法テラスの無料法律相談の条件|詐欺被害で使える収入・資産の目安

最初に結論をお伝えします。法テラス(日本司法支援センター)の無料法律相談は、単身なら手取り月収18万2,000円以下(東京23区や大阪市などは20万200円以下)、現金と預貯金の合計が180万円以下であれば対象になる可能性があります。2026年3月現在の法テラスの資料に載っている基準です。

詐欺で払ったお金を返してほしいという民事の相談は対象に入りますが、犯人を処罰してほしいという刑事の手続きは対象外です。この記事は、詐欺や悪質な勧誘でお金を失い、弁護士に相談したいけれど相談料が心配な方に向けて、自分が条件に当てはまるかを自宅で確かめられるように整理しました。世帯人数ごとの金額表、家族がいる場合の数え方、基準を超えたときの別の窓口まで、法テラスが公開している資料をもとに順番に説明します。予約の取り方と当日の流れは別の記事に分けています。

法テラスの無料法律相談はどんな制度か

法テラスは、総合法律支援法にもとづいて国が設立した法人です。同法第30条は、お金の余裕がない人のために、弁護士などによる法律相談を実施することを業務の一つに挙げています。これが「法律相談援助」と呼ばれる無料相談で、民事法律扶助という制度の入口にあたります。

相談の中身と回数

  • 相談は口頭での法的助言で、書面の作成や相手との交渉は含まれない
  • 1回あたりの時間は30分程度が目安
  • 同じ問題について3回まで
  • 担当するのは弁護士または司法書士
  • 原則として事前予約制

相談を受けられる場所は、法テラスの地方事務所、法テラスと契約している弁護士・司法書士の事務所、弁護士会などの指定相談場所の3種類です。面談のほか、電話やインターネットでの相談を実施している場合もあります。

収入や資産を証明する書類は、無料相談の段階では原則として出さなくてかまいません。ただし、その後に費用の立替えへ進むときには証明書類が必要になるため、申込書には正確な数字を書いておくことが大切です。

収入の基準:世帯人数ごとの手取り月収

収入は「申込者と配偶者」の手取り月収の合計で判断します。手取り月収とは、賞与を含めた手取り年収を12で割った金額です。配偶者がトラブルの相手方である場合は、申込者の収入だけで見ます。

家族の人数一般の地域生活保護一級地
単身182,000円以下200,200円以下
2人251,000円以下276,100円以下
3人272,000円以下299,200円以下
4人299,000円以下328,900円以下

生活保護一級地は、東京都特別区や大阪市などの大都市が該当します。5人以上の家族では、同居の家族が1人増えるごとに30,000円(一級地は33,000円)を足します。

家賃や住宅ローンを払っている場合

家賃または住宅ローンを負担していれば、単身で41,000円、2人で53,000円、3人で66,000円、4人以上で71,000円を上限に、実際の負担額を基準に加算できます。東京都特別区に住んでいる場合は、それぞれ53,000円、68,000円、85,000円、92,000円が上限です。

たとえば東京23区以外に住む単身の人が家賃5万円を払っているなら、加算の上限41,000円を足して、手取り月収223,000円までが目安になります。医療費や教育費などの負担で生計が苦しい事情があれば、その分を収入から差し引ける場合もあります。

資産の基準:現金と預貯金の合計

資産は「申込者と配偶者」が持っている現金と預貯金を合わせて判断します。

家族の人数資産の上限
単身180万円以下
2人250万円以下
3人270万円以下
4人以上300万円以下

将来の医療費や教育費、冠婚葬祭のために蓄えているお金は、対象額から差し引ける場合があります。無料相談の段階で見るのは現金と預貯金ですが、弁護士費用の立替えに進むときは、有価証券や不動産の時価も含めて判断されます。住んでいる家や農地、争いの対象になっている財産は除外できます。

詐欺の被害に遭った直後は、預金が大きく減っていることも少なくありません。その場合も、申込書には今の金額をそのまま書いてください。どの時点の残高で見るか迷うときは、自己判断せず、地方事務所に尋ねるのが確実です。

詐欺被害で相談できること、対象外のこと

法テラスの資料では、無料相談の対象は「民事・家事・行政に関する法律問題」とされ、刑事事件は対象外と明記されています。詐欺の被害は犯罪でもあり、お金の貸し借りのトラブルでもあるため、どちらの側面を相談したいのかで扱いが分かれます。

相談できる例

  • 振り込んだお金を相手に返してもらうための方法と見通し
  • 業者との契約を取り消したり解除したりできるかどうか
  • 内容証明郵便や少額訴訟、通常の訴訟を使うべきかの判断
  • 振込先の口座が凍結されたときに、被害回復の分配金をどう申請するか
  • 「返金できる」と言ってきた別の業者と契約してよいかの確認

対象にならない例

  • 相手を処罰してほしいという告訴の相談
  • 会社や団体の名義で受けた被害(利用できるのは個人のみ)

なお、司法書士が担当する場合は、簡易裁判所で扱える請求額140万円以下の事案に限られます。被害額が大きいときは、予約の段階で弁護士の担当を希望すると話が早く進みます。相手が海外にいる、名前も住所も分からないといった事情がある場合も、相談そのものは受けられます。ただ、その後の手続きで取れる手段は限られやすいため、見通しを率直に聞いておくと判断材料になります。

配偶者や同居の家族がいる場合の数え方

単身でない場合は、誰の収入をどこまで足すかで結果が変わります。法テラスの資料から、迷いやすい点を拾っておきます。

  • 別居している配偶者:トラブルの相手方でなければ、離れて暮らしていても収入を合算します。
  • 内縁の配偶者:同居していれば配偶者として数えます。
  • 同居している親や成人した子:扶養していれば家族の人数に入ります。費用の立替えに進む段階では、その人の収入も家計に入れている範囲で合算されます。
  • 同居の家族から生活費をもらっている場合:立替えの審査では、一定額が申込者の収入に加えられます。
  • 離れて住む親族へ仕送りしている場合:別の要件で資力を判断するとされています。

たとえば、夫婦2人暮らしで妻が詐欺の被害に遭い、夫は無関係という場合は、2人分の手取りを合計して2人家族の基準(一般の地域なら251,000円以下)と比べます。夫婦の一方が相手方になる離婚などとは扱いが違うので注意してください。

家族に知られずに相談したいという事情がある方もいるでしょう。その場合も、収入の申告は世帯の実態に沿って行う必要があります。申告が事実と違うと、後の立替えの審査で援助を受けられなくなるおそれがあるため、言いにくい事情があれば相談の場で率直に伝えるほうが安全です。

基準を超えそうなとき、超えたときの選択肢

基準をわずかに超えていても、あきらめるのは早いかもしれません。家賃の加算や、医療費などの控除を反映すると基準内に収まることがあります。計算に自信がなければ、法テラスの電話窓口であるサポートダイヤル(0570-078374)に事情を話し、近くの地方事務所を案内してもらうとよいでしょう。

明らかに基準を超えている場合は、法テラスの無料相談は使えませんが、ほかの窓口は残っています。

  • 消費生活センター(188):事業者との取引のトラブルであれば、収入に関係なく無料で相談できます。
  • 弁護士会の法律相談センター:相談料や無料枠の有無は会ごとに異なるため、住んでいる地域の弁護士会のサイトで確かめてください。
  • 警察(#9110):だまし取られたと感じる場合の相談先です。

編集部としては、収入の条件を確かめるのに時間をかけすぎるより、振込先の銀行への連絡や証拠の保存を先に済ませることを勧めます。口座にお金が残っているうちに動けるかどうかで、取れる手段が変わるからです。相談料の心配は、その後で落ち着いて解決すれば間に合います。

自分が対象になるかを確かめる5つの手順

  1. 家族の人数を数える:自分、同居の配偶者(内縁を含む)、同居している扶養家族を合計します。
  2. 手取り月収を出す:源泉徴収票や給与明細から、賞与込みの手取り年収を12で割ります。配偶者の分も足します。
  3. 家賃・ローンの加算を足す:上の表の上限までを、基準額に加えます。
  4. 現金と預貯金を合計する:通帳アプリやネットバンキングで残高を確かめます。
  5. メモにして電話する:数字が基準に近い場合は、計算メモを手元に置いてサポートダイヤルにかけます。

当てはまりそうなら、次は相談の予約です。当日の30分を有効に使うため、相談前チェックリストで資料をそろえておいてください。法テラスの全体像は法テラスの無料法律相談の活用法、被害の経路ごとの進め方は詐欺被害の相談先と法テラスの利用方法でも解説しています。

よくある質問

Q. 法テラスの無料法律相談は何回まで使えますか?

A. 同じ問題について3回までで、1回あたり30分程度が目安です。別の問題であれば、改めて相談できます。

Q. 詐欺の犯人を告訴したいという相談もできますか?

A. 法テラスの民事法律扶助は刑事事件を対象外としているため、告訴についての相談はこの制度では扱われません。被害届や告訴は警察(#9110や最寄りの警察署)に相談してください。お金を取り戻す民事の相談は対象です。

Q. 無料相談の予約のときに給与明細などは必要ですか?

A. 無料相談の段階では、収入や資産を証明する書類は原則として不要です。弁護士費用の立替えに進むときに、給与明細や住民票などの提出を求められます。

Q. 東京23区に住んでいる場合の基準はいくらですか?

A. 単身で手取り月収200,200円以下、2人家族で276,100円以下などの一級地の基準が使われます。家賃の加算上限も単身で53,000円と、一般の地域より高く設定されています(2026年3月現在)。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。