Facebookの海外投資家に「口座を貸して」と頼まれたら|受け取り役にされる危険

Facebookで知り合った海外の投資家や資産家を名乗る人から、「日本で投資の利益を受け取るのを手伝ってほしい」「あなたの口座に送金するので、指示した先に移してほしい」「共同で運用するから取引所のアカウントを作って」と頼まれた。この記事はそうした依頼を受けて迷っている人向けです。

結論として、自分名義の口座や暗号資産のアカウントを他人のお金の通り道として使わせる依頼には、応じないでください。あなたがお金を失うだけでなく、詐欺の被害金を動かす役割を担わされ、口座の凍結や刑事責任を問われるおそれがあります。すでに応じてしまった場合も、早めに銀行と警察へ自分から相談するのが、身を守るうえで最も確実な方法です。

「口座を貸して」はどんな形で持ちかけられるか

依頼の言い方はさまざまですが、共通するのは、あなたの名義を使ってお金を受け取らせ、それを別の場所へ移させるという点です。よく見られる言い方を挙げます。

  • 「海外からは日本の口座に直接送れないので、代わりに受け取ってほしい」
  • 「投資の利益をあなたにも分けたい。まず口座番号とキャッシュカードの暗証番号を教えて」
  • 「日本の投資パートナーとして登録するから、取引所のアカウントを作ってログイン情報を共有して」
  • 「使わなくなった口座があれば、手数料を払うので譲ってほしい」
  • 「届いたお金を暗号資産に替えて、このアドレスに送れば報酬を出す」

恋愛感情や信頼関係ができてから頼まれることが多く、「あなたしか頼れる人がいない」と言われると断りにくくなります。しかし、本当に海外で資産を運用している人なら、日本の金融機関や正規の送金サービスを使えば足ります。見ず知らずに近い個人の口座を経由させる理由はありません。

応じると何が起きるのか

詐欺の被害金の中継点にされる

あなたの口座に振り込まれるお金は、別の被害者がだまされて送ったお金かもしれません。それを指示どおりに移すと、被害金の流れを追いにくくする役割を果たすことになります。令和7年に、SNS型投資・ロマンス詐欺の受け子などとして摘発された人は304人でした。警察庁によると、その入口は「SNSからの応募」119人と「知人等からの紹介」115人が大半を占めました。自分から犯罪に加わるつもりがなくても、SNSや人間関係を通じて巻き込まれる人がいることを示しています。

口座が凍結される

被害者からの申し出などで詐欺に使われた疑いがある口座と判断されると、金融機関は取引を止めます。凍結されると、給与の受け取りや引き落としなど、あなた自身の生活に必要な取引もできなくなります。凍結された口座の残高は、振り込め詐欺救済法の手続きで被害者への分配に回ることがあります。

刑事責任を問われるおそれがある

犯罪収益移転防止法は、正当な理由がないのに有償で預貯金通帳やキャッシュカード、振込に必要な情報などを譲り渡す行為や、相手が不正に使うと知りながら渡す行為を処罰の対象にしています。お金をもらうかどうかに関係なく、口座を譲れば犯罪になる。警察庁はこの点を、在留外国人向けのポスターなどでも周知しています。条文そのものはe-Gov法令検索で読めます。

Facebookでこうした依頼に至るまでの流れ

警察庁によると、令和7年のSNS型ロマンス詐欺で最初の接触ツールがFacebookだったのは1,049件、SNS型投資詐欺では822件でした。Facebookは実名や経歴を載せる文化があるため、プロフィールの肩書きがそのまま信用につながりやすい面があります。

  1. 友達申請やMessengerで、海外在住の投資家・実業家を名乗る相手から連絡が来る
  2. 仕事や家族の話をしながら、数週間かけて親しくなる
  3. 「日本に拠点を作りたい」「日本での資産管理を任せられる人を探している」と話し始める
  4. 最初は少額の受け取りと転送を頼み、お礼を払う
  5. 次第に金額が増え、あなたの資金で立て替えるよう求めたり、口座そのものを渡すよう求めたりする

4の段階で、お礼を受け取ってしまうと断りにくくなります。お礼を渡すこと自体が、関係を深めて抜け出しにくくする仕掛けになっている場合があります。

プロフィールに載っている勤務先や学歴は、本人が自由に書き込めるものです。共通の友達が何人かいても、その友達が相手と実際に知り合いだとは限りません。相手の身元を裏付ける材料が乏しいまま、お金の受け渡しだけが具体的になっていく。この食い違いに気づいたら、それ以上の協力はしないという線を引いてください。

正規の送金と、頼まれている内容を比べてみる

相手の説明がもっともらしく聞こえるときは、本来の手続きと並べてみると不自然さが見えてきます。

項目正規の手続き頼まれている内容
海外から日本への送金銀行や登録を受けた資金移動業者を通じて、受取人本人に送る面識の浅い第三者の口座を経由させる
投資の利益の分配運用会社から出資者本人の名義の口座へ支払われるいったんあなたの口座に入れ、別の人へ移させる
取引所のアカウント本人確認を経て、本人だけが使うログイン情報を共有させ、相手が操作する
手続きの説明書面や公式サイトで確認できるチャットの文面だけで、確認先を示さない

金融機関や交換業者は、口座やアカウントを本人以外に使わせないことを利用規約で定めているのが一般的です。表の右側に当てはまる依頼は、規約に反するうえ、前の章で述べた法律上の問題にもつながります。

家族や友人が受け取り役を頼まれているとき

身近な人が「海外の投資家の手伝いをしている」「お金を受け取って送るだけで謝礼がもらえる」と話していたら、早めに声をかけてください。本人は人助けや副収入のつもりでいることが多く、自分が危険な立場にいると気づいていない場合があります。

  • 最近、知らない名義からの入金や、急な暗号資産の購入が増えていないか
  • キャッシュカードや通帳を郵送した、あるいは誰かに預けたことがないか
  • 相手と実際に会ったことがあるか、相手の勤務先を確かめたことがあるか

責める口調ではなく、「口座が止められると困るから、一度銀行に相談しよう」と生活上の不利益から話を始めると、耳を傾けてもらいやすくなります。本人が迷っている間にも振り込みは続くことがあるため、話を聞いたその日のうちに銀行へ連絡するよう促してください。

断り方と、断った後の注意

断るときは、「口座やカード、ログイン情報は誰にも渡さないと決めている」と短く伝えれば十分です。相手が「法的に問題ない」「弁護士も確認した」と言っても、その説明を確かめる手段はありません。

断った後に、相手が「あなたの名前で送金手続きをしてしまった。協力しないと違法になる」と脅してくることがあります。日本証券業協会は、名義を貸したことを口実に「違法行為をした」と責め立てて金銭を要求する手口を紹介しています。脅されても支払わず、やり取りを保存して警察に相談してください。

Facebookでは、プロフィールやMessengerのメニューから、なりすましや詐欺としてアカウントを報告できます。報告の前に、プロフィール画面とメッセージを保存しておきましょう。

すでに口座情報を渡した・お金を移してしまった場合

応じてしまったと気づいたら、次の順で動いてください。早く自分から申し出た方が、事情を説明しやすくなります。

  1. 口座のある銀行に連絡する:第三者に口座情報やカードを渡したこと、身に覚えのない入金があることを伝え、利用停止やカードの再発行を相談する
  2. 受け取ったお金をそれ以上動かさない:指示された転送を続けると、被害金の移動に加担する形が重なる
  3. 暗号資産のアカウントを作った場合は交換業者に連絡する:ログイン情報を変更し、第三者に使わせたことを伝える
  4. 警察に相談する:#9110か最寄りの警察署へ。やり取りの記録、入出金の明細、相手のプロフィールを持参する
  5. 弁護士に相談する:自分の法的な立場が心配なら、法テラスなどを通じて早めに弁護士の意見を聞く

相手に「警察に言ったらあなたも捕まる」と言われても、それを理由に相談を先延ばしにしないでください。黙って転送を続ける方が、状況は悪くなりがちです。相手とのトークは、自分に不利に見える部分も含めて消さずに残してください。経緯を正確に説明する材料になります。

自分もお金を出してしまった場合の相談先

口座を貸すよう頼まれる前に、あなた自身が投資金を送っている場合もあります。その場合は被害者として相談できます。

  • まず警察へ:#9110、または最寄りの警察署
  • 契約や支払いの整理:188で消費生活センターへ
  • 投資勧誘の内容について:金融庁の相談ダイヤル0570-050588
  • 弁護士を探す:法テラス0570-078374

振込で支払った分は、振込先口座が凍結されれば振り込め詐欺救済法の分配を受けられる可能性があります。Facebookのプロフィールの確かめ方はFacebookの偽アカウントを報告・ブロックする手順、SNSごとの勧誘の入口を並べた記事として外国人投資家をかたる詐欺の見分け方、相談の流れはご相談の流れで確認できます。

よくある質問

Q. Facebookの海外投資家に口座番号だけ教えました。それだけでも危ないですか。

A. 口座番号だけでも、あなたの口座に被害金を振り込ませる中継に使われるおそれがあります。身に覚えのない入金があれば動かさず、銀行と警察に相談してください。暗証番号やカードを渡した場合は、すぐに利用停止を依頼しましょう。

Q. お礼として受け取ったお金は返すべきですか。

A. 自己判断で相手に送り返したり使ったりせず、そのまま銀行と警察に事情を伝えて指示を受けてください。そのお金が別の被害者のものである可能性があります。

Q. 使っていない口座を譲るだけなら問題ないと言われました。

A. 警察庁は、対価を受け取るかどうかにかかわらず口座の譲渡は犯罪だと周知しています。使わなくなった口座は、金融機関で解約してください。

Q. 相手に「協力しないと違法になる」と言われています。

A. 脅しに応じて支払う必要はありません。やり取りを保存し、#9110や最寄りの警察署に相談してください。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。