出会い系の無料登録後に届く請求メール|架空請求と高額請求の見分け方

出会い系サイトに無料のつもりで登録した後、「未払いの利用料金があります」「本日中に連絡がなければ法的手続きに移ります」といったメールが届くことがあります。結論から言うと、届いたその場で支払ったり、メールにある番号へ電話したりするのは避けてください。まず、そのメールが(1)身に覚えのない請求なのか、(2)自分が登録したサイトでの有料利用分とされるものなのか、(3)裁判所や弁護士を名乗る通知なのかを分けて考えると、次に何をすればよいかが見えてきます。

この記事は、無料登録の直後から請求メールが届いて不安になっている人、すでに一部を払ってしまった人に向けて、国民生活センターや裁判所が公表している情報をもとに、見分け方と対処の順番を整理したものです。登録のきっかけ(SNS・マッチングアプリなど)別の注意点は出会い系無料登録後の請求の全体像にまとめています。

登録後に届く請求メールは3つの型に分けて考える

請求メールの文面はさまざまですが、対処の仕方で分けると次の3つにおおむね整理できます。自分に届いたメールがどれに近いかを先に確かめておくと、焦って連絡してしまうのを防ぎやすくなります。

型よくある文面最初にすること
A:覚えのない利用料の請求「有料サイトの利用料金が未納」「延滞金が加算されます」返信・電話をせず、メールを保存する
B:登録したサイト内で発生したとされる料金「ポイント不足分の精算」「退会手続き未完了のため料金が発生」規約・料金表・自分の操作履歴を確かめる
C:裁判所・弁護士・公的機関を名乗る通知「支払督促」「訴訟最終通知」「財産差押え予告」記載の連絡先ではなく、自分で調べた正規の窓口に確認する

型Aは、いわゆる架空請求です。国民生活センターは、架空請求の請求手段が電子メール、SMS、ハガキなど多様で、支払い方法も口座振込だけでなく、プリペイドカードや、相手が伝えた「支払番号」でコンビニのレジから支払わせる方法などさまざまだと説明しています。同センターのPIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)には、2026年度分だけで5月31日時点までに架空請求の相談が1,056件登録されています(前年同期1,156件、消費生活センター等からの経由相談を含まない数字)。

型Bは、実際に登録したサイトから届くため、本物の請求と見分けがつきにくいのが難しいところです。型Cは、型AやBの請求を「裁判」「差押え」という言葉で後押しするために使われることがあります。ひとつのメールに複数の型が混ざっていることもあるので、表はあくまで目安として使ってください。

身に覚えのない請求メールで、してはいけない3つのこと

型Aに当てはまるとき、まず避けたいのは次の3つです。

  1. 返信する・記載の番号に電話する:連絡した時点で、そのアドレスや電話番号が使われていると相手に伝わります。国民生活センターの事例には、電話でオペレーターに名前や住所を伝えてしまったという相談も並んでいます。
  2. メール内のリンクから「退会」「異議申し立て」をする:リンク先で氏名や電話番号の入力を求められ、かえって個人情報を渡すことになりかねません。
  3. 電子マネーを買って番号を伝える:国民生活センターは2024年4月の注意喚起で、コンビニ等で電子マネーカードを買わせて番号を教えさせる方法について、身に覚えのない請求に言われるまま支払ってはいけないと呼びかけています。

不明な点があれば、メールに書かれた連絡先ではなく、事業者の本来の連絡先を自分で調べて問い合わせる、というのが国民生活センターのアドバイスです。登録したサイトが実在するなら、そのサイトの公式ページに載っている問い合わせ窓口を使います。

同じような請求メールが繰り返し届くなら、迷惑メール相談センター(一般財団法人日本データ通信協会が運営)への情報提供も選択肢です。削除する前に、本文と受信日時、送信元アドレスが分かる画面を残しておくと、あとで相談するときに役立ちます。保存のやり方は証拠の残し方を参考にしてください。

登録したサイトからの請求なら、約束の中身を先に確かめる

型Bのように、実際に登録したサイトから「ポイント代の精算」などを求められた場合は、無視する前に、自分が何に同意したのかを確かめる作業が必要です。確認したいのは次の点です。

  • 登録時に「無料」とされていた範囲(登録だけが無料なのか、メッセージの閲覧・送信も無料なのか)
  • 有料に切り替わる条件と、1回あたりの料金
  • ポイントを買うときの最終確認画面に、金額と支払い時期が表示されていたか
  • 「退会しないと料金が発生する」といった定めが規約のどこに書かれているか

インターネットでの通信販売について、特定商取引法は広告に販売価格や支払いの時期・方法などを表示するよう定めています。さらに、ネット上で申込みを受ける際の最終確認画面にも、価格や支払時期、申込みの撤回・解除に関する事項などを表示するよう求めており(同法第12条の6)、表示がなかったり事実と異なる表示があったりしたために誤認して申し込んだ場合には、申込みの取消しが認められる場合があります(同法第15条の4)。消費者庁の「特定商取引法ガイド」に要点がまとまっています。

「押したつもりはない」ときに関係する法律

画面を操作しているうちに有料の申込みになっていた、という場合には、電子消費者契約法(電子消費者契約に関する民法の特例に関する法律)第3条が関係することがあります。申込みの意思がなかった、または別の内容のつもりで送信したという錯誤があり、事業者側が申込み内容を確認する画面を設けていなかったときは、消費者に重大な過失があっても錯誤による取消しを主張できるとする特例です。ただし、確認画面が用意されていた場合などは対象外になります。

どちらも、実際の画面がどうなっていたかが判断の材料になります。サイトの表示が変わったり、アカウントが消されたりする前に、料金表・規約・購入履歴の画面を保存しておきましょう。

「裁判所」「弁護士」を名乗るメールや書面の確かめ方

裁判所は、裁判所の職員を名乗ったり、裁判所と関係があるかのような団体名を使ったりする不審な郵便物・電子メール・SNSメッセージ・電話について、公式サイトで具体例を公開しています。電子メールの例には、次のようなものが載っています。

  • 簡易裁判所の書記官を名乗り、「支払督促発付通知」というPDFファイルを添付したメール
  • 「東京第一審裁判所」管轄の訴訟対象案件だとして、電子コンテンツ利用料20万円の未払いを告げるメール
  • 「特別起訴通告書」と題し、給料の差押えや個人情報の公開をほのめかしてURLへのアクセスを求めるメール

郵便物の例としては、封筒に「特別送達」と書いてあるのに、実際には普通郵便(速達)で届いたケースも紹介されています。「民事訴訟管理センター」「日本民事保全協会」といった、公的機関のように見える名称のハガキも挙げられています。

確かめ方の基本は、書面やメールに書かれた電話番号には連絡せず、裁判所のウェブサイトにある「各地の裁判所の所在地・電話番号等一覧」で自分で調べた番号に問い合わせることです。一方で、本物の裁判所の手続きを放置すると不利になるおそれがあるため、「どうせ偽物だろう」と一律に捨ててしまうのも避けたいところです。判断がつかないときは、書面を持って消費生活センターや弁護士に見せるのが確実です。

すでに払った・連絡してしまったときの動き方

請求に応じて支払ってしまった場合でも、支払い方法によっては動ける余地があります。大切なのは、追加の支払いを止めたうえで、できるだけ早く決済にかかわった会社へ連絡することです。

支払い方法連絡先知っておきたいこと
クレジットカードカード会社2か月以上の後払いとなる分割払い・リボ払いで一定額以上の取引なら、販売側とのトラブルを理由に支払いを止めるよう求める「支払停止の抗弁」の対象になりえます。東京都の解説では、4万円以上(リボ払いは3万8千円以上)の取引が対象で、翌月1回払いは割賦販売法の適用外とされています。
銀行振込振込先の銀行・警察振込先口座に残っているお金は、振り込め詐欺救済法に基づき被害回復分配金として支払われる可能性があると金融庁が案内しています。
電子マネー・ギフトカードカードの発行会社・警察国民生活センターは、取り戻すのは非常に困難としつつ、早急に発行会社へ連絡し、警察にも届け出るよう勧めています。

電話やメールで名前・住所を伝えてしまった場合は、その後に届く連絡に一切応じず、何を伝えたかをメモしておきましょう。「今なら手数料だけで記録を消せる」「返金手続きをする」といった二度目の連絡が来ることもあります。電子マネーで払ってしまったケースの細かな手順は電子マネーで支払った詐欺被害の対応、カード払いの流れはチャージバックの解説も参考になります。

相談先と、相談の前にそろえておくもの

どの型か判断がつかない、すでに払ってしまった、という場合は一人で抱えずに相談してください。主な窓口は次のとおりです。

  • 消費者ホットライン「188」:最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等を案内してくれる全国共通の番号です。
  • 警察相談専用電話「#9110」:払ったお金がだまし取られたのではと感じるとき、差押えや家族への連絡をほのめかす脅しが止まらないときに。
  • 迷惑メール相談センター:迷惑メールそのものの情報提供先として。

相談の前に次のものを手元にそろえておくと、話が早く進みます。

  1. 届いた請求メール(本文・送信元アドレス・受信日時が分かる画面)
  2. 登録したサイトの名前・URLと、登録した日
  3. 「無料」と書かれていた広告やページの画面
  4. 規約・料金表の画面と、ポイント購入の履歴
  5. 支払った場合は、カード明細・振込控え・電子マネーのレシート
  6. 電話で話した場合は、日時と相手の名乗り、伝えた内容のメモ

当サイトの相談予約でも状況の整理をお手伝いしています。相談したからといって返金が決まるわけではありませんが、届いた請求メールをどう扱えばよいかの判断材料は整理できます。

よくある質問

Q. 出会い系サイトを退会したのに「退会手続きが完了していないため料金が発生している」とメールが来ました。

A. まず、退会したときの完了画面や完了メールが残っていないか探してください。退会の手順と料金の定めは規約に書かれているはずなので、その部分も保存します。メールのリンクから再手続きするのは避け、サイトの公式ページの問い合わせ窓口を使うか、判断がつかなければ消費生活センター(188)に相談してください。

Q. 請求メールに書かれた番号に電話してしまいました。どうすればいいですか。

A. それ以上の連絡には応じず、何を話したか、どんな個人情報を伝えたかをメモしておきましょう。その番号からの着信は出ないようにし、支払いを求められても応じないでください。脅すような連絡が続く場合は警察相談専用電話(#9110)に相談できます。

Q. 無視していたら本当に裁判を起こされることはありますか。

A. 裁判所は、裁判所や職員を名乗る不審なメール・郵便物の例を公式サイトで公開しています。本物かどうかは、書面にある番号ではなく裁判所サイトの一覧で調べた番号に問い合わせて確かめてください。本物の裁判所の書類を放置すると不利になるおそれがあるので、判断に迷うものは捨てずに消費生活センターや弁護士に見せるのが安全です。

Q. 登録に使ったメールアドレスは変えたほうがいいですか。

A. 迷惑メールが止まらない場合は、受信拒否の設定やアドレスの変更を検討してよいでしょう。ただ、アドレスを消す前に、請求メールや登録時のメールを保存しておいてください。相談や返金の交渉で、いつ何が届いたかを示す材料になります。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。