LINEグループの「AI自動売買ツール無料配布」|金融庁の警告業者一覧で調べる手順

広告やDMをきっかけにLINEの投資グループへ入ったところ、「AIが売買を自動でこなすツールを参加者限定で無料配布」「AI診断で選んだ銘柄を毎朝配信」といった案内が流れてきた。講師やアシスタントを名乗る人が親切で、ほかの参加者も利益報告をしている。本当に大丈夫なのか確かめたい。この記事はそういう方に向けたものです。

手っ取り早く白黒をつける方法はありませんが、自分でできる確認はあります。グループ名、運営会社名、ツールやサービスの名前を、金融庁が公開している2つのデータで照合することです。1つは登録を受けた業者を探す検索、もう1つは無登録で営業しているとして警告を受けた者の一覧です。ただし、警告一覧に載っていないことは安全の証明になりません。その理由と、グループから抜ける前に残しておく記録、入金してしまった場合の窓口も順に説明します。

LINEの投資グループで「AI」が持ち出されるときの段取り

金融庁は、SNS上の投資勧誘について寄せられた情報をもとに、似た事例が複数ある手口を公表しています。その中に「AI診断」を入口にするものがあり、AI診断をうたうウェブサイトへ誘い込み、分析レポートを配信するという名目でSNSへ移らせてから投資話を持ちかける、と説明されています。同じ資料では、グループチャットに「講師」「先生」「アシスタント」が登場して指南役を務めること、いわゆるサクラが利益の出たような書き込みを重ねることも挙げられています。

役割分担は、おおむね次のように見えます。

グループ内の役よくある書き込み見るべきところ
講師・先生相場の解説、AIの的中実績、限定プランの告知本名や所属、登録番号を示しているか
アシスタントツールの配布、個別トークへの案内、入金方法の説明個別トークに移ったあとで話が有料になっていないか
参加者「今日も利益が出た」「先生のおかげ」という報告同じ文面や似た時刻の投稿が続いていないか

警察庁の統計(令和7年確定値)では、SNS型投資詐欺9,523件のうち、被害を受けた時点の連絡手段がLINEだったものが8,906件(93.5%)でした。広告やDMで接触した後にLINEへ誘導される割合は、どちらの経路でも約9割とされています。入口がどこであれ、最後はLINEの中で話が進むと考えてよいでしょう。

「ツールを配るだけ」「助言するだけ」と言われても登録が関わる場面

金融商品取引法は、金融商品取引業を営むには内閣総理大臣の登録が必要だと定めています(第29条)。グループで行われがちな行為に当てはめると、次のようになります。

  • 報酬を受け取って投資判断を助言する:投資助言・代理業の登録が関わります。無料の配信から始まり、途中で「VIPプラン」「個別指導」として料金を取る形はここに入りやすい
  • 投資の判断を任されて代わりに運用する:投資運用業の登録が関わります。「口座のIDとパスワードを預けてくれればAIで回す」という誘いはこの類型に近い
  • FXや暗号資産の取引そのものを受け付ける:取引の種類に応じて金融商品取引業や暗号資産交換業の登録が必要です

金融庁が警告を出した無登録業者の一覧を読むと、AIを名前に使ったサービスは珍しくありません。令和8年4月から5月に掲載された分だけでも、名称に「AI」を含むサービスを提供し、投資顧問契約にもとづいてSNS等で投資助言をしていたとして警告を受けたものが複数あります。古い掲載分には、自動売買ソフトを買った人が特定の業者での口座開設を指示されたり、口座のIDとパスワードを知らせるよう求められたり、投資判断を他社に任せる書面への署名を求められたりした、という情報も載っています。

無料のツールを受け取っただけなら、すぐに法的な問題が生じるわけではありません。気をつけたいのは、その後に有料プランや運用の委託、指定口座への入金へ話が進むときです。

金融庁の2つのデータで名前を調べる手順

手順1 登録を受けた業者かどうかを調べる

金融庁の「金融事業者一括検索」を開き、グループやツールの案内に出てくる会社名を入力します。金融庁の説明では、名称のほか電話番号でも検索できます。見つかった場合は、登録の種類(投資助言・代理業、第一種金融商品取引業、暗号資産交換業など)と、案内されている業務が合っているかを見てください。

手順2 無登録業者として警告を受けていないかを調べる

「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」のページには、PDF、Excel、HTMLの3形式で一覧があります。スマートフォンならHTML版を開き、ブラウザのページ内検索を使うのが早い方法です。PDFやExcelでアルファベットの名称を探すときは、全角と半角の両方で試すよう金融庁が注意書きをしています。

検索にかける言葉は、1つに絞らないほうが確実です。

  • 運営会社名(「株式会社」「合同会社」を外した部分も)
  • ツールやサービスの名前、アプリ名
  • グループ名や、講師が名乗っている肩書き付きの名前
  • 案内に書かれた電話番号やURLのドメイン

手順3 結果を読み違えない

結果読み方
登録業者の検索で見つかった名前を借りたなりすましの可能性が残る。公式サイトに載っている電話番号へ自分でかけて、そのグループを運営しているか確認する
警告一覧に載っていた警告の時点で無登録営業が確認された相手。入金や個人情報の提供はしない
どちらにも出てこない安全という意味ではない。金融庁自身が、掲載されていない者でも無登録営業にあたる行為をしていることがあると明記している

会社名がどこにも示されていないグループは、調べる手がかりすらありません。筆者としては、運営者名を尋ねてもはぐらかされる時点で、それ以上関わらないのが妥当だと考えます。

グループを抜けたほうがよい合図

次のどれか1つにでも当てはまったら、話を聞き続ける理由はありません。

  • 入金先として個人名義の銀行口座を指定された(金融庁は、証券会社が入金先に個人名義の口座を指定することはないとしている)
  • 証券口座や取引所を名乗る専用アプリのインストールを求められた
  • 「AIの配布枠は本日まで」「このプランは今日が最終日」と期限で急かされる
  • 元本保証や「負けない」「必ずもうかる」をうたう
  • アシスタントから個別トークに誘われ、グループでは話されない入金の話が始まった
  • 口座のIDやパスワード、本人確認書類の画像を送るよう言われた

有名人の画像を使ったバナー広告の手口について、警察庁もLINE登録へ誘導すること、「必ずもうかる」「元本保証」とうたうことを見分けるポイントに数えています。グループ内の雰囲気がどれだけ和やかでも、これらの合図の重みは変わりません。

退出する前に残す記録と、LINEでの通報

グループを抜けるとトーク履歴を見返せなくなることがあります。退出やブロックの前に、次の順で記録を残してください。

  1. グループ名、参加人数、グループのアイコンが写った画面
  2. 講師・アシスタントのアカウント名とプロフィール画面
  3. AIツールやサービスの案内、料金表、限定プランの告知(日時が分かるように)
  4. ノートやアルバムに置かれた資料、配布されたファイルやURL
  5. 個別トークでの入金指示と、指定された口座やアドレス

記録が済んだら、グループを退出し、講師やアシスタントのアカウントを通報・ブロックします。LINEの安全ガイドでは、知らない相手からのトークを通報する機能、ブロック機能、友だち以外からのメッセージ受信を拒否する機能が案内されています。退出した後に別のアカウントから個別に連絡が来ることもあるので、受信拒否の設定もしておくと安心です。

グループに入るきっかけがSNS上の広告だった場合は、金融庁の「SNS上の投資詐欺が疑われる広告等に関する情報受付窓口」に広告の内容を伝えることもできます。

入金してしまった後の窓口と、連絡する順番

最優先は、振込先の口座を止める手続きに早く乗せることです。警察庁の統計では、SNS型投資詐欺の振込型7,135件のうち5,049件(70.8%)がインターネットバンキングによる振込でした。スマホで手軽に送れる分、気づいたときには複数回に分けて送っていることもあります。

  1. 振込元・振込先の銀行へ連絡:振込日時、金額、振込先の口座情報を伝え、詐欺の疑いがあると申し出る
  2. 警察へ相談:#9110か最寄りの警察署。保存したトーク履歴と振込記録を持参する
  3. 金融庁の金融サービス利用者相談室:詐欺的な投資の相談専用ダイヤルは0570-050588で、電話は平日の日中のみ、ウェブ窓口は24時間。無登録業者についての情報提供もできる。証券取引等監視委員会の情報提供窓口(0570-00-3581)もある
  4. 消費者ホットライン188:有料プランやツール代の返金交渉、契約の解除について

暗号資産で送った場合の記録の取り方は暗号資産詐欺の証拠の残し方、出金に手数料を求められている場合は「手数料を払えば出金できる」の特徴を参考にしてください。LINEグループに招待されたときの一般的な注意点はLINEグループに招待されて投資を勧められた場合、AI自動売買の勧誘全体はAIトレード自動売買詐欺の対処法にまとめています。

よくある質問

Q. LINEグループの運営会社名を検索しても、金融庁の警告一覧に出てきません。安全と考えてよいですか?

A. 安全とは言えません。警告一覧は、警告を出した時点で無登録営業が確認できた者だけを載せたものです。登録業者の検索でも見つからないなら、登録のない相手と取引しようとしていることになります。

Q. AI自動売買ツールは無料でもらっただけです。何か問題はありますか?

A. 受け取っただけで直ちに困ることは少ないものの、その後に有料プランへの加入や口座への入金、IDとパスワードの共有を求められるなら応じないでください。配布時に氏名や電話番号を登録した場合は、別の勧誘の連絡が来ることも考えておきましょう。

Q. グループを退出したら、アシスタントから個別にメッセージが来るようになりました。

A. 返信はせず、トークを保存してから通報とブロックをしてください。LINEの設定で、友だち以外からのメッセージ受信を拒否しておくと、別アカウントからの連絡も届きにくくなります。

Q. 金融庁の警告一覧に載っている業者に払ったお金は、金融庁が取り戻してくれますか?

A. 警告は無登録営業の中止を業者に求める行政上の措置で、利用者一人ひとりの支払いを回収する仕組みは含まれていません。返金を目指すなら、振込先の銀行への連絡や警察への相談、弁護士への依頼を検討してください。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。