ロマンス詐欺で送金してしまった場合の返金と対処法
ロマンス詐欺でお金を送金してしまった場合、できるだけ早く行動することが回収の可能性を高めます。銀行振込なら「組戻し」、クレジットカードなら「チャージバック」が有…
海外の現場で働くエンジニアを名乗る恋人から「休暇に合わせてプレゼントを送った。この番号で追跡できるよ」とメッセージが届き、教えられたサイトを開くと「通関手数料が未払いのため保留中」と表示される。そんな状況にいる人に向けた記事です。
要点を先に書きます。相手から教えられたURLの追跡画面は、それ自体が相手側の用意したものかもしれません。荷物の状況は、配送会社名を自分で検索してたどり着いた公式サイトで確かめます。公式サイトで番号が出てこない、会社そのものが見つからない、支払い先が個人口座や暗号資産になっている、のどれかに当てはまったら、支払いは止めてください。
ここでは「荷物を受け取ってほしい」という話のうち、追跡番号と配送業者サイトの見分け方に絞っています。
国民生活センターは2020年に、ネットで知り合った外国人から「荷物を受け取ってほしい」と言われ、受け取りの際に通関料などを請求される相談が目立つとして注意を呼びかけました。紹介された事例の一つは、次のような経過です。
SNSで知り合った相手から、ギフトとして教材を贈りたいと言われて住所を教えた。「荷物を送ったので配送状況を確認して」と指定されたサイトにアクセスすると、30万円の通関手数料が必要と表示された。払えないと伝えて放置すると、さらにペナルティーが加算されると連絡が来た。(国民生活センター公表事例の要約)
エンジニアを名乗る相手の場合も、筋書きはよく似ています。「現場の休みに合わせて」「会えない埋め合わせに」とプレゼントの話が出て、住所と電話番号を聞かれ、数日後に追跡番号とリンクが届く。中身はスマートフォン、宝飾品、現金、「二人の将来のための資金」などと説明されます。
米国のFTCも、高価な荷物を送ったと偽り、「税関」などの作り話の料金を払わせる手口を、恋愛目的の詐欺でよく語られる嘘の一つとして挙げています。外務省が2025年4月に出した注意喚起にも、二人の新生活の準備に使う荷物を送るので、その手数料を負担してほしいと持ちかける例が載っています。国や言語が違っても、同じ型が使われていることが分かります。
追跡画面が本物らしく見えても、見た目は簡単に作れます。確認は「相手から来た情報を使わない」ことが基本です。
手順1〜2だけでも、多くの場合は判断がつきます。相手から「そのサイトは古い」「こっちが国際便専用の窓口」と言われても、公式サイトで確かめられないものは信用の根拠になりません。
偽の追跡画面には、荷物が止まっている理由と支払いボタンが並ぶのが典型です。表示される名目と、公的な説明を見比べてみます。
| 画面に出る名目の例 | 見比べたい公的な説明 |
|---|---|
| 「通関手数料未納」「関税の前払い」 | 税関によると、法令で決まった手数料と税以外のお金を、税関が受取人本人から取り立てることはありません。 |
| 「保管料が日ごとに加算」「期限を過ぎると没収」 | 国民生活センターは、さまざまな理由で支払いを急がせる点が国際ロマンス詐欺の相談に共通すると指摘しています。 |
| 「解放金」「解除金」「高額品の証明手数料」 | 税関は、荷物の引き取りに際し、税関手続費用や解放金・解除金などの名目で高額な料金を求められた事例を公表しています。 |
| 「税関 関税等お支払サイト」を名乗るページ | 税関の本物の支払いサイトは、入国時に免税枠を超えた旅行者が税関職員の前で使うもので、税関はSMSで案内を送っていないと説明しています。 |
画面の見た目が整っているかどうかは、判断の材料になりません。支払いを求める名目と、支払い先の形で判断してください。
偽の追跡画面と見比べるために、本物の国際郵便で税金がかかる場合の流れも押さえておきましょう。税関の「カスタムスアンサー」は、外国から届く郵便物の手続きを次のように説明しています。
贈り物のように価格が分からない荷物も、課税価格20万円以下の場合と同じ流れで扱われるとされています。
つまり、正規の手続きで出てくるのは、紙の課税通知書と納付書、配達員への支払い、金融機関の窓口での納付です。メッセージで届いたリンク先のサイトから、個人名義の口座や暗号資産で「通関料」を払うという形は、この説明のどこにも出てきません。手続きが分からないときは、荷物を扱っている税関の外郵出張所に自分で問い合わせることができます。
プレゼントを受け取るために、住所・氏名・電話番号を相手に伝えていることが多いと思います。伝えてしまった情報は取り戻せませんが、この先の被害を小さくする備えはできます。
本当に荷物が届いた場合も、中身の分からない物を別の住所へ送り直す、中の現金を指定口座に入れる、といった頼みには応じないでください。受け渡し役にされる危険については荷物の受け取り・転送を頼まれたらで詳しく扱っています。
サイトで支払ってしまった場合、使った手段によって最初に連絡する先が変わります。
| 支払い方法 | 最初の連絡先 | 伝えること |
|---|---|---|
| 国内の銀行口座への振込 | 振込をした自分の銀行 | 詐欺の可能性があること、振込日時・金額・振込先 |
| クレジットカード入力 | カード会社 | 不審なサイトで入力したこと、利用停止と請求への異議 |
| ギフトカードの番号送信 | カードの発行会社 | カード番号・購入店・購入日時 |
| 暗号資産の送信 | 利用した暗号資産交換業者 | 送信日時・数量・送信先アドレス |
FTCのデータでは、2022年に恋愛目的の詐欺でお金を失ったと報告した人の24%が、ギフトカードで支払わされていました。ギフトカードは番号を伝えた時点で使われてしまうことが多く、連絡はできるだけ早いほうがよいと考えてください。
そのうえで、最寄りの警察署に相談します。サイトのURL、追跡画面のスクリーンショット、相手とのトーク、支払いの記録を一緒に持っていくと、話が伝わりやすくなります(証拠の残し方)。
プレゼントの話は、それまでのやり取りを振り返るきっかけにもなります。次の点を一つずつ確かめてみてください。
国民生活センターは、恋愛感情や親切心を利用される被害では、信頼していた人に裏切られる精神的な負担も大きいと述べています。疑いを持つことは相手への裏切りではありません。一人で決めずに、#9110(警察相談専用電話)か188(消費者ホットライン)へ電話して、今の状況をそのまま伝えてみてください。
A. 相手が教えたサイトの表示は、相手側が用意したものの可能性があります。配送会社名を自分で検索して出てきた公式サイトで、同じ番号を照会してください。そこで確認できなければ、表示は裏付けになりません。
A. その場で払わず、いったん電話を切ってください。税関の注意喚起では、法定の手数料や税とは別のお金を税関が個人から取り立てることはないと説明されています。心配なら、自分で調べた税関や配送会社の公式窓口に確かめてください。
A. 少額の支払いのあとに、保管料や解放金などの名目で請求が続く相談が多く寄せられています。会ったことのない相手が送ったという荷物のために支払う必要はありません。
※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。
サイト名、サービス名、担当者名、LINE名、決済名などで確認している方は、事例パターンと証拠の残し方を分けて確認してください。個別の違法性、返金可否、削除可否、解決を断定するものではありません。
LINEで相談前チェックリストを受け取り、支払い方法・証拠・やり取りを整理できます。弁護士確認が必要なケースも確認できます。