仮想通貨・暗号資産詐欺で損失が出た場合の返金相談方法
仮想通貨・暗号資産を使った詐欺は、偽の取引所・DeFi・NFTへの投資勧誘、ウォレット接続による資産の不正抜き取りなど多岐にわたります。 仮想通貨・暗号資産詐欺…
投資の勧誘で「まず国内の取引所で口座を作って、ビットコインを買って、このアドレスに送って」と指示され、そのとおり送ってしまった。こうした相談では、送金に使った国内取引所へできるだけ早く連絡することが最初の一歩になります。ブロックチェーン上の送付を取引所が取り消すことはできませんが、送金の記録を持っているのは取引所で、送金先が別の取引所の口座だった場合は手がかりが残っていることがあります。
この記事は、国内の登録業者の口座から外部へ暗号資産を送ってしまった人に向けて、取引所にできること・できないこと、伝える内容、並行して進める相談を順に説明します。送金に使った取引所自体に問題があるという趣旨ではありません。
警察庁の統計によると、令和7年のSNS型投資詐欺は9,523件で被害額は1,288.0億円でした。そのうち暗号資産を送らせる「暗号資産送信型」は1,898件、215.5億円です。SNS型ロマンス詐欺では、暗号資産を実質的な支払い手段とする被害が件数の40.4%、被害額の48.6%を占めました。
相談でよく聞く流れは、おおむね次のとおりです。
国内の取引所の口座は本物で、そこでの売買も正規の取引です。問題は、送った先が誰の管理するアドレスなのかを確かめないまま送ってしまう点にあります。送付先アドレスが送金のたびに変わる、チャットで画像として送られてくる、といった指示の出し方も、後から相手をたどりにくくする要素です。送り先のプラットフォームが偽物だった場合の全体の対応は偽の暗号資産取引所に入金してしまった場合を参照してください。
| 取引所ができない(難しい)こと | 取引所に頼めること・残っているもの |
|---|---|
| ブロックチェーン上に確定した送付を取り消す | 送付日時、数量、送付先アドレス、トランザクションIDの記録 |
| 送付先が外部の個人ウォレットの場合に、その持ち主を特定する | 送付先が別の取引所だった場合の、通知情報のやり取りの記録 |
| 利用者の依頼だけで第三者の資産を凍結する | 自分の口座の出金停止やセキュリティ設定の見直し |
| 被害額を補償する | 警察など捜査機関からの照会への対応 |
日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)は被害に遭ったときの初動として、利用している取引所やウォレット提供者の公式サポートに連絡し状況を報告すること、サービスによっては資産の凍結や調査に対応できる場合もあることを挙げています。できないことがある一方で、取引所の記録は警察に相談するときの土台になるため、連絡しておく意味は十分にあります。
2023年6月からは、犯罪収益移転防止法第10条の5により、暗号資産交換業者が顧客の依頼で暗号資産を他の暗号資産交換業者等の顧客へ送る場合、送る人と受け取る人の本人特定事項などを相手先の業者に通知することが義務づけられています。いわゆるトラベルルールです。対象には、政令で定める国・地域を除く外国の暗号資産交換業者も含まれます。
このため、送付先がどこかの取引所の口座であれば、送金元と送金先の業者の間に情報が残っている可能性があります。一方で、送付先が利用者本人の管理するウォレット(アンホステッド・ウォレット)の場合、この通知の仕組みは働きません。送金時に取引所の画面で「送付先は取引所か個人ウォレットか」「受取人の氏名」などを入力した記録があれば、その内容も相談の際の材料になります。送付先が取引所の口座かどうかは、送った本人がアドレスを見ただけでは判断がつかないことが多いため、取引所に記録の確認を頼むのが確実です。
なお、2026年に成立した改正法に関する金融庁の説明資料では、暗号資産が詐欺的な投資勧誘の支払い手段に使われることを未然に防ぐ内閣府令事項の例として、新規口座の開設直後にはアンホステッド・ウォレットへ移転できない熟慮期間を設けることなどが挙げられています。
連絡は、取引所の公式サイトやアプリにある問い合わせ窓口から行います。検索で出てきた電話番号や、SNSで「取引所の調査担当」を名乗る人を窓口にしないでください。伝える内容は次のとおりです。
あわせて、取引所の入出金履歴や取引履歴をCSVやスクリーンショットで保存しておきます。ブロックチェーンの取引記録は、ブロックエクスプローラーと呼ばれる閲覧サイトでTXIDを検索すると表示されるので、その画面も残します。取引所に問い合わせたら、受付番号、回答の日付と内容を控えておきます。最初の勧誘から送金、出金を断られるまでを日付順に並べたメモを作っておくと、取引所・警察・相談窓口のどこに話すときも同じ説明ができ、聞き漏れも減ります。記録の残し方はウォレットアドレス・トランザクション履歴の残し方にまとめています。
一度送金すると、相手は同じ国内口座を使って次の送金を求めてくることがよくあります。次のような依頼は、応じる前に手を止めてください。
相手とのやり取りを急に絶つのが不安な場合は、返信をせずに画面を保存し、相談先に見せてから次の行動を決めても遅くはありません。取引所の口座については、パスワードの変更や出金先アドレスの登録状況の確認をしておくと、相手に操作される余地を減らせます。
暗号資産そのものの送付は、預金口座を対象にした振り込め詐欺救済法の手続きには乗りません。ただし、流れの途中で日本円を個人や会社の口座に振り込んでいる場合は別です。たとえば「代わりに暗号資産を買ってあげる」「この口座に入金すると取引所に反映される」と言われて振り込んだケースです。
この場合は、振込先の金融機関と警察にすぐ連絡してください。振り込め詐欺救済法では、犯罪に使われた疑いのある口座について金融機関が取引を停止し、預金保険機構のサイトでの公告を経て、残高を被害者に分配する手続きが定められています。口座の残高がなくなる前に動くほど、分配の対象になる資金が残っている可能性は高まります。
警察庁の統計では、振込型のうち暗号資産交換業者の口座へ振り込む「暗号資産振込」も集計されています。どの口座にいつ振り込んだかは、通帳やネットバンキングの明細で確認しておきましょう。振込先の口座名義が、案内された会社名やサービス名と違う個人名だった場合は、その食い違い自体も金融機関や警察に伝えるべき情報です。
取引所への連絡と並行して、警察に相談します。警察相談専用電話は#9110で、被害届の提出を考えている場合は最寄りの警察署に事前に連絡して持ち物を確かめるとスムーズです。警察には、取引所へ連絡済みであることと、その受付番号も伝えてください。捜査機関から取引所への照会が必要になった場合に、話がつながりやすくなります。準備の詳細は暗号資産詐欺を警察に相談する際の準備で説明しています。
送金後に「取引所の調査部門」「弁護士事務所」「資産回収の専門業者」を名乗る人から、手数料を払えば取り戻せると連絡が来ることがあります。取り戻しを持ちかける連絡に対しては、先払いをせず、名乗った組織の公式な連絡先を自分で調べて確かめてください。当サイトの相談予約も、返金を保証するものではありません。
A. ブロックチェーン上で確定した送付を、取引所が取り消すことはできません。ただ、送付の記録や、送付先が別の取引所だった場合の通知情報は残っている可能性があるため、公式窓口に連絡して記録を保存してもらうことが大切です。
A. JVCEAは、サービスによっては資産の凍結や調査に対応できる場合があると説明していますが、対応できるかどうかは送付先や状況によります。個人ウォレット宛ての場合はとくに難しいため、警察への相談と並行して進めるのが現実的です。
A. 取引所の公式サポートがSNSや知らない番号から先に連絡してくることは通常ありません。回収費用などの先払いを求められたら応じず、取引所の公式サイトに載っている窓口へ自分から問い合わせて確かめてください。
※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。
サイト名、サービス名、担当者名、LINE名、決済名などで確認している方は、事例パターンと証拠の残し方を分けて確認してください。個別の違法性、返金可否、削除可否、解決を断定するものではありません。
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