家族が占いに依存しているときの接し方|お金を守る方法と相談先

家族が占い師とのやりとりや鑑定にお金をつぎ込んでいるとき、最初にやるべきことは「占いをやめさせる」説得ではありません。いくら、どの方法で、どのくらいの頻度で払っているかを本人と一緒に数字にすることと、本人の意思で新しいお金の出口をふさぐ仕組みを使うことの2つです。

この記事は、親・配偶者・きょうだい・成人した子どもが占いに頼りきりになっていると感じているご家族に向けて書きました。家族が代わりにできることには法律上の限りがあります。その範囲の中で使える制度(貸付自粛制度、消費者契約法による取消し、成年後見制度)と、相談先を順に説明します。内容は2026年9月24日時点で確認した公的機関の情報にもとづいています。

「依存かどうか」より先に、お金の動きをつかむ

国民生活センターは2020年11月の公表資料で、占いサイトやアプリに関する相談が全国の消費生活センター等に年間1,000件以上寄せられ、約8割が女性からの相談だったと報告しています。同じ資料では、無料のつもりで登録した人が「素晴らしい金運を持っている」などと言われてやりとりを重ね、結果が出ないまま高額を支払った事例が紹介されています。銀行振込で約17万円、クレジットカードで約38万円を払ったケースも載っています。

家族の目からは「占いに夢中になっている」としか見えなくても、問題の大きさを決めるのは熱中の度合いではなく、生活費や借入れにまで食い込んでいるかどうかです。話をする前に、家族が把握できる範囲で次の点を確かめておくと、会話が感情論になりにくくなります。

  • 支払いは占いサイト・電話占い・アプリ・対面の占い館のどれか(複数のこともある)
  • 払い方はカード・コンビニ払い・銀行振込・電子マネーのどれか
  • ここ数か月で、支払いの間隔が短くなっていないか
  • 家賃や光熱費、食費の支払いが遅れていないか
  • カードローンや消費者金融からの借入れが増えていないか

本人のスマホや郵便物を無断で開けるのは避けてください。信頼を失うと、その後の話し合いがずっと難しくなります。分かることだけをメモにして、本人と話すときの材料にします。

本人と話すときの準備と、言葉の選び方

占いに頼る背景には、仕事、恋愛、家族、健康、老後などの不安があることが少なくありません。その不安に寄り添ってくれた相手を家族が否定すると、本人は「分かってもらえない」と感じ、支払いを隠すようになりがちです。

話す前に決めておく3つのこと

  1. 話す人を1人か2人に絞る:家族全員で囲むと、本人は責められていると受け取りやすくなります。
  2. その日のゴールを1つにする:「今月いくら払ったかを一緒に確かめる」程度の小さな目標にします。
  3. 時間と場所を選ぶ:鑑定の直後や深夜、他人がいる場所は避け、落ち着いて座れる時間を選びます。

言い換えの例

避けたい言い方置き換えの例
「占いなんて全部インチキだ」「占ってもらって気持ちが楽になった部分もあったんだね」
「騙されているに決まっている」「1回いくらかかっているのか、一緒に計算してみない?」
「もう二度と使うな」「次に払う前に、一度だけ私に声をかけてくれる?」
「なんで黙っていたの」「話してくれてよかった。ここから一緒に考えよう」

占いの中身が当たっているかどうかを議論しても、決着はつきません。話題はお金の総額と、生活への影響に絞るほうが前に進みます。一度で合意できなくても構いません。合計額を本人が自分の目で見たという事実が、後の判断につながることがあります。

家計を守るために家族ができる具体策

契約の当事者は本人なので、家族が本人に代わってカードを止めたり、占い事業者と交渉したりすることは原則としてできません。ただし、本人が納得すれば、次のような手を一緒に打てます。

本人の同意があればできること

  • カード会社の利用通知(アプリやメール)を本人がオンにし、支払いのたびに気づけるようにする
  • カードの利用限度額を下げる相談を、本人からカード会社にしてもらう
  • 生活費の口座と自由に使うお金の口座を分け、生活費の口座にはカードやスマホ決済をひもづけない
  • 占いに使う上限額を月単位で本人が決め、紙に書いて見える場所に置く

借入れで払っているなら「貸付自粛制度」

日本貸金業協会の貸付自粛制度は、浪費の習癖などを理由に、本人が「自分への新たな貸付けをしないでほしい」と申告する仕組みです。協会の説明によると、申告内容は個人信用情報機関(JICC、CIC、全国銀行個人信用情報センター)に登録され、加盟会員が照会したときに提供されます。登録期間は5年以内で、登録から3か月間は撤回できません。手数料はかかりません。

注意したいのは、申告できるのは原則として本人だけという点です。家族や配偶者は原則として手続きできず(未成年者の親権者や成年後見人などの法定代理人は例外)、協会は本人の同意なく家族がなりすまして申し込むと犯罪に当たる可能性があると明記しています。また、照会の状況や登録前からの契約によっては貸付けが止まらない場合もあると書かれています。2026年9月時点では、システム変更に伴う申告手続きの休止期間が案内されているため、使う前に協会のページで受付状況を確かめてください。

家族のお金で穴埋めしない

本人に頼まれて家族が支払いを肩代わりすると、占い師とのやりとりが続く資金になってしまうことがあります。生活に必要な支払い(家賃や公共料金など)を家族が直接払う形にとどめ、現金を渡すのは控えるほうが安全です。

契約を取り消せる可能性があるケース

すでに払ったお金については、消費者契約法の取消しが使えるかどうかが一つの分かれ目になります。家族が知っておくと、相談の場で話が早く進みます。

霊感などを持ち出して不安をあおられた場合

消費者契約法第4条第3項第8号は、霊感その他の合理的に実証することが難しい特別な能力による知見だとして、本人やその親族の生命・身体・財産などに重大な不利益が生じるという不安をあおり、契約が必要不可欠だと告げて結ばせた契約を、取り消せるものとしています。「このままだと家族に不幸が起きる」「ご主人の病気を防ぐには祈祷が要る」といった言葉が典型です。この号による取消権は、追認できる時から3年、契約から10年で消えます(同法第7条)。

判断力の低下につけこまれた場合

同じ第4条第3項第7号は、加齢や心身の故障で判断力が著しく低下している消費者の、生活の維持への過大な不安をあおって契約させた場合を取消しの対象にしています。高齢の親が「老後のお金が増える」と言われて鑑定を重ねているようなケースでは、この規定が検討されることがあります。

明らかに多すぎる量や回数を契約させられた場合

第4条第4項は、分量・回数・期間が本人にとって通常想定される量を著しく超えると事業者が知りながら勧誘した契約を、取り消せるとしています(過量契約)。霊感の号以外の取消権は、追認できる時から1年、契約から5年が期限です。

どの規定に当たるかは、やりとりの内容や支払いの経緯で変わります。家族が結論を出す必要はありません。言われた言葉と日付、支払額をそろえて、消費生活センターや弁護士に見てもらうのが確実です。記録の残し方は証拠の残し方にまとめています。

判断力の低下が心配なときに使える制度

高齢の親や、病気・障害のある家族が占いに多額を払い続けている場合、家族の説得だけでは限界があります。厚生労働省の「成年後見はやわかり」では、ひとりで決めることに不安のある人が、不利益な契約だと分からないまま契約して悪質商法の被害にあうおそれがあるとして、成年後見制度を案内しています。

制度しくみ(厚生労働省の説明から)
任意後見本人が元気なうちに自分で選んだ人と契約し、将来、判断が心配になったときに代わりにしてほしいことを決めておく
法定後見(補助)重要な手続き・契約の中で、ひとりで決めることに心配がある人が対象
法定後見(保佐)重要な手続き・契約などを、ひとりで決めることが心配な人が対象
法定後見(後見)多くの手続き・契約などを、ひとりで決めることが難しい人が対象

法定後見では家庭裁判所が成年後見人等を選びます。申立てには書類の準備や費用がかかり、本人の生活全体に関わる制度なので、占いの支払いを止めることだけを目的に急いで決めるものではありません。ただ、判断力の低下が支払いの背景にあると感じるなら、選択肢として知っておく価値はあります。手続きの流れは同サイトの「法定後見制度とは」「任意後見制度とは」で確認できます。

相談先と、家族が先にそろえておくもの

家族だけで抱え込まず、外の窓口を早めに使ってください。家族からの相談にも応じている窓口が多いものの、手続きを進める段階では本人の意思確認が必要になることが多いので、できれば本人と一緒に連絡します。

  • 消費者ホットライン188:最寄りの消費生活センター等につながります。支払いの経緯を整理し、事業者への連絡方法を助言してもらえます。使い方は188の使い方を参照してください。
  • 警察相談専用電話 #9110:脅すような連絡が来ている、お金をだまし取られたと感じるとき。危険が差し迫っていれば110番です。
  • 弁護士・法テラス:支払額が大きく、取消しや返還請求の見通しを知りたいとき。

そろえておくもの

  • 占いサービスの名前、URLまたは店舗名、占い師として名乗っている名前
  • 支払いの一覧(日付・金額・支払方法)と、明細や振込控え
  • 本人が言われた言葉のうち、不安をあおられたと感じたもの(日付つき)
  • 借入れがある場合は、借入先と残高

占い全般の窓口の違いは占い詐欺の公的相談先で比べています。対面の占い館で鑑定が高額になっているなら、店舗取引ならではの注意点を占い館の継続鑑定が高額になるケースにまとめました。

家族が消耗しないために:編集部の考え

編集部の考えとしては、家族の役割は「占いをやめさせる監督役」ではなく、「お金の状況を一緒に見て、外の窓口につなぐ伴走役」だと思います。監督役になると、本人は隠し、家族は疑い、関係そのものが傷みます。

支えている家族自身が疲れ切ってしまうことも少なくありません。本人が話し合いを拒むときは、家族だけで188に電話し、今の状況で何ができるかを聞くだけでも構いません。借入れや生活費の不足が深刻なら、占いの問題と切り分けて、家計や債務の相談先を先に使う判断もあります。

本人が「もうやめたい」と言ったときに、すぐ動ける準備(支払いの一覧、相談先の電話番号、そばにいる人)を整えておくこと。それが家族にできる、いちばん現実的な備えです。

よくある質問

Q. 家族が本人のカードを勝手に止めてもいいですか?

A. カードの名義人は本人なので、利用停止や限度額の変更は原則として本人がカード会社に申し出ます。家族が無断で手続きすると、後で本人との関係がこじれるおそれもあります。本人の同意を得たうえで、一緒に手続きするのが基本です。

Q. 貸付自粛制度は家族が代わりに申し込めますか?

A. 日本貸金業協会によると、申告できるのは原則として本人のみで、家族や配偶者による手続きは原則できません。未成年者の親権者や成年後見人などの法定代理人は例外です。本人の同意なくなりすますと犯罪に当たる可能性があると協会は注意しています。

Q. 占い師に「家族に不幸が起きる」と言われてお金を払ったようです。取り戻せますか?

A. 霊感などによる知見として、本人や親族に重大な不利益が生じるという不安をあおって結ばせた契約は、消費者契約法第4条第3項第8号で取り消せる場合があります。この取消権は、追認できる時から3年以内、契約の時から10年以内に使う必要があります。返金を保証するものではないため、言われた言葉と支払記録をそろえて188や弁護士に相談してください。

Q. 本人が話し合いに応じません。家族だけで相談してもいいですか?

A. 家族からの相談にも応じている窓口は多いので、まず消費者ホットライン188で状況を伝え、今の段階で家族にできることを聞いてみてください。手続きを進める段階では本人の意思確認が必要になることが多いので、その準備としても役立ちます。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。