ロマンス詐欺で送金してしまった場合の返金と対処法
ロマンス詐欺でお金を送金してしまった場合、できるだけ早く行動することが回収の可能性を高めます。銀行振込なら「組戻し」、クレジットカードなら「チャージバック」が有…
ある日、英語や不自然な日本語のメールが届く。「石油取引の契約で得た報酬を国外に移したい」「あなたの口座を貸してくれれば謝礼を払う」「手続き費用を先に送ってほしい」。あるいは、メールでやり取りしてきた石油リグ勤務の恋人から、「会社の給料をあなたの口座で受け取らせてほしい」と頼まれた。この記事は、そうしたメールへの対応に迷っている人に向けたものです。
まず結論です。見知らぬ相手の大金の受け渡しに、自分の口座を使わせたり、手数料を前払いしたりしないでください。前払いしたお金が戻らないだけでなく、口座を使わせたことで、あなた自身が法律違反に問われたり、口座が凍結されたりするおそれがあります。
石油掘削や洋上施設に関わる人物を名乗る相手をめぐる連載のうち、今回はメールで届く「おいしい話」と口座の貸し出しを取り上げます。
石油を題材にしたメールには、いくつかの決まった型があります。
外務省の海外安全ホームページは、ファクスやメールで架空の取引を持ちかけ、手数料や前金などの名目でお金を振り込ませる手口を「通称419事件」として紹介しています。そこでは、産油国の弁護士を名乗る人物から、航空機事故で亡くなった日本人夫妻の遺産を親族として相続する手続きのため、手続き料200万円を送るよう求めるメールが届いた事例が取り上げられています。手を変え品を変え、今でも絶えないとも書かれています。
こうした話では、あなたは「お金を払う側」ではなく「受け取る側」として誘われます。そのため警戒がゆるみやすいのですが、実際には二つの危険があります。
多くの場合、巨額の報酬や遺産が届く前に、「送金手数料」「税金」「弁護士費用」「書類の認証費用」などを先に払うよう求められます。外務省の説明でも、話に乗ると現金化や海外送金の手数料、現地政府に納める税金など、経費が必要だとして数百万円の送金を求められ、払い込んだが最後、連絡は途絶える、とされています。約束された大金は、最初から存在しない可能性が高いと考えてください。
もう一つの危険は、あなたの口座が「お金の通り道」にされることです。警察庁のSOS47によれば、ロマンス詐欺の中には、相手が「手伝ってほしい」と頼んで被害者の口座にお金を入れさせ、それを別の口座へ送らせる形で、被害者自身を資金洗浄に利用する例があります。その場合、組織的犯罪処罰法違反に問われることもあると警察庁は注意しています。あなたの口座に入ってくる「報酬」は、別の誰かがだまし取られたお金かもしれません。
米国でも、FBIのインターネット犯罪苦情窓口であるIC3が年次報告書の用語説明で、恋愛や信頼関係を装う詐欺の定義の中に、だまされた人が加害者のためにお金や品物を洗浄する役割をさせられることを含めています。
「口座番号を教えるだけ」「一時的にカードを預けるだけ」でも、状況によっては法律違反になります。大阪府警察の案内では、通帳・キャッシュカードのほか、ネットバンキングのログイン情報も対象で、正当な理由がなければ、お金を受け取ったかどうかに関係なく、渡す側も受け取る側も罪になりうるとされています。
| 頼まれがちなこと | 起こりうること |
|---|---|
| キャッシュカードや通帳を郵送してほしい | 犯罪収益移転防止法違反に問われるおそれ。大阪府警察は罰則を3年以下の拘禁刑、500万円以下の罰金と示し、令和8年7月10日から引き上げられたと案内 |
| ネットバンキングのIDとパスワードを教えてほしい | 同上。口座を自由に操作され、他の被害の送金先にされる |
| 振り込まれたお金を別の口座へ送ってほしい | 大阪府警察によると、正当な理由なく他人から振り込まれた財産を別口座へ移す行為は、令和8年7月10日施行の規定で犯罪収益移転防止法違反となり、2年以下の拘禁刑、300万円以下の罰金の対象 |
| 新しく口座を作って使わせてほしい | 譲り渡す目的での口座開設として、詐欺罪などに問われるおそれ |
影響は刑事責任だけではありません。人に使わせた口座が犯罪に悪用された場合、ほかに持っている口座もまとめて凍結されたり、この先の口座開設を断られたりする可能性があると、大阪府警察は注意しています。給与の受け取りや公共料金の引き落としができなくなると、生活への影響は小さくありません。
メールの見た目や肩書は、いくらでも整えられます。内容そのものに、次のような特徴がないかを見てください。
外務省は、このようなメールを受け取ったら「世の中にそんなにウマい話はない」と疑い、不用意に反応せず、不法な誘いは無視するよう勧めています。一度でも返事をすると共犯の疑いをかけられる危険があるとも指摘しています。興味本位で「本当ですか」と返信することも避けたほうが安全です。
恋人を名乗る相手から同じような頼みが来た場合も、考え方は変わりません。本当に給料を受け取れない事情があるなら、本人が勤務先や銀行と手続きをするのが筋です。報酬を送金したという銀行名のメールについての記事もあわせてご覧ください。
すでにやり取りを始めてしまった場合でも、今からできることはあります。状況に合わせて次の対応を取ってください。
石油という題材が選ばれるのは、巨額のお金が動く業界だという印象があり、「数億円の報酬」「国をまたぐ契約」といった話にも現実味を持たせやすいからだと考えられます。けれども、どれほど立派な肩書や業界用語が並んでいても、見ず知らずのあなたの口座を借りなければ動かせないお金は、まともな取引のお金ではないはずです。
「報酬がもらえるかもしれない」と一瞬でも期待したことや、恋人の頼みに応えようとしたことを、恥ずかしく思う必要はありません。こうしたメールは、人の善意や期待を利用するように作られています。
判断に迷ったら、次の窓口に相談してください。
外務省は、確認が必要な案件だと思える場合は、国際的な法律に詳しい弁護士などに相談することも勧めています。メールに書かれた「担当弁護士」ではなく、自分で探した弁護士に依頼してください。
A. はい。外務省も、このようなメールは疑って不用意に反応せず、不法な誘いは無視するよう勧めています。返信すると、さらに連絡が続いたり、共犯を疑われる危険があるとされています。メールは削除せず保存しておくと、後で相談するときに役立ちます。
A. おすすめできません。警察庁は、ロマンス詐欺で被害者の口座に振り込まれたお金を別の口座へ送らせ、マネー・ローンダリングの道具にする事例があると注意しています。入ってくるお金が、他の人がだまし取られたものかもしれません。
A. 引き出したり、指示された口座へ送ったりせず、口座のある金融機関と警察に連絡してください。自分の判断で動かすと、犯罪に巻き込まれるおそれがあります。
※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。
サイト名、サービス名、担当者名、LINE名、決済名などで確認している方は、事例パターンと証拠の残し方を分けて確認してください。個別の違法性、返金可否、削除可否、解決を断定するものではありません。
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