仮想通貨・暗号資産詐欺で損失が出た場合の返金相談方法
仮想通貨・暗号資産を使った詐欺は、偽の取引所・DeFi・NFTへの投資勧誘、ウォレット接続による資産の不正抜き取りなど多岐にわたります。 仮想通貨・暗号資産詐欺…
暗号資産をだまし取られたら、最寄りの警察署に被害届を出すのが基本です。犯罪捜査規範第61条は、届出を受けた警察官は、その事件が自分の署の管轄かどうかにかかわらず受理するよう定めています。暗号資産の被害は届け出てもすぐにお金が戻るわけではありませんが、捜査の出発点になり、犯人が検挙されて財産が没収された場合の被害回復給付金につながる可能性もあります。
暗号資産の被害で難しいのは、お金の流れを警察官に伝えることです。銀行振込なら通帳の記録で足りますが、暗号資産では取引所の履歴やブロックチェーン上の送金の記録を自分で集める必要があります。この記事では、相談先の選び方、そろえる記録とその取り出し方、当日の流れ、届出の後に並行してやることを順に説明します。
| 窓口 | 使う場面 |
|---|---|
| 最寄りの警察署 | 被害届を出すとき。事前に電話して、担当の部署と持ち物を確認しておくと当日がスムーズ |
| 警察相談専用電話 #9110 | まだ送金していないが怪しいと感じる、被害に当たるか分からないとき |
| 警察庁のサイバー事案に関するオンライン受付窓口 | インターネット上の被害を通報・相談・情報提供するとき。都道府県警察に届く |
| 110番 | 今まさに現金やカードを受け取りに人が来る、脅されているなど緊急のとき |
警察庁のサイバー事案の相談ページは、オンライン窓口で通報や相談を受け付ける一方、被害届を出す場合は最寄りの警察署に連絡するよう案内しています。オンラインで済ませるのではなく、警察署に行く前提で準備を進めてください。
住所地と、送金した場所や相手の拠点が違っていても、届出は受理の対象です。自宅や職場から通いやすい警察署を選んでかまいません。
警察官が捜査の手がかりにするのは、お金がどこからどこへ動いたかの記録です。次の表の記録を、できるだけ原本に近い形で集めます。
| 記録 | どこで取るか | なぜ必要か |
|---|---|---|
| トランザクションID(TxID) | 送金に使った取引所の送金履歴、またはウォレットの履歴 | ブロックチェーン上で送金を特定する番号 |
| 送金先アドレスとネットワーク名 | 同上 | 相手のアドレスがどの取引所につながるかを調べる起点になる |
| 取引所の取引履歴・入出金履歴 | 国内の取引所の会員画面からダウンロード | 日本円の入金から購入、送金までの流れを示す |
| 銀行の入出金明細 | 通帳、インターネットバンキング | 取引所への入金や、相手の口座への振込を示す |
| 相手とのやり取り | LINE、SNSのDM、メール | だまされた経緯と、送金を指示された事実を示す |
| サイト・アプリの情報 | 画面のスクリーンショット、URL | 偽の取引所や投資サイトの特定に使う |
送金した暗号資産は、送った日時の価格で日本円に換算した額もメモしておきます。取引所の履歴に約定価格が残っていればそれを使います。ブロックチェーンの送金記録は後からでも確認できますが、相手とのチャットやサイトは消されることがあるので、先に保存してください。保存のやり方は証拠の保存方法の記事にまとめています。
記録の束を持っていっても、経緯が口頭だけだと伝わりにくくなります。A4用紙1〜2枚に、次の形で時系列をまとめておくと、警察官が被害届を書くときにそのまま使えます。
送金が何回もある場合は、1回ごとに1行にします。暗号資産の送金は、国内の取引所で日本円を入金→暗号資産を購入→外部へ送金、の3段階に分けて書くと、お金の流れが伝わりやすくなります。メモの見本は時系列メモと持ち物でも紹介しています。
警察署では、生活安全課や刑事課などの担当者が話を聞きます。被害届は、口頭で届け出た場合は様式に記入を求められるか、警察官が代わりに書く形になります。
被害届は「犯罪の被害に遭った」という事実を知らせるものです。これに対して告訴は、刑事訴訟法第230条にもとづき、犯人の処罰を求める意思を示すもので、手続きや扱いが異なります。多くの場合はまず被害届から始め、告訴を考えるなら弁護士に相談するのが現実的です。
その場で受理に至らず「相談」として扱われることもあります。その場合は、受理されなかった理由と、何を追加すれば受理されるかを聞いてください。対応の詳細は被害届が受理されないときで説明しています。
暗号資産に詳しくない警察官が担当になることもあります。専門用語を並べるより、次の3点をはっきり伝えるほうが、被害届の内容が正確になります。
送金先アドレスは長い英数字の列なので、手書きで写すと誤りが出ます。取引所の画面を印刷するか、スマートフォンの画面をそのまま見せる形にしてください。複数のアドレスに送っている場合は、アドレスごとに送った回数と数量を表にまとめておくと、警察官が取引所へ照会するときにも役立ちます。
家族が代わりに相談へ行くこともできますが、被害届を作るには送金した本人から経緯を聞く必要があることが多くなります。本人が行けない事情があるときは、前もって警察署に電話し、本人の同行が必要か、何を持っていけばよいかを確かめてください。
詐欺が組織的に行われたときなどは、刑事裁判を通じて犯人の財産を取り上げること(没収・追徴)ができます。こうして取り上げた財産をお金に換え、同じ事件の被害者に配るのが、検察庁の被害回復給付金支給制度です。
この制度は犯人の検挙と財産の没収が前提なので、自分から申請を始められるものではありません。届出の段階で、送金の記録と金額を正確に残しておくことが、後で申請するときの裏付けになります。制度を含めた返金の手段の全体像は仮想通貨詐欺の手口と返金方法で整理しています。
A. 犯罪捜査規範第61条は、管轄区域の事件かどうかを問わず被害届を受理しなければならないと定めています。通いやすい警察署に、事前に電話で担当部署を確認してから行ってください。
A. 警察庁のサイバー事案に関するオンライン受付窓口では通報・相談・情報提供を受け付けていますが、被害届を出す場合は最寄りの警察署に連絡するよう案内されています。
A. 届け出られます。送金に使った取引所の送金履歴を開くと、送金ごとにトランザクションIDや送金先アドレスが表示されることが多いので、画面を保存するか取引履歴をダウンロードして持参してください。分からない部分は警察官に伝えれば問題ありません。
A. 届出だけでお金が戻るわけではありません。犯人が検挙され財産が没収された場合には、検察庁の被害回復給付金支給制度で給付を受けられる可能性があります。日本円の振込が含まれていれば、振込先の銀行への連絡も並行して行ってください。
※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。
サイト名、サービス名、担当者名、LINE名、決済名などで確認している方は、事例パターンと証拠の残し方を分けて確認してください。個別の違法性、返金可否、削除可否、解決を断定するものではありません。
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