インスタのDMでコロナ給付金の案内|身分証や口座情報を送った後の対処

インスタグラムで見知らぬアカウントからDMが届き、「給付金の対象に選ばれました」「本人確認のため身分証と口座を送ってください」と案内された。言われるままに写真やフォームで情報を送ってしまい、あとから不安になった。この記事は、その段階にいる方のためのものです。

こうした場面で大切なのは、送ってしまった情報の種類によって、連絡すべき先と急ぐ度合いが違うという点です。暗証番号やネットバンキングのパスワードは分単位で悪用されうる一方、口座番号だけならお金を引き出されることは通常ありません。まず手元の送信履歴を見て、何を送ったかを書き出すところから始めてください。そのうえで、下の表の順に連絡していきます。

インスタのDMで届く「給付金の案内」の特徴

インスタグラムのDMは、フォローしていない相手からも「メッセージリクエスト」として届きます。給付金をかたる案内には、次のような特徴が重なっていることがあります。

  • 役所や支援団体らしい名前・ロゴを使ったアカウント名で、投稿数が少ない、または作られたばかり
  • 「抽選で選ばれた」「対象者に個別にお知らせしている」と、選ばれた感を強調する
  • プロフィールのリンクや短縮URLから、外部のフォームやLINEに誘導する
  • 「本人確認」の名目で、身分証の表裏、身分証を持った自撮り写真、通帳の写真を求める
  • 「今日中」「残り枠わずか」と、期限を短く区切る

国や自治体の給付金で、インスタグラムのDMを使って個別に申請を受け付ける仕組みは、公表資料では確認できません。中小企業庁は、SNSなどを通じて補助金・助成金の案内を個別に送ることはなく、キャッシュカードやマイナンバーカードを預かることもないと呼びかけています。

送ってしまった情報別:連絡先と急ぐ順番

送った情報に応じて、上から順に対応してください。複数送っている場合は、表の上にあるものを先に片付けます。

送った情報起こりうること最初の連絡先
キャッシュカードの暗証番号、ネットバンキングのIDとパスワード預金の引き出し・送金口座のある金融機関の紛失・盗難窓口(24時間対応の番号があることが多い)。パスワードはすぐ変更
カード番号と有効期限、裏面の3桁の数字不正利用カード会社。カードの利用停止と再発行を依頼
インスタグラムや他のSNSのパスワード、認証コードアカウントの乗っ取り、知人への同じ勧誘各サービスでパスワード変更と2段階認証の設定。乗っ取られていたらサービスの復旧手続き
マイナンバーカードの表裏の画像番号や記載事項を使ったなりすましマイナンバー総合フリーダイヤル(0120-95-0178)に状況を伝えて対応を確認。警察にも相談
運転免許証・保険証などの画像、自撮り写真なりすましによる契約・口座開設警察相談専用電話 #9110。心当たりのない契約の通知や請求書が届いたら、発行元に「申し込んでいない」と伝える
口座番号・名義だけ口座を詐欺の振込先に悪用される、心当たりのない入金金融機関に、情報を送ってしまったことを伝える

マイナンバー総合フリーダイヤルでは、カードの紛失・盗難時の一時利用停止を24時間365日受け付けています(音声ガイダンス2番)。画像を送っただけでカードが手元にある場合にどの手続きが適切かは、状況によって異なるため、電話で経緯を説明して案内を受けてください。

知り合いのアカウントから届いた場合も油断しない

給付金の案内が、フォローし合っている友人や家族のアカウントから届くこともあります。この場合、相手のアカウントがすでに乗っ取られていて、登録されているフォロワーに同じ文面が一斉に送られている可能性があります。

見分けるには、インスタグラム以外の手段で本人に確かめるのが確実です。電話や別のメッセージアプリで「給付金のDMを送った?」と聞いてください。DMの中で「本当にあなた?」と尋ねても、乗っ取った側が本人のふりをして答えるだけです。本人が送っていなかった場合は、その人にアカウントの復旧手続きを勧め、共通の知人にも注意を伝えると被害の広がりを抑えられます。

自分が受け取ったDMのリンクを開いてログイン画面が表示されたときは、そこにパスワードを入力しないでください。インスタグラムのログイン画面に見せかけた偽のページで、入力したパスワードが盗まれ、今度はあなたのアカウントから同じDMが送られる流れになりがちです。

「口座を貸して」「カードを送って」と言われた場合

DMのやり取りが進むと、「給付金を受け取るための専用口座を作ってほしい」「振り込まれたお金を指定先に送金してくれれば謝礼を払う」「確認のためキャッシュカードを郵送して」と求められることがあります。これは給付金の手続きではなく、あなたの口座を他人の犯罪収益の受け皿として使う流れにつながる可能性があります。

口座を売る、譲る、貸すといった行為について、全国地方銀行協会は「犯罪行為」であり、犯罪収益移転防止法による処罰の対象になると説明しています。「少しの間だけ貸す」「謝礼はいらない」という形でも、他人に口座を使わせる行為そのものが問題になりうると考えてください。警察庁によると、同法は令和8年に改正され、預貯金通帳の不正譲渡等に対する罰則の引上げと、「送金犯罪」に関する罰則の創設が、2026年7月10日から施行されています。

すでにカードを送った、口座の情報を渡してしまったという場合は、金融機関に連絡して口座の利用を止めてもらい、警察にも経緯を伝えてください。見覚えのない入金があっても、指示どおりに送金したり引き出したりしないことが重要です。

DMのやり取りを記録として残す方法

相手のアカウントは、通報や発覚を察して短時間で削除されることがあります。削除されるとDMの画面から相手の情報が消えてしまうため、連絡先への対応と並行して、早めに記録を取ってください。

  1. ユーザーネームを控える:表示名ではなく「@」から始まるユーザーネームをメモします。表示名は変えられますが、ユーザーネームは相手を特定する手がかりになります。
  2. プロフィール画面を保存する:アイコン、投稿数、フォロワー数、プロフィール文、リンクが写るようにスクリーンショットを撮ります。
  3. DMを最初から最後まで保存する:相手の最初のメッセージから順に撮影します。画面収録機能でスクロールしながら録画すると、抜けが出にくくなります。
  4. 誘導先を保存する:フォームのURL、入力した画面、LINEのアカウント名などを記録します。
  5. 自分が送ったものを一覧にする:送った画像、入力した項目、送った日時を書き出します。上の表の対応でもそのまま使えます。

記録を取り終えてから、相手のアカウントをアプリ上で報告し、ブロックしてください。保存の注意点は証拠の残し方、手元で確認できる項目はチェックリストにもまとめています。

お金も払ってしまった場合の手続き

個人情報に加えて「受け取り手数料」「本人確認費用」などを払ってしまった場合は、支払い方法に応じた手続きも同時に進めます。情報流出への対応と支払いの取り戻しは窓口が別々なので、どちらか一方で終わらせず、両方を並行して進めることを意識してください。

  • 口座への振込:振込先の口座情報を金融機関と警察に伝え、口座の凍結を求めます。凍結口座に残高があれば、振り込め詐欺救済法に基づき、預金保険機構のサイトで公告されたうえで分配の手続きが行われる場合があります。
  • 電子マネーのカード番号を送った:購入時のレシートとカード番号を手元に置いて、発行会社に連絡します。
  • カード決済:カード会社に、不正利用や詐欺的な請求として相談します。上の表の情報流出への対応とあわせて伝えると手続きが一度で済みます。

支払ったお金の取り戻しを業者に依頼する際は、「必ず全額戻る」とうたう勧誘に注意してください。被害に遭った人を狙う二次被害の手口については返金詐欺・二次被害の記事で解説しています。

相談先と、伝えるときのポイント

相談先は、目的ごとに次のように分けると整理しやすくなります。

  • 警察相談専用電話 #9110 または最寄りの警察署:身分証や口座情報を送った経緯の相談、被害届の相談
  • 消費者ホットライン 188:手数料などを払ってしまった場合の相談
  • 金融機関・カード会社:口座やカードの停止、不正利用の確認
  • マイナンバーカードの相談:0120-95-0178(マイナンバー総合フリーダイヤル)

どの窓口でも、「いつ」「どのアカウントから」「何を送ったか」「お金を払ったか」の4点を最初に伝えると、必要な手続きを案内してもらいやすくなります。上の表をもとに作った一覧をそのまま読み上げれば足ります。インスタグラム以外のSNSで同じ案内を受けた場合の見分け方はコロナ給付金詐欺の見分け方、個別の相談を希望する場合は相談予約をご利用ください。

よくある質問

Q. インスタのDMで給付金の本人確認として免許証の写真を送りました。まず何をすればいいですか?

A. 送った日時と相手のユーザーネームを控えたうえで、警察相談専用電話#9110に経緯を伝えてください。暗証番号やパスワードも送っている場合は、そちらの停止・変更を先に済ませます。免許証の画像だけで預金が引き出されることは通常ありませんが、なりすまし契約に使われる可能性はあります。

Q. 口座番号を教えただけでもお金を取られますか?

A. 口座番号と名義だけで預金を引き出すことは通常できません。ただし、口座が詐欺の振込先として悪用されたり、見覚えのない入金が起きたりすることがあります。金融機関に情報を送ってしまったことを伝え、心当たりのない入金があっても動かさないでください。

Q. マイナンバーカードの画像を送りました。カードは手元にありますが、停止すべきですか?

A. マイナンバー総合フリーダイヤル(0120-95-0178)で、画像を送った経緯を説明して対応を確認してください。紛失・盗難時の一時利用停止は24時間365日受け付けています。あわせて警察にも相談しておくと安心です。

Q. 相手のアカウントが消えてしまいました。もう相談できませんか?

A. 相談はできます。ユーザーネームのメモ、DMのスクリーンショット、送金記録などが残っていれば手がかりになります。記録が少ない場合も、覚えている内容を日時順に書き出して警察や消費生活センターに相談してください。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。