LINEグループで新規コインのプレセールに誘われたら|ICOの法規制と確かめる順番

LINEのグループやオープンチャットで「新しいトークンのプレセールに参加できる」「上場したら10倍」と誘われても、販売しているのがだれで、その事業者が日本の登録を受けているかが分からないうちは、1円も送らないのが基本です。トークンの売り出しは、仕組みによって資金決済法や金融商品取引法の規制を受けます。グループ内の盛り上がりや「講師」の実績は、登録の代わりにはなりません。

この記事は、LINEグループで新規コイン(ICO)の購入をすすめられている人、すでに少額を入れてしまった人に向けて、法律上の位置づけとグループ特有の演出の見抜き方を中心にまとめています。マッチングアプリなど1対1の勧誘については恋愛相手からのICO勧誘の記事で扱っています。

LINEグループが投資勧誘の「本番の場」になりやすい理由

令和7年に警察が把握したSNS型投資詐欺は9,523件で、だまし取られた額は合計1,288億円を超えています(警察庁の確定値)。最初の接触はInstagramやYouTube、広告などさまざまですが、被害にあった時点の連絡ツールはLINEが8,906件で、全体の9割以上を占めています。入口が別のSNSでも、最後はLINEのやり取りの中でお金が動いている、ということです。

2024年1月24日の国民生活センターの発表には、投資セミナーのLINEグループに登録した60歳代の男性の相談が載っています。この男性は、グループ内で参加者の成功体験を聞かされて入金を重ね、計500万円を個人名義の口座に振り込んだ後、出金には追加の支払いが必要だと言われました。同センターは2022年8月にも、SNSや友人・知人をきっかけにした暗号資産のトラブルとして、紹介料を約束して勧誘を広げる仕組みの相談が寄せられていると公表しています。

グループという形は、1人に説得されるよりも「みんなが参加している」という安心感を生みます。この安心感こそが、判断を急がせる材料として使われやすい点に気をつけてください。

トークンの売り出しは法律上どう扱われるか

資金決済法:暗号資産交換業の登録

ビットコインのように不特定の相手との支払いや交換に使える暗号資産を、商売として売買・交換する事業者は、資金決済法の「暗号資産交換業」として国の登録を受けなければなりません。金融庁は登録業者の一覧を公開し、あわせて無登録で営業しているとして警告した業者の名前を国内・海外に分けて公表しています。

金融商品取引法:電子記録移転権利

トークンを持つと事業の利益の分配を受けられる、といった投資性のある権利は、2020年5月に施行された改正金融商品取引法で「電子記録移転権利」として有価証券と同じように扱われるようになりました。こうしたトークンの売り出しや勧誘には、株式などと同じ系統の開示規制や業規制がかかります。

金融庁のICOへの注意喚起

金融庁がICOについて利用者と事業者の双方に向けて出した2017年10月27日付の資料でも、ICOの設計しだいで二つの法律のどちらか(または両方)がかかわり、登録なしの事業は刑事罰につながりうると書かれています。

2026年の法改正

2026年7月15日には「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律」が成立しました。金融庁の説明資料によると、暗号資産取引の規制を資金決済法から金融商品取引法へ移し、有価証券とは別の金融商品として位置づけます。背景には、無登録業者による詐欺的な勧誘の相談が多いこと、ホワイトペーパーの記載があいまいだったり実際のプログラムと食い違ったりする例が多いという指摘があると説明されています。改正後は、発行者が暗号資産の募集・売出しをする際に、あらかじめ発行者や暗号資産の情報を公表することが求められます(改正金商法第27条の39)。施行日は今後示されるため、最新の扱いは金融庁の公表で確認してください。いずれにしても、日本の居住者に売り込む事業者に登録や情報の公表を求める方向は、むしろ強まっています。

グループで使われる言葉ごとの確認ポイント

言葉グループでの説明例確かめること
プレセール(先行販売)上場前の安い価格で、メンバーだけが買える販売主体の会社名と、その会社が金融庁の登録一覧にあるか。個人の口座や個人ウォレットへの送金を指示されたら中止
上場予定大手取引所への上場が決まっている取引所側の公式発表があるか。国内の登録業者の取扱い銘柄は日本暗号資産等取引業協会が公表している
ホワイトペーパー計画書があるので安心金融庁は、ホワイトペーパーの計画が実行されないおそれを指摘している。書類があることは安全の根拠にならない
ロック期間一定期間は売れないが、その後に大きく値上がりする売れない期間があると、問題に気づくのが遅れる。期間中に追加購入をすすめられたら要注意
エアドロップ(無料配布)ウォレットをつなげば無料でもらえるウォレットの接続や署名、復元用のフレーズ(シードフレーズ)の入力を求められたら中止。ウォレット内の資産を動かされるおそれがある
紹介ボーナス友だちを招待すると報酬が出る勧誘する側に回ると、知人を巻き込む。国民生活センターは紹介料を約束する仕組みのトラブルを公表している

「上場したら10倍」「元本は保証」のような言い切りが書き込まれたら、その時点でグループを離れる判断をしてよいと考えます。価格が決まっていない資産について将来の値段を約束できる人はいません。

「成功報告」「アシスタント」「講師」の見方

投資グループでは、講師役、アシスタント役、利益報告をする参加者役がそろっていることがあります。国民生活センターの2024年1月の注意喚起は、グループチャット内で成功体験を聞かされて取引に誘われる流れを「その仲間、信じて大丈夫?」という言葉で取り上げました。

  • 利益報告のスクリーンショット:画像は簡単に作れます。報告している参加者のアカウントが最近作られたものばかりでないか、同じような文面が並んでいないかを見てください。
  • アシスタントからの個別連絡:グループとは別に1対1のトークで「特別枠」「あなただけ」と連絡が来たら、個別に入金させる段階に入ったと考えられます。
  • 質問への反応:「運営会社の登録番号は?」と書き込んだとき、答えずに話題を変える、退出させられる、といった反応は判断材料になります。
  • 期限の設定:「今夜0時で締め切り」などの期限は、ほかの人に相談する時間を奪います。

グループを抜ける前に、トーク履歴、メンバー一覧、ノートやアルバムに貼られた資料をスクリーンショットで残しておきましょう。退出や相手のグループ削除で見られなくなることがあります。

「まず1万円から」と誘われたときに考えたいこと

グループでは、最初から大きな額を求めず「お試しで1万円から」「失っても困らない額で」とすすめられることがよくあります。少額なら損をしても大きくないように思えますが、見るべきなのは金額ではなく、その1万円をだれの口座やウォレットに送るのかです。

少額の購入には、あなたの名前・連絡先・送金に使った口座の情報を相手に渡すという面もあります。国民生活センターが公表した暗号資産の事例でも、最初の少額で利益が出たように見せ、その後に大きな入金へ進ませる流れが確認されています。試しに買う前に、販売主体の登録と、送金先が個人名義でないかの2点だけは確かめてください。

入金してしまった後の手順

取り戻せる可能性は送金手段によって大きく違い、結果を約束できるものではありません。ただ、早く動くほど選べる手段は残ります。

  1. 追加の送金を止める:「出金手数料」「税金」「ロック解除費用」などを求められても払わない。
  2. 記録を残す:グループのトーク、販売サイトのURLと画面、入金の記録。暗号資産で送った場合は、送付日時・数量・送付先アドレス・トランザクションIDを控えます(記録の残し方)。
  3. 送金手段ごとに連絡する:銀行振込なら振込先の銀行へ口座凍結の依頼、国内の交換業者から送ったならその交換業者へ、カード決済ならカード会社へ。
  4. 警察に届け出る:記録を持って最寄りの警察署へ。相談だけなら #9110。
  5. LINEに通報する:グループやアカウントを通報機能で報告します。通報の前に記録を取り終えておくこと。

「被害金を取り戻す」とグループ内やDMで声をかけてくる人物が現れることがあります。同じグループの関係者が二度目の請求をする可能性もあるので、応じないでください。

相談できる窓口と、伝えるべきこと

  • 金融サービス利用者相談室:金融庁の窓口です。電話は平日の日中(10時〜17時、0570-016811)、ウェブのフォームはいつでも送れます。登録のない業者についての情報も受け付けています。
  • 188:自治体の消費生活センターの相談員が、契約の解除や返金をどう求めるかを一緒に考えてくれます。
  • #9110:全国共通でかけられる警察の相談窓口です。被害届にするかどうか決めかねている段階でも使えます。

窓口に伝えるときは、「どのグループで」「だれに」「何という名前のトークンを」「いくら、どの方法で」買ったのかを時系列で書き出しておくと、短い時間で状況が伝わります。何から整理すればよいか分からない場合は被害直後のチェックリストが使えます。

よくある質問

Q. ICOは日本では禁止されているのですか?

A. 禁止の法律があるわけではありません。一方で、トークンの中身によって暗号資産や有価証券として規制を受け、登録を欠いた販売は処罰の対象になりえます。まずは売り手が登録業者かどうかを調べてください。

Q. 金融庁の無登録業者リストに名前がなければ安全ですか?

A. 安全とは言えません。警告リストに載るのは金融庁が警告書を出した業者に限られ、載っていない無登録業者もいます。登録業者の一覧に載っているかどうかを確かめるほうが確実です。

Q. オープンチャットの管理者に返金を求めてもいいですか?

A. 求めること自体は可能ですが、返金の条件として手数料を求められる例もあるため、支払いには応じないでください。やり取りを保存したうえで、警察や 188 に相談しながら進めるのが安全です。

Q. 友だちを招待すると報酬がもらえると言われました。

A. 紹介報酬のある仕組みは、自分が勧誘する側に回ることを意味します。国民生活センターは紹介料を約束する暗号資産の勧誘トラブルを公表しています。知人を誘う前に、仕組みそのものの確認を優先してください。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。