弁護士への法律相談の準備と当日の流れ|詐欺被害で持っていく資料と質問

弁護士に相談すると決めたものの、何を持っていけばいいのか、限られた時間で何を話せばいいのかが分からず、予約をためらっている人もいるはずです。この記事は、詐欺被害について初めて弁護士の法律相談を受ける人が、準備から当日、相談後までを具体的にイメージできるようにまとめたものです。

最初に押さえておきたいのは、弁護士会の法律相談センターの相談時間がおおむね30分とされていることです。30分は、経緯を一から話し始めると半分以上が過ぎてしまう長さです。相談の中身は、事前の準備でほとんど決まると考えてください。

また、相談したからといって、その弁護士に依頼しなければならないわけではありません。見通しを聞いたうえで、依頼するか、ほかの方法を選ぶかを自分で決めてよいのです。

相談先の種類と、時間・費用の目安

相談先時間・費用の目安確認しておくこと
弁護士会の法律相談センターおおむね30分、相談料は5,500円前後(地域や内容で異なる)日弁連の電話窓口「ひまわりお悩み110番」の番号は0570-783-110。ネット予約「ひまわり相談ネット」もある
法テラスの無料法律相談無料。1つの問題につき3回まで収入と資産が一定の基準以下であることなどが条件。原則として予約制
個別の法律事務所事務所ごとに異なる初回無料をうたう場合も、時間の上限や対象となる相談内容を確認する

日本弁護士連合会の案内によると、弁護士会の法律相談センターは全国約300か所で法律相談を行っています。法テラスは、民事・家事・行政に関する相談が対象で、刑事事件に関する相談には無料法律相談を利用できないと明記しています。相手を告訴したいといった刑事手続きの相談は、弁護士会の相談窓口などを使うことになります。

市区町村が住民向けに無料の法律相談を開いている場合もあります。時間が短めで、継続した対応は難しいことが多いものの、最初の見通しを聞く場としては役に立ちます。

予約のときに伝えること

電話やウェブで予約する際には、次の情報を聞かれることが多いので、手元にメモを用意してから連絡しましょう。

  • 相手の名前や会社名:法テラスは、相談を担当する弁護士がすでに相手方やその関係者から相談・依頼を受けている場合、利害が対立するため相談を受けられない(利益相反)と説明しています。相手の名称を伝えるのは、このチェックのためです。
  • 被害の概要:いつ、どんな経路で、いくらを、どの方法で支払ったか。1〜2文で言えるようにしておきます。
  • 急ぐ事情:振込から日が浅い、追加の支払いを迫られている、書面を受け取ってから日が浅いなど、期限に関わる事情があれば必ず伝えます。

本人が高齢などの理由で窓口に行けず、家族が代わりに相談したい場合もあるでしょう。法テラスは、相談前に口頭で本人の意思を確認できれば代理での相談が可能とし、それが難しい場合は委任状を持参すれば代理で相談を受けられる場合がある、と案内しています。ほかの相談先でも、家族が相談できるかは予約の段階で確認しておくと安心です。

相談の方法も確かめておきましょう。法テラスの案内によると、対面だけでなく電話やオンラインで相談を行っているところもあり、高齢や障がいなどで相談場所に行くのが難しい場合は、自宅や入院先で相談できることもあります。実施の有無は地域によって異なるため、予約の電話で聞いておくと確実です。

持っていく資料と、並べ方

法テラスは、相談時間が限られているため、事前に相談内容を整理した手控えのメモがあると便利だと案内しています。詐欺被害の相談なら、次の順で資料をまとめておくと、弁護士が短時間で全体をつかみやすくなります。

  1. 1枚目:要約メモ(被害の概要、合計金額、相談したいこと)
  2. 時系列メモ(知り合ったきっかけから現在まで)
  3. 支払いの記録(取引明細、カードの利用明細、電子マネーのレシート)
  4. 相手とのやり取り(メッセージの画面や書き出したファイル)
  5. 相手に関する情報(名乗った名前、会社名、電話番号、サイトのURL、振込先の名義)
  6. 契約書類や利用規約(あれば)
  7. ほかの窓口に相談した記録(警察に届け出た日や担当者、消費生活センターの相談日)

1枚目の要約メモは、たとえば次のような短さで十分です。

「○年○月、SNSの広告から投資の勧誘を受け、○回にわたり合計○○円を振り込みました。出金しようとしたところ手数料を求められ、その後連絡が取れません。取り戻す方法があるか、相手を特定できるかを相談したいです」

最初にこれを渡せば、弁護士は残りの資料を読む前に全体像をつかめます。資料は時間順にそろえ、付箋や番号で「何の資料か」が分かるようにしておきます。スマートフォンの中にしかない記録は、重要な画面だけでも印刷しておくと説明が楽になります。画面や明細の集め方は、証拠の残し方のページにまとめています。

30分で聞き漏らさないための質問メモ

話を聞いているうちに時間がたち、肝心なことを聞き忘れるのはよくあることです。聞きたいことを事前に書き出し、優先順位の高いものから尋ねましょう。

  • 支払ったお金を取り戻す手段として、どんな方法が考えられるか
  • それぞれの方法で、回収できる見込みはどの程度か
  • 相手の身元が分からない場合、特定できる手段はあるか
  • 期限の迫っている手続きはあるか
  • 依頼した場合の費用の内訳と、回収額より費用が上回るおそれ
  • 依頼しない場合、自分で進められることは何か
  • 今やってはいけないこと(相手への連絡、追加の支払いなど)

答えを聞いたら、その場でメモを取ります。相談の内容を後から家族に説明したり、別の弁護士の意見と比べたりするときに役立ちます。相談のタイミングそのものに迷っている場合は、期限から逆算する相談の目安もあわせて読んでみてください。

当日の流れと、相談が終わった後

法テラスの無料法律相談では、相談の前に「援助申込書」を記入する必要があり、通常は相談開始の10分前までに来所するよう案内されています。ほかの相談先でも受付で書類の記入を求められることがあるので、時間に余裕を持って到着しましょう。

相談が終わった後の選択肢は、大きく分けて三つです。

  1. その弁護士に依頼する:費用の見積もりと、進め方の説明を受けてから決めます。依頼するときは委任契約の書面を受け取り、内容を確かめましょう。
  2. ほかの弁護士の意見も聞く:法テラスは、相談した弁護士に必ず依頼しなければならないわけではなく、3回の範囲内なら別の弁護士・司法書士に相談することもできると説明しています。
  3. 依頼せずに別の方法を選ぶ:振り込め詐欺救済法の手続きや、消費生活センターへの相談など、費用のかからない方法を選ぶ判断もありえます。

依頼先の弁護士が実在するかを確かめたい場合は、日本弁護士連合会のウェブサイトにある弁護士の検索で、氏名や所属弁護士会を照らし合わせる方法があります。

弁護士法72条と、「返金代行」をうたう業者

詐欺被害にあった人のもとには、「被害金を取り戻します」とうたう業者の広告や連絡が届くことがあります。弁護士への相談とこうした業者への依頼は、法律上まったく別のものです。

弁護士法72条によれば、報酬を目的として、法律上の争いごとで本人の代理を務めたり、和解をまとめたりといった法律事務を仕事として扱えるのは、原則として弁護士か弁護士法人だけです。そうした仕事の仲介を業とすることも、同じ条文で禁じられています。つまり、弁護士でない業者が報酬を受け取って相手と返金の交渉を代わりに行うことは、この規定に触れるおそれがあります。弁護士でない者が法律事務所と表示することも、第74条で禁じられています。

国民生活センターも、トラブルの解決をうたう探偵業者について、依頼は慎重に検討するよう注意を呼びかけています。依頼先を選ぶときは、次の点を確かめましょう。

  • 弁護士の氏名、所属弁護士会、登録番号が示されているか
  • 「弁護士と提携」とだけ書かれ、実際に対応するのが弁護士でない担当者になっていないか
  • 費用の説明が書面で示されるか

判断に迷ったら、契約する前に消費生活センター(188番)や弁護士会の法律相談センターに相談してください。相談前の記録の整理にはチェックリストも使えます。

よくある質問

Q. 弁護士に相談したら、そのまま依頼しなければいけませんか?

A. 依頼する義務はありません。法テラスも、相談した弁護士に必ず依頼しなければならないわけではないと説明しています。見通しと費用を聞いたうえで、依頼するか、別の方法を選ぶかを決めてかまいません。

Q. 詐欺の相手を告訴したい場合、法テラスの無料法律相談は使えますか?

A. 法テラスの無料法律相談は民事・家事・行政の問題が対象で、刑事事件に関する相談には利用できないと案内されています。告訴などの相談は、弁護士会の法律相談センターなどを利用してください。

Q. 高齢の親の代わりに、家族が弁護士に相談できますか?

A. 相談先によって扱いが異なります。法テラスでは、相談前に口頭で本人の意思を確認できれば代理で相談でき、難しい場合は委任状の持参で対応できる場合があるとしています。ほかの窓口では、予約の際に確認してください。

Q. 相談時間が30分では足りない気がします。

A. 事前に要約メモと時系列メモを用意し、聞きたいことに優先順位をつけておくと、30分でも要点を押さえられます。1回で終わらなかった場合、法テラスの無料法律相談なら同じ問題について3回まで利用できます。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。