マッチングアプリの相手が勧める海外投資家は本物?登録の確かめ方と相談先

マッチングアプリで親しくなった相手が「海外で投資家をしている親族がいる」「私のメンターは海外の有名な投資家」と話し、その人のやり方で運用しようと誘ってくる。こうした流れで迷っている人に向けた記事です。

先に結論を書きます。紹介された「海外の投資家」が本物かどうかを、あなたが外から確かめる方法はほとんどありません。確かめられるのは、お金を入れるよう言われた取引先が日本で必要な登録を受けているかです。金融庁の検索で登録が見つからない、あるいは個人名義の口座に振り込むよう言われたなら、その時点で入金を止めてください。相談先は188(消費者ホットライン)や#9110(警察相談専用電話)です。

マッチングアプリから「海外の投資家」が登場するまでの流れ

マッチングアプリなどで出会った相手から投資を持ちかけられたという相談を分析して、国民生活センターはチェックリストを作りました。その中には、投資に詳しい親戚の言う通りにすればもうかる、という趣旨の誘い文句や、アプリから早々にLINE等へ連絡手段を移す提案が挙げられています。相談事例には、相手が「叔父がプロの投資家で教えてもらっている」と話し、海外のFX取引アプリを入れさせたケースもあります。

警察庁の統計でも、SNS型ロマンス詐欺(令和7年の認知件数は5,645件)で最初に使われた接触ツールの首位は、1,846件のマッチングアプリでした。犯人が名乗った職業では「投資家」が627件と最多です。投資家という肩書きは、相手を信用させる材料として繰り返し使われていると読み取れます。

よく見られる段階

  1. アプリ内で共通の趣味や将来の話をして距離を縮める
  2. 会う前にLINEなど外部のアプリへ移る
  3. 「叔父」「恩師」「メンター」など、海外で成功している投資家の存在を話す
  4. その人が使っている取引アプリやサイトを入れるよう勧める
  5. 少額で利益が出たように見せ、入金額を増やすよう促す

今どの段階にいるかで、やるべきことは変わります。3までなら、まだお金は動いていません。4以降に進んでいる場合は、この記事の後半にある確認手順と相談先を先に読んでください。

確かめる対象は「人」ではなく「お金を預ける先」

相手が送ってくる写真、資産の画面、ビデオ通話の映像は、どれも本人確認の決め手になりません。画像は他人のものを流用できますし、残高画面は作れます。紹介される海外の投資家に至っては、実在するかどうかをあなたが調べる手段がありません。

一方で、お金を入れる先の業者は調べられます。国民生活センターによると、日本の居住者を相手に株・FX・暗号資産の取引業を行う者は、金融商品取引法または資金決済法に基づく登録を受ける必要があります。つまり「海外の会社だから日本の登録は要らない」という説明は、日本在住のあなたを勧誘している時点で通りません。

相手の人柄や愛情を疑うのはつらいことです。だからこそ、気持ちの問題と切り離して、登録という客観的な事実だけを見る方が判断しやすくなります。相手に「登録番号を教えて」と尋ねても構いませんが、返ってきた番号や会社名は、必ず自分で金融庁のページに入力して照合してください。相手が送ってくる「登録証」の画像やリンクは、確認の材料になりません。

金融庁の検索で登録を確かめる手順

確認に使うのは、金融庁が公開している次のページです。いずれも無料で、名前やサイト名を入れて調べられます。

手順1:金融事業者一括検索で名前を調べる

金融庁の「金融事業者一括検索機能」に、勧められたアプリの運営会社名や取引サイトの名前を入れます。見つからない場合、日本で登録を受けていない可能性があります。表記ゆれもあるため、英語名・カタカナ名の両方で試してください。

手順2:無登録で警告を受けた業者の一覧を見る

金融庁(財務局)は、登録のないまま金融商品取引業を営んでいるとして警告書を送った相手の名称を公表しています。海外に所在する業者も載っています。ただし金融庁自身が、掲載は警告時点で確認できた者に限られ、載っていなくても無登録営業をしている場合があると注意書きをしています。「リストにないから大丈夫」とは考えないでください。

手順3:登録業者の名前を使ったなりすましを疑う

登録のある会社名が出てきた場合でも、案内されたURLやアプリがその会社のものとは限りません。会社の公式サイトを自分で検索して開き、案内されたサイトのアドレスと一致するか、SNSで勧誘していないかという注意書きが出ていないかを確認します。

相手の説明確認先見るポイント
叔父が使っている海外のFXアプリ金融事業者一括検索運営会社名で登録が出るか
メンター推薦の暗号資産取引所暗号資産交換業者の登録一覧取引所名とURLが一致するか
有名な証券会社の特別口座その会社の公式サイトSNS勧誘への注意喚起の有無

入金の前に立ち止まりたい4つのサイン

  • 振込先が個人名義の口座:株やFXのまっとうな取引なら、個人の口座に入金させることは通常ありません。国民生活センターもこの点を挙げ、振り込まないよう求めています。
  • アプリの入手先が公式ストア以外:URLやファイルを直接送ってきてインストールさせる場合は、運営者を確かめようがありません。
  • 「親族の特別枠」「今週だけ」と急がせる:期限を切るのは、考える時間や相談する時間を奪うためです。
  • 出金に手数料や税金の前払いが必要と言われる:金融庁は、利益が出たように装った後に手数料や税金名目の入金を求め、その直後に連絡が取れなくなる手口を紹介しています。

ひとつでも当てはまったら、相手に理由を問いただすより先に、入金を止めて第三者に話してください。相手は説明を用意していることが多く、やり取りを続けるほど判断が揺らぎます。

断り方と、断った後に起きやすい反応

断る理由を長々と説明しなくてかまいません。「投資は自分で登録を確かめた会社でしかしないと決めている」と一度伝えれば十分です。議論に持ち込むと、相手は用意した説明で一つずつ反論してきます。

断った後によく見られる反応には、次のようなものがあります。

  • 「信じてくれないなら結婚の話はなかったことに」と関係を人質にする
  • 叔父や投資家本人を名乗る別のアカウントから直接連絡が来る
  • 「あなたのために枠を確保したのに」と罪悪感に訴える
  • 数日連絡を絶った後、何事もなかったように別の儲け話を持ってくる

いずれも、あなたの判断を覆すための圧力と受け止めてください。本当に将来を考えている相手であれば、金融庁の登録を確かめたいという申し出を責める理由はないはずです。気持ちが揺らいだときは、家族や友人など、この相手と利害関係のない人に画面を見せて意見を聞くのが有効です。やり取りを誰かに見せること自体に抵抗を感じる場合は、消費生活センターの相談員に話すという方法もあります。相談員は、同じような相談を数多く受けています。

すでに入金した・アプリに利益が表示されている場合

画面上の利益は、実際に運用された結果とは限りません。取り戻そうとして追加で払うと、被害額が膨らみやすくなります。

最初にやること

  1. 追加の入金、手数料や税金名目の支払いをしない
  2. マッチングアプリの相手のプロフィール画面を保存する(相手が退会すると見られなくなることがあります)
  3. LINEのトーク、取引アプリの画面、アプリ名とURLを保存する
  4. 振込明細や暗号資産の送金履歴(日時・金額・送金先アドレス)をまとめる

支払い方法ごとの動き方

銀行振込なら、振込元の銀行と振込先の銀行に連絡し、詐欺に使われた疑いがあると伝えます。振込先の口座が止められれば、振り込め詐欺救済法による被害回復分配金の手続きに進むことがあります。この手続きの公告が掲載されるのは預金保険機構のサイトです。暗号資産で送った場合、この制度は使えません。利用した交換業者に送金記録を問い合わせ、警察への相談時に提出してください。

相手のアカウントは、マッチングアプリの運営会社にも通報してください。次の被害者を減らす助けになります。保存のコツは証拠の残し方にまとめました。

相談先と、電話の前に手元に用意するもの

  • 188(消費者ホットライン):最寄りの消費生活センターを案内してもらえる番号
  • #9110(警察相談専用電話):被害届の要否を決める前の段階から話を聞いてもらえる
  • 0570-050588:金融庁の相談室が設けた詐欺的投資の専用ダイヤル。受付は平日10時から17時、IP電話からは03-6206-6066
  • 0570-078374(法テラス):弁護士の相談窓口や、費用を立て替える制度の案内
  • CCJ(国民生活センター越境消費者センター):相手が海外の事業者の場合に、ウェブのフォームから相談できる

電話の前に、知り合った日、LINEに移った日、投資家の話が出た日、入金した日と金額を時系列で1枚にまとめておくと、話が早く進みます。書き方の例は相談前チェックリストに載せています。SNS全般での外国人投資家の名乗りについては外国人投資家をかたる詐欺の見分け方、偽の取引画面については偽プラットフォームの見分け方もあわせてご覧ください。

よくある質問

Q. マッチングアプリの相手が紹介する海外の投資家と、ビデオ通話で話せました。本物と考えてよいですか。

A. 通話できたことは、投資の話が安全であることの証明にはなりません。判断の軸は、勧められた取引先に金融庁の登録があるか否かです。登録を見つけられないなら、入金は控えてください。

Q. 海外の会社なので日本の登録は関係ないと言われました。

A. 日本の居住者を相手に株やFX、暗号資産の取引業を行うには、金融商品取引法または資金決済法に基づく登録が必要です。海外の会社であることは、登録がなくてよい理由になりません。

Q. 金融庁の警告リストに名前がなければ安心ですか。

A. 安心とはいえません。金融庁は、掲載されているのは警告書を出した時点で確認できた者に限られ、載っていない者でも無登録営業をしていることがあると説明しています。

Q. 少額なら出金できました。続けても大丈夫でしょうか。

A. 最初に少しだけ引き出させて安心させ、後から大きな金額を入れさせる流れは、国民生活センターの相談事例でも見られます。出金できたことを判断材料にせず、登録の有無を先に確認してください。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

この記事をシェアして注意を広める

詐欺返金相談ナビの相談前整理事例

サイト名、サービス名、担当者名、LINE名、決済名などで確認している方は、事例パターンと証拠の残し方を分けて確認してください。個別の違法性、返金可否、削除可否、解決を断定するものではありません。

相談前に、被害状況を整理しておきましょう

LINEで相談前チェックリストを受け取り、支払い方法・証拠・やり取りを整理できます。弁護士確認が必要なケースも確認できます。

LINEでチェックリストを受け取る 登録は無料 / 一般情報の提供を目的としています

参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。