ロマンス詐欺で送金してしまった場合の返金と対処法
ロマンス詐欺でお金を送金してしまった場合、できるだけ早く行動することが回収の可能性を高めます。銀行振込なら「組戻し」、クレジットカードなら「チャージバック」が有…
Facebookで知り合い、石油リグで働いていると言っていた相手に、何度かお金を送ってしまった。おかしいと気づいたものの、どこに何から連絡すればよいのかわからない。この記事は、その段階にいる人のための手順書です。
要点を先に書きます。取り戻せる可能性は、「どの方法で送ったか」と「どれだけ早く動いたか」で大きく変わります。銀行振込なら振込先の口座を止める制度があり、電子マネーやカードにもそれぞれ連絡先があります。一方で、どの方法でも全額が戻るとは限りません。できることを早く、順番に進めることが、結果として残せるものを増やします。
海上の掘削リグや生産プラットフォームで働くという人物をめぐる連載で、今回扱うのはお金を渡してしまった後の実務です。まだ送っていない段階の方は、緊急の送金を頼まれたときの記事から読んでください。
支払い方法にかかわらず、まず次の三つを済ませてください。
この一覧があるだけで、金融機関や警察への説明がずっと早くなります。整理のしかたは証拠の残し方でも紹介しています。
| 送った方法 | 最初に連絡する先 | 主な制度・手段 | 戻る見込み |
|---|---|---|---|
| 国内銀行への振込 | 相手の口座がある銀行、警察 | 救済法にもとづく凍結と分配金の申請 | 口座に残高があれば一部または全部 |
| 振込直後で未入金の可能性 | 自分が振り込んだ銀行 | 組戻し(振込の取り消し) | 受取人の応諾が必要で、期待しにくい |
| 海外口座・国際送金サービス | 送金を扱った銀行・事業者、警察 | 取り消し・照会の可否を確認 | 非常に難しい |
| クレジットカード | カード発行会社 | 請求の確認、チャージバックの申し出 | カード会社の判断による |
| 電子マネー・ギフトカード | カードの発行会社、警察 | 未使用残高の利用停止 | 使われる前なら可能性あり |
| 暗号資産 | 利用した交換業者、警察 | 送金履歴の保全と捜査への協力 | 非常に難しい |
表の「戻る見込み」は一般的な傾向で、個々の結果を示すものではありません。
国内の銀行口座に振り込んだのであれば、時間との勝負です。相手の口座がある金融機関と警察へ、その日のうちに知らせてください。金融庁は、SNS型投資詐欺・ロマンス詐欺も、預金口座などへの振込みで被害にあった場合は「振り込め詐欺救済法」(正式には、犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律)の対象になりうると説明しています。
事前に最寄りの警察署へ電話し、担当の部署と持ち物を確かめてから行くと、手続きがスムーズです。石油リグで働いていたという相手の説明(会社名、リグの場所、名乗った名前)も、覚えている範囲でメモしておきましょう。
救済法の詳しい手順は口座凍結の申し立ての記事にもまとめています。
振込の操作をした直後で、まだ相手の口座に入金されていない可能性がある場合や、入金後でも受取人の同意が得られる場合には、振り込んだ銀行に、振込を取り消して資金を戻してもらう「組戻し」を頼めるか相談する道も残っています。
ただし、銀行の案内を見ると、入金後の組戻しは受取人の応諾が前提で、応じてもらえなければ資金は戻りません。手数料もかかります。詐欺の相手が応じることは期待しにくいため、組戻しの依頼と並行して、前の章の警察・振込先金融機関への連絡を進めてください。
海外の口座へ国際送金した場合は、国内の救済法の対象外になるのが通常です。送金を扱った銀行や送金サービスに、送金の取り消しや相手先への照会ができないかを、すぐに問い合わせてください。国際送金やギフトカードで渡したお金は、国民生活センターも取り戻すのが非常に難しいと注意しているとおり、見込みは厳しいと考えておいてください。
相手に指示されたサイトでカード決済をした場合は、カードの裏面にある発行会社の窓口に連絡し、事情を説明します。確認したいのは次の点です。
ここでいうチャージバックとは、カードの国際ブランド(Visa・Mastercard・JCBなど)が独自に設けている取り決めのことで、法律が利用者に認めた権利とは性質が異なります。内閣府の消費者委員会の報告でも、条件に当てはまる場合でもカード会社が簡単には申請してくれないことがある、と指摘されています。申し出るときは、送金の経緯を時系列でまとめた資料を添えると説明がしやすくなります。仕組みの詳細はチャージバックについての記事で解説しています。
カードを買って番号を相手に伝えた場合は、すぐにカードの発行会社へ連絡します。日本資金決済業協会は、被害に気づいたら速やかにプリペイドカードの発行元に連絡し、そのうえで警察に被害届を出し、消費者ホットラインなどに相談するよう案内しています。相手がまだ残高を使い切っていない段階であれば、発行会社の側で止められる余地があります。コンビニで受け取ったレシートや、番号が印字されたカードの台紙は、手続きで求められることがあるので手元に残しておきましょう。
暗号資産交換業者の口座から送った場合は、その交換業者に送金の経緯を伝え、相手のアドレスに関する情報を残しておきます。暗号資産は送金の取り消しができないのが一般的で、取り戻しは難しい部類に入ります。それでも、警察への相談では送金履歴(日時、数量、送金先アドレス、取引ID)が手がかりになります。流れは暗号資産を送った後の対応で詳しく書いています。
送金の手続きと並行して、相手のFacebookアカウントも報告しておきましょう。報告の前に、プロフィールのURL、表示名、プロフィール写真、Messengerの会話を保存しておくと、アカウントが消えた後も記録が残ります。
警察もMeta社への情報提供を続けています。令和7年の1年間では、FacebookやInstagram上で詐欺に悪用された422のアカウントについて、利用停止などを働きかけたと公表されています。
もう一つ気をつけたいのが、被害にあった人を狙う「取り戻します」という連絡です。探偵や調査会社、公的機関、弁護士を名乗り、着手金や調査費を先に求めてくるケースがあります。経済産業省も、過去の取引の損金を取り戻せると持ちかける電話に注意を促しています。相談するなら、警察、消費生活センター(188)、法テラスなど、自分で調べた公的な窓口を使ってください。手続きを一人で進めるのが心細いときは、家族や信頼できる友人に警察署や銀行へ付き添ってもらうのも一つの方法です。返金をうたう広告の見分け方は返金をうたう動画・広告の注意点で扱っています。
A. 時間がたっていても、警察と振込先の金融機関への連絡は行ってください。口座がすでに凍結されていれば、預金保険機構の公告に載っている場合があります。ただ、残高が引き出されていると分配される額は少なくなります。
A. 救済法は国内の預金口座等への振込みを前提にした制度のため、海外口座への送金は対象外となるのが通常です。送金を扱った銀行や送金サービスにすぐ問い合わせ、警察にも相談してください。
A. チャージバックは国際ブランドが定めた民間のルールで、戻ることが約束された制度ではありません。カード会社が条件に当たるかを判断します。早めに連絡し、経緯をまとめた資料を出すことが大切です。
A. 相談できます。振込明細やレシートなど送金の記録が残っていれば、それが大切な資料になります。覚えている日時や会話の内容をメモにまとめて、警察や188に相談してください。
※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。
サイト名、サービス名、担当者名、LINE名、決済名などで確認している方は、事例パターンと証拠の残し方を分けて確認してください。個別の違法性、返金可否、削除可否、解決を断定するものではありません。
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