出会い系の「完全無料」表示は問題ない?景品表示法と特商法から見る注意点

「完全無料」「登録も利用も0円」と大きく書かれた出会い系サイトに登録したのに、使っているうちに料金を求められた。その表示は問題にならないのか、と疑問を持った人に向けた記事です。

答えを先にまとめます。事業者の広告表示には複数の法律がかかっています。景品表示法は、取引条件を実際より著しく有利に見せる表示(有利誤認表示)を禁じ、特定商取引法は、ネットで有料サービスを売る広告に料金や事業者名などの表示を義務付け、誇大な広告を禁じています。出会い系サイトの広告には、さらに児童の利用禁止を明示する義務もあります。ただし、表示が法律に反するかどうかを最終的に判断するのは行政や裁判所で、違反があっても自動的にお金が戻るわけではありません。この記事では、表示を読むときの着眼点と、表示に疑問があるときに使える制度・窓口を整理します。

「完全無料」の表示にかかわる3つの法律

出会い系サイトの「無料」表示に関係する法律は、主に三つあります。目的も、違反したときの扱いもそれぞれ違います。

法律表示についての主なルール違反への対応
景品表示法価格その他の取引条件を、実際より著しく有利だと一般消費者に誤認させる表示の禁止(第5条第2号)消費者庁などによる措置命令(第7条)、課徴金納付命令(第8条)
特定商取引法(通信販売)広告への表示義務(第11条)、誇大広告の禁止(第12条)、申込み画面の表示義務(第12条の6)行政処分。申込み画面の表示違反で誤認した場合は取消し(第15条の4)
出会い系サイト規制法広告や宣伝で、児童(18歳未満)が利用してはならない旨を明らかにする(第10条第1項)公安委員会による指示など

このうち「完全無料」という言葉と直接ぶつかりやすいのは、景品表示法の有利誤認と、特定商取引法の誇大広告の禁止です。

景品表示法の「有利誤認」とは何か

消費者庁は、有利誤認表示を「商品・サービスの取引条件について、実際よりも有利であると偽って宣伝したり、競争業者よりも特に安いわけでもないのに、あたかも著しく安いかのように偽って宣伝する行為」と説明しています。故意ではなく誤って表示した場合でも規制の対象になる、とも明記されています。

消費者庁が示している「無料」表示の例

消費者庁のインターネット広告に関する解説には、出会い系サイトの判断にも通じる具体例が載っています。情報提供サイトで、60分以上利用した場合に限って30分無料になるのに、条件を示さず単に「30分無料」と表示し、何の条件もなく無料で使えるかのように見せる場合です。同じ解説では、「送料無料」と強調しつつ、無料になる地域の条件を見落としやすい小さなリンク先にだけ書く例も挙げています。

また、同庁の「消費者向け電子商取引における表示についての景品表示法上の問題点と留意事項」は、ネットの情報提供サービスでは有料か無料かの情報が特に重要だとして、料金がかかるなら有料である旨を正確かつ明りょうに表示する必要があるとしています。

出会い系サイトの表示に当てはめると

次のような表示は、有利誤認にあたるかどうかが問題になりうる例です(該当するかの判断は個別の事情によります)。

  • トップに「完全無料」と大きく書き、メッセージ送信や連絡先の表示にポイント購入が必要なことは利用規約の奥にしか書いていない
  • 「無料」の条件(登録特典の範囲、期間、対象の機能)を、強調表示から離れた場所に小さく書いている
  • 「ずっと無料」とうたいながら、一定の回数や期間を過ぎると料金がかかる仕組みになっている

特定商取引法が求める広告の表示と誇大広告の禁止

ネット上で有料のサービスを売る広告は、特定商取引法の「通信販売」の広告にあたり、次の事項を表示することが求められます(第11条)。消費者庁の特定商取引法ガイドでも、広告に表示すべき事項として「事業者の氏名(名称)、住所、電話番号」などが挙げられています。

  • 役務の対価(ポイントの価格など)
  • 対価の支払時期と支払方法
  • 役務の提供時期
  • 申込みの期間に定めがあるときは、その内容
  • 申込みの撤回・解除に関する事項
  • 事業者の氏名(名称)、住所、電話番号など(主務省令で定める事項)

これらは多くのサイトで「特定商取引法に基づく表記」というページにまとめて載っています。「完全無料」をうたうサイトに、ポイントの価格や支払方法を記したこの表記がある場合、少なくとも「どこかで料金が発生する」ことを事業者自身が示していることになります。登録前にこのページを開くのが、最も手早い確認方法です。

誇大広告の禁止

第12条は、役務の内容や申込みの撤回・解除に関する事項などについて、著しく事実に相違する表示や、実際より著しく優良・有利だと誤認させる表示を禁じています。景品表示法と重なる部分がありますが、こちらは通信販売の広告に絞ったルールです。

出会い系サイトに特有の表示

出会い系サイト規制法の対象となる事業者は、広告や宣伝で、18歳未満は利用できない旨を明らかにしなければなりません(第10条第1項)。「完全無料」を強調する一方で、この表示が見当たらない広告は、表示のルール全般への配慮が足りていない可能性があると考えてよいでしょう。

表示に疑問を感じたときの確認と記録

表示に疑問を感じたら、登録やポイント購入の前後で次の点を確かめ、画面を保存しておいてください。後から表示が書き換えられることもあるため、日付の分かる形で残すのが大切です。

確認する場所見る点残し方
広告・トップページ「無料」の文字の大きさと位置、条件がどこに書かれているか画面全体が入るスクリーンショット。URLと日時も
特定商取引法に基づく表記事業者名・住所・電話番号、ポイントの価格、支払方法、解約の条件ページ全体を保存(スクロールして複数枚)
料金表・利用規約どの行動に何ポイントかかるか、無料の範囲の条件該当箇所と、ページの更新日
ポイント購入の最終確認画面分量・金額・支払方法が一覧で出ているか、ボタンの文言購入ボタンを押す直前の画面

消費者庁の解説は、ネット広告では表示内容を簡単に変えられるため、情報の更新日が表示されていないといつの時点の内容か分かりにくい、という問題も指摘しています。自分で日時つきの記録を取っておくことが、後で表示と実際の違いを説明する材料になります。記録の取り方は出会い系トラブルの証拠の残し方を参考にしてください。

表示が違法でも返金されるとは限らない理由

ここは誤解が多いところです。景品表示法は事業者に対する行政上のルールで、消費者個人に「表示が違法だから契約を取り消せる」という権利を直接与えてはいません。違反が認められた場合に出るのは、措置命令(表示の差止めや再発防止)や課徴金納付命令です。課徴金の額は対象期間の売上額に3%を掛けた額が基本ですが(第8条第1項)、国に納めるもので、利用者への返金ではありません。このほか、適格消費者団体が不当な表示の差止めを求める制度があります(第34条)。

払ったお金について個人が使える可能性がある手段は、別の法律にあります。

  • 消費者契約法第4条:勧誘の際に重要事項について事実と異なることを告げられた(第1項第1号)、利益になる点だけを告げられ不利益な事実を故意または重大な過失で告げられなかった(第2項)などで誤認して申し込んだ場合の取消し。追認できる時から1年、契約から5年で時効(第7条)
  • 特定商取引法第15条の4:申込み画面(最終確認画面)の表示義務違反や誤認させる表示で誤認して申し込んだ場合の取消し

どちらも当てはまるかは事情によって判断が分かれ、使えば必ず返金されるものではありません。表示の問題として消費者庁に知らせることと、自分のお金の問題として消費生活センターに相談することは、分けて考えると整理しやすくなります。

表示の問題を知らせる先と、お金の相談先

連絡先は目的によって分かれます。表示を正してほしいのか、自分が払ったお金について相談したいのかで窓口が違うため、次の表で選んでください。両方に当てはまるなら、両方に連絡してかまいません。

目的窓口伝えること
表示そのものの問題を知らせたい消費者庁「景品表示法に関する情報提供・相談の受付窓口」サイト名、URL、問題だと思う表示の内容、確認した日時
払ったお金や請求について相談したい消費者ホットライン188(最寄りの消費生活センター)登録日、支払額と方法、表示のスクリーンショット、やり取りの記録
脅迫的な請求や、お金をだまし取られた疑い警察相談専用電話 #9110請求の文面、相手の連絡先、支払いの記録

消費者庁は、景品表示法違反の疑いがある表示の情報提供を、オンラインのフォームや郵送・電話で受け付けています。この窓口は違反の疑いを知らせるためのもので、払ったお金の返金を仲介する窓口としては案内されていません。お金の問題は188に相談してください。窓口での伝え方は消費生活センターへの相談の流れで説明しています。

「無料」から料金が発生するまでの仕組みそのものを知りたい人は出会い系の「無料登録」から高額課金になる仕組み、無料ポイントが尽きて有料に切り替わる画面の見方は無料ポイントはどこまで無料かを参照してください。

よくある質問

Q. 「完全無料」と書いてある出会い系サイトで料金を請求されたら、その表示は違法ですか?

A. 無料の範囲や条件を示さず、実際には有料の利用が前提になっているような表示は、景品表示法の有利誤認表示や特定商取引法の誇大広告にあたるかが問題になりえます。ただし違反かどうかは、表示の全体や条件の書き方などを踏まえて行政などが判断するもので、個人が断定できるものではありません。

Q. 景品表示法違反が認められたら、払ったお金は戻ってきますか?

A. 景品表示法の措置命令や課徴金は事業者に対する行政処分で、課徴金は国庫に納められます。個人の返金は、消費者契約法第4条や特定商取引法第15条の4の取消しなど、別の制度で考えることになります。188に相談してください。

Q. 「特定商取引法に基づく表記」が見当たらないサイトは使わないほうがいいですか?

A. 有料のサービスをネットで売る事業者には、事業者名・住所・電話番号や料金などを広告に表示する義務があります(特定商取引法第11条)。表記が見つからない、住所や電話番号が書かれていない場合は、トラブルになったときの連絡先が確かめられないため、登録や購入を控えるのが無難です。

Q. 表示の問題を消費者庁に知らせたら、個別に解決してもらえますか?

A. 景品表示法の情報提供窓口は、違反の疑いがある表示を知らせるための窓口として案内されており、返金の仲介を受け付ける窓口ではありません。お金の問題は消費者ホットライン188に相談してください。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。