仮想通貨・暗号資産詐欺で損失が出た場合の返金相談方法
仮想通貨・暗号資産を使った詐欺は、偽の取引所・DeFi・NFTへの投資勧誘、ウォレット接続による資産の不正抜き取りなど多岐にわたります。 仮想通貨・暗号資産詐欺…
X(旧Twitter)で「ビットコインで必ず儲かる」「月利○%を保証」といったポストを見かけたら、DMやLINEに移る前に、ポストの中に出てくる業者名・アプリ名を金融庁の公表資料で照合してください。国内で暗号資産の交換サービスを行うには登録が必要で、登録業者は広告に商号と登録番号を載せる決まりがあります。そのうえ、利益を約束して誤認させるような表示は、登録業者であっても法律で禁じられています。
この記事は、Xの投資ポストを見て気になっている人、DMで投資の話が届いた人、すでに相手の案内で入金してしまった人に向けたものです。警察庁・金融庁・国民生活センターの公表資料をもとに、ポストの段階でできる確認と、進んでしまった後の手順をまとめました。特定のアカウントや事業者を詐欺と断定する目的の記事ではありません。
2025年の1年間について警察庁がまとめた確定値によると、SNS型投資詐欺は9,523件が認知され、被害額は1,288.0億円にのぼりました。前年より件数で48.5%、金額で47.9%増えています。
当初の接触ツール別に見ると、X(Twitter)は815件で、前年から99.8%増えました。件数だけならInstagram(1,934件)やYouTube(1,229件)のほうが多いものの、Xも倍近い伸びです。ところが、だまされていた最中のやり取りに使われたツールを見ると、LINEが8,906件で9割を超えます。つまりXのポストは「入口」で、お金の話はLINEに移ってから進む流れが統計からも読み取れます。
警察庁の同じ資料は、2025年3月ごろから広告をきっかけにした被害が増えたと分析し、その中身として、有名人の写真や映像を勝手に使ったものや、「必ずもうかる」「元本保証」とうたうものがあったと記しています。SNS型投資詐欺のうち、暗号資産を送信させる形の被害は1,898件・215.5億円でした。
筆者の結論を先に書くと、Xで見た投資ポストに「必ず」「保証」の文字が1つでもあれば、その時点で入金の検討は止めてよい、というのがこの記事の立場です。理由は次の章で説明します。
金融庁は利用者向けのページで、暗号資産は国が価値を保証する法定通貨ではなく、価格が変動することがある、と繰り返し注意しています。値下がりの可能性がある以上、利益を先に約束することはできません。
資金決済法第63条の9の3は、暗号資産交換業者やその役職員に対して、次のような表示を禁じています。
登録を受けた事業者でさえ、利益を強くあおる表示はできない仕組みです。「必ず儲かる」を前面に出したポストは、正規の業者の広告としては考えにくい書き方だと言えます。
同じ法律の第63条の9の2は、交換業者が広告をするときに、商号、交換業者である旨と登録番号、暗号資産は日本円や外国通貨ではないこと、などを表示するよう定めています。Xのポストや固定ポストのリンク先に、商号も登録番号も見当たらない場合は、それ自体が確認を深めるきっかけになります。
なお、無登録で暗号資産交換業を行うことは同法第107条で3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(併科あり)の対象です。2026年7月には暗号資産の規制を金融商品取引法へ移す改正法が成立しており、公布から1年以内の施行で、無登録業への罰則は10年以下の拘禁刑へ引き上げられる予定です。
ポストやプロフィールに書かれた社名、取引所名、アプリ名、URLを、次の順に確かめます。どれもスマートフォンから確認できます。
| 確認すること | 見る場所 | 見落としやすい点 |
|---|---|---|
| 登録の有無 | 暗号資産交換業者登録一覧 | 略称やサービス名は商号と違うことがある |
| 警告の有無 | 無登録業者への警告の公表資料 | 名前を変えて出てくることがある |
| URL・アプリの本物 | 登録業者の公式サイト | 名前だけ借りた偽アプリがある |
| 勧誘者の立場 | 相手の説明と公式情報の照合 | 「担当者」「アシスタント」を名乗る個人 |
照合した画面は日付が分かる形でスクリーンショットに残しておくと、後で相談するときの材料になります。改正法の施行後は交換業者の名称が「暗号資産取引業者」に変わる予定なので、一覧の名称が変わっていても慌てず、金融庁の最新の公表資料を見てください。
Xでは、短い文章と画像で「稼げている人」の雰囲気が作られます。次のような要素は、それだけで信用の根拠にはなりません。
「今月+230万」などの損益画面は、画像を加工したり、実在しない取引画面を撮ったりして作れます。画面の数字ではなく、その人がどの登録業者で取引しているのかを確かめるほうが確実です。
フォロワーの多さやチェックマークの有無だけで、投資の勧誘者として信頼できるかは判断できません。金融庁は、SNSの投資グループの中で複数のアカウントが利益を報告して成功を演出する手口を紹介しています。リプライ欄のお礼の言葉が同じ時間帯に並んでいる場合も、同様の演出を疑う余地があります。
警察庁は被害防止のチェック項目として、「必ず」「確実」「あなただけ」と言われた、連絡先がLINEに変わった、公式アカウントからの発信がない、検索しても勧められた暗号資産や投資アプリが出てこない、などを挙げています。固定ポストのリンクからLINEやほかのチャットアプリに移るよう求められた時点で、立ち止まる合図と考えてください。
有名な投資家や経営者の写真を使ったアカウントでも、本人とは無関係のことがあります。本人の公式サイトや所属先の発表で、投資の勧誘をしていないと注意喚起しているケースもあるため、名前で検索して公式の発信を確かめるのが近道です。
すでにやり取りが進んでいても、追加の入金を止めることで被害の拡大は防げます。出金しようとしたら「税金」「手数料」「保証金」を求められた、という流れは典型的なので、「手数料を払えば出金できる」と言われたときの特徴も参考にしてください。
表示名は後から変えられるため、@IDとURLを必ずセットで残すのがポイントです。ウォレットや送信記録の残し方は暗号資産詐欺の証拠の残し方にまとめています。
送金直後の具体的な対応は仮想通貨を送金してしまった場合の対応手順でも解説しています。
相談先は内容によって使い分けます。
相談の前に、最初にポストを見た日、DMが来た日、LINEに移った日、入金した日と金額を1枚の時系列表にしておくと、話が早く進みます。表の作り方は相談前チェックリストを使ってください。同じシリーズのビットコイン投資の利益保証をめぐる経路別の注意点もあわせてどうぞ。専門家への相談を考えている場合は相談予約から受け付けています。返金や回収を約束するものではない点はご了承ください。
A. X上での報告に加えて、金融庁にはSNS上の投資詐欺が疑われる広告や投稿の情報を受け付ける窓口があります。報告によって支払ったお金が戻ってくるわけではない一方、同じポストを目にするほかの人を守る材料になります。報告の前にポストのURLと画面を保存しておきましょう。
A. 安心とは言い切れません。登録業者の名前だけを借りた偽サイトや偽アプリもあるため、一覧の代表電話番号や公式サイトから、案内されたURL・アプリが本物かを確かめてください。
A. 入金していなければ金銭の被害は出ていません。それ以上のやり取りを止め、ブロックや報告を検討してください。免許証の画像などを送ってしまった場合は、悪用に備えて警察相談専用電話(#9110)や消費者ホットライン(188)に相談しておくと安心です。
A. 暗号資産の送信は原則として取り消せず、取り戻せるかは個別の事情によります。送信記録を残したうえで、警察と、送信に使った国内の交換業者に早めに連絡してください。回収を約束して費用を求める業者には注意が必要です。
※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。
サイト名、サービス名、担当者名、LINE名、決済名などで確認している方は、事例パターンと証拠の残し方を分けて確認してください。個別の違法性、返金可否、削除可否、解決を断定するものではありません。
LINEで相談前チェックリストを受け取り、支払い方法・証拠・やり取りを整理できます。弁護士確認が必要なケースも確認できます。