インスタDMの相手に送ったお金はどこへ?ピッグバッチャー詐欺の送金方法別対応

インスタグラムのDMから始まったやり取りで、相手に勧められるまま投資のつもりでお金を送った。出金できなくなって初めておかしいと気づき、「送ったお金はどこに行ったのか」「今から取り戻せるのか」を調べている方に向けた記事です。

先にお伝えしたいのは、取り戻しの手段は「どうやって送ったか」でほぼ決まるということです。銀行の口座に振り込んだなら、振り込め詐欺救済法にもとづいて振込先の口座を止め、残っているお金から分配を受けられる可能性があります。一方、暗号資産を外部のアドレスに送った場合、この法律の対象外で、追跡も一段と難しくなります。

令和7年の警察庁統計でDM経由のSNS型ロマンス詐欺をツール別に見ると、Instagramは1,247件でした。SNS型投資詐欺でもDM経由の被害でInstagramが1,000件と最多です。この記事では、自分の送金がどの型に当たるかを見分け、型ごとに連絡先と手順を整理します。

お金はどんな形で相手に渡っているか

警察庁は、被害金がどういう形で渡ったかを「交付形態」として集計しています。令和7年の数字を、ピッグバッチャー詐欺(投資とロマンスが混ざった形)に関わる二つの分類で並べます。

交付形態SNS型投資詐欺SNS型ロマンス詐欺
振込型(銀行口座への振込)7,135件(74.9%)3,055件(54.1%)
うちインターネットバンキング利用5,049件1,551件
うち暗号資産交換業者の口座への振込104件101件
暗号資産送信型(暗号資産そのものを送らせる)1,898件2,177件(38.6%)

ロマンス詐欺の側では、暗号資産振込と暗号資産送信型を合わせると、件数の40.4%、被害額の48.6%が実質的に暗号資産で渡っていました。前年から件数の割合が14.4ポイント上がっています。

接触の入口に目を向けると、SNS型ロマンス詐欺では最初の接触がDMだったものが5,238件で、92.8%に達しています。知らない相手からのDMに返事をしたことが、送金の出発点になっている例が大半だということです。恋愛感情を足がかりに投資へ誘う形では、暗号資産で送らせる流れが強まっていることがうかがえます。

自分の送金がどの型か見分ける

手元の記録を見ながら、次のどれに当たるか確かめてください。複数回送っている場合は、1回ずつ分けて考えます。

  1. 銀行から、個人名や会社名の口座に振り込んだ:振込明細やネットバンキングの履歴に、振込先の銀行名・支店名・口座名義が出ています
  2. 銀行から、暗号資産交換業者の口座に振り込んだ:振込先の名義が交換業者の名前になっています。自分の交換業者口座への入金なのか、相手に指示された別の入金番号なのかも確認します
  3. 自分の交換業者口座で暗号資産を買い、外部のアドレスに送った:交換業者の送付履歴に、送付先のアドレスと取引ID(トランザクションID)が残っています
  4. クレジットカードや電子マネーで払った:カードの利用明細や、電子マネーの購入記録が手がかりになります

送金のたびに違う口座を指定されることもあります。口座が変わるごとに連絡先の金融機関も変わるので、すべて書き出しておきましょう。

履歴の集め方

ネットバンキングや交換業者の多くは、入出金や送付の履歴を画面で見られるほか、ファイルとして保存する機能を備えています。相手のアプリに出ている「残高」は相手側が表示させている数字にすぎず、実際に送った額の裏づけにはなりません。自分の銀行と交換業者に残っている記録こそが、何をいつどこに送ったかを示す材料になります。アカウントが止められる前に、早めに保存しておきましょう。

銀行振込の場合:振り込め詐欺救済法の手続き

金融庁の案内によると、いわゆる振り込め詐欺救済法は、預金口座等への振込みが使われた詐欺の被害が対象で、SNS型投資詐欺やロマンス詐欺も口座への振込みで被害にあった場合は対象になるとされています。

進め方

  1. 警察と振込先の金融機関に連絡する。振込先の銀行に詐欺の被害であることを伝え、口座の凍結を求めます。振込をした自分の銀行から連絡してもらうことも相談できます
  2. 金融機関が口座を止め、名義人の権利を消滅させる手続きに入る。預金保険機構のウェブサイトに公告が出れば、口座の残高や申請期間を確認できます
  3. 支払申請書を出す。申請期間は公告の翌日から30日以上設けられ、期間を過ぎると受け取れません

知っておきたい限界

  • 分配の原資は、凍結した口座に残っているお金です。犯人が引き出した後だと支払いは受けられません
  • 被害者が複数いて残高が足りなければ、被害額に応じて按分されます。残高が1,000円未満なら支払いは行われません
  • 金融庁の説明では、実際にお金を受け取れるまで半年以上かかるのが普通です

手続きの詳細は銀行口座に振り込んでしまった場合の対処法でも説明しています。時間がたつほど口座から引き出される可能性が高まるので、この型は連絡の早さが結果を左右します。

暗号資産を送った場合:交換業者への連絡と追跡の難しさ

自分の交換業者口座から外部のアドレスに暗号資産を送った場合、振り込め詐欺救済法の枠組みは使えません。まずは次の二か所に連絡します。

  • 送付に使った交換業者:送付の日時、銘柄と数量、送付先アドレス、取引IDを伝え、詐欺の被害であることを申し出ます
  • 警察:同じ情報を持って被害を届け出ます

どこまで追えるのか

2023年6月から、国内の交換業者が暗号資産を別の交換業者に送るときは、送付人と受取人の氏名やアドレスなどを相手先の業者に通知する義務(トラベルルール)が始まりました。送り先が交換業者の口座であれば、記録をたどる手がかりが残ります。ただし金融庁の資料によると、個人が自分で管理する「アンホステッド・ウォレット」への送付はこの通知の対象外で、交換業者による把握は難しいとされています。

米FinCENの2026年9月の警告は、詐欺組織が受け取った暗号資産を多数のアドレスへ素早く移し、別の銘柄や別のブロックチェーンに交換して出どころをわかりにくくする、と説明しています。例として、イーサリアム上のUSDTをトロン上に移す手法が挙げられていました。送った後の時間が長くなるほど追跡は難しくなるので、気づいた時点ですぐに連絡してください。

送付先のアドレスがどこかの交換業者のものであれば、捜査の過程でその業者に照会が行われ、口座の動きが止められる場合もあります。自分の側で相手のアドレスを調べて直接連絡を取ろうとするのは避け、アドレスと取引IDを警察に渡すことに集中してください。

送付画面で事実と違う回答を求められたら

送付の際、交換業者から受取人の名前や送り先の種類を尋ねられることがあります。相手から「自分宛てと答えて」など、事実と違う回答をするよう指示されたら、送る前に手を止めてください。

交換業者の口座に振り込んだ場合と、カード・電子マネーの場合

銀行から交換業者名義の口座に振り込んだ場合、そのお金は交換業者の中の誰かのアカウントに入金されています。自分のアカウントへの入金であれば、そこから先の送付が問題になるので前の見出しの手順に進みます。相手に指示された入金番号など、自分以外のアカウントに入った可能性があるなら、振込をした銀行と、振込先の交換業者の両方に連絡し、警察にも届け出ます。

カード払いだったなら、利用明細の該当部分を手元に置いてカード会社に電話し、請求への異議申し立てができるかをたずねます。考え方はチャージバックの解説を参照してください。電子マネーの場合は、発行会社に利用状況の確認と対応を問い合わせてください。いずれも、申し出たからといって返金が認められるとは限りません。

相談するときに伝えることと、その後の注意

警察、金融庁の相談窓口、弁護士のどこに相談する場合も、次の情報が整理されていると話が早く進みます。

  • InstagramのアカウントID、プロフィール画面、最初に届いたDM
  • 途中で移ったアプリ(LINEなど)のアカウントとやり取りの全体
  • 送金ごとの日付、金額、方法、振込先の口座情報または送付先アドレスと取引ID
  • 取引サイトやアプリの名前とURL、残高が表示された画面

相談先は、最寄りの警察署(相談は #9110)、金融庁が設けている投資詐欺の相談ダイヤル(0570-050588)、消費者ホットライン188、そして相手への請求を検討する場合の弁護士です。弁護士に頼む費用が気がかりなら、立替制度の利用条件を法テラスに問い合わせる方法があります(電話は0570-078374)。記録のまとめ方は証拠の残し方で、当サイトの窓口は相談予約のページで案内しています。

被害に気づいた後は、「送ったお金を取り戻せる」と近づいてくる人にも注意が必要です。手口と見分け方は回収をうたう二次被害の見分け方で詳しく説明しています。ここまでの手続きを踏んでも、被害額が全額戻るとは限らない点はご理解ください。

よくある質問

Q. インスタで知り合った相手の指示で、個人名義の口座に振り込みました。取り戻せる可能性はありますか?

A. 振込先の口座にお金が残っていれば、凍結と分配の手続きに乗せられる見込みがあります。警察と振込先の金融機関にすぐ連絡し、口座の凍結を求めてください。引き出された後だと支払いは受けられません。

Q. USDTを外部のアドレスに送ってしまいました。振り込め詐欺救済法は使えますか?

A. この法律は預金口座等への振込みが対象なので、暗号資産の送付には使えません。送付に使った交換業者と警察に、日時、数量、送付先アドレス、取引IDを伝えて相談してください。

Q. ピッグバッチャー詐欺の被害金は、警察に届ければ戻ってきますか?

A. 警察への届け出は捜査や口座凍結の手がかりになりますが、それだけで返金が約束されるわけではありません。送金方法ごとの手続きも並行して進めてください。

Q. 何回かに分けて違う口座に振り込みました。どこに連絡すればよいですか?

A. 振込先の口座ごとに、その口座がある金融機関へ連絡します。振込の日時、金額、振込先を一覧にしてから、警察と各金融機関に伝えると手続きが進めやすくなります。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。