開運グッズのネット通販は返品できる?効果表示と景品表示法・特商法

「持つだけで金運が上がる」「風水で運気を整える特別な置物」。ネット通販で開運グッズを買ったものの、何も変わらず、返品しようとしたら断られた。そんな人に向けて、効果をうたう広告がどの法律で規制されているのか、そして通販で買った品の返品・返金をどう求めるのかを整理しました。

要点は3つです。第一に、通信販売には訪問販売のようなクーリング・オフ制度がありません。返品できるかどうかは、まず広告に書かれた返品特約で決まります。第二に、根拠のない効果表示は景品表示法や特定商取引法の規制対象になりえますが、どちらも行政が事業者を指導・処分するための法律で、これだけで代金が戻るわけではありません。第三に、返金を求める場面では、広告や注文画面の記録と、返品特約・最終確認画面の表示が手がかりになります。

開運グッズの広告で目立つ表示と、返金の理由になりにくい点

開運グッズのネット広告には、似た型の言い回しが繰り返し出てきます。次のような表示を見たら、いったん手を止めて中身を確かめる価値があります。

  • 「身につけた人の9割が金運を実感」など、数字で効果を示すが調査方法が書かれていない
  • 「宝くじ高額当選者が続出」と、当選者の通帳や札束の写真を並べている
  • 「効果がなければ全額返金」と大きく書き、条件は小さな文字や別ページにある
  • 「本日限り」「残りわずか」のカウントダウンで急がせる
  • 体験談の横に「個人の感想です」とだけ添え、効果の根拠は示していない

東京都消費生活総合センターは、占い・開運をめぐる注意喚起の中で、開運をうたう財布などの商品も効果を保証するものではないこと、アドバイスのとおりにならなかったことを理由に返金を求めるのは難しいことを伝えています。つまり「効かなかった」だけでは返金の理由として弱く、広告の表示や販売の手順に問題がなかったかという視点で見直す必要があります。

国民生活センターの見守り情報でも、タイムセールのカウントダウンや「残りわずか」の表示に焦って購入した相談が紹介されています。通販では、画面の演出が判断を急がせる材料になりがちです。

景品表示法の優良誤認と不実証広告規制

景品表示法5条1号は、商品の品質や内容について、実際より著しく優良だと示す表示(優良誤認表示)を禁止しています。消費者庁の説明では、わざと偽った場合だけでなく、誤って表示した場合も対象になります。

根拠を示せなければ不当表示とみなされる

効果をうたう表示には「不実証広告規制」という仕組みがあります。消費者庁は事業者に対し、期間を決めて表示の裏付けとなる合理的な根拠資料の提出を求めることができ、資料が出なかったり、根拠として認められなかったりした場合、措置命令との関係では不当表示とみなされます(7条2項)。課徴金納付命令との関係では不当表示と推定されます(8条3項)。「金運が上がる」「願いがかなう」といった効果を客観的な資料で裏付けるのは、一般的に難しいと考えられます。

ステルスマーケティングも対象

広告であることを隠して第三者の口コミのように見せる表示も、景品表示法の不当表示として扱われています。消費者庁には、ステルスマーケティングに関する情報提供フォームが別に設けられています。インフルエンサーの投稿や「購入者の声」が実は事業者の依頼で作られていないか、という視点も持っておくとよいでしょう。

景品表示法でできること、できないこと

景品表示法は、消費者庁や都道府県が事業者に表示の是正や再発防止を命じるための法律です。消費者庁への情報提供は、同じ広告で被害が広がるのを防ぐ意味がありますが、消費者庁は提供された情報にもとづく調査経過や措置結果を個別には回答しないとしています。自分の代金を取り戻すには、後の章で説明する返品や取消しの手続を別に進める必要があります。

特定商取引法の通信販売ルールで見るところ

ネット通販は特定商取引法の「通信販売」にあたり、広告の書き方や申込み画面について独自のルールがあります。開運グッズの販売ページを確かめるときは、次の条文が目安になります。

規定内容確認するところ
広告の表示事項(11条)価格、送料、支払時期と方法、引渡時期、返品特約、事業者の名称・住所・電話番号などを表示する「特定商取引法に基づく表記」のページ
誇大広告の禁止(12条)商品の性能などについて、著しく事実と違う表示や、実際より著しく優良と誤認させる表示をしてはならない効果をうたう見出しや体験談
合理的な根拠の提出(12条の2)主務大臣が根拠資料の提出を求め、出なければ行政処分との関係で誇大広告とみなされる効果の根拠として何が示されているか
最終確認画面の表示(12条の6)申込みの最終段階で、分量、価格、支払と引渡しの時期、返品特約などをまとめて示す注文確定ボタンの直前の画面
申込みの取消し(15条の4)最終確認画面の表示が事実と違う、または必要な表示がなく誤認して申し込んだ場合に取り消せる画面の記録(スクリーンショット)

消費者庁の特定商取引法ガイドによると、返品特約に関する事項(返品の可否、期間などの条件、送料の負担)は広告で省略できない項目とされ、ネット通販では最終確認画面にも表示が求められています。販売ページに事業者の住所や電話番号が見当たらない、返品について何も書かれていない、という場合は、それ自体が注意信号です。

通販にクーリング・オフはない|返品特約の読み方

「買ってから8日以内ならクーリング・オフできる」と思い込んでいる人は少なくありません。しかし、クーリング・オフは訪問販売や電話勧誘販売などに設けられた制度で、自分から広告を見て注文する通信販売には当てはまりません。代わりにあるのが、特定商取引法15条の3の返品ルールです。

状況返品の扱い
広告(ネット通販では広告と最終確認画面の両方)に返品特約がはっきり表示されている特約の内容に従う。「返品不可」と表示されていれば、この規定による返品は難しい
返品特約が表示されていない商品を受け取った日から数えて8日以内なら、申込みの撤回や契約の解除ができる。返送料は購入者の負担
購入したのが物ではなく、遠隔での祈祷や鑑定などのサービス15条の3は商品と特定権利の売買が対象で、サービス(役務)には適用されない。消費者契約法など別の手段を検討する

「全額返金保証」は条件を読む

「効果がなければ全額返金」と書かれていても、申出の期限が短い、未開封に限る、毎日の使用記録の提出が必要、といった条件が付いていることがあります。返金保証を理由に購入したなら、その条件が書かれたページをすぐに保存してください。広告の見出しと条件の内容が大きく食い違っている場合は、誇大広告や最終確認画面の表示の問題として相談する材料になります。

定期購入になっていないか

お守りやお香、浄化用の塩などを「初回お試し」で注文したら、実は定期購入だったという形もあります。国民生活センターの集計では、65歳以上の相談でもインターネット通販や定期購入に関するものが多くみられます。注文確認メールで回数や総額の表示を確かめ、2回目以降の発送を止めたいなら、次回の締め日前に解約を申し出ます。

返金を求める手順と支払方法ごとの手段

返金の求め方は、次の順で進めると記録が途切れにくくなります。

  1. 記録を保存する。商品ページ、効果をうたう見出し、体験談、返金保証の条件、特定商取引法に基づく表記、最終確認画面、注文確認メール、発送メール。ページは後から書き換えられることがあるため、日付がわかる形で残します。
  2. 返品特約と保証条件を読む。特約がなければ到着から8日以内の返品を、保証があればその手続を、期限内に申し出ます。
  3. 事業者へ文書で申し出る。メールや問い合わせフォームで、注文番号、商品名、申出の理由(返品特約の表示がなかった、保証の条件を満たしている、最終確認画面の表示と実際が違う など)を具体的に書きます。送信した画面も保存します。
  4. 返事がない、拒否された場合は188へ。消費生活センターは、状況によって事業者とのあっせんを行います。
  5. 支払手段ごとに相談する。下の表を目安にしてください。
支払方法考えられる手段
クレジットカード(分割・リボ)割賦販売法の支払停止の抗弁。分割は手数料込みで4万円以上、リボは現金価格3万8千円以上が目安(日本クレジット協会の案内)
クレジットカード(1回払い)支払停止の抗弁は法律上の対象外。カード会社に事情を伝え、調査や加盟店との調整を相談する
代金引換・コンビニ払い支払先は事業者のため、事業者との交渉と消費生活センターへの相談が中心
個人名義の口座への振込振込先の金融機関に連絡し、詐欺の被害として届け出る。その口座が凍結されれば、残高から被害額に応じて分配を受ける手続(振り込め詐欺救済法)の対象になることがある

販売者が海外の事業者なら、国民生活センターの越境消費者センター(CCJ)が相談先になります。支払手段別の手順は占い詐欺の返金方法、偽の通販サイトの見分け方は偽通販サイトの返金対処でも解説しています。

注文前に確かめたいチェックリスト

最後に、開運グッズをネットで買う前に確かめたい点をまとめます。1つでも当てはまらない項目があれば、その日は注文を見送るのが無難です。

  • 「特定商取引法に基づく表記」に、事業者名、住所、電話番号、責任者名が書かれている
  • 法人を名乗るなら、国税庁の法人番号公表サイトで名称と所在地が一致する
  • 返品の可否、期限、送料の負担が、商品ページと最終確認画面の両方に書かれている
  • 効果の根拠として、調査の方法や対象が示されている(示されていなければ、効果は期待しない前提で価格を判断する)
  • 「限定」「残りわずか」の表示が、日を変えて見ても同じではない
  • 支払方法にクレジットカードや代金引換があり、個人名義の口座への振込しか選べない形ではない
  • 購入後に鑑定や祈祷、追加の品を勧める案内が同封されていない

購入した品に同封されたチラシから電話やLINEに誘導され、高額な祈祷や鑑定に進むこともあります。風水をかたる勧誘の入口ごとの特徴は風水師をかたる詐欺の見分け方に、占い全般のトラブルは占い詐欺の解説にまとめています。高齢の家族が通販で開運グッズを買い続けている場合は高齢の親が開運グッズを買っていたときの対応も読んでみてください。

よくある質問

Q. ネット通販で買った開運グッズはクーリング・オフできますか?

A. 通信販売にはクーリング・オフ制度がありません。返品の可否は広告に表示された返品特約で決まり、特約の表示がなければ商品到着から8日以内に返品できます(送料は購入者負担)。

Q. 「効果がなかった」という理由だけで返金を求められますか?

A. 効果が出なかったことだけを理由に返金を求めるのは難しいとされています。返金保証の条件を満たしているか、返品特約の表示があったか、最終確認画面や広告の表示に事実と違う点がなかったかを確認し、消費生活センター(188)に相談してください。

Q. 景品表示法違反の広告を消費者庁に知らせれば、代金は戻りますか?

A. 景品表示法は行政が事業者に表示の是正などを命じるための法律で、情報提供しても個人の代金が戻る仕組みではありません。消費者庁も調査経過や措置結果は個別に回答しないとしています。返金は、返品や契約の取消しなど別の手続で求めます。

Q. 「全額返金保証」と書かれていたのに断られました。

A. 保証の条件(期限、未開封、使用記録の提出など)が書かれたページを保存し、条件を満たしていることを文書で伝えてください。見出しと条件が大きく食い違う場合は、誇大広告の問題として消費生活センターに相談する材料になります。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。