情報商材の副業を電話で勧誘された|高額サポート契約の解除と借金の指示

数千円のマニュアルを買った、あるいは副業の資料を請求しただけなのに、その後の電話で「本気で稼ぐならサポートが必要」と数十万円以上の契約を勧められた。この記事はそうした方に向けて書いています。

ポイントは三つです。一つ目は、契約の形によってクーリング・オフの期間が違うこと(電話勧誘販売なら8日、「仕事を紹介するので稼げる」と誘われた業務提供誘引販売なら20日)。二つ目は、消費者金融で借りるよう指示されても応じないこと。借りたお金を返す義務は、借りた本人に残ります。三つ目は、電話の内容を記録し、早めに消費生活センター(188)へ相談することです。

安い教材の後に電話がかかってくる:国民生活センターが示す流れ

国民生活センターは情報商材について、ネット通販などで「副業や投資で高収入を得るノウハウ」と称して売られる情報だと説明したうえで、情報商材そのものより、それをきっかけに電話やWeb会議で高額な副業コンサルティングやサポート契約を勧められる相談が目立つとしています(2026年7月31日更新の相談傾向ページ)。

2023年10月の注意喚起には、アフィリエイトで稼げるという広告を見て約3,000円のマニュアルを買ったところ、事業者から電話で「有料プランに入らないと稼げない」と言われ、約60万円のプランを契約した20歳代の相談が載っています。指示どおりにブログを作って記事を書き続けても収入は得られず、事業者とも連絡が取れなくなったという内容です。

電話で使われやすい言い回し

  • 「すぐに元が取れる」「サポート費用は稼いだ分から払えばいい」
  • 「今日中に決めれば枠を確保できる」
  • 「手続きの説明のため、画面を共有してほしい」

こうした言葉が出てきたら、その場で申し込まずに電話を終え、書面で条件を確認してから考えるようにしましょう。

電話勧誘販売か業務提供誘引販売か:クーリング・オフの期間が違う

同じ「電話で勧誘された副業の契約」でも、特定商取引法のどの取引類型に当たるかで、使えるルールが変わります。

取引類型当たりうる場面クーリング・オフ
電話勧誘販売事業者から電話があり、その勧誘でサポート契約や教材の購入を申し込んだ書面受領から8日(第24条)
業務提供誘引販売取引「この講座を受ければ記事作成の仕事を回す」など、仕事を提供して収入が得られると誘われ、そのための費用を払った書面受領から20日(第58条)
通信販売ネット上で自分でマニュアルを買っただけ制度なし(返品特約の表示に従う)

業務提供誘引販売取引は、消費者庁の説明では「仕事を提供するので収入が得られる」と誘って、その仕事に必要だとして商品やサービスを売り、お金を負担させる取引です。例として、販売されたパソコンとソフトでホームページを作る在宅ワークや、研修を受けて身につけた技能で行う入力作業などが挙げられています。

Web会議での勧誘や「事業者どうしの取引」という説明

最近はZoomなどのWeb会議で説明を受けるケースも多く、その場合にどの類型に当たるかは経緯によって判断が分かれます。また、事業者から「副業は事業なので特定商取引法の対象外」と言われることもありますが、そう言われたからといって必ず対象外になるわけではありません。判断に迷う点は、契約書面を持って消費生活センターで確認してもらうのが確実です。

届いた書面で確認したい項目

クーリング・オフの期間は、法律で決められた書面を受け取った日から数えます。書面が届いたら、次の点を確かめてください。

  • 事業者の名称、住所、電話番号、法人なら代表者の氏名
  • 契約を担当した人の氏名、契約の年月日
  • サポートの内容、代金の総額、支払時期と方法
  • クーリング・オフに関する事項が赤枠の中に赤字で書かれているか
  • 文字や数字の大きさが8ポイント以上か

業務提供誘引販売取引の場合は、契約前に「概要書面」、契約後に「契約書面」を渡す義務があり、提供される仕事の条件や、支払う費用(特定負担)の内容も記載事項になっています。PDFやチャットで送られてきた文面しかない、事業者名が書かれていない、といった場合は、そのまま保存して相談時に見せましょう。記載に不備があれば、決められた期間を過ぎてもクーリング・オフできる場合があります。

「消費者金融で借りればすぐ返せる」と言われたとき

国民生活センターは2026年5月20日、副業サポートや投資の名目で、複数の貸金業者から短期間に次々と借り入れさせる手口が目立つとして注意を呼びかけました。発表では、ネット広告から登録した業者にアフィリエイトのサポートコースを勧められ、画面共有アプリを入れて業者と画面を見ながら、その日のうちに合計450万円を借り入れた相談が紹介されています。20歳代以下の若い世代からの相談が多いとされています。

同センターのアドバイス

  • 「簡単に稼げる」「すぐに元が取れる」という言葉をうのみにせず、借金をしてまで契約しない
  • 業者から借入れの申込みで虚偽の申告をするよう言われても、絶対に従わない
  • 遠隔操作アプリを入れたり、業者と画面を共有したりしない

業者に「すぐに返せる」と言われて借りた場合でも、その返済義務は借りた本人が負う、と発表ははっきり書いています。

電話での指示が借金と送金に直結した例

同センターが2026年5月19日に公表した「簡単なタスクで稼げる」副業の注意喚起にも、電話が転機になった相談が載っています。スキマ時間の副業を探してメッセージアプリに登録した30歳代の女性が、相手と電話で話すうちに遠隔操作アプリを入れさせられ、消費者金融4社へ申し込むよう求められたという内容です。「後で返金する」と言われて応じ、借りたお金を暗号資産に換えて送金しましたが、契約書はなく、相手の連絡先もメッセージアプリのアカウントだけでした。電話で指示を受けながらだと考える時間を持てない、というのがこの手口の怖さです。お金や借入れの話が出た時点で電話を切ると決めておきましょう。

これ以上借りないための制度

日本貸金業協会の「貸付自粛制度」は、本人の申告で新たな借入れを制限するための仕組みです。申告内容は個人信用情報機関に登録され、登録期間は5年以内(登録から3か月は撤回できません)、登録手数料はかかりません。借りてしまった後の返済についても、同協会が設けている相談窓口(電話0570-051-051、受付は9時から17時)で話を聞いてもらえます。

解約と返金を求める進め方

  1. 日付を確定させる:契約した日、書面を受け取った日を書面やメールの記録で確認し、8日または20日の期限を数える
  2. 期間内ならクーリング・オフを通知する:書面(はがき可)か電子メール等で、契約を特定できる情報と解除の意思を伝える。送った記録を残す
  3. クレジットで払った場合はカード会社にも通知する:クーリング・オフはクレジット会社にも同時に知らせる
  4. 期間を過ぎていたら取消しを検討する:勧誘の際に事実と違う説明を受けて誤解した場合は、電話勧誘販売なら第24条の3、業務提供誘引販売なら第58条の2の取消しが使える場合がある

分割払いやリボ払いにしている場合は、割賦販売法の「抗弁の接続」によって、事業者に主張できる事情をカード会社への支払いについても主張できる場合があります(業務提供誘引販売取引の書面にも、この事項の記載が求められています)。使えるかどうかは支払い方法や契約内容によるため、カード会社と消費生活センターに確認してください。

事業者が「クーリング・オフはできない」と言い張ったり脅したりして手続きを妨げた場合は、期間が過ぎていてもクーリング・オフできます。やりとりは電話だけで済ませず、メールなど文字で残る形に切り替えていきましょう。

電話のやりとりで残す記録と相談先

電話勧誘は言った・言わないになりやすいため、次のものをそろえておくと相談がスムーズです。

  • 着信履歴(日時と電話番号)と、通話ごとのメモ(誰が、何を約束したか)
  • Web会議の招待メール、会議の日時、画面共有をさせられたかどうか
  • 最初に買った教材の購入履歴と、広告や販売ページの画面
  • 契約書面、サポートの規約、振込やカード決済の控え、借入れの契約書

通話ごとのメモの例

項目書き方の例
日時・番号〇月〇日 19時10分〜20時05分、着信番号
相手名乗った会社名と担当者名(言わなかった場合は「名乗らず」)
勧められた内容サポートの名前、金額、支払い方法、分割の回数
約束された言葉「月〇万円は確実」「すぐ元が取れる」など、なるべく言われたまま
自分の返答断ったか、検討すると言ったか、申し込んだか

相談先は、消費者ホットライン188、脅しや連絡の途絶など犯罪が疑われる場合は警察相談専用電話#9110です。LINEをきっかけにした副業勧誘についてはLINE副業トラブルのまとめ、勧誘の入口ごとの見分け方は情報商材の副業勧誘を見抜く方法にまとめています。記録の整え方は証拠の残し方を、個別の相談は相談予約をご利用ください。

よくある質問

Q. 電話で勧誘された情報商材のサポート契約は、クーリング・オフできますか?

A. 事業者からの電話がきっかけで申し込んだ場合は電話勧誘販売として期限は8日、仕事を提供して収入が得られると誘われた契約は業務提供誘引販売取引として20日です。起算日はいずれも、法律で定められた書面を受け取った日になります。

Q. 最初のマニュアルは自分でネットから買いました。その後の電話で結んだ契約も対象外ですか?

A. 最初のマニュアルは通信販売でも、後から電話で勧誘されて結んだサポート契約は、別の取引として電話勧誘販売などに当たる可能性があります。契約ごとに経緯を分けて整理し、消費生活センターで確認してください。

Q. 業者の指示で消費者金融から借りて払いました。返済しなくてよいのですか?

A. 国民生活センターは、業者に「すぐ返せる」と言われて借りた場合でも返済義務は借りた本人が負うとしています。返済の見通しが立たない場合は、日本貸金業協会の相談窓口や消費生活センターに早めに相談してください。

Q. 「この契約はクーリング・オフできない」と言われました。

A. 事業者が事実と違うことを言ったり威迫したりしてクーリング・オフを妨げた場合は、期間を過ぎてもクーリング・オフできるとされています。言われた日時と内容を記録し、消費生活センターに相談してください。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。