友人に紹介された暗号資産の取引所・投資話|紹介報酬型の注意点と解約

「この取引所で増えている」「一緒にやれば紹介料も入る」。友人や知人から暗号資産の話を持ちかけられると、知らない人からの勧誘より警戒がゆるみがちです。けれども国民生活センターは、友人や知人からの誘いをきっかけにした暗号資産のトラブルを繰り返し取り上げており、人間関係と投資の判断は切り離して考えるよう呼びかけています。

この記事は、友人に紹介された取引所や投資サービスを使うか迷っている人と、すでにお金を払ってしまった人に向けたものです。紹介されたものの正体を確かめる手順、「人を紹介すると報酬が出る」仕組みに関わる法律、断り方、解約と返金を求めるときの動き方を順に説明します。友人を責めるための記事ではなく、自分と友人の両方の被害を広げないための整理として読んでください。

知人経由の暗号資産トラブルに見られる形

国民生活センターに寄せられた暗号資産の相談は、2023年度8,498件、2024年度7,261件、2025年度8,132件でした(PIO-NETに登録された件数)。同センターが紹介している事例には、知人経由のものが目立ちます。

  • 20歳代の男性が、知人が参加する副業グループの話を聞きに行き、グループが売る自動売買ソフトとグループへの参加を申し込んだ。代金として約50万円分の暗号資産を買って海外の送付先へ送ったが、ソフトを使ってももうからない。紹介料の話も聞いていた(2023年5月受付)
  • 職場の同僚にAIが暗号資産に投資するシステムを勧められ、手元資金がないと言うと消費者金融2社で借りるよう指示された。借りた60万円を同僚に手渡し、最初はスマホで運用画面を見られたが、やがてログインできなくなり、同僚とも連絡が取れなくなった(2021年12月受付・20歳代)
  • 知人から儲かると言われて暗号資産の投資を始めたが、口座から出金できない。追加で入金すれば出金できると言われている

共通しているのは、紹介されたのが「取引所」そのものではなく、取引所で買った暗号資産を送らせる先の運用サービスや自動売買ツール、会員制グループだという点です。国内の登録業者で口座を開くところまでは正規の手続きでも、その先の送り先の実態は分からない、という形がよくあります。

紹介されたものを自分で確かめる手順

友人の説明や、友人から転送された資料だけで判断しないことが大切です。次の点を自分で確かめてください。

  1. 何にお金を払うのかを言葉にする:取引所の口座開設なのか、ソフトの購入なのか、グループの会費なのか、暗号資産を「預ける」運用なのか。答えがあいまいなら、その時点で保留にします。
  2. お金が最終的にどこへ行くかを聞く:国内の取引所で買った暗号資産を、海外のサイトや個人のアドレスへ送る流れなら要注意です。
  3. 運営者を公的な情報で確かめる:暗号資産の売買・交換を扱う業者なら、金融庁の暗号資産交換業者登録一覧に商号が載っているかを見ます。一覧にない名前なら、登録を受けていない業者から警告を受けた先の資料にも目を通してください。
  4. 契約書面を求める:説明がLINEのメッセージや口頭だけで、事業者名・住所・解約方法を書いた書面が出てこないなら、契約は見送ります。

「友人が実際に出金できた」という話も判断材料にはなりにくいものです。最初の少額だけ出金させて信用させ、その後の大きな入金で出金できなくなる流れは、国民生活センターや日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)が典型的な手口として紹介しています。

「紹介すると報酬」の仕組みに関わる法律

人を誘えば報酬が入る仕組みには、主に二つの法律が関わってきます。どちらに当たるかは個別の事情で変わるため、ここでは考え方だけを示します。

特定商取引法の連鎖販売取引(マルチ商法)

特定商取引法第33条は、商品や役務の販売の事業で、ほかの人を勧誘すれば利益(特定利益)が得られると言って誘い、入会金や商品代などの負担(特定負担)を伴う取引を「連鎖販売取引」と定めています。暗号資産の自動売買ソフトや投資スクールの会員権を「紹介料つき」で売る形は、これに当たる可能性があります。当たる場合、次の権利があります。

  • クーリング・オフ(第40条):法定の契約書面を受け取った日(再販売する商品の引渡しがそれより後ならその日)から20日以内なら、書面または電磁的記録で無条件に解除できます。解除について事実と違う説明をされたり、脅されて困惑したりして20日のうちに解除できなかったときは、改めて書面を受け取った日から数え直します。
  • 中途解約(第40条の2):20日を過ぎた後でも、将来に向かって契約を解除できます。

無限連鎖講防止法(ねずみ講)

後から加入した人が出したお金から、先に加入した人が自分の出した額を上回る配当を受け取る仕組みは、無限連鎖講防止法が禁じる「無限連鎖講」に当たる可能性があります。同法は開設・運営だけでなく、加入することや加入を勧誘することも禁じ、勧誘した人にも罰金を定めています。「友人を誘えば元が取れる」という説明を受けたら、この点を思い出してください。

その場で決めない・角を立てずに断る

国民生活センターは、友人や知人からの勧誘で断りにくくても、必要のない契約ははっきり断るよう勧めています。さらに、自分が新たな勧誘者になって友人を誘うと、相手をトラブルに巻き込んだり人間関係のトラブルになったりすることもあると注意しています。

断るときは、理由を長く説明しないほうが話がこじれにくくなります。

  • 「お金のことは家族と決めているので、この場では返事しない」
  • 「契約書面をもらって、消費生活センターに聞いてから考える」
  • 「投資はしないと決めている」

説明会やカフェに呼ばれた場合は、その場でスマホから入金や送付をしないことを自分のルールにしてください。「今日だけの枠」「今入らないと損」と急がされるほど、いったん持ち帰る価値があります。友人本人も勧誘の仕組みを理解しないまま誘っていることがあるため、責めるより「自分は調べてから決める」と伝えるほうが関係を保ちやすいでしょう。

お金を払ってしまった後の進め方

すでに払った場合は、次の順で動いてください。

  1. 追加の入金を止める:「出金には手数料が必要」「紹介者を増やせば出金できる」と言われても応じません。
  2. 記録をまとめる:紹介された日時と場所、友人や説明者とのメッセージ、受け取った資料、支払いの記録(振込明細、取引所の購入・送付履歴、カード明細)を時系列に並べます。
  3. 解除・解約を書面で通知する:連鎖販売取引に当たる可能性がある場合、クーリング・オフや中途解約は書面や電磁的記録で通知します。送った日と内容が残る方法を選び、控えを保管します。
  4. 支払い手段ごとに連絡する:銀行振込なら振込元の銀行へ、カード払いならカード会社へ、取引所から暗号資産を送ったなら取引所の公式窓口へ経緯を伝えます。
  5. 公的な窓口に相談する:下の相談先へ。事業者が連絡に応じない場合も、相談の記録が後の手続きの助けになります。

支払いのために借金をした場合も、一人で返済計画を立てる前に相談してください。出金を口実にした追加請求の典型は出金手数料を請求される手口で、配当を後から入った人のお金でまかなう仕組みについては仮想通貨のポンジスキームの見分け方でも説明しています。

自分も誰かを誘ってしまったとき

紹介料につられて、自分も家族や友人を誘ってしまった人もいるはずです。その場合は、次のことを早めに進めてください。

  • これ以上の勧誘をやめ、グループ内で勧誘を求められても応じない
  • 誘った相手に、自分も仕組みを確かめられていないことを正直に伝え、追加の入金を止めるよう話す
  • 誘った相手とのやり取りも消さずに残す

勧誘した側が法的な責任を問われるかどうかは、仕組みの中身や勧誘のしかたによって変わります。自分だけで判断せず、消費生活センターや弁護士に経緯をそのまま話してください。被害を受けた側でもあり、勧誘した側でもあるという立場は珍しくありません。

相談先

まず解約やクーリング・オフの相談なら188、投資勧誘そのものの相談なら金融庁、だまし取られた疑いや脅しがあれば警察、と使い分けると話が通りやすくなります。

  1. 188(消費者ホットライン)に電話すると、住んでいる地域の消費生活センターを案内されます。マルチ商法の解約や書面の書き方も相談できます。
  2. 金融庁の詐欺的な投資に関する相談ダイヤルには、固定電話や携帯電話からなら0570-050588、IP電話からなら03-6206-6066でかけられます。受付は平日の10時から17時です。
  3. #9110は警察の相談窓口です。紹介者や運営者と連絡がつかない、返金を求めたら脅された、といった場合に使います。

相談の前にそろえるものは相談前チェックリストに、手続き全体の流れは返金相談の流れにまとめています。

よくある質問

Q. 友人に紹介された取引所が金融庁の登録一覧に載っていました。それなら安心ですか?

A. 取引所自体が登録業者でも、そこで買った暗号資産を送る先の運用サービスや自動売買ツールが別物なら、登録一覧では確かめられません。お金が最終的にどこへ行くのかを確認してください。

Q. 友人から紹介された暗号資産の自動売買ソフトを買いました。クーリング・オフはできますか?

A. 紹介料が出る仕組みで売られたソフトなら、特定商取引法のマルチ商法(連鎖販売取引)として扱われることがあります。その場合、書面の受領から20日以内はクーリング・オフ、過ぎた後も中途解約の定めがあります。当たるかどうかは個別の判断になるため、188で消費生活センターに相談してください。

Q. 紹介してくれた友人も出金できていないようです。どうすればいいですか?

A. 友人も被害を受けている可能性があります。追加の入金をお互いに止め、それぞれの記録を残したうえで、一緒に消費生活センターや警察に相談するのが現実的です。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。