Xで病院・保健所を名乗るDMが来たら|偽アカウントの見分け方と押した後の対処

X(旧Twitter)で病院・献血センター・保健所・厚生労働省などの名前を使ったアカウントから、DMや返信で「保険証が不正に使われています」「医療費の払い戻しがあります」と連絡が来たら、返信もリンクの操作もいったん止めて、その医療機関や役所の公式サイトに載っている電話番号へ自分から確かめてください。公的機関は、電話で個人情報を聞き出したり、ATMの操作を指示したりはしないと公表しています。DMで支払いを頼むことも、まず考えにくい連絡手段です。

この記事は、Xで医療機関名のアカウントから連絡を受けた人、投稿や返信に貼られたリンクを開いてしまった人に向けたものです。Instagram・Facebookなども含めたSNS全体の比較はSNSで医療機関をかたる詐欺の手口の記事にまとめてあるので、ここではXに絞り、アカウントの確かめ方と入力してしまった情報ごとの止め方を中心に書きます。

Xで医療機関や保健所の名前が使われるときの形

公的機関や医療機関自身が公表している注意喚起を並べると、Xが関わる場面はおおむね次の3つに分けられます。

1. 実在の医療機関をまねたアカウントからのDM

東京都赤十字血液センターは2025年6月11日、同センターを装ったXのなりすましアカウントが複数見つかったと告知しました。告知では、センターから個人あてにメッセージを送ることはないとして、不審なメッセージは無視するよう呼びかけています。ロゴや名称をそのまま借りたアカウントでも、中身は別人という可能性があるわけです。

2. 電話で始まり、SNSや通話アプリに移される流れ

厚生労働省の関東信越厚生局は、自動音声で「これが最終通告です。1を押してください」と案内し、オペレーターにつないで「保険証が不正利用されている」「遠くの医療機関で薬が処方されている」と伝える電話を紹介しています。この型では、途中で警察官役が出てきて被害届の話を持ち出したり、LINEなどの通話アプリへ切り替えさせたりする点が特徴とされています。Xで電話番号を調べた人に「相談窓口」を名乗るアカウントが近づくことも考えられるので、どの段階でもX上の相手を窓口にしないことが大切です。

3. 保険料の未納や還付をうたうリンク

フィッシング対策協議会は2026年4月13日、「国民健康保険料差額(未納分)のお知らせ(催告)」といった件名のメールから、PayPayでの送金に誘導する事例を緊急情報として出しました。正規の決済サービスのURLが悪用されていたため、URLだけでは見抜きにくい点が注意されています。同じ文面がDMや返信で届いた場合も、見るべき点は変わりません。

警察庁が2026年に公表した令和7年の確定値を見ると、SNS型投資詐欺のうちX(Twitter)がきっかけだったものは815件で、1年で倍近くになっています。医療機関の名前を使う連絡だけの数字ではありませんが、Xが詐欺の入口として使われる場面が増えていることは読み取れます。総務省などの発表によると、2026年8月7日には7府省庁がX Corp.を含む5社に、著名人になりすました詐欺広告への対策を強めるよう求めました。運営側の対策が進むまでのあいだは、利用者側の確認がいっそう大切になります。

本物のアカウントかどうかを確かめる手順

プロフィールのロゴや名前は、だれでも簡単にまねできます。見た目で判断せず、次の順番で「公式の側から」たどってください。

  1. 公式サイトから入り直す。病院名や保健所の名前で検索し、公式サイト(自治体の保健所なら自治体のサイト)を開きます。サイト内に載っているXへのリンクから開いたアカウントと、DMを送ってきたアカウントが同じかを見比べます。
  2. @から始まるユーザー名を一文字ずつ比べる。数字の0と英字のO、小文字のlと大文字のIのような置き換えや、末尾に「_jp」「official」を足しただけの名前はよく使われます。
  3. チェックマークの色を過信しない。Xの説明では、青いマークは有料サービスの加入者、金色は認証を受けた組織、グレーは政府機関などに付くとされています。青いマークは料金を払えば付くことがあるため、医療機関本人である証明にはなりません。
  4. 作られた時期と投稿の中身を見る。開設したばかりで投稿がほとんどない、フォロワーが極端に少ない、診療案内ではなくキャンペーンや給付の話ばかり、という場合は慎重に。
  5. 電話は自分からかける。DMやプロフィールに書かれた番号ではなく、公式サイトや診察券、自治体の広報紙に載っている代表番号にかけ、「このアカウントから連絡が来た」と伝えて確認します。

確認を待っているあいだに「今日中に手続きしないと保険証が使えなくなる」などと急かされても、応じる必要はありません。期限で焦らせるのは、警察庁が還付金詐欺の特徴として挙げている手口でもあります。

医療機関や役所が「XのDMで頼まないこと」

公的機関が公表している内容と照らし合わせると、次のような依頼がDMや電話で来た時点で、相手を疑ってよい状態です。

こう頼まれたら公表されている内容取る行動
ATMへ行って電話をつないだまま操作して還付金をATMで受け取る仕組みはないと、警察庁の特殊詐欺対策ページが明記しています電話を切り、ATMへは行かない
氏名・生年月日・口座番号を教えて厚生労働省は、職員が電話で個人情報を問い合わせることはないと説明しています答えずに終わらせる
保険料の未納分をこのリンクから払って厚生労働省は、職員が金銭の振込を依頼することはないとしていますリンクは開かず、市区町村の担当課に確認
LINEやスカイプに移って話そう厚生局は、通話アプリへの切り替えを指示された事例を注意喚起で紹介しています移らずにやり取りを保存する
家族にも言わないで(守秘義務)同じく、家族への相談を止める言い方が事例に含まれていますかえって家族や窓口に話す

病院が予約変更や検査結果の件で患者に連絡すること自体はありますが、その場合も診察券に書かれた番号など、患者がすでに知っている経路で確かめられます。X上だけで完結する話には乗らないでください。

リンクを押した・入力した後にやること(入力した情報別)

リンクを開いてしまっても、何を入力したかで次の動きが決まります。まず画面を閉じる前にURLと入力画面をスクリーンショットで残し、そのうえで該当する項目から手を付けてください。証拠の残し方は証拠保全のページで詳しく説明しています。

何も入力していない

ページを閉じ、DMの画面を保存してから相手をブロックし、Xに報告します。念のため端末のOSとブラウザを最新にしておきましょう。

Xや他サービスのID・パスワード

そのパスワードを使っているすべてのサービスでパスワードを変え、二段階認証を有効にします。Xのアカウントを乗っ取られると、知人にも同じDMが送られるおそれがあるため、先に知人へ「自分の名前でリンクが届いても開かないで」と伝えておくと広がりにくくなります。

カードの番号や裏面の3桁の数字

カードの裏に書かれた問い合わせ先へ電話し、利用停止と再発行を申し出ます。身に覚えのない請求が出た場合の扱いはカード会社の規約によるため、補償の対象になるかどうかはその場で確認してください。

銀行口座やネットバンキングの情報

口座のある銀行の不正利用窓口に連絡し、ログインの停止や取引の確認を頼みます。お金を移してしまったなら、受け取った側の銀行にも知らせましょう。相手の口座が不正に使われていると銀行が判断すれば、口座が止められ、残高を被害者で分ける振り込め詐欺救済法の手続きに進む場合があります。

スマホ決済で送金した

前述のPayPayを使った事例で、フィッシング対策協議会は「支払った金額はPayPayから補償されません」と注意しています。取り戻しが難しいことを前提に、決済事業者と警察へ早めに届け出て、送金履歴の画面を保存しておきましょう。

SMSで届いた認証コードを伝えた

携帯電話会社に連絡し、回線やアカウントの不正利用がないか確認します。コードを教えた相手が何のサービスにログインしたかは分からないので、キャリア決済の利用明細もあわせて見ておきます。

報告先と相談先、連絡する前にまとめておくこと

被害が出ていなくても、報告しておくと同じアカウントによる被害を減らす手がかりになります。

  • X:アカウントのプロフィールにある「…」メニューから報告し、なりすましを選びます。
  • 名前を使われた医療機関・自治体:公式の問い合わせ窓口に、アカウント名と届いた内容を知らせます。本物の側が注意喚起を出すきっかけになります。
  • フィッシング対策協議会:偽サイトのURLを [email protected] へ報告します。
  • 地方厚生局:厚生労働省や厚生局をかたる不審電話は、関東信越厚生局などが情報提供フォームを設けています。
  • 警察:お金や個人情報を渡してしまったときは最寄りの警察署へ。迷っている段階なら警察相談専用電話 #9110 が使えます。
  • 消費者ホットライン:3桁の188を押せば、お住まいの市区町村や都道府県の相談窓口へ回してもらえます。

相談の前に、①相手のユーザー名とプロフィール画面、②DMや返信のやり取り全体、③開いたURL、④入力した情報の種類、⑤支払った日時・金額・方法をメモにしておくと、説明が短く済みます。何から手を付けるか迷うときは被害直後のチェックリストを上から順に確認してください。

高齢の家族にXの注意を伝えるときのコツ

Xをあまり使わない家族でも、電話で始まった話の途中で「このアカウントを見て」と案内されることがあります。細かい見分け方を覚えてもらうより、決まりごとを一つだけ共有するほうが守られやすい傾向があります。

  • 「病院・役所・保健所からお金や番号の話が来たら、切ってから家族に電話する」を合言葉にする
  • かかりつけの病院と市区町村の代表番号を、スマホの連絡先に正しい名前で登録しておく
  • 知らない番号からの電話は留守番電話にし、あとで聞き直す
  • ATMの1日あたりの振込限度額を低めにしておく(警察庁も対策として挙げています)

本人が不安そうにしているときは、責める言い方を避けて「確認してから動こう」と一緒に番号を調べるだけでも十分です。相談窓口への連絡を代わりにするのも一つの方法です。

よくある質問

Q. Xで病院のロゴと名前のアカウントからDMが来ました。本物でしょうか?

A. 見た目だけでは判断できません。病院の公式サイトに載っているXへのリンクから開いたアカウントと同じかを比べ、疑わしければ公式サイトの代表番号に電話して確認してください。東京都赤十字血液センターのように、個人あてにメッセージを送らないと公表している医療機関もあります。

Q. 「保険証が不正利用されている」という電話のあと、Xのアカウントに連絡するよう言われました。

A. 厚生労働省や地方厚生局は、職員が電話で個人情報を尋ねたり、通話アプリへ移るよう指示したりはしないと説明しています。案内されたアカウントには連絡せず、市区町村の担当課か #9110 に相談してください。

Q. リンクを開いただけで、何も入力していません。被害はありますか?

A. 入力していなければ、情報が取られた可能性は低いと考えられます。画面を保存したうえでページを閉じ、アカウントをブロックして報告し、端末とブラウザを最新にしておいてください。不安が残る場合は 188 や #9110 に相談できます。

Q. なりすましアカウントを見つけました。病院に知らせたほうがいいですか?

A. 知らせるのが望ましいです。公式の問い合わせ窓口にアカウント名と届いた内容を伝えると、病院側が注意喚起を出したりXに報告したりするきっかけになります。あわせて自分でもXに報告しておきましょう。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。