真や生活ぶりが具体的だった

海外の街並み、職場、家族の写真などは、他人のSNSから転用されていることがあります。写真の画像検索で、別の名前で同じ写真が使われていないか確かめる方法もありますが、ヒットしないからといって本人とは限りません。

長い期間やり取りしていた

数週間から数か月かけて信頼関係を作ったうえで、お金の話を切り出す流れは公的機関の事例でも繰り返し出てきます。期間の長さは安心材料になりません。

自分の国の事情や仕事の話が詳しかった

海外の軍務、医療活動、事業の取引といった話は、日本にいる側からは確かめようがありません。確かめられない話がどれだけ具体的でも、それを理由にお金を送る判断はしないでください。

送金を頼まれたときに取る行動

お金の話が出た時点で、次の順に行動してください。

  1. その場で返事をしない。「今日中に」「誰にも言わないで」と急がされるほど、一度止まる意味があります。
  2. やり取りを保存する。相手のプロフィール、ID、お金の話が出たメッセージを画面ごと残します。保存の手順は出会い系詐欺の証拠保全にまとめています。
  3. 身近な人か公的な窓口に話す。警察相談専用電話「#9110」や消費者ホットライン「188」で相談できます。第三者に話すだけで、違和感に気づけることがあります。
  4. 送金方法を指定されても応じない。個人名義の口座、ギフト券やプリペイド型電子マネーの番号、暗号資産での送金を求められた場合は、特に注意が必要です。ギフト券を求められたケースはマッチングアプリでギフト券を求められたらで扱っています。

相手から「断るなら別れる」「信じてくれないのか」と言われても、会ったことのない相手にお金を送らないという線は守ってください。本当に誠実な相手であれば、会うまで待つことを受け入れるはずです。

送金してしまった後の動き方

すでに送金している場合は、追加の支払いを止めたうえで、支払い方法に応じて連絡します。

  • 国内の銀行口座に振り込んだ:振込先の金融機関と警察に連絡し、口座の取引停止を依頼します。口座が凍結されれば、振り込め詐欺救済法の手続きで口座残高から分配金を受けられる可能性があります(残高次第で、全額とは限りません)。
  • 海外送金サービスや暗号資産で送った:送金記録、送付先アドレス、取引IDを保存し、利用した送金サービスや取引所、警察に連絡します。
  • 電子マネーの番号を伝えた:カードの発行会社にすぐ問い合わせます。
  • 海外の投資サイトなど事業者とのトラブル:国民生活センターの越境消費者センター(CCJ)も、海外事業者とのトラブル相談を受け付けています。

東京弁護士会は、国際ロマンス詐欺では口座を凍結しても残高が少ない場合がほとんどで、暗号資産で送金した場合は詐欺師の特定が難しいなど、被害金の回収が他の詐欺に比べて極めて困難だと指摘しています。だからこそ、送金が続いている段階で止めることに最も大きな意味があります。

家族や友人が海外の相手とやり取りしているときの声のかけ方

本人は相手を信じ切っていることが多く、周囲が「それは怪しい」と強く否定すると、かえって相手との連絡に閉じこもってしまう場合があります。消費者庁も、身近な人の異変を感じたら積極的に声をかけ、助言するよう呼びかけています。

話を切り出すときは、相手の人柄を否定するより、事実を一緒に確かめる形にすると受け入れられやすくなります。

  • 「実際に会ったことはある?」「お金の話は出た?」と、はい・いいえで答えられる質問から始める。
  • 相手のプロフィール写真を一緒に画像検索してみる。
  • 警察庁や国民生活センターが公開している事例を見せ、似ている点がないか本人に判断してもらう。
  • 送金の予定があるなら、「一度だけ#9110か188に聞いてから」と、相談を挟むことだけを約束してもらう。

すでに送金していることが分かった場合でも、責めるより先に、振込明細ややり取りの記録を一緒に保存するほうが、その後の手続きにつながります。ご家族の立場での対応は家族が国際ロマンス詐欺に遭っているかもしれない時の対応も参考にしてください。

被害のあとに届く「取り戻せる」という連絡

被害に遭った後、「詐欺グループが捕まったので被害金を返せる」「返金手続きに供託金が必要」といった連絡が届くことがあります。第一東京弁護士会は、実在する弁護士や法律事務所を名乗る人物からこうした連絡があった事例が数多く寄せられていると注意を促しています。

弁護士に相談・依頼するときは、日本弁護士連合会の弁護士検索などで登録を確かめ、自分で調べた登録事務所の連絡先に問い合わせてください。相手から届いたメッセージのリンクや電話番号は使わないのが安全です。

SNSで知り合った外国人から送金を求められた場合の相談先は、SNSで知り合った外国人に送金を求められた場合の対処法でも整理しています。

よくある質問

Q. 外国人とマッチングアプリで出会うこと自体が危ないのですか?

A. 国籍そのものは判断材料になりません。警察庁の令和7年の統計では、ロマンス詐欺で被疑者が名乗った身分の約6割は日本(国内)でした。会ったことのない相手からお金の話が出たかどうかを基準にしてください。

Q. ビデオ通話で顔を見て話しました。それでも疑うべきですか?

A. 警察庁は、写真や翻訳アプリ、AIを使えば本人の音声や動画を作れてしまうと注意しています。ビデオ通話をしたことは本人である保証になりません。お金を求められた時点で、送る前に警察や消費生活センターに相談してください。

Q. 相手から「日本に会いに行く旅費を送って」と言われました。

A. 警察庁が注意点として挙げている口実のひとつです。送金はせず、やり取りを保存したうえで、警察相談専用電話「#9110」などで相談してください。会いに来るための費用を、会う前に相手へ送る必要はありません。

Q. 英語や外国語でのやり取りも記録として残す意味はありますか?

A. あります。外国語のままで画面ごと保存し、必要に応じて自分で内容の要約を添えておくと、相談先で説明しやすくなります。翻訳アプリの画面も残しておいて構いません。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。