YouTubeの「稼げる」動画・広告と情報商材|誇大広告とステマの見分け方

YouTubeで「スマホだけで月収〇〇万円」という動画や広告を見て、概要欄のリンクからLINEに登録した。あるいは、紹介されていた教材をすでに買ってしまった。そんな方に向けた記事です。

判断の軸は三つあります。動画の中の収益画面や体験談は、それだけでは稼げる根拠にならないこと。広告であることを隠した紹介は、2023年10月1日から景品表示法の規制対象になっていること。そして、気になる広告は報告でき、動画や広告は消える前に保存しておくべきことです。購入後の解約の考え方も最後に整理します。

YouTubeから情報商材の購入に至るまでの流れ

国民生活センターは2026年5月の注意喚起で、SNSや動画広告、ネット検索などに「“いいね”を押すだけ」「動画を見るだけ」「コピペするだけ」といった、スキマ時間で簡単に稼げるかのような広告が見られるとして、詐欺の可能性があるのでうのみにしないよう呼びかけています。動画から始まる勧誘は、おおむね次の段階をたどります。

  1. 動画や動画広告で、作業の手軽さや高額の収益画面を見せる
  2. 概要欄、固定コメント、広告のボタンから、LINEの友だち登録や無料説明会に誘う
  3. 数千円程度のマニュアルや講座を勧める
  4. 個別の電話やWeb会議で、高額なサポートやコンサルティングを提案する

「動画を見るだけ」の広告から借金に至った相談

同じ注意喚起には、SNSで「動画を見るだけ」の副業広告を見てメッセージアプリに登録した20歳代の男性の相談が載っています。登録後に事業者から電話があり、副業の契約をしたうえで「今後の手続きに必要」と言われ、スマートフォンを遠隔で操作されて消費者金融2社から30万円ずつ借り入れられ、どこかへ送金されたという内容です。本人は「返済は不要」と言われていたため借入れに気づかず、数カ月後に督促が来て初めて分かったとされています。動画や広告の手軽さと、その先で求められる手続きの重さが大きく違うことが、この事例からも読み取れます。

国民生活センターの情報商材の相談傾向ページでも、情報商材をきっかけに電話やWeb会議で高額な副業サポートを勧誘されるケースが目立つとされています。動画の段階では料金の総額が見えないことが多いため、2〜3の段階に進む前に立ち止まるのが、トラブルを避けるいちばん確実な方法です。

「月収〇〇万円」の表示をどう受け止めるか:誇大広告と優良誤認

広告で収入の見込みを大きく見せることについては、二つの法律が関係します。

  • 特定商取引法:通信販売の広告で「著しく事実に相違する表示」や「実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示」を禁止(第12条)。仕事の提供をうたう業務提供誘引販売の広告にも同様の禁止がある(第54条)
  • 景品表示法:商品やサービスの内容を実際より著しく優良だと示す表示を「優良誤認表示」として禁止(第5条第1号)。消費者庁は、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を事業者に求めることができる(不実証広告規制)

収益画面が根拠にならない理由

動画に映る管理画面や入金の履歴は、視聴者の側では本物かどうか、いつの数字なのか、その教材の手法で得たものなのかを確かめられません。仮に本物だとしても、紹介者の結果が視聴者にも同じように出るとは限りません。同センターも2023年の注意喚起で、作業の内容や利益が出る仕組みを自分で調べ、よく分からなければ契約しないよう助言しています。

広告であることを隠した紹介動画:2023年10月からのステマ規制

消費者庁は、広告であるのに広告であることを隠すいわゆるステルスマーケティングを、2023年10月1日から景品表示法の違反になるものとして規制しています。同庁の説明のポイントは次のとおりです。

  • 規制の対象になるのは、一般の消費者が広告だと分からない広告
  • 事業者がインフルエンサーなど第三者に依頼・指示して発信させるものも広告に含まれる
  • SNSの投稿やレビューだけでなく、テレビや雑誌なども対象
  • 規制されるのは商品やサービスを提供する事業者(広告主)で、依頼を受けたインフルエンサーなどは対象外
  • 個人の感想など広告でないものや、テレビCMのように広告だと分かるものは対象外

視聴者として見ておきたいところ

動画の冒頭や説明欄に「PR」「プロモーションを含みます」などの表示があるか、紹介リンクが販売者の報酬につながるアフィリエイトリンクになっていないかを確認しましょう。表示がないからといってすぐに違反とは言えませんが、「第三者の中立な感想」だと思い込んで判断していないかを見直すきっかけになります。

「おすすめ副業ランキング」形式の動画にも注意

複数の副業を比べて順位をつける動画やサイトも、見た目は中立な比較です。国民生活センターの2023年の発表には、検索で見つけた副業ランキングサイトで1位だった「準備はスマホだけ」の仕事に興味を持ってLINE登録したところ、仕事内容を知るには約2万2,000円のマニュアル購入が必要だと言われた20歳代女性の相談が紹介されています。順位の付け方や、ランキングの作成者と販売者の関係が書かれていない場合は、広告の一種かもしれないと考えて読むのが安全です。

買う前に、動画の外で確かめる5つのこと

動画の説明は、売る側が見せたい部分だけで構成されています。申し込む前に、動画以外の情報で次の点を確かめてください。

確認することどこで見るか
販売者の名称・住所・電話番号・責任者名販売ページの「特定商取引法に基づく表記」
最初の教材以外にかかる費用の総額料金表、利用規約、申込み画面
具体的な作業内容と、誰が報酬を支払うのか販売ページと規約。書かれていなければ質問し、回答を文字で残す
返金・解約の条件特定商取引法の表示、規約の解約条項
動画の公開日と、紹介者と販売者の関係動画の情報欄、概要欄、チャンネルの概要

LINEに登録しただけの段階なら

友だち登録をしただけで、代金を払ったり申込みをしたりしていなければ、まだ契約には進んでいません。この段階で違和感があれば、トーク画面を保存したうえでブロックし、以後のメッセージに反応しないのが一つの方法です。本人確認と称して運転免許証の画像や銀行口座を送るよう求められても応じないでください。国民生活センターも、相手が誰か分からない場合は個人情報を安易に教えないよう注意しています。

講師やYouTuberの名前しか分からず、事業者の正式名称や連絡先にたどり着けない場合は、トラブルになったときに交渉先が分からなくなるおそれがあります。この段階で契約を見送る判断は、決して損ではありません。

問題があると感じた広告・動画の報告と、証拠の残し方

YouTubeでの報告

YouTubeヘルプ「視聴している動画に表示される広告」によると、動画内の広告は「その他」アイコンまたは「情報」アイコンから「広告を報告」を選んで報告できます。ヘルプには、専用のフォームから情報を送る方法も案内されています。動画そのものに問題がある場合は、動画の報告機能を使います。

行政への情報提供

景品表示法違反の疑いがある表示は、消費者庁の「景品表示法違反被疑情報提供フォーム」から、ステルスマーケティングの疑いは専用のフォームから情報を寄せられます。特定商取引法の違反が疑われる事業者については、国や都道府県に措置を求める「申出制度」もあります。いずれも個別のトラブルを解決する窓口ではない点には注意してください。

消える前に保存しておくもの

  • 動画のURL、タイトル、チャンネル名、公開日
  • 収入をうたう場面の画面(再生位置が分かる形で)。広告は画面録画で残すと確実
  • 概要欄と固定コメントのリンク、その先の販売ページやLINEアカウント
  • 購入した場合は、申込み画面、確認メール、決済の明細

保存のしかたは証拠の残し方で紹介しています。

購入してしまった後の解約の考え方と相談先

どの制度が使えるかは、契約した経緯で変わります。

  • 動画のリンクから販売ページで自分で購入した:ネット通販(通信販売)の扱いになるのが通常で、無条件解約の制度はない。販売ページに書かれた返品・解約の条件を読み直す
  • 購入後に電話やWeb会議で上位プランを勧められて契約した:電話勧誘販売(8日)などに当たる可能性がある。詳しくは電話で勧誘された場合の記事へ
  • 「教材を買えば仕事を紹介する」と誘われた:業務提供誘引販売取引に当たれば、解除できる期間は20日

借金をして払うよう勧められた場合は、応じずに相談してください。国民生活センターは、副業や投資を勧める業者の指示で消費者金融から次々に借り入れさせる手口について、2026年5月にも注意を呼びかけています。

相談先は消費者ホットライン188、脅しや連絡不能など犯罪が疑われる場合は警察相談専用電話#9110です。SNS経由の副業勧誘の全体像は情報商材の副業勧誘を見抜く方法、Instagramのリールから始まるケースはリール経由の副業勧誘、個別の相談は相談予約をご覧ください。

よくある質問

Q. YouTubeで紹介されていた情報商材に「PR」表示がありませんでした。宣伝ではないということですか?

A. 表示がないことだけでは判断できません。販売者から報酬を受けて紹介している場合、事業者の広告にあたることがあり、広告であることを隠した表示は2023年10月1日から景品表示法の規制対象です。紹介リンクや説明欄を確認し、中立な感想だと思い込まないようにしましょう。

Q. 動画で見せていた収益画面は、稼げる証拠になりますか?

A. 視聴者の側では、画面が本物か、いつの数字か、その教材の手法によるものかを確かめられないため、根拠としては弱いと考えてください。作業内容や利益の仕組みを自分で確認できない場合は、契約しない判断が安全です。

Q. 見たYouTube広告がもう表示されません。どう記録すればいいですか?

A. 広告から移った先の販売ページやLINEアカウント、ブラウザの閲覧履歴、登録時のメールなどから、たどれる情報を保存してください。次に似た広告を見かけたら、画面録画で残しておくと確実です。

Q. YouTube経由で情報商材を購入済みです。無条件で解約できますか?

A. 概要欄のリンク先で自分から注文したのであれば、ネット通販と同じ扱いになり、法律上の無条件解約(クーリング・オフ)は用意されていません。一方で、あとから電話で持ちかけられた上位プランや、仕事を回すと約束されて払った費用は、別の類型として8日や20日の期間が認められることがあります。契約ごとに経緯を書き出して188へ。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。