ロマンス詐欺で送金してしまった場合の返金と対処法
ロマンス詐欺でお金を送金してしまった場合、できるだけ早く行動することが回収の可能性を高めます。銀行振込なら「組戻し」、クレジットカードなら「チャージバック」が有…
洋上の石油リグで働いているという恋人とLINEでやり取りしていたら、「会社の上司」「契約担当の弁護士」「荷物を預かっている運送会社」などを名乗る人が次々に登場し、LINEグループに招かれたり、別のアカウントから連絡が来たりするようになった。この記事は、そうした状況で相手の話を信じてよいか迷っている人に向けたものです。
要点はシンプルです。登場人物が増えるほど話が本当らしく見えますが、その全員が同じ側にいる可能性を、国の機関がはっきり指摘しています。第三者が出てきたときは「別の人が言っているから確かだ」と考えるのではなく、その人物を自分の手で確かめられるかどうかを基準にしてください。
洋上プラットフォームや掘削リグの作業員という設定の相手について書いている連載の中で、今回は「関係者」が次々に出てくる局面に的を絞ります。
石油リグ勤務を名乗る相手の話では、本人が直接お金を頼む前に、あるいは断られた後に、別の人物が登場することがあります。よく見られる役回りは次のようなものです。
LINEでは、グループトークに招待されたり、恋人から「この人の友だち追加をして」と別アカウントを紹介されたりする形が目立ちます。警察庁の統計でも、SNS型ロマンス詐欺の被害時の連絡手段はLINEが9割を超えており、やり取りの場がLINEに集まりやすいことがわかります。
第三者の登場は、偶然ではなく手口の一部として知られています。
国民生活センターは2020年2月の注意喚起で、国際ロマンス詐欺では通関税や手数料などさまざまな名目で支払いを求めるのに加え、公的な機関に所属していると称する第三者が現れて支払いを迫る「劇場型」の手口も見られると書いています。同じ資料には、国連を名乗る機関からのメールをもとに休暇申請の費用を送ろうとした相談も載っています。
外務省も2025年4月の広域情報で、詐欺師は一人で動くとは限らず、グループで役割を分け、友人や弁護士、空港係官といった役を演じて信じ込ませることがあると注意を促しています。1年以上かけて信頼関係を築いてからお金の話に入る例にも触れています。
つまり、「恋人だけでなく上司も弁護士も同じことを言っているから本当だろう」という受け止め方こそ、この手口が狙っている反応です。人数が増えても、確かめられる事実が増えたわけではない点を押さえておいてください。
第三者の話を検証するときの原則は一つです。相手から渡された連絡先やリンクは使わず、自分で調べた公式の窓口に問い合わせる。相手が用意したURLや電話番号にかけても、同じグループの別メンバーにつながるだけかもしれません。
| 名乗られた立場 | よくある言い分 | 自分でできる確認 |
|---|---|---|
| 石油会社の上司・人事 | 休暇・契約解除・給与のための費用が必要 | 会社の公式サイトを自分で検索し、代表の問い合わせ先に在籍や規則を尋ねる。個人情報を理由に答えてもらえない場合も多いが、「会社が恋人に費用を請求するか」は聞ける。 |
| 日本の弁護士 | 罰金・手続き費用・和解金の支払い | 日本弁護士連合会の「弁護士検索」で氏名と所属を調べ、見つかった事務所の番号に自分でかけ直す。 |
| 海外の弁護士 | 現地の裁判・保釈のための費用 | 日本からは確かめにくい。確かめられないことを理由に、支払わない判断をしてよい。 |
| 運送会社・税関 | 荷物の通関料・保管料 | 運送会社の公式サイトを自分で開き、追跡番号を入れて確かめる。偽サイトの見分け方は追跡番号が届いたときの記事を参照。 |
| 大使館・国際機関 | 出国許可・身元保証の費用 | 連絡先は公的なサイトから自分で調べる。個人のLINEアカウントやフリーメールから費用を請求してくる形には強い警戒を。 |
確認の結果、登録や在籍がはっきりしなかったときは、それ以上深追いしなくてかまいません。「確かめられなかった」こと自体が、お金を出さない十分な理由になります。
見知らぬ肩書の人物とやり取りするときは、相手のペースに乗らない短い返事を用意しておくと落ち着いて対応できます。
本物の企業や法律事務所であれば、こうした確認を嫌がる理由はありません。逆に、「それでは間に合わない」「部外者に話すと手続きが無効になる」と強く引き止められた場合は、そこで会話を打ち切ってよい場面です。返事をせずに記録だけ残し、次の段階へ進んでください。
登場人物が別々の人間かどうかは、外からは判別できません。複数のアカウントを一人、あるいは少人数で使い分けることは難しくないからです。ただ、やり取りを読み返すと、次のような特徴が見つかることがあります。
三つ以上当てはまるなら、グループの中で交わされている話はいったん横に置き、外の人に見てもらう段階です。
相談や被害の届け出の場面では、誰がいつ何を言ったかが重要になります。ブロックや退会をする前に、次のものを残しておきましょう。
記録を取り終えたら、LINEの通報機能で各アカウントを報告できます。警察庁の資料では、令和7年中に警察からLINEヤフー株式会社へ情報提供されたアカウントは18,214件あり、利用停止や削除を促す目的だったとされています(特殊詐欺の分も含む数です)。一人の通報がすぐ結果につながるとは限りませんが、同じアカウントによる別の被害を減らす手がかりになります。保存のコツは証拠の残し方でも紹介しています。
まだ払っていないなら、返事を急ぐ必要はありません。「家族と相談してから返事をする」とだけ伝えて、次の窓口に話してみてください。
すでに送金した場合は、送金の方法によって取れる手段が変わります。銀行振込なら、すぐに振込先の金融機関と警察へ連絡することで、口座の凍結につながる場合があります。一方、海外への送金やギフトカードで渡したお金について、国民生活センターは返金の見込みが非常に厳しいと説明しています。これ以上の支払いを増やさないことが、何よりの守りになります。
登場人物が多いと、一人でも疑うことに罪悪感を覚えるかもしれません。けれども、相手が本当に困っている正直な人たちなら、あなたが公的な窓口に相談することを止める理由はないはずです。シリーズの他の記事として、恋人から原油投資を勧められた場合もあわせてご覧ください。
A. ロゴや社印の画像は、会社の公式サイトなどから簡単に写し取れます。書類の見た目では判断できません。会社の公式窓口を自分で調べ、その書類が本当に出されたものかを問い合わせてください。確かめられない場合は支払わない判断で問題ありません。
A. 外務省は、詐欺グループが友人や弁護士などの役を分けて演じることがあると注意しています。人数が多いことは、話が本当である根拠になりません。グループの外にいる家族や公的な窓口に話を見てもらってください。
A. 実在する弁護士の名前がかたられている場合もあります。検索で見つかった事務所の電話番号に自分でかけ、その弁護士が本当にこの件を担当しているかを確かめてください。LINEで送られてきた番号やメールアドレスは使わないようにしましょう。
A. 退会やブロックの前に、まず記録を残し、188や#9110に相談するだけでもかまいません。関係を続けるかどうかを決める前に、第三者の視点を一度入れることが大切です。
※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。
サイト名、サービス名、担当者名、LINE名、決済名などで確認している方は、事例パターンと証拠の残し方を分けて確認してください。個別の違法性、返金可否、削除可否、解決を断定するものではありません。
LINEで相談前チェックリストを受け取り、支払い方法・証拠・やり取りを整理できます。弁護士確認が必要なケースも確認できます。