ロマンス詐欺で送金してしまった場合の返金と対処法
ロマンス詐欺でお金を送金してしまった場合、できるだけ早く行動することが回収の可能性を高めます。銀行振込なら「組戻し」、クレジットカードなら「チャージバック」が有…
石油リグで働いていると言っていた相手にお金を送り、だまされたと気づいた。取り戻す方法をYouTubeで調べていたら、「ロマンス詐欺の被害金、取り戻せます」「調査費無料」「成功率○%」といった動画や広告が次々に出てくる。この記事は、そうした案内に連絡しようか迷っている人のためのものです。
はじめにお伝えします。被害金の返還を代わりに交渉できるのは、原則として弁護士です。探偵や調査会社、名前だけでは何者かわからない「返金サポート窓口」に、着手金や調査費を先に払う前に、相手の資格と契約の中身を必ず確かめてください。送金の被害にあった直後の人は、次の被害の標的にもなりやすいからです。
海の上の掘削施設で働くという人物をめぐる連載のうち、今回のテーマはお金を送った後に現れる「取り戻します」という誘いです。
返金をうたう案内は、動画、動画の途中や前後に流れる広告、検索結果の広告、SNSの投稿など、さまざまな場所に出てきます。見た目は違っても、中身には共通点があります。
警察庁は2026年2月、首相官邸など政府機関を装った偽サイトや、政府要人の映像や音声を悪用した詐欺広告が確認されているとして注意を呼びかけました。有名人や公的機関の名前が出てくるからといって、その広告が本物だとは限りません。
返金の話を持ちかけてくる相手が「何者か」によって、できることは大きく違います。
| 名乗る立場 | できること | できないこと・注意点 |
|---|---|---|
| 弁護士 | 依頼者の代理人として、相手方や関係先との交渉、法的手続きを行う | 返金を保証することはできない。本当に弁護士か、登録を確かめる必要がある |
| 探偵・調査会社 | 依頼を受けて事実を調べ、結果を報告する | 報酬を得て返金交渉を代わりに行うことは、弁護士法72条にかかわる |
| 名称だけの「返金窓口」 | 運営者や資格が確かめられないことが多い | 何ができるのか説明があいまいなまま、先払いを求められやすい |
| 公的機関を名乗る連絡 | 本物の公的機関は相談や情報提供を行う | 国民生活センターは、センターが示談金の受け取り費用などを請求することはないと注意している |
弁護士法72条により、弁護士の資格がない人が、報酬目的で他人のもめごとの代理や示談の交渉を仕事として引き受けることは禁止されています。日本探偵業協会も、探偵業者は被害にあったお金を取り戻すことはできず、報酬目的で被害金の返還請求やその交渉をするのは弁護士などの資格が必要になる、と説明しています。
同協会は、詐欺被害の返金をうたう探偵を名乗る業者が、「十分に返金が可能です」と告げて契約させ、契約書面では「企業調査」などとだけ書いて返金には触れない手口にも注意を促しています。
被害にあった人を狙う返金の話は、ロマンス詐欺に限ったものではありません。公的機関はこれまでにも、形を変えた手口について注意を呼びかけてきました。
返金の誘いは、最初の相手と無関係な業者から届くとは限りません。「リグの会社の法務部が被害者に補償している」「国際機関があなたの送金を差し押さえたので、手数料を払えば返還される」など、もとの話の続きのような形で届くこともあります。最初の相手とやり取りしていたアカウントの知り合いを名乗って連絡してくる場合もあります。返金の話であっても、先にお金を払う段取りになっていれば、最初の被害と同じ構造だと考えてください。
共通しているのは、取り戻したいという気持ちにつけこみ、先にお金や個人情報を出させるという点です。石油リグ勤務を名乗る相手にお金を送った人は、送金先や金額の情報がすでに犯人側に知られていることもあり、「あなたの被害を把握している」と具体的に言われると信じやすくなります。
返金の相談先を選ぶとき、次の点を一つずつ確かめてください。一つでも答えがあいまいなら、その場では契約しないことをおすすめします。
契約をしてしまった後でも、電話で勧誘されて申し込んだ場合など、クーリング・オフの対象になりうるケースがあります。迷ったら消費生活センター(188)に契約書を見てもらってください。
まず頼ってほしいのは、自分で調べて連絡できる公的な窓口です。
送金方法ごとの手続きは送金後の手続きを支払い方法別にまとめた記事で、二次被害の全体像は二次被害への注意の記事で解説しています。弁護士に依頼するかどうかは、公的な窓口で状況を整理してから決めても遅くありません。
弁護士に相談する段階になったら、送金の一覧(日付・金額・方法・送金先)、相手とのやり取りの記録、相手が名乗った名前や勤務先の情報をまとめて持っていきましょう。費用の見積もりは、着手金と成功報酬を分けて書面で出してもらうと、後から比べやすくなります。複数の事務所の話を聞いてから決めることも、遠慮なくしてかまいません。
動画は、同じような経験をした人の話を聞けたり、手口の全体像をつかめたりする点で役に立つこともあります。ただ、情報を集めるときは次の点を意識してください。
気になる広告を見つけたら、YouTubeの広告の報告機能から報告することもできます。送金してしまった後悔や焦りが強いときほど、「すぐに取り戻せる」という言葉は魅力的に聞こえます。その気持ちを自覚しておくことが、次の被害を防ぐ一番の守りになります。
A. 業者によります。報酬を得て返金交渉を代わりに行えるのは原則として弁護士で、探偵や調査会社にはできません。弁護士を名乗る場合も、日弁連の弁護士検索で登録を確かめ、契約内容と費用を確認してから判断してください。
A. 日本探偵業協会は、探偵業者は被害金を取り戻すことはできないと説明しています。相手を特定できたとしても、それだけでお金が戻るわけではありません。調査費を払う前に、188や警察に相談してください。
A. 電話での勧誘を受けて契約した場合など、クーリング・オフの対象になりうることがあります。期間が限られているため、契約書面を手元に用意して、できるだけ早く188に電話し、近くの消費生活センターで見てもらってください。
A. 国民生活センターは、センターをかたる電話やメールに注意を呼びかけています。メールのリンクは開かず、国民生活センターや最寄りの消費生活センターの連絡先を自分で調べて確認してください。
※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。
サイト名、サービス名、担当者名、LINE名、決済名などで確認している方は、事例パターンと証拠の残し方を分けて確認してください。個別の違法性、返金可否、削除可否、解決を断定するものではありません。
LINEで相談前チェックリストを受け取り、支払い方法・証拠・やり取りを整理できます。弁護士確認が必要なケースも確認できます。