仮想通貨・暗号資産詐欺で損失が出た場合の返金相談方法
仮想通貨・暗号資産を使った詐欺は、偽の取引所・DeFi・NFTへの投資勧誘、ウォレット接続による資産の不正抜き取りなど多岐にわたります。 仮想通貨・暗号資産詐欺…
「DeFiプロジェクトのサポート担当です」「ウォレットに未受取の報酬があります」といった電話で、12語や24語の英単語(シードフレーズ、リカバリーフレーズ)を読み上げるよう言われたら、その場で通話を終えてください。シードフレーズを知っている人は、そのウォレットの資産を持ち主と同じように動かせます。正規のウォレット提供者やプロジェクトが電話で聞いてくることはありません。
ウォレットアプリのMetaMaskは、公式ヘルプで「MetaMaskがシードフレーズの提供を求めることはない」「サポートを名乗る人物に求められても共有しない」と明記しています。日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)も、秘密鍵やリカバリーフレーズの入力を求める誘導を詐欺の手口として挙げています。この記事は、電話でDeFiやウォレットの手続きを持ちかけられた人と、すでにフレーズを伝えたり画面を見せたりしてしまった人に向けて、次に取る行動を順番に説明します。
電話を使った誘導は、相手のペースで話が進み、考える時間を奪われやすいのが特徴です。DeFiに関係する電話なら、たとえば次のような切り出し方が考えられます。
電話番号は、SNSやチャットで先に聞き出されている場合があり、電話の前にメッセージで「担当者から連絡が行きます」と予告されることもあります。警察庁の統計(令和7年・確定値)では、特殊詐欺の当初接触ツールは電話が約8割を占め、犯行に使われた電話番号のうち国際電話番号が75.5%に達しました。これは特殊詐欺全体の数字ですが、見知らぬ番号、とくに海外の番号からの「手続き」の電話を疑ってかかる根拠にはなります。
シードフレーズは、ウォレットを別の端末で復元するための「親鍵」のようなものです。これを知った人は、自分の端末で同じウォレットを復元し、中の資産を好きな宛先へ送れます。
偽サイトでトークンの使用許可を出した場合は、許可を取り消せば以後の引き出しを止められる余地があります。シードフレーズの場合はそうはいきません。フレーズそのものを変更する方法はなく、同じフレーズから作られたすべてのアカウント、すべてのチェーンの資産が相手の手の届く範囲に入ります。
フレーズを伝えたのに残高が変わらないと、「大丈夫だったのでは」と思いがちです。しかし、相手が入金を待ってから一度に抜く、別の資産が届くのを待つ、といった可能性もあります。残高が残っているうちに移すことが何より大切です。
「最初の6語だけ」「メモの写真を送って」と言われる場合もあります。一部だけでも残りの語を推測される余地が生まれますし、写真は全文を渡すのと同じです。どの形でも第三者に見せない、と決めておいてください。
相手はもっともらしい理由を用意しています。よく聞かれる説明を、公式情報と並べてみます。
| 電話で言われること | 実際のところ |
|---|---|
| 本人確認のためにフレーズを読み上げてほしい | フレーズは本人確認に使うものではありません。MetaMaskは提供を求めることはないとしています。 |
| サポート用のアプリを入れれば、こちらで直せる | 遠隔操作アプリを入れると、相手があなたの端末を操作できるようになります。警察庁は、遠隔操作ソフトの導入でアカウントの乗っ取りや不正送金の被害に遭うおそれがあると注意しています。 |
| 今日中に手続きしないと資産が凍結される | 期限で急がせるのは、確認の時間を与えないための典型的な話法です。 |
| この番号は公式のサポートダイヤル | 表示された番号や相手が告げる番号は、公式である根拠になりません。公式サイトを自分で開き、問い合わせ方法を確認します。 |
自分からかけ直す場合も、相手が教えた番号ではなく、公式サイトやアプリ内に書かれた窓口を使ってください。検索結果の上位に出る「サポート窓口」のページや広告が公式を装った偽物である可能性もあるため、ブックマーク済みの公式サイトかアプリの中から問い合わせ先をたどるのが確実です。
時間との勝負になります。次の順番で進めてください。
資産の移動が終わったら、何時何分に何を伝えたか、どの資産がいつ動いたかをメモにします。ブロックエクスプローラーでアドレスを検索すると、送金の日時と送り先が確認できます。
資産を移したあとは、新しいシードフレーズの扱い方を決めておくことが再発防止になります。次の4つを自分のルールにしてください。
DeFiの世界には、銀行のように「本人確認をすればパスワードを再発行してくれる」窓口がありません。MetaMaskも、アクセスを失ったウォレットを復旧することはできないと説明しています。だからこそ、フレーズを知っているのは自分だけ、という状態を保つことが、いちばん確かな守り方です。
電話は証拠が残りにくい手段です。できる範囲で次のものを残しておくと、相談の際に状況を伝えやすくなります。
相手の番号に自分から折り返すのは避けてください。通話料がかかる番号の場合があるほか、「まだ話を聞く人」だと判断されて連絡が続くことがあります。パソコンの画面に偽の警告が出て電話をかけた、という流れであれば、IPA(情報処理推進機構)の安心相談窓口が偽警告の閉じ方や対処を案内しています。記録の整理のしかたは証拠の残し方を参考にしてください。
シードフレーズを伝えて資産が動いた場合は、警察に相談してください。#9110の警察相談専用電話に加えて、警察庁が設けたサイバー事案のオンライン窓口でも受け付けています。契約や勧誘の経緯について整理したいときは消費者ホットライン188が使えます。暗号資産の交換業者の口座から送金していた場合は、その交換業者の問い合わせ窓口にも経緯を伝えておきましょう。
被害のあとには、「警察の依頼で調査している」「失った暗号資産を取り戻せる」という電話がかかってくることがあります。前払いの費用を求めたり、再びシードフレーズや本人確認書類を求めたりする連絡には応じないでください。公的機関が電話でシードフレーズを聞くことはありません。被害届までの段取りは暗号資産の被害で警察に行く前に、ウォレットを乗っ取られたときの確認点はウォレットを乗っ取られた場合の確認事項にあります。当サイトでの相談は相談予約からどうぞ。
A. 様子見はおすすめしません。相手がいつ資産を動かすかは分からないため、残高があるうちに新しいウォレットを作って移してください。フレーズを伝えたウォレットは、今後は使わない前提で考えます。
A. 伝えた語数が少なければ推測は難しくなりますが、安全とは言い切れません。念のため新しいウォレットへ資産を移しておくと、後で不安が残りにくくなります。
A. MetaMaskは公式ヘルプで、シードフレーズの提供を求めることはないと明記しています。サポートを名乗る電話でフレーズや遠隔操作を求められたら、公式からの連絡ではないと考えて通話を終えてください。
A. 戻るとは限りません。送金先で凍結や差し押さえができるかは、資産の行き先や時期によって変わります。ただ、早く相談するほど追跡の手がかりが残りやすいため、トランザクションIDや通話記録をそろえて相談してください。
※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。
サイト名、サービス名、担当者名、LINE名、決済名などで確認している方は、事例パターンと証拠の残し方を分けて確認してください。個別の違法性、返金可否、削除可否、解決を断定するものではありません。
LINEで相談前チェックリストを受け取り、支払い方法・証拠・やり取りを整理できます。弁護士確認が必要なケースも確認できます。