メールの「ビットコインで必ず儲かる」案内|送信元の確かめ方と二次被害

「元本保証でビットコインを運用」「あなたの口座に利益が確定しました」といったメールが届いたら、本文のリンクは押さずに、差出人のアドレスと本当の送信元を確かめてください。暗号資産に関するメールには、投資の勧誘そのもののほか、登録を受けた交換業者の名前をかたってログイン情報を盗むもの、被害にあった人に「お金を取り戻せる」と持ちかけるものがあります。どのタイプでも、メールの中のリンクや電話番号を使わず、公式アプリや自分で調べた窓口から確かめるのが基本です。

この記事は、暗号資産の投資を勧めるメールを受け取った人、交換業者や公的機関を名乗るメールで不安になっている人、すでに被害にあって「返金」の案内が届いている人に向けたものです。メールを送ってきた特定の事業者を詐欺と断定するものではありません。

暗号資産がらみのメールは3つのタイプに分かれる

タイプよくある件名・文面狙われるもの
投資の勧誘「必ず値上がりする新コイン」「月利○%保証の自動運用」送金・入金
交換業者のなりすまし「ログインの確認が必要です」「出金が保留されています」ID・パスワード・認証コード
被害回復のうたい文句「被害金の返還手続きのご案内」「救済制度の対象です」手数料名目の支払い・個人情報

1つ目の勧誘メールは、SNSの広告と同じく「必ず」「保証」で関心を引きます。暗号資産は価格が変動するものであり、金融庁は利益の保証をうたう話に注意するよう呼びかけています。

2つ目は、いわゆるフィッシングです。フィッシング対策協議会の緊急情報には、国内の暗号資産交換業者の名前をかたるフィッシングがこれまでに複数回掲載されています。金融庁・消費者庁・警察庁が共同でまとめた注意喚起資料にも、取引用のパスワードが使えなくなり保有していたコインがなくなっていた、フィッシングサイトにアクセスしたと思う、という相談例が載っています。

3つ目は、一度被害にあった人をもう一度狙う、いわゆる二次被害です。後の章で詳しく扱います。

勧誘メールに共通しやすい特徴

  • 宛名がなく「お客様各位」「会員様」など、誰にでも送れる書き出しになっている
  • 登録した覚えのないサービスから「会員限定」「当選」の知らせが届く
  • 会社名は書いてあるのに、所在地・電話番号・登録番号のどれかが欠けている
  • 「本日23時59分まで」など、期限を区切って返信や登録を急がせる
  • 返信先がフリーメールや、本文の会社名と関係のないドメインになっている

登録を受けた交換業者が広告をするときは、商号と登録番号、暗号資産が日本円や外国の通貨ではないことなどを表示するよう資金決済法で定められています。これらが見当たらない案内メールは、少なくとも登録業者からの正式な広告とは考えにくいと言えます。メールの本文に書かれた会社名で検索し、出てきた公式サイトの連絡先と照らし合わせるだけでも、判断の材料はかなり増えます。

差出人とリンク先を確かめる手順

  1. 表示名ではなくアドレスを見る:差出人欄の名前は自由に設定できます。名前をタップ・クリックして、@の後ろのドメインまで表示させます。
  2. ドメインを公式サイトと比べる:交換業者を名乗るなら、金融庁の暗号資産交換業者登録一覧で商号を確かめ、その会社の公式サイトのドメインと一致するかを見ます。文字の入れ替えや、ハイフン・余計な単語が足されたドメインに注意します。
  3. リンクは押さずに行き先だけ確認する:パソコンならリンクにカーソルを合わせる、スマートフォンなら長押しでURLを表示させます。短縮URLで行き先が分からないものは開かないのが無難です。
  4. 公式アプリやブックマークから入り直す:本当に手続きが必要か知りたいときは、メールからではなく、普段使っている公式アプリか、自分で登録したブックマークからログインしてお知らせ欄を見ます。
  5. 公式サイトの注意喚起を探す:多くの交換業者は、なりすましメールの実例を公式サイトで公開しています。届いた文面と見比べる手がかりになります。

メールソフトの「ヘッダーを表示」「メッセージのソースを表示」といった機能を使うと、実際にどのサーバーから送られたかの記録を確かめられます。見慣れない表記が多くて判断が難しければ、無理に読み解こうとせず、上の1から4で十分です。

家族のメールを代わりに確かめる場合は、本人のスマートフォンで操作するより、届いたメールの画面を見せてもらいながら、公式サイトを別の端末で開いて比べると、誤ってリンクを押す心配が減ります。

メールの誘導先で入力してはいけない情報

日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)は、詐欺にあわないためのポイントとして、秘密鍵・シードフレーズ・二段階認証コードは絶対に共有しないよう呼びかけています。メールのリンク先で次の入力を求められたら、そこで閉じてください。

  • 交換業者のログインIDとパスワード
  • SMSや認証アプリに届いた6桁前後の認証コード
  • ウォレットの秘密鍵、復元用の英単語の並び(シードフレーズ)
  • 運転免許証やマイナンバーカードの画像

入力してしまったときにすぐやること

  1. 公式アプリから入り直し、パスワードを変更する(同じパスワードを使い回しているほかのサービスも)
  2. 二段階認証の設定を確認し、身に覚えのない端末が登録されていれば解除する
  3. 入出金と送信の履歴を確かめ、覚えのない取引があれば交換業者の問い合わせ窓口に連絡する
  4. シードフレーズを入力した場合は、そのウォレットは他人に操作されうる状態なので、残高の扱いを急いで検討する

ウォレットを乗っ取られた疑いがあるときの確認事項はウォレットを乗っ取られた場合の確認事項にまとめています。

被害の後に届く「お金を取り戻せます」メールに注意

投資の話でお金を失った後に、「被害金を取り戻せます」というメールが届くことがあります。消費者庁は、投資系トラブルの二次被害として次のような持ちかけを挙げています。

  • 「返金を受けるには、別の投資商品を購入する必要がある」
  • 「国の救済制度により返金を受けられる」
  • 「返金手続を代行する」

消費者庁は、被害回復を理由にお金を求められたり、新たな投資を勧められたりした場合は二次被害のおそれがあるとして、きっぱり断るよう呼びかけています。

公的機関の名前が出てきたら

国民生活センターは、同センターをかたるメールや電話について注意喚起しており、相談したことのない人に対して、お金の支払いを求めたり、何かの申請が必要だと知らせたりする連絡をすることは絶対にないとしています。実際にあった文面として、「詐欺サイトから押収したパソコンから顧客情報として登録」されたとするメールも紹介されています。こうした連絡を受けたら、相手には連絡せず、近くの消費生活センターに知らせるよう求めています。

筆者の考えでは、先に費用を払わせる「返金」の話は、どれほど公的な言葉が並んでいても応じる必要はありません。弁護士や司法書士を名乗る場合も、名乗った人の所属する弁護士会・司法書士会に登録を問い合わせ、事務所の代表番号から本人に確かめてから判断してください。

届いたメールを手がかりとして残す

勧誘メールも二次被害のメールも、相談窓口や警察に状況を伝える際の材料として役立ちます。削除する前に、次の形で残しておきます。

  • 受信トレイの一覧画面(件名・差出人・受信日時が並んだ状態)の画像
  • 本文を開いた状態の画像。リンクのURLが見えるよう、長押しで表示させた画面も
  • メールソフトの保存機能で書き出したメールのファイル(転送すると元の送信記録が変わるため、書き出しのほうが望ましい)

保存の具体的なやり方は証拠の残し方を参照してください。

情報提供の窓口

交換業者をかたるようなフィッシングらしいメールは、リンクに触れずにそのまま転送するのが報告のやり方です。転送先はフィッシング対策協議会で、アドレスは [email protected] と案内されています。フィッシングに当たらない広告宣伝の迷惑メールについては、総務省から委託を受けて一般財団法人日本データ通信協会が開いている「迷惑メール相談センター」が情報提供の受け皿です。

送金・入力の後の相談先

メールをきっかけに送金した、ログイン情報を入れてしまった、「返金」のために費用を払ってしまった、といった場合は、次の窓口に相談してください。

  • 警察:不正なログインや送金があった場合は、最寄りの警察署か#9110へ。送信記録や届いたメールを持参します。
  • 消費生活センター:188番。二次被害の持ちかけへの対応も相談できます。
  • 金融庁 金融サービス利用者相談室:0570-016811(平日10時〜17時)。詐欺的な投資の情報は0570-050588の専用ダイヤルでも受け付けています。
  • 利用している交換業者:アカウントの凍結や、不正な出金の調査を依頼します。連絡先は必ず公式アプリや公式サイトから調べます。

送金の後の流れは仮想通貨を送金してしまった場合の対応手順、ほかの経路で勧誘された場合との違いはビットコイン投資の利益保証の経路別の注意点で整理しています。専門家への相談を希望する場合は相談予約からどうぞ。返金をお約束するものではありません。

よくある質問

Q. 「ビットコインの利益が確定しました」というメールが届きました。本当に利益があるのですか?

A. 自分で口座を開いて取引した覚えがなければ、利益が生じることは考えにくいです。リンクは開かず、取引している交換業者がある場合は公式アプリから残高とお知らせを確かめてください。

Q. 交換業者を名乗るメールのリンクからログインしてしまいました。

A. すぐに公式アプリからパスワードを変え、二段階認証と入出金履歴を確かめてください。覚えのない出金があれば、交換業者の公式窓口と警察に連絡します。

Q. 国民生活センターから「返金の手続きが必要」とメールが来ました。

A. 同センターの注意喚起によると、相談歴のない人へ「○○金のため」「○○の申請が必要」といった連絡をすることはないとされています。メールには返信せず、最寄りの消費生活センター(188)に知らせてください。

Q. 返金代行を名乗る業者に手数料を払ってしまいました。どうすればよいですか?

A. 追加の支払いには応じず、やり取りと支払いの記録を残して、消費生活センターや警察に相談してください。支払い方法によっては、振込先の金融機関やカード会社への連絡も必要です。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。