仮想通貨・暗号資産詐欺で損失が出た場合の返金相談方法
仮想通貨・暗号資産を使った詐欺は、偽の取引所・DeFi・NFTへの投資勧誘、ウォレット接続による資産の不正抜き取りなど多岐にわたります。 仮想通貨・暗号資産詐欺…
マッチングアプリで知り合い、LINEに移ってやり取りを続けている相手から、「AIが24時間自動で売買してくれるから、私は見ているだけで増えている」と運用画面のスクリーンショットを見せられた。口座を作れば一緒に始められると言われ、迷っている。この記事は、そうした状況にいる方と、すでに少額を入れてしまった方に向けて書いています。
最初に結論を書きます。アプリで出会った相手に言われるまま投資を始めないこと。国民生活センターも、出会いの場で知り合った人の指示による投資はやめるよう求めています。相手が見せてくる「AIの利益画面」は、その投資が実在することの証明にはなりません。迷っている段階なら、次の3つを先に済ませてください。
送金してしまった後の動き方は、後半で支払い方法ごとにまとめています。
令和7年の確定値として警察庁が公表した数字を見ると、恋愛感情を利用したSNS型の詐欺は1年で5,645件起き、被害は546.4億円に達しています。最初の接点になったツールの内訳ではマッチングアプリが1,846件と全体の32.7%を占めて首位で、被害に遭った時点の連絡ツールはLINEが5,294件(93.8%)を占めています。アプリで出会い、LINEに移ってからお金の話が始まる、という順番が数字にも表れています。
国民生活センターが相談事例から整理した流れは、おおむね次のとおりです。
「AI」が出てくる場合、2の段階で「自分で相場を読む必要はない」「設定だけしておけばAIが勝手に取引する」と説明されることが多く、投資経験のない人にも始めやすそうに見せる役割を果たしています。国民生活センターのチェックリストには、相手の特徴として「暗号資産やFXでもうけている」「副業で投資をやっている」、誘い文句として結婚資金を一緒に貯めよう、将来のために二人で資産運用しよう、という趣旨の言葉が並んでいます。AIという言葉が加わっても、話の骨組みは同じです。
相手が送ってくる運用画面や、自分のスマホに入れたアプリの残高表示は、信じてしまう一番の理由になりがちです。しかし金融庁は、証券口座を装ったスマホアプリが使われる事例として、振り込んだ額と同額が入金されたように残高が表示される、利益が出ているかのように装う、最初のうちは出金できるがまとまった金額を出そうとすると断られる、といった特徴を挙げています。
| 見せられるもの | そこから分かること | 分からないこと |
|---|---|---|
| 相手の運用画面のスクリーンショット | 画面の画像が存在すること | その数字が実際の取引の結果かどうか |
| 自分のアプリに表示される残高や利益 | 運営側がその数字を表示していること | そのお金が本当に保管・運用されているか |
| 数万円の出金ができた | 運営が少額の支払いに応じたこと | 大きな金額を出金できるか、運営が登録業者か |
| 「AIの勝率」「月利」の説明 | 相手がそう説明していること | 第三者が検証した成績かどうか |
国民生活センターの相談事例には、SNSで知り合った相手に勧められて暗号資産を投資サイトへ送り、利益の一部を出金できたので信用して40万円相当を追加したところ、出金時に「12%の税金」として約86万円の支払いを求められた、というものがあります。少額の出金が通ることは、安心材料ではなく、次の入金を促す段階だと考えておくほうが安全です。
いきなり「詐欺でしょう」と問い詰める必要はありません。次の4つは、相手に聞かなくても自分で確かめられます。
暗号資産の売買や交換を扱う業者は暗号資産交換業の登録が、FXなどを扱う業者は金融商品取引業の登録が必要です。金融庁の「金融事業者一括検索」に、アプリやサイトに書かれた会社名や電話番号を入れて検索してください。会社名がどこにも書かれていない時点で、取引の相手としては不十分です。
消費者庁は、投資資金の振込先として個人名義の口座を指定されたら、それを詐欺と位置づけて振り込まないよう呼びかけています。金融庁も、入金の際に証券会社が個人名義の銀行口座を指定することはないと明記しています。
「国内の取引所で暗号資産を買い、AIのプラットフォームのアドレスに送って」という指示は、よく見られる形です。国内の取引所が登録業者でも、送り先のプラットフォームが登録業者とは限りません。いったん送った暗号資産は、取引所に頼んでも取り消せないと考えてください。
一度も会っていないのに投資の話が具体的になっているなら、その順番自体が警戒のサインです。筆者の考えとしては、投資の話が出た時点で「会って話してから決めたい」と返し、それでも急かしてくるかどうかで判断するのが、関係を壊さずに済むいちばん穏やかな確かめ方です。急かす理由として「AIの枠が今日までしか空いていない」などと言われたら、そこで止めてください。
通報やブロックの前に、証拠を残してください。相手がアプリを退会するとプロフィールは見られなくなり、LINEのアカウントも消されることがあります。
運営への通報は、同じ相手からほかの利用者が被害を受けるのを防ぐためのものです。支払ったお金の返金手続きではない点は理解しておいてください。国民生活センターは、マッチングアプリ等は規約などのルールに従って使うよう呼びかけています。アプリによっては会員同士の金銭の要求や勧誘行為を規約で禁止しています。該当する条項があれば、その箇所も画面に残しておくと、相談のときに説明しやすくなります。
保存したデータのまとめ方は証拠の残し方で詳しく説明しています。
送金した後は、早く動くほど選べる手段が残ります。追加の入金はどんな名目でも止めてから、次の順で進めてください。
振込元の自分の銀行と、振込先の銀行の両方に連絡し、詐欺の疑いで振り込んだことを伝えます。あわせて警察にも届けてください。相手の口座が凍結まで進めば、振り込め詐欺救済法にもとづき、凍結時点の残高を被害者で分け合う手続きが始まることがあります。対象口座と申請期間は預金保険機構のサイトで公告されます。残高がほとんど残っていなければ、戻る額もその分だけ小さくなります。
送金に使った国内の取引所の履歴(日時、数量、送り先アドレス、トランザクションID)を保存し、取引所の問い合わせ窓口と警察に伝えます。警察庁の統計では、SNS型ロマンス詐欺のうち暗号資産を送信させる形の被害が2,177件と前年の約2.8倍に増えました。送り先が海外のプラットフォームだと追跡は難しく、取り戻せる見込みは低いと考えておく必要があります。記録の残し方は暗号資産詐欺の証拠の残し方を参考にしてください。
払えば出金できるという保証はありません。国民生活センターの事例では、保証金として総資産の15%を求められ、追加で借り入れまでした後に連絡が途絶えています。この名目の特徴は「税金を払えば出金できる」という要求の特徴にまとめています。
「取り戻してあげる」と連絡してくる業者や個人にも注意してください。消費者庁は、被害回復をうたう二次被害にも注意を呼びかけています。
窓口に連絡する前に、手元で次の4点を用意しておくと、状況を一度で伝えやすくなります。
恋愛と投資が組み合わさった手口の全体像はマッチングアプリで投資を勧められたら、AI自動売買をうたう勧誘の経路別の違いはAIトレード自動売買詐欺の対処法で確認できます。専門家への相談を考えている方は相談予約のページもご覧ください。
A. 少額の出金ができたことは、そのサービスが登録を受けた正規の業者である証明にはなりません。金融庁は、最初のうちは出金できるが、まとまった金額を出そうとすると断られる事例を挙げています。追加の入金は止め、運営会社名を金融庁の登録業者検索で確かめてください。
A. ストアで配信されていることは、金融庁の登録を受けていることを意味しません。金融庁は、証券口座を装ったスマホアプリや、既存の証券会社に似せた名称のアプリが使われる事例を公表しています。アプリ名ではなく、運営会社名と登録の有無で判断してください。
A. 態度の変化は、関係がお金を目的にしていた可能性を示す手がかりの一つです。引き止めのために「あと一回だけ」と入金を求められても応じず、やり取りを保存したうえで、#9110や188に状況を話してください。
A. 運営への通報は、相手のアカウントへの対応やほかの利用者の保護のためのもので、支払ったお金の返金手続きではありません。お金の取り戻しについては、振込先の銀行への連絡や警察への相談を並行して進めてください。
※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。
サイト名、サービス名、担当者名、LINE名、決済名などで確認している方は、事例パターンと証拠の残し方を分けて確認してください。個別の違法性、返金可否、削除可否、解決を断定するものではありません。
LINEで相談前チェックリストを受け取り、支払い方法・証拠・やり取りを整理できます。弁護士確認が必要なケースも確認できます。