仮想通貨・暗号資産詐欺で損失が出た場合の返金相談方法
仮想通貨・暗号資産を使った詐欺は、偽の取引所・DeFi・NFTへの投資勧誘、ウォレット接続による資産の不正抜き取りなど多岐にわたります。 仮想通貨・暗号資産詐欺…
「近く大手取引所に上場するコインを、今なら上場前の価格で買える」。こうした誘いを受けたら、支払いの前にそのコインを国内の登録業者が実際に扱っているかを金融庁の資料で確かめてください。金融庁の暗号資産交換業者登録一覧には、業者ごとに「取り扱う暗号資産」が書かれています。一覧に名前のないコインを、登録のない業者やその担当者から直接買う取引は、値段の根拠も売却の手段も確かめようがありません。
この記事は、セミナーやSNS、知人経由で「上場予定」「プレセール」「先行販売」のコインを勧められた人と、すでに購入代金を支払ってしまった人に向けたものです。上場前の販売をすべて否定するものではなく、国内の制度で確かめられることと確かめられないことを分けて整理します。
未上場コインの話で最初に確かめるのは、次の3点です。どれか1つでも答えがあいまいなら、支払いは止めておくのが無難です。
とくに「上場が決まっているので値下がりしない」「上場日に数倍になる」という説明は、将来の値動きを確実なものとして語っています。暗号資産は価格が変動し、急落して損をする可能性があると金融庁は登録一覧の注意書きで明記しています。
国内でも、取引所を通じて新しいトークンを販売するIEOと呼ばれる方法があります。この場合、申込みは登録業者の口座にログインし、その業者のサービス画面の中で行います。担当者を名乗る人の個人口座へ振り込む、LINEで申込書を送る、見知らぬサイトのウォレットに送金するといった流れは、国内のIEOの申込み方法とは異なります。「プレセール」「エアドロップ枠」と呼び方を変えていても、支払い先が登録業者の管理する口座かどうかを基準に考えると判断しやすくなります。
金融庁が公表している暗号資産交換業者登録一覧(令和8年9月1日現在で全27業者)には、登録番号・商号・本店所在地・代表電話番号に加えて、業者ごとの「取り扱う暗号資産」が並んでいます。BTC(ビットコイン)やETH(イーサリアム)のような広く知られた銘柄から、特定の業者だけが扱う国内発行のトークンまで、表記は業者によってまちまちです。
一覧の注意書きには、掲載された暗号資産は業者の説明に基づいて資金決済法上の定義に当たることを確認したにすぎず、金融庁・財務局が価値を保証したり推奨したりするものではない、と書かれています。一覧に載ったから安全、という読み方はできません。逆に、載っていない銘柄を「日本で認可待ち」「金融庁の審査中」と説明されても、それを裏づける公表資料は通常ありません。
国内の取引所が新しい銘柄を扱い始めるときは、日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)のサイトにも「新規取扱銘柄のお知らせ」が掲載されています。上場予定と言われた時期にこうした告知が出ているかも、手がかりの一つになります。
金融庁は、無登録で暗号資産交換業を行っていた者に警告書を出した場合、その名称を国内業者と海外所在業者に分けて公表しています。国内業者の資料(令和8年9月の閲覧時点で3件)のうち2件は、令和5年4月の掲載で、オンラインセミナーなどを通じて暗号資産交換業を行っていたものとされ、備考欄には「当時上場予定の暗号資産」を購入したとの情報が寄せられている旨が書かれています。
この資料からわかるのは、「上場予定の銘柄を先に売る」という形の販売が、実際に無登録営業として警告の対象になった例があるということです。一方で、資料の留意事項には、掲載されていない者でも無登録で同様の行為をしていることがあり得ると書かれています。勧誘してきた人の名前が資料に見つからなくても、それだけで安心材料にはなりません。
| 勧誘の言い方 | 確かめる資料 |
|---|---|
| 「登録業者経由なので安全」 | 登録一覧の商号・代表電話番号と、実際の振込先・連絡先の一致 |
| 「上場日が決まっている」 | 上場先とされる取引所の公式告知、JVCEAの新規取扱銘柄のお知らせ |
| 「セミナー参加者限定の価格」 | 販売者が登録を受けているか、無登録業者の警告資料 |
2026年7月に成立した金融商品取引法と資金決済法の改正法では、暗号資産の取引に関する規制を資金決済法から金融商品取引法へ移し、今の暗号資産交換業者は「暗号資産取引業者」という名前で金融商品取引業の中に位置づけられます。金融庁の法案説明資料によると、この部分の施行は公布から1年以内とされています。
未上場コインの勧誘に関係が深いのは、次の点です。
いずれも施行後の話で、施行前に結んだ取引へどう及ぶかは個別の判断になります。すでに支払った人は、改正を待たずに下の手順で相談を始めてください。
未上場コインの代金は、銀行振込、暗号資産での送付、カード決済などさまざまな方法で求められます。支払い方法によって取れる手段が変わるため、まず自分がどの方法で払ったかを整理します。
振込先の金融機関と警察に早めに連絡してください。振り込め詐欺救済法では、犯罪に使われた疑いのある預金口座を金融機関が凍結し、残っている資金を被害者へ分配する手続きが定められています。口座から資金が移される前に動くほど、残高が残っている可能性は高くなります。
ブロックチェーン上の送付は、送った側の操作では取り消せません。送付に使った国内取引所の出庫履歴、送付先アドレス、トランザクションID(TXID)を保存し、取引所のサポートと警察に伝えます。記録の残し方はウォレットアドレス・トランザクション履歴の残し方にまとめています。
カード会社に連絡し、請求内容に疑義があることを伝えます。決済代行業者を経由していると明細の名義が販売者名と違うことがあるため、明細の表記もそのまま控えておきます。
どの方法でも、「上場が遅れているので追加の手数料が必要」「コインを受け取るには税金を先に払う必要がある」といった追加の支払い要求には応じないでください。出金や受け取りを口実にした請求の特徴は「手数料を払えば出金できる」の特徴で取り上げています。
未上場コインの販売が無登録営業にあたるかどうかの情報は、金融庁の金融サービス利用者相談室が受け付けています。詐欺的な投資に関する相談ダイヤルは0570-050588(平日10時〜17時、IP電話は03-6206-6066)です。勧誘や契約の進め方に疑問があるときは消費者ホットライン188、だまし取られた疑いが強いときは警察相談専用電話#9110や最寄りの警察署へ相談します。
相談の前に、次の情報を1枚のメモにしておくと話が早く進みます。
証拠の保存方法は証拠の残し方で解説しています。弁護士に相談する場合は、法テラス(0570-078374)で費用の立替制度を確認できます。当サイトの相談予約も利用できますが、返金の結果を約束するものではありません。
A. 国内の登録業者が新しい暗号資産を扱い始めるときは、業者の公式サイトで告知され、JVCEAのサイトにも会員の「新規取扱銘柄のお知らせ」が載ります。販売の方法も含め、勧誘者の説明ではなく業者自身の公式情報で確かめてください。
A. 一覧は業者の説明に基づいて法律上の暗号資産に当たることを確認したものにすぎず、金融庁は価値の保証や推奨をしていないと明記しています。値下がりのリスクは残りますし、勧誘者がその業者と関係があるかどうかも別に確かめる必要があります。
A. 銀行振込で払った場合は、振込先の金融機関と警察へすぐ連絡してください。口座の凍結が間に合えば、振り込め詐欺救済法の手続きで残高が分配される可能性があります。暗号資産で送った場合は、送付記録を保存して取引所と警察に伝えます。
A. 2026年成立の改正法では、取引業者が扱っていない暗号資産を無登録業者が売り付けた場合の民事効を原則無効とする規定が設けられますが、施行は公布から1年以内とされ、施行前の取引への適用は個別の判断です。弁護士に契約内容を見てもらってください。
※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。
サイト名、サービス名、担当者名、LINE名、決済名などで確認している方は、事例パターンと証拠の残し方を分けて確認してください。個別の違法性、返金可否、削除可否、解決を断定するものではありません。
LINEで相談前チェックリストを受け取り、支払い方法・証拠・やり取りを整理できます。弁護士確認が必要なケースも確認できます。