SNSの恋愛相手に送った画像で脅されたら|セクストーションの対処と相談先

SNSで親しくなった相手に送った画像や動画をネタに「知り合いに送る」「ネットにばらまく」と脅され、お金を求められているなら、まず払わないでください。そのうえで脅しのメッセージを保存し、警察に相談します。この手口は「セクストーション(性的脅迫)」と呼ばれ、複数の県警察が注意を呼びかけています。

恥ずかしさから誰にも言えず、要求に応じ続けてしまう人は少なくありません。けれども、画像を送ってしまったことと、それを使って脅すことは別の問題です。責められるべきは脅している側です。この記事では、脅された直後にすべきこと、払っても終わりにくい理由、画像が広まったときの削除の依頼先、警察へ相談するときの準備を順に説明します。

セクストーションとは|親しいやり取りが脅しに変わるまで

大阪府警察は、セクストーションを「性的」と「脅迫・ゆすり」を合わせた造語で、性的脅迫を意味すると説明しています。インターネットで出会った異性に「恥ずかしい姿の見せ合いをしましょう」などと持ちかけ、画像や動画を送らせたうえで「裸の画像をお前の知り合いに送るぞ」と脅し、電子マネーなどを脅し取る手口です。

恋愛の形をとる場合、流れはおおむね次のようになります。

  1. SNSやマッチングアプリで知り合い、数日から数週間、親しいやり取りが続く
  2. 相手が先に自分の写真を送ってきたり、ビデオ通話に誘ってきたりする
  3. 見せ合いの流れで、こちらも画像を送るか、通話で姿を映してしまう
  4. 直後に態度が変わり、フォロワーや友達の一覧の画面を示して「全員に送る」と金銭を要求される

埼玉県警察は、金銭のほかに、さらに過激な画像を要求する例もあると注意しています。お金と画像のどちらを求められても、応じるほど相手が握る材料が増えていきます。

最初に届いた写真や通話の相手も本人とは限らない

相手が先に送ってきた写真や、ビデオ通話に映っていた姿が本物だったとは限りません。公開されている他人の写真に翻訳アプリや生成AIを組み合わせれば、別人になりきって声や映像まで用意できる、というのが警察庁の注意喚起です。「相手も見せてくれたから対等だ」という感覚そのものが、仕組まれたものだった可能性があります。見せ合いの提案があった時点で、会ったことのない相手なら断るのが確実です。

脅された直後にやること

焦って返信を重ねるほど、相手のペースに巻き込まれます。次の順番で落ち着いて動いてください。

  1. 支払わない。電子マネーのコード、暗号資産、振込のいずれでも同じです。埼玉県警察は暗号資産の送金をしないよう呼びかけています。
  2. 脅しの内容を保存する。メッセージ画面、相手のアカウント名とID、プロフィール、要求された金額と支払方法、期限をスクリーンショットで残します。自分が送った画像そのものを保存し直す必要はありません。
  3. 返信をやめる。交渉や謝罪、説得は逆効果になりがちです。保存が済んだら、それ以上のやり取りはしないでください。
  4. 自分のSNSの公開範囲を見直す。フォロワーや友達の一覧を非公開にできるなら切り替え、知らない相手からのメッセージを受け付けない設定にします。
  5. 相手に勧められたアプリを消す。大阪府警察は、知らない人から勧められたアプリは絶対にインストールしないよう注意しています。通話用などと言われて入れたアプリがあれば、利用をやめ、端末の設定も確認してください。

友人や家族に相手から連絡が来た場合

相手が実際に知人へフォローやメッセージを送り始めた場合は、その画面も保存してもらうよう頼んでください。知人には「知らない相手からのメッセージは開かずに削除し、画面だけ残しておいてほしい」と伝えれば十分で、細かい事情まで説明する必要はありません。

ここまで済んだら、次は警察への相談です。夜間や休日で窓口が閉まっていても、脅しが差し迫っている場合は110番を使ってかまいません。

払っても終わりにくい理由

「一度払えば消してくれる」と考えたくなりますが、筆者はその期待を持たないことを強くすすめます。相手が画像を消したかどうかを確かめる方法はありませんし、一度払った人は「払う人」として次の要求の対象になりやすいからです。実際に埼玉県警察は、脅迫して金銭を求めたうえで、さらに過度な画像を要求する例を紹介しています。

支払いをやめると相手が本当に画像を広めるのではないか、という不安は当然です。ただ、払い続けても拡散の可能性はなくならず、お金だけが減っていきます。拡散への備えは、支払いではなく、削除の依頼と警察への相談で行うのが現実的です。

画像を送っていないのに届く脅迫メールとの違い

埼玉県警察は、パソコンやスマートフォンをハッキングしたかのように装い、アダルトサイトを見ている姿の動画を公開するなどと脅して金銭を要求するメールにも注意を促しています。こちらは実際には画像を送っていないケースで、県警は慌てずに無視するよう案内しています。自分が実際に画像を送ったのか、根拠のない脅しなのかで、対応の緊急度は変わります。

画像が広まった・広まりそうなときの削除依頼

警察庁は、インターネットで公表されてしまった画像はプロバイダー等を通じて削除要請ができ、拡散を防ぐには早く削除することが重要だとして、できる限り早く最寄りの警察署などへ相談するよう呼びかけています。

自分で削除を依頼する場合

  • SNSやサイトの報告機能。画像が投稿されたSNSやサイトには、多くの場合、プライバシー侵害や同意のない性的画像を報告する窓口があります。投稿のURLと画面を保存してから報告します。
  • 違法・有害情報相談センター。総務省の支援事業として、サイト管理者などへの削除依頼の方法について相談を受け付けています。相談はウェブフォームのみです。
  • 法務省の人権擁護機関。インターネットを利用した人権侵害についての相談も受け付けています。

どこに何が投稿されたかを一覧にしておくと、警察や相談窓口に説明するときにも役立ちます。まだ拡散されていない段階でも、脅しの記録を持って早めに相談しておけば、いざ投稿されたときに動きやすくなります。

警察に相談するときの準備と、関係する法律

相談は警察相談専用電話#9110か、最寄りの警察署でできます。次のものを用意しておくと話が早く進みます。

  • 相手のアカウント名・ID・プロフィール画面
  • 知り合った日と、使ったアプリやSNSの名前
  • 脅しのメッセージの画面(日時が分かるもの)
  • 支払ってしまった場合は、電子マネーのコードや振込の記録

画像を使ってお金を要求する行為は、刑法第249条の恐喝罪にあたりうる行為です。また、撮影された人の同意なく性的な画像を不特定多数に公開する行為などは、いわゆるリベンジポルノ防止法で処罰の対象とされています。警察庁はこの法律で、撮影された本人が第三者に見られることを認識したうえで撮影を許した画像(アダルトビデオなど)は対象から除かれると説明しており、恋人間のやり取りで送った私的な画像は保護の対象になりえます。どの罪にあたるかを判断するのは捜査機関ですが、「自分から送ったのだから仕方がない」と考えて相談をあきらめる必要はありません。

相手が18歳未満の画像を求めてきた場合や、自分が未成年である場合は、保護者や学校にも早めに事情を伝え、一緒に警察へ相談してください。

「家族や職場に送る」と言われたときの備え

脅しの文面では、家族、友人、勤務先など、いちばん知られたくない相手の名前が挙げられることが多く、それが支払いに追い込む力になっています。筆者の考えでは、もっとも効果的な備えは、信頼できる人に先に事情を伝えておくことです。「おかしなメッセージや画像が届いても開かずに知らせてほしい」と頼んでおけば、相手の脅しは大きく力を失います。

すべての人に話す必要はありません。一人でも味方がいれば、警察への相談にも付き添ってもらえます。話しにくい場合は、先に警察や相談窓口に連絡し、周囲への伝え方を相談してもかまいません。

記録の残し方は出会い系詐欺の証拠保全も参考にしてください。

すでに払ってしまったときの連絡先

支払ってしまった後でも、できることは残っています。手段ごとに連絡先が違うので、手元の記録を見ながら進めてください。

支払った手段まず連絡する先手元に残すもの
ギフトカード・プリペイドカードカードの発行会社の問い合わせ窓口カード番号、購入時のレシート、コードを送った画面
銀行振込振込先の金融機関と、自分の口座がある金融機関振込明細、振込先の口座情報
暗号資産利用した暗号資産交換業者送信日時、送信先アドレス、取引の画面

ギフトカードは、相手がまだ使っていなければ発行会社の対応で利用を止められる場合もありますが、使われた後は難しくなります。支払ったことに気づいた時点で、警察への相談と並行して連絡してください。振込の場合の手続きは出会い系で振込した後の対処法で説明しています。

払ってしまったことを理由に、相談をためらう必要はありません。追加の要求を止めるためにも、支払いの記録は重要な手がかりになります。

よくある質問

Q. 一度だけ払えば画像を消してもらえますか?

A. 消したかどうかを確かめる方法はなく、払ったことで追加の要求を受けるおそれがあります。埼玉県警察も、金銭の要求に加えてさらに画像を求める例を紹介しています。支払わずに、脅しの記録を保存して警察に相談してください。

Q. 相手は海外にいるようです。それでも警察に相談する意味はありますか?

A. あります。相手の所在にかかわらず、被害の記録を残し、削除依頼や今後の対応について助言を受けることは、拡散への備えになります。#9110か最寄りの警察署に相談してください。

Q. 自分から画像を送ったので、自分にも責任があるのでは?

A. 画像を送ったことと、それを使って金銭を脅し取ろうとすることは別の問題です。脅して金銭を要求する行為は恐喝にあたりうる行為で、責任を問われるべきは脅している側です。ためらわずに相談してください。

Q. 画像を送っていないのに「動画を持っている」とメールが来ました。

A. ハッキングしたように装って金銭を要求するメールについて、埼玉県警察は慌てずに無視するよう案内しています。実際に画像や動画を送った覚えがないなら、支払いには応じず、パスワードの変更やセキュリティソフトの更新を行ってください。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。