Facebookで「国が弁護士費用を負担」と誘われたら|法テラスをかたる手口と本物の制度

結論を先に書きます。Facebookで「国の救済制度を使えば弁護士費用がかからない」「被害者支援金として被害額が戻る」と案内され、受け取る前に保証金や手数料、弁護士費用の一部を払うよう求められたら、その手続きは公的なものではないと考えて支払いを止めてください。

日本司法支援センター(法テラス)は、その名前を使って保証金の振込を求めたり、「経済産業省の委託を受けて返還手続きを行う」として費用を請求したりする不審な封書やSNSが確認されていると公表しています。消費者庁も、国の救済制度や返金の代行を口実にお金を求める二次被害について警告しています。ここでは、Facebookの広告・ページ・グループ・Messengerでこの種の誘いを受けた人のために、偽物の特徴と、実際にある制度の使い方を並べて説明します。

Facebookで見かける「国の支援で弁護士費用ゼロ」という誘い

Facebookでは、公的機関の名前やロゴに似せたページが広告を出したり、被害者向けのグループに「支援制度のお知らせ」が投稿されたりすることがあります。見かけやすい文言には次のようなものがあります。

  • 「詐欺被害者救済基金から、弁護士費用を全額補助します」
  • 「国の委託を受けた法律事務所が、無料で返金請求を代行します」
  • 「今月中に申請すれば、被害額の最大○割が支援金として支給されます」
  • 「審査通過のため、事前に保証金(後日全額返還)をお振込みください」

多くの場合、広告やページから申込フォームやMessengerへ進み、氏名・被害額・口座番号などを入力させたうえで、「審査手数料」「登録料」「弁護士の着手金の自己負担分」といった名目の支払いへと話が進みます。「国」「委託」「基金」という言葉で安心させ、先にお金を払わせる順番になっている点が、見分けるうえでの手がかりです。

Messengerに移ってから聞かれやすいこと

「担当の弁護士」「支援窓口の職員」を名乗る相手から、被害に遭った経緯、振り込んだ金額と相手の口座、現在の預金残高、家族構成などを細かく尋ねられることがあります。支援金の審査に預金残高は関係ないはずです。どこまで払えるかを探る質問だと受け止め、答える前にいったん会話を止めてください。

公的機関の名前はどう悪用されているか

名前を使われた機関自身が、次のような注意喚起を出しています。

法テラス

法テラスが公表している不審な連絡の例は、「保証金(債権保証)を振り込む」として口座番号の確認を求めるもの、「経済産業省の委託を受けて金銭の返還手続きを行う」と説明して架空の費用を求めるもの、LINEで友だち申請をさせて相談内容を送らせるものの3種類です。法テラスはLINEを使った相談は行っていないと明記し、内容に疑問があれば近くの法テラスに問い合わせるよう案内しています。

消費者庁

投資でお金を失った人が、その後さらに別の名目でお金を求められる二次被害の相談を取り上げています。例として挙がっているのは、返金の条件として新しい投資商品の購入を求められる、国の救済制度で返金されると説明される、返金手続の代行を持ちかけられる、といった誘いです。消費者庁の助言は、はっきり断ることです。

警察庁

2026年2月13日には、首相官邸の名称やロゴ、政府要人の画像を無断で使った偽サイト・詐欺広告への注意を呼びかけ、首相官邸や政府要人が個別の勧誘や個人情報の入力を求めることはないとしています。SNS広告に政府らしい見た目があっても、それは信用の根拠になりません。

実際にある制度と、その窓口

詐欺被害のお金や弁護士費用に関わる公的な仕組みは、実際にいくつかあります。ただし、どれもSNSで勧誘されて申し込むものではありません。

制度内容申し込む先
振り込め詐欺救済法犯罪に使われた口座を凍結し、残っていたお金を被害者に分配する警察への届出と、振り込んだ先の金融機関への連絡から始まる。分配の申請は金融機関で行う
法テラスの民事法律扶助収入や資産が一定以下の人に、無料の法律相談と弁護士費用の立替えを行う(立替金は原則として分割で返す)法テラスの窓口、サポートダイヤル、法テラスと契約している弁護士
消費生活センターのあっせん事業者との契約トラブルで、相談員が間に入って話し合いを助ける消費者ホットライン188

よく誤解されるのが「犯罪被害給付制度」です。警察庁によると、この制度の対象は人の生命や身体を害する故意の犯罪による死亡・重傷病・障害で、お金をだまし取られた被害への給付は含まれていません。「詐欺の被害者にも国から給付金が出る」という案内を見たら、制度の中身と食い違っていないか確かめてください。

分配金を受け取るのに代行業者は要らない

振り込め詐欺救済法の分配は、口座が凍結されたあと、振込先の金融機関に被害者自身が申請書を出す仕組みです。預金保険機構の公告サイトにも手続きの流れが載っており、第三者に頼まなければ受け取れない制度ではありません。「救済法の申請を代行するので手数料を」と言われたら、金融機関に直接問い合わせてください。

振り込め詐欺救済法の手続きでは、預金保険機構が対象口座の公告を出します。自分の振込先が公告されているかは、預金保険機構の公告サイトで調べられます。法テラスの立替制度の条件や流れは法テラスの費用立替とはにまとめています。

本物か偽物かを分けるチェックポイント

  1. 向こうから声をかけてきたか:国民生活センターは、相談歴のない人へ自分から連絡を取ることは絶対にないと明言しています。公的な制度は、原則として自分から窓口に申し込むものです。
  2. 受け取る前に払わせるか:「保証金」「審査料」「後で返金される手数料」を先に振り込ませる流れは、法テラスや消費者庁が注意を呼びかける例と重なります。
  3. 支払先は誰の名義か:公的機関の名前を出しながら、個人名や無関係な会社の口座、電子マネー、暗号資産を指定してくるなら、その時点で手を止めます。
  4. 連絡手段は何か:Messengerや個人のLINEだけでやり取りが完結する。法テラスはLINE相談を行っていません。
  5. URLは公式か:省庁は「go.jp」、法テラスは「houterasu.or.jp」のドメインを使います。広告の遷移先がこれらと違う場合は、自分で公式サイトを検索して窓口に問い合わせてください。

見分けにくいと感じたら、チェックリストで一つずつ確認してから判断しても遅くはありません。

Facebook上でしておきたいこと

まず記録を残します。広告は表示が終わると見返せなくなり、ページやアカウントも突然消えることがあります。

  • 広告や投稿の画面(広告主名、表示された日時、リンク先のURLが分かるもの)
  • ページのプロフィールと「ページの透明性」などの情報欄
  • Messengerのやり取り全体と、送られてきた申込書や口座情報

記録が済んだら、広告や投稿のメニューから詐欺や公的機関のなりすましとして報告し、Messengerの相手はブロックします。被害者向けのグループで同じ投稿を見た人がいるかもしれないので、管理者に知らせるのも一つの方法です。画面の保存方法は証拠の残し方で手順を追って紹介しています。

すでに保証金を払った、個人情報を入力したとき

「残りを払えば支援金がまとめて振り込まれる」と言われても、追加の支払いはしないでください。支払いの手段に応じて、すぐに次の連絡を入れます。

  • 銀行振込:振込元の金融機関に連絡し、警察に被害を届け出る。相手口座の凍結につながれば、振り込め詐欺救済法の分配手続きの対象になる可能性があります。
  • クレジットカード:カード会社に連絡して、請求の扱いやカードの停止を相談する。
  • プリペイド型の電子マネー:購入したカードの番号とレシートを手元に用意し、発行元へ利用停止ができるか問い合わせる。

口座番号やマイナンバーカードの画像などを入力・送信してしまった場合は、その内容を控えて警察に伝え、利用している金融機関にも知らせておきます。相談の窓口は、警察相談専用電話(#9110)と消費生活センター(188)です。名前を使われた法テラスや省庁の公式窓口に「この案内は本物か」と問い合わせることもできます。

一度お金を払った人のもとには、「支援金の手続きが止まっている」「別の窓口に移管された」と、名前を変えた連絡が続くことがあります。新しい相手が弁護士や公的機関を名乗っていても、最初の誘いと同じ流れの延長だと考えて応じないでください。本物の弁護士に被害回復を相談したいときは、各地の弁護士会の法律相談センターや法テラスに自分から申し込みます。相談のタイミングの考え方は弁護士に相談するタイミングで解説しています。

よくある質問

Q. Facebookで見た「詐欺被害者救済基金」から弁護士費用が出るのは本当ですか?

A. 当サイトで確認した公的機関の情報では、SNSで申し込むとお金が支給されるそうした基金は見当たりませんでした。弁護士費用の公的な支援としては、法テラスの民事法律扶助(無料相談と費用の立替え)があり、法テラスの窓口で申し込みます。

Q. 「保証金は後で全額返す」と言われました。払っても大丈夫ですか?

A. 払わないでください。法テラスは、保証金の振込を求める不審な連絡が確認されていると公表しています。受け取る前に先にお金を払わせる流れは、公的な手続きの形とは違います。

Q. 法テラスから本当に連絡が来ることはありますか?

A. 法テラスは、利用者に封書・はがき・SMSなどで連絡することがあるとしています。内容に疑問があれば、届いた連絡に書かれた番号ではなく、公式サイトで調べた近くの法テラスへ問い合わせてください。

Q. 犯罪被害給付制度で詐欺の被害額を補ってもらえますか?

A. 警察庁の説明では、この制度は故意の犯罪による死亡・重傷病・障害を受けた人や遺族が対象です。お金をだまし取られた被害は対象になっていません。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。