インスタで知り合った海外在住男性の投資で利益が出た・出金できた|今こそ止める理由

最初に結論を書きます。少しの額を引き出せたことは、その投資が本物だという証拠になりません。金融庁は、SNSで知り合った相手からの投資勧誘について、しばらくは利益が出たように装い、少額なら出金できることもあると説明しています。そして、安心して大きな額を入れた後に、連絡が途絶えたり手数料名目の支払いを求められたりする流れが多いと注意しています。

この記事は、Instagramで知り合った海外在住を名乗る男性と親しくなり、勧められるまま投資を始めて「本当に増えた」「ちゃんと振り込まれた」と感じている人に向けています。引き返しやすいのは、入れた額がまだ小さい今です。

InstagramのDMは、ロマンス型の入口で2番目に多い

ロマンス型の被害について警察庁がまとめた2025年分(令和7年)の確定値を見ると、相手との出会いがInstagramだった被害は1,288件ありました。全体に占める割合は22.8%で、入口としてはマッチングアプリの次に多い数字です。接触の手段で見ると、Instagramのダイレクトメッセージから始まったものが1,247件あります。令和8年上半期(暫定値)でもInstagramは486件で、入口の上位に入っています。

流れとしては、投稿へのいいねやコメントのあとにDMが届き、何度かやり取りした後にLINEへ移るのが典型です。令和7年のロマンス型では、被害にあった時点の連絡手段がLINEだった割合が93.8%でした。写真中心のSNSでは、相手の暮らしぶりが画像で伝わるぶん、「この人は実在する」という印象が強くなりやすい点にも気をつけたいところです。

海外在住を名乗る相手の場合、旅先の風景や高級なホテル、仕事仲間との写真が並ぶこともあります。ただ、写真は他人の投稿から集めることもできますし、どこで撮られたものかを外から確かめる方法は限られます。投稿の華やかさは、その人の収入や投資の腕前を示す材料にはなりません。見栄えのよいアカウントほど、お金の話が出たときに冷静でいられるかが問われます。

「出金できた」は信用を得るための段階として組み込まれている

警察庁のSOS47が示すSNS型投資詐欺の流れには、偽の利益を画面に出し、その一部を少額だけ被害者の口座へ振り込む段階がはっきり書かれています。その次に来るのが、高額の偽の利益を表示し、全額を引き出すための手数料などを求める段階です。

国民生活センターが紹介した事例(2021年11月受付・30歳代女性)も同じ順番をたどっています。マッチングアプリで知り合った男性に勧められて少額を入れたところ、利益が出て引き出すこともできました。「元金が多いほど儲けも増える」と説得された相談者は、銀行や消費者金融から借りて合計約500万円を投資します。出金を申し出ると、利益を含む総資産の15%にあたる180万円を保証金として求められ、さらに借りて50万円を払った後、連絡が途絶えました。

少額の出金は、相手にとって「次の大きな入金」を引き出すための費用だと筆者は見ています。引き出せたお金がどこから来たのかは、受け取った側には分かりません。自分が入れたお金の一部が戻っただけかもしれず、別の人から集めたお金が回された可能性も否定できません。

利益が出た後に増えやすい誘いの言葉

出金を経験した後は、勧誘の言葉が一段強くなります。よく見られる言い回しと、その意味を並べました。

相手の言葉その裏で起きていること
「元本を増やせば、利益も比例して増える」入金額を一気に引き上げる段階に入った
「今月だけのVIP口座」「選ばれた人だけの枠」金融庁が公表する「特別待遇」をうたう手口と同じ型
「足りない分は僕が出す。二人で出し合おう」断りにくくし、あなたの側の入金を促す
「カードローンで借りてもすぐ返せる」借入をさせてまで入金させようとしている
「今やめたら損をする」出金の話を先延ばしにし、追加入金へ向かわせる

どれも、あなたの利益を思っての言葉に聞こえるよう作られています。けれど、本当にあなたの得を考える人なら、借金をしてまで投資を増やせとは言わないはずです。

画面の残高ではなく「入れた額」と「戻った額」で数える

引き返すかどうかを考えるとき、アプリに表示されている残高は一度脇に置いてください。判断に使うのは、自分の口座から実際に出ていったお金と、実際に戻ってきたお金だけです。

項目記入する内容
入れた額の合計振込や暗号資産の送付ごとに、日付・金額・送り先を書き出して合計する
戻った額の合計出金として自分の口座に着金した分だけを合計する
差し引き入れた額から戻った額を引いた数字が、いま実際に相手の手元にあるお金
画面の残高参考として控えるだけ。判断には使わない

たとえば30万円を入れて5万円を引き出せた場合、画面に50万円の残高が表示されていても、実際に失う可能性があるのは差し引き25万円です。反対に、ここから100万円を追加すると、失う可能性のある額は125万円に膨らみます。画面の数字が増えるほど「もったいない」と感じますが、その感覚こそが追加入金を促す仕掛けになっていると筆者は考えています。この表は、警察や消費生活センターに相談するときの資料としてもそのまま使えます。暗号資産で送った分は、送った日の日本円での金額と、送った数量の両方を書いておくと後で整理しやすくなります。

今の段階で引き返すための手順

入れた額が小さいうちなら、損失を今の範囲で止められます。筆者が勧める手順は次のとおりです。

  1. 追加の入金を止める:どんな説明があっても、新たにお金を入れないと決めます。相手には理由を詳しく言う必要はありません。
  2. 画面と記録を保存する:アプリやサイトの残高、取引履歴、出金の記録、相手とのDMやLINEのやり取りをスクリーンショットで残します。
  3. 受け取った出金の記録を確認する:通帳やネットバンキングで、出金が振り込まれた日と振込元の名義を控えます。振込元が個人名義なら、相談のときに必ず伝えてください。
  4. 受け取ったお金を相手の指示で動かさない:「そのお金をこの口座に送って」と頼まれても応じないでください。お金の受け渡しに自分の口座を使われると、思わぬ形でトラブルに巻き込まれるおそれがあります。
  5. 残りの出金で支払いを求められたら払わない:税金、保証金、手数料などの名目で先払いを求められた場合、払っても戻らない例が金融庁に多く寄せられています。

やり取りを終えたあとも、相手から「最後のチャンス」「あなたのせいで損をした」と連絡が続くことがあります。返信せず、記録だけ残してください。

一人で決めきれないときは、家族や信頼できる友人に、画面を見せながら経緯を話してみるのも一つの方法です。恋愛の話が含まれると打ち明けにくいものですが、外から見ている人のほうが、利益の表示や相手の言葉の不自然さに気づきやすいことがあります。

Instagramのアカウントへの対応

相手のInstagramアカウントは、ブロックする前に情報を残しておきます。消されたり名前を変えられたりすると、あとで探せなくなるからです。

  • プロフィール画面(ユーザーネーム、表示名、自己紹介、投稿数)
  • 最初のDMから現在までのやり取り
  • 相手が投稿していた写真や、自分に送ってきた写真

保存が済んだら、Instagramの報告機能で不審なアカウントとして知らせ、ブロックします。相手が使っていた写真が別人のものだった場合、その写真の持ち主も被害者です。画像検索での確かめ方はプロフィールで見る項目が参考になります。

相談先と、次に読む記事

少額でも入金した段階なら、次の窓口に相談できます。

  • #9110(警察の相談専用電話):入金の経緯と相手の情報を整理してから電話すると話が早く進みます
  • 188:消費生活センターで、契約や返金の手続きについて助言を受けられます
  • 金融庁の投資詐欺に関する相談ダイヤル(0570-050588):業者の登録状況の見方なども相談できます

電話の前にそろえておくもの

  • 上で作った「入れた額・戻った額」の一覧と、振込明細や送付記録
  • 相手のInstagramのユーザーネームとプロフィール画面、LINEの表示名とID
  • 投資に使ったアプリ名やサイトのURL、画面に表示されていた運営会社名
  • 勧誘の言葉が残っているトーク画面(特に入金額を増やすよう促した部分)

時系列が分かるメモが一枚あるだけで、窓口の担当者は状況をつかみやすくなります。日付や金額を思い出せないところは空欄のままで構いません。分かる範囲を正確に書くほうが、推測で埋めるより役に立ちます。

勧められたアプリそのものの確かめ方は彼に案内された投資アプリの確かめ方、出金時に税金や手数料を求められた場合は「税金を払えば出金できる」という要求の特徴を読んでください。送金前の段階全体を確かめたいときはチェックリストも使えます。

本記事は2026年9月25日時点の公表資料に基づく一般的な情報で、個別の事案での返金を保証するものではありません。

よくある質問

Q. インスタで知り合った海外在住の男性に勧められた投資で、少額の出金ができました。本物の投資と考えていいですか?

A. 出金できたことだけでは判断できません。金融庁は、しばらく利益が出たように装って少額の出金に応じ、高額の入金後に連絡が途絶える流れが多いと注意しています。

Q. もっと入金すれば利益も大きくなると言われています。

A. 追加入金はやめてください。国民生活センターの事例では、少額で出金できた後に借金までして約500万円を入れ、出金時に保証金を求められて連絡が途絶えています。

Q. 画面に表示されている残高は、いつか引き出せますか?

A. 表示の残高が実在するお金だという保証はありません。判断は、実際に入れた額と戻った額の差で行ってください。残高を引き出すために先払いを求められた場合は、払わずに相談してください。

Q. 出金で受け取ったお金は返さなければいけませんか?

A. 相手の指示で別の口座に送ることはしないでください。振込元の名義と日時を控え、警察や消費生活センターに相談するときに伝えましょう。扱いに迷う場合は弁護士に相談してください。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。