仮想通貨・暗号資産詐欺で損失が出た場合の返金相談方法
仮想通貨・暗号資産を使った詐欺は、偽の取引所・DeFi・NFTへの投資勧誘、ウォレット接続による資産の不正抜き取りなど多岐にわたります。 仮想通貨・暗号資産詐欺…
「あなたのNFTに高額のオファーが届きました」「出品情報の再確認が必要です。署名して有効化してください」——。NFTマーケットの名前が入ったメールのリンクを開き、ウォレットに出てきた画面で「署名」を押したら、数分後に手持ちのNFTが次々と他人のアドレスへ移っていた。NFTの被害は、送金ボタンではなく、こうした承認や署名から始まることが多くあります。
この記事の結論です。メールのリンクから開いたページで署名や承認を求められたら、その場では押さないでください。同社が利用者へのメールに使う送信ドメインは opensea.io だけだと、OpenSea自身が説明しています。以下では、署名と取引の違い、setApprovalForAllと出品署名が悪用される仕組み、画面で読み取るべき項目、押してしまった後の対応を順に説明します。
NFTを持っている人を狙うメールには、いくつか決まった切り口があります。
OpenSeaのヘルプセンターは、同社が取引の失敗を知らせるメールを送らないこと、opensea.io以外のドメインから「アイテムが売れた」と伝えるメールは偽物であることを挙げています。さらに、シードフレーズやパスワード、秘密鍵を求めることもないと明記しています。送信元のアドレスを開いて、@の後ろがopensea.ioになっているかを最初に確かめてください。表示名は自由に変えられるため、名前だけでは判断できません。
この4つを確かめるのに数分もかかりません。その数分を惜しまないことが、署名の画面にたどり着く前に被害を止める一番確実な方法です。
ウォレットが求めてくる操作には、大きく分けて2種類あります。
| 種類 | 中身 | ガス代 | 記録 |
|---|---|---|---|
| 取引(トランザクション) | 送金、NFTの移動、承認の設定など、ブロックチェーンの状態を変える | かかる | ブロックチェーンに残る |
| 署名(オフチェーン署名) | メッセージに自分の鍵で印を押す。ログインや出品の意思表示に使われる | かからない | その時点ではブロックチェーンに残らない |
ガス代がかからない署名は「ただの確認」と受け取られがちですが、MetaMaskのヘルプセンターは、攻撃者がオフチェーンの署名を手に入れ、あとでそれを使って資産を盗む手口を「署名フィッシング」として説明しています。署名はネットワークに送られないため、相手はそれを好きなタイミングで使えます。数週間たってから資産が動かされる例もあると同社は注意しています。
編集部としては、「ガス代がかからないから安全」という判断はやめたほうがよいと考えます。お金がかからない操作ほど、何を許可しているのかを読む必要があります。
MetaMaskによれば、setApprovalForAllは、特定のスマートコントラクトに属するNFTをすべて管理する権限を、他のアドレスに与えたり取り消したりする機能です。NFTマーケットで出品するときには、売れたNFTを買い手に移すために正当に使われます。一方で、偽サイトはNFTの配布の受け取りなどを口実にこの承認を求めます。MetaMaskは、何かを受け取るためにこの種の承認へ署名する必要はないはずだと注意しています。
MetaMaskのヘルプセンターが紹介する「NFT出品詐欺」は、さらに気づきにくい形です。以前に大手マーケットでNFTを出品したことがある人は、そのマーケットにNFTを移す許可をすでに与えています。攻撃者はこれを利用し、利用者に自分のNFTを0ETHで出品する署名をさせます。許可が残っているため、署名1回で出品が成立し、攻撃者はその出品を誰よりも早く買い取ります。利用者から見ると、承認の取引もガス代の支払いもしていないのに、NFTがなくなったことになります。
同社はまた、一括出品のための署名をまねた偽サイトが、アカウント内のNFTをすべて引き出す権限を得ようとする例も挙げています。
ウォレットの画面は英語や専門用語が多く、読み飛ばしたくなります。少なくとも次の点は確認してから判断してください。
内容が読めない、あるいは画面に警告が出ているときは、署名しないのが正解です。MetaMaskには、取引や署名の前に危険の可能性を知らせるセキュリティ警告の機能があり、同社は有効にしておくよう勧めています。承認をまとめて確認・取り消しする操作は、メールのDeFi案内で承認してしまった場合の記事で手順を説明しています。
完全に被害を防ぐ画面の読み方はありません。そこで効果が大きいのが、ウォレットを役割ごとに分けることです。MetaMaskも、価値のある資産を別のウォレットに「隔離」し、新しいサイトを試すときには専用のウォレットを使うよう勧めています。
| ウォレット | 入れるもの | 使い方 |
|---|---|---|
| 保管用 | 手放したくないNFT、まとまった暗号資産 | 知らないサイトには接続しない。可能ならハードウェアウォレットを使う |
| 日常用 | 普段の売買に使う分だけ | 信頼できるマーケットとだけつなぐ |
| お試し用 | ほぼ空、ガス代程度 | 新しいミントや配布を試すときに使う |
メールのリンクから開いたサイトで保管用ウォレットをつなぐ状況を、そもそも作らないことが大切です。ブラウザの拡張機能として入れるウォレットは便利な反面、どのサイトからでも署名の依頼を表示できてしまいます。保管用のウォレットは、ふだん使うブラウザとは別のプロファイルに入れる、あるいはハードウェアウォレットにして、署名のたびに端末のボタンを押さなければならない状態にしておくと、うっかり押してしまう事故を減らせます。売買のたびに保管用から日常用へ必要な分だけ移す手間はかかりますが、その手間が安全の対価だと割り切るのが編集部のすすめです。
署名や承認をしてしまったと気づいたら、資産が動かされる前に動けるかどうかが分かれ目です。
盗まれたNFTのその後や、マーケットでの売買停止についてはNFTを取り戻す現実の記事で詳しく解説しています。
A. 問題がないとは言えません。MetaMaskは、オフチェーンの署名を手に入れて後から資産を盗む「署名フィッシング」を警告しています。ガス代の有無ではなく、何を許可する署名なのかで判断してください。
A. 信頼できるマーケットで初めてNFTを出品するときなどに使われます。一方、NFTの配布を受け取るだけの場面では、MetaMaskはこの承認が必要ないはずだとしています。自分で開いた正規のサイトかを必ず確かめてください。
A. 送信元のドメインを確認します。OpenSeaは、メールはopensea.ioのドメインからのみ送ると公表しています。取引の失敗を知らせるメールも送らないとしています。
A. すぐに正規のマーケットで自分の出品を確認し、身に覚えのない出品を取り消してください。あわせて、残っているNFTを新しいウォレットへ移し、記録を残して警察に相談します。
※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。
サイト名、サービス名、担当者名、LINE名、決済名などで確認している方は、事例パターンと証拠の残し方を分けて確認してください。個別の違法性、返金可否、削除可否、解決を断定するものではありません。
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