Facebookで始まる豚の丸焼き詐欺|50〜60代に多い被害と家族の気づき方

親やパートナーがFacebookで知り合った相手と毎日やり取りをしていて、最近「投資で増えている」と話すようになった。あるいは自分自身がFacebookの相手に運用を勧められている。そんな50代・60代の方と、そのご家族に向けた記事です。

結論を先に書くと、SNS型投資詐欺の被害は若い世代より50代・60代に多く集まっています。警察庁の令和7年(2025年)の確定値では、被害者の年齢層は男女とも40代から60代が多数を占め、男性では60代(1,393件)と50代(1,383件)が突出していました。Facebookは投資詐欺でもロマンス詐欺でも入口のひとつになっています。数字で見た被害者像、Facebookでの近づき方、家族が気づけるサイン、そして被害後に狙われやすい「取り戻し」の勧誘まで順に説明します。

統計で見る被害者像:年代と性別

警察庁が令和8年5月に公表した資料から、SNS型投資詐欺(9,523件)の被害者を年代別に並べると次のようになります。

年代男性女性
30代483件441件
40代867件756件
50代1,383件1,176件
60代1,393件857件
70代816件454件
80代以上208件95件

性別では男性が5,463件・747.7億円、女性が4,057件・534.9億円で、件数・被害額ともに男性が約6割でした。恋愛感情を利用するSNS型ロマンス詐欺でも、男性の被害が件数・被害額の約6割を占め、年齢層は40代から60代が中心です。

この年代に被害が集まる背景として考えられること

  • 動かせる資金がある:退職金や老後の蓄えなど、まとまった額を一度に用意できる
  • 資産運用への関心が高い:新NISAなどをきっかけに投資を調べ始め、関連する広告や動画に触れる機会が増えている
  • SNSの人間関係に慣れていない:Facebookは実名で使う人が多く、相手も実名だろうと受け止めやすい
  • 話し相手を求める気持ち:子どもの独立や退職で日々の会話が減り、毎日連絡をくれる相手に心を開きやすい

いずれも統計が直接示す理由ではなく、公表された事例から読み取れる傾向です。米国でもFBIのIC3が2025年版報告で、60歳以上からの苦情が201,266件、被害額が約77億ドルと、他の年代を大きく上回ったと報告しています。

Facebookはどんな形で入口になっているか

令和7年のSNS型投資詐欺では、最初の接触ツールがFacebookだったものが822件ありました。前年より17.6%減ったものの、全体の8.6%を占めています。そのうち、DMを入口とするものは485件です。

一方、SNS型ロマンス詐欺では、DMを入口とする被害の内訳でFacebookが1,003件と、前年から約4割増えています。つまりFacebookでは、広告よりも一対一のメッセージから関係を深めていく形が目立ちます。これは、時間をかけて信頼を育てる豚の丸焼き詐欺の進み方とよく重なります。

Facebookでよく見られる近づき方

  • 共通の友達がいるように見える相手からの友達申請
  • 趣味や地域のグループに参加している人からのメッセンジャーでの声かけ
  • 海外勤務の技術者、医師、軍関係者、経営者などを名乗るプロフィール
  • 著名人の名前や写真を使った投資の広告(金融庁はFacebookやInstagramの偽広告に注意を呼びかけています)

友達申請の相手を確かめる5つの手順

Facebookは実名登録が原則のサービスですが、プロフィールに書かれた名前や経歴が本物かどうかは、運営も一つひとつ保証しているわけではありません。友達申請やメッセージが届いたら、承認や返信の前に次の点を見てください。

  1. 共通の友達を確かめる:共通の友達として表示される人に、本当にその相手を知っているか直接聞いてみる
  2. アカウントの古さを見る:プロフィール写真やカバー写真の更新履歴、投稿の始まった時期が極端に最近ではないか
  3. 写真を画像検索する:別の名前のアカウントや、モデル・医師などの紹介ページに同じ写真が使われていないか
  4. 経歴の整合性を見る:勤務先や出身校の記載と、投稿の内容や使っている言葉が食い違っていないか
  5. 会う話が出るか:近くに住んでいると言いながら会うことやビデオ通話を避け続けていないか

公開範囲を「友達のみ」にしておくと、知らない相手に家族構成や住んでいる地域を読まれにくくなり、話題づくりの材料を与えずに済みます。一つでも気になる点があれば、承認しないか、承認していてもお金や投資の話が出た時点で距離を置いてください。

家族が気づけるお金の動きのサイン

本人は「自分で判断して運用している」と感じていることが多く、周りが話を聞いても否定されがちです。そこで手がかりになるのが、会話の中身よりもお金の動きです。米国財務省 FinCEN は、金融機関向けの警告で次のような兆候を挙げています。

  • 暗号資産を使ったことのない人が、急に多額の円を暗号資産に換えようとする
  • 満期前の定期預金や保険を解約し、そのお金を暗号資産の交換業者へ送る
  • 最近知り合った相手から聞いた、高い利回りの話をしきりにする
  • 送金の期限に追われて、落ち着かない様子を見せる

日本の事例でも、警察庁のSOS47は、著名人を名乗る相手とアシスタントに勧められて合計約6,300万円を振り込んだ60代男性や、SNSで知り合った女性に暗号資産の取引アプリを勧められて1億円以上をだまし取られた70代男性の例を紹介しています。

このほか、郵便物に見慣れない暗号資産交換業者からの案内が届く、ネットバンキングの振込限度額を引き上げた、スマートフォンを家族に見せたがらなくなった、といった変化も目安になります。

本人と話すときの進め方

「だまされている」と正面から言うと、相手をかばって話が止まってしまうことがよくあります。犯人側も、家族に話すと反対されるから内緒にするようにと先回りしている場合があるためです。次の順番で進めると、話し合いが続きやすくなります。

  1. 責めずに聞く:いつ、どこで知り合い、何にいくら入れたのかを、メモを取りながら聞く
  2. 一緒に調べる:勧められた運用サイトの運営会社が、金融庁の登録業者を検索できるサイトで見つかるかを一緒に確かめる
  3. 出金を急がせない:「試しに全額引き出してみて」と勧めると、税金や手数料の名目で追加の支払いを求められることがあります。出金の手続きより先に相談窓口へ
  4. 第三者の言葉を借りる:本人と一緒に、警察の相談ダイヤル #9110 か188(消費者ホットライン)に電話をかける

本人が話を聞き入れなくても、振込先の口座や送金の記録を把握しておけば、あとで手続きを進めるときに役立ちます。

銀行の声かけを「止めてもらう機会」に

警察庁によると、令和7年末の時点で47の警察本部と847の金融機関が、詐欺被害のおそれが高い取引を検知したときに警察へ迅速に情報を伝える連携体制をとっています。窓口やネットバンキングで送金の目的を尋ねられたり、取引を一時的に止められたりするのは、この仕組みの一部です。本人が「投資だから問題ない」と答えて押し切ってしまう前に、家族から「銀行に聞かれたら正直に話してみて」と伝えておくと、立ち止まるきっかけになります。

被害のあとに来る「取り戻します」という勧誘

被害に気づいたあとは、「詐欺の被害金を回収できる」とうたう連絡や広告に注意が必要です。FBIのIC3は2025年版報告で、被害回復をうたうリカバリー詐欺の苦情を10,516件、報告被害額を約14億ドルとしています。年代別では60歳以上が2,529件と最も多く、被害額も約5.4億ドルと際立っていました。

国内でも、詐欺の被害に遭った人に向けて返金や回収を持ちかける勧誘は珍しくありません。ここで覚えておきたいのは、弁護士法により、弁護士や弁護士法人でない者が報酬を得る目的で他人の法律事件について交渉などを業として行うことは禁じられている、という点です。

  • 「着手金を払えば全額戻る」と約束する
  • 公的機関や金融庁、警察と連携していると名乗る
  • 調査費や手数料を暗号資産や電子マネーで求める

このような連絡には応じず、自分で調べた連絡先の窓口に相談してください。

すでに送金してしまった場合の連絡先

  • 振込先の金融機関:詐欺の可能性を伝え、口座の凍結を依頼する。残高があれば、法律にもとづく分配の対象になりえます
  • 暗号資産交換業者:送った日時、数量、送付先アドレスを伝える
  • 警察:最寄りの警察署で被害を届け出る。相談だけなら #9110
  • 金融庁:詐欺的な投資の相談ダイヤル(0570-050588、受付は平日の日中)

同じテーマの別の入口については、LINEグループでの段階別の見分け方と豚の丸焼き詐欺の意味と由来にまとめています。記録の整理は証拠の残し方、ご家族からの相談も相談予約で受け付けています。ここで挙げた手続きのどれを使っても、お金が戻るとは限りません。

よくある質問

Q. Facebookで知り合った海外在住の人に投資を勧められています。豚の丸焼き詐欺でしょうか?

A. 会ったことのない相手から投資を勧められ、専用のサイトやアプリに入金するよう案内されているなら、その可能性を考えてください。運営会社が金融庁に登録されているかを確かめ、入金の前に #9110 や 188 に相談してください。

Q. 親が投資をやめてくれません。家族が代わりに相談してもよいですか?

A. 家族からの相談も受け付けている窓口があります。警察や消費生活センターには、分かる範囲の経緯と送金の記録を持って相談してください。本人の同意がなくても、状況を整理しておくことは無駄になりません。

Q. 被害金を回収できるという会社から連絡がありました。頼んでも大丈夫ですか?

A. 注意してください。FBIは回収をうたうリカバリー詐欺の被害が60歳以上に多いと報告しています。弁護士でない者が報酬目的で交渉を業として行うことは弁護士法で禁じられています。自分で調べた窓口に相談してください。

Q. 年代によって狙われ方は違いますか?

A. 警察庁の統計では、SNS型投資詐欺は男女とも40代から60代が中心で、男性は50代・60代が特に多くなっています。まとまった資金を持つ年代が狙われやすいと考えられ、年齢を問わず同じ注意が必要です。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。