海外組織が関わるLINE投資グループ|振込先が日本人名義の口座になる理由

LINEの投資グループで「このアシスタントの口座に入金してください」と日本人の個人名が書かれた口座を案内され、「海外の組織が関わっていると聞いたのに、なぜ日本人の名前なのか」と疑問を持った方に向けた記事です。

結論から言うと、グループで話している相手と、振込先の口座の名義人は別人であることがほとんどです。この種の詐欺は、勧誘する役、グループを盛り上げる役、お金を受け取って動かす役などに分かれた組織的な分業で行われていると、日米の公的機関が説明しています。振込先の名義は、売買されたり、だまされて貸し出されたりした口座である場合があります。分業の仕組み、振り込んだあとに急ぐこと、そして自分の口座が使われる側にならないための注意点を整理します。

なお、報道や検索では「中国系組織」という言葉が使われることがありますが、関与する人の国籍はさまざまで、日本人も含まれます。この記事では、特定の国や民族をひとくくりにせず、公的機関が公表した事実に沿って説明します。

LINE投資グループの裏側にある分業

金融庁は、LINEのグループの中で犯人たちが複数のアカウントを使い、投資が成功しているそぶりを見せて参加者を入金に向かわせるケースがあると注意喚起しています。グループでは次のような役割が見られます。

役割グループでの見え方
講師・先生銘柄や売買のタイミングを指示する
アシスタント口座開設や入金方法を個別に案内する
参加者(サクラ)利益の報告や感謝のメッセージを次々に投稿する
口座の名義人グループには現れず、振込先としてだけ名前が出る

米国財務省 FinCEN は2026年9月の警告で、こうした投資詐欺の多くは東南アジアを中心とする国際的な犯罪組織が運営する拠点から行われ、資金洗浄のサービスを売り買いするオンラインの市場や、AIを使ったソフトウェアなど、広い「支援の仕組み」に支えられていると指摘しています。グループの画面に見えているのは、その一部にすぎません。

日本の警察が検挙している人たちの役割

令和7年(2025年)について警察庁がまとめた確定値では、SNS型投資・ロマンス詐欺の検挙件数が630件、検挙人員は397人で、前年から大きく増えました。役割別では、だまし取ったお金や物を受け取る「受け子」が103人と最も多く、主犯とされる者は87人でした。

受け子などとして検挙された304人が加わった経緯は、SNSからの応募が119人(39.1%)、知人などからの紹介が115人(37.8%)です。つまり、日本国内で求人や知人の誘いに応じた人が、組織の末端として使われている実態があります。

警察庁は、SNS型投資・ロマンス詐欺で検挙した外国人は125人で、役割は受け子と出し子が約6割を占めたとも公表しています。外国人の国籍は複数にわたり、検挙人員397人のうち約7割は外国人以外が占めています。「外国人が相手だから気をつける」ではなく、「知らない相手が指定する口座に送らない」という基準で判断することが大切です。

振込先が日本人の個人名義になる理由

グループのアシスタントが指定する口座が、会社名ではなく個人名、それも入金のたびに違う名前になっている。このような状況の背景には、口座の売買や貸し借りがあると考えられます。

  • 口座の売買:お金に困った人や、SNSの「口座を買い取ります」という誘いに応じた人の口座が組織に渡る
  • だまされた貸し出し:「副業の報酬の受け取りに使う」「税金対策で名義を借りたい」などと言われて口座情報を渡してしまう
  • 闇バイトとしての応募:SNSの「口座を使うだけの簡単な仕事」といった募集に応じ、通帳やキャッシュカードを送ってしまう

全国地方銀行協会は、口座の売買・譲渡・レンタルは犯罪による収益の移転防止に関する法律に基づく処罰の対象になると案内しています。さらに、詐欺に使われた口座の名義人は、ほかに持っている口座まで止められたり、今後新しい口座を開けなくなったりするおそれがあるとも説明しています。

金融庁の注意喚起でも、LINEグループで個人名義の口座へ入金するよう指示されるケースが挙げられています。正規の登録業者が、取引の入金先として個人名義の口座を指定することは通常考えにくいため、この一点だけでも手を止める理由になります。

入金先を案内されたときの確かめ方

  • 案内された取引サイトの運営会社名と、振込先の名義が一致しているか
  • 運営会社が、金融庁の登録業者を調べる「金融事業者一括検索」で見つかるか
  • 「今回だけ別の担当者の口座に」「システム移行中のため」など、名義が変わる理由が毎回違っていないか

どれか一つでも合わなければ、入金をやめて、画面を保存したうえで相談窓口に連絡してください。

個人名義の口座に振り込んでしまったら

振り込んだ先が国内の金融機関の口座であれば、まだ手を打てる余地があります。お金は時間とともに別の口座や暗号資産に移されていくため、次の順に、できるだけ早く動いてください。

  1. 振込先の金融機関に連絡する:振込の控えを手元に置き、金融機関名、支店名、口座番号、名義、振込日時、金額を伝え、詐欺の可能性があるので口座を止めてほしいと依頼する
  2. 警察に届け出る:最寄りの警察署に被害を相談する。金融機関が口座を凍結する判断材料にもなります
  3. 公告を確かめる:止められた口座の情報は預金保険機構の公告ページに載り、残高があれば被害者への分配の手続きに進みます

振り込め詐欺救済法の手続きでは、分配されるのは凍結の時点で口座に残っていたお金が上限です。全額が戻るとは限らない点を知ったうえで、早めに連絡することが大切です。お金が海外へ流れた場合の手続きや限界は、海外にお金が流れたときの回収の手続きで詳しく説明しています。

名義人の名前が分かっても、自分で連絡しないほうがよい理由

振込先の名義が分かると、「この人に直接連絡してお金を返してもらおう」と考える方もいます。気持ちは自然ですが、次の理由からおすすめできません。

  • 名義人が実際の犯人とは限らない:口座を売っただけの人、だまされて貸した人、すでに連絡がつかない人など、事情はさまざまです
  • 組織側に動きが伝わる:名義人から組織に連絡が行くと、口座に残っているお金が先に移されてしまうおそれがあります
  • 別のトラブルを招く:住所を調べて訪ねる、SNSで名前をさらすといった行動は、相手が無関係だった場合に名誉毀損などの問題になりかねません

名義人への請求を考えるなら、口座の凍結を先に済ませ、そのうえで弁護士に相談するのが順序です。弁護士は、弁護士会を通じた照会などの制度を使って、口座の情報を調べられる場合があります。自分で動くより、手元の記録を整えて専門家に渡すほうが、結果として早く進むことが多いでしょう。

また、ネット上には「名義人を特定して回収します」とうたう業者の広告もあります。弁護士でない業者が報酬を得て返金交渉を引き受けることは弁護士法で制限されているため、依頼先は慎重に選んでください。

グループから抜ける前に残しておく手がかり

組織的な詐欺では、グループの管理者やアカウントがすぐに消されます。退出したりブロックしたりする前に、次の画面を保存してください。

  • グループ名、参加人数、メンバー一覧の画面
  • 講師とアシスタントのプロフィール画面とLINEのID
  • 口座番号や名義が書かれたメッセージ(画像で送られてきた場合はその画像も)
  • 入金を促す発言と、利益を報告する参加者の発言(日時が分かる形で)
  • 案内された取引サイトやアプリのURL、ログイン後の残高画面

画像で送られてきた口座情報は、あとから送信が取り消されて消えることもあるため、届いた時点で保存しておくのが確実です。口座名義が入金のたびに違う場合は、日付・名義・金額を一覧にしておくと、警察や金融機関に説明しやすくなります。保存のしかたは証拠の残し方を参考にしてください。

グループ内で「口座を貸して」と頼まれたら

しばらくグループにいると、「出金の手続きを早めるために、あなたの口座で一時的に受け取ってほしい」「受け取ったお金を指定の口座に移してくれたら報酬を出す」と頼まれることがあります。これは、別の被害者のお金を受け取って動かす役を担わされる流れです。

頼みに応じると、自分がだまされている側であっても、口座の不正利用に関わったとして口座を止められたり、事情を聞かれたりする可能性があります。警察庁の統計で、受け子などの4割近くがSNSの募集に応じて加わっていたことを思い出してください。口座情報、キャッシュカード、ネットバンキングのログイン情報は、どんな理由があっても他人に渡さないのが原則です。

すでに頼みに応じてしまった場合は、ひとりで抱えずに早めに警察に相談してください。相談の流れは相談の流れ、状況の整理は相談予約からお手伝いします。どの手続きでも、返金や結果を約束することはできません。

よくある質問

Q. LINEグループの講師は外国人のようですが、振込先は日本人名義でした。どういうことですか?

A. 話している相手と口座の名義人が別人であることは珍しくありません。売買された口座や、だまされて貸し出された口座が使われている場合があります。名義が誰であっても、振り込んでしまったのなら、受取側の銀行と警察への連絡を急いでください。

Q. 口座の名義人を訴えればお金は戻りますか?

A. 名義人に請求できる場合もありますが、名義人自身に資力がないことも多く、回収できるかは事情によります。まずは振り込め詐欺救済法の手続きで口座を凍結してもらい、そのうえで弁護士に相談して判断するのが現実的です。

Q. 「海外の組織だから警察は動かない」と言われました。本当ですか?

A. そうとは限りません。警察庁は、振込先口座の名義人や受け子など、国内で役割を担った者の検挙を進めており、令和7年はSNS型投資・ロマンス詐欺で397人を検挙しています。被害を届け出ることが捜査の手がかりになります。

Q. グループの人に「口座を貸せば報酬を払う」と言われました。どうすればよいですか?

A. 応じないでください。口座の売買や貸し出しは犯罪収益移転防止法で処罰の対象になり、自分名義のほかの口座が凍結されることもあります。すでに応じてしまった場合は、早めに警察に相談してください。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。