仮想通貨・暗号資産詐欺で損失が出た場合の返金相談方法
仮想通貨・暗号資産を使った詐欺は、偽の取引所・DeFi・NFTへの投資勧誘、ウォレット接続による資産の不正抜き取りなど多岐にわたります。 仮想通貨・暗号資産詐欺…
マッチングアプリで知り合った相手に言われるまま海外FXの口座を開き、運転免許証の画像やログイン用のパスワードまで渡してしまった。そういう状況なら、最初にやるのは口座の管理を自分の手に戻すこと、その次が名義の悪用に備える手続きです。お金を取り戻す話は、その二つを済ませてからでも遅くありません。順番を逆にすると、相談している間に残高を動かされたり、身分証の画像を別の申込みに使われたりする余地が残ります。
この記事は、相手から「設定はこっちでやる」「取引は任せて」と言われて口座を操作されていた人、本人確認のために身分証や顔写真を送った人に向けたものです。恋愛感情を入口にした投資勧誘の見分け方はFX投資型の恋愛詐欺の記事にまとめているので、ここでは口座と個人情報を他人に握られた状態からどう抜け出すかに絞ります。
海外FXの口座は、あなたの名前と本人確認書類で開かれています。ところが実際に画面を操作していたのが相手なら、入金も取引も出金先の登録も、あなたの知らないところで行われた可能性があります。ここで困るのは、損をしたかどうかだけではありません。
SNSやマッチングアプリで出会った人から持ちかけられる投資話について、金融庁は、LINEグループや偽のサイトへ誘導され、入金の後で手数料や税金の名目でさらに支払いを求められる流れを注意喚起しています。「二人の将来のため」と口座開設を急がせる話は、この流れの入口にあたることがあります。
相手とのやり取りが続いていても、次の作業は相手に知らせずに進めて構いません。先に伝えると、残高を移される心配があるためです。
筆者は、この5つのうち1と2だけは相手に相談せず今日のうちに済ませることをすすめます。相手が本当にあなたを思っているなら、あなたが自分の口座を管理することに反対する理由はないはずです。
本人確認書類の画像は、送った相手から取り戻すことができません。できるのは、悪用されたときに早く気づき、被害を広げないための手当てです。
指定信用情報機関のCICには、本人の申し出で「本人申告」を登録する仕組みがあります。CICの説明では、身分証の紛失・盗難で不正利用が心配な場合や、名義を他人に悪用されるおそれがある場合に登録でき、有効期間は登録から5年です。クレジット会社などが審査の際にこの申告を見ることで、なりすましの申込みに気づくきっかけになります。ただし審査の判断は各社が行うもので、登録すれば必ず防げるわけではない点もCIC自身が断っています。ほかの信用情報機関にも同様の制度がないか、あわせて確かめておくと安心です。
気になる動きがあれば、その会社に連絡し、警察にも相談します。送った画像の種類(免許証の表裏、マイナンバーカード、顔写真つきの自撮りなど)と送った日時、送付先のアカウント名は、この時点でメモにまとめておくと後の説明が楽になります。
取り戻しの可能性は、業者の名前よりもお金がどの経路で誰に渡ったかで大きく変わります。振込明細や決済の履歴を手元にそろえ、次の表のどれに当たるかを確かめてください。
| 払い方 | 最初に連絡する先 | 知っておきたいこと |
|---|---|---|
| 国内の銀行口座へ振込(個人名義・見知らぬ会社名義) | 振込先の銀行、自分の銀行、警察 | 受け取った側の口座を銀行が止めた後なら、振り込め詐欺救済法という仕組みを通じて、凍結時点の残高を被害者で分け合う形で戻ってくることがあります。対象口座の公告は預金保険機構が載せています。 |
| クレジットカード | カード会社 | 利用明細の加盟店名と日付を伝え、調査を依頼します。応じてもらえるかはカード会社の判断です。 |
| 暗号資産で送金 | 警察、送金に使った国内の交換業者 | 相手のウォレットアドレスと、送金ごとのトランザクションIDを記録します。いったん送られた暗号資産を取り戻すのは難しいのが実情です。 |
| 相手に現金や電子マネーを直接渡した | 警察 | 受け渡しの日時、場所、メッセージの記録が中心的な材料になります。 |
国民生活センターは、SNS上の投資グループをきっかけにしたFXトラブルの注意喚起のなかで、個人名義の口座へ振り込むよう指示されても振り込まないよう呼びかけています。入金先が個人名義だったなら、それだけでも急いで銀行と警察に伝える理由になります。
口座を取り戻したあと、相手に何と言えばよいか迷う人は多いはずです。気持ちの整理は後回しにして、次の点だけは先に確かめておくと判断がぶれにくくなります。
相手を問い詰めて反応を見るのは、おすすめしません。証拠を消されたり、アカウントごと姿を消されたりするおそれがあるからです。やり取りを保存したまま、相談先に話を持っていく方が安全だと筆者は考えます。
恥ずかしさから一人で抱え込む人ほど、相手からの「もう少しだけ入金すれば出金できる」という言葉に引き戻されやすくなります。全部を話す必要はありません。「投資の話でお金が戻ってこない、手続きを一緒に確認してほしい」と一言伝えるだけでも、追加の支払いを踏みとどまる支えになります。相手が家族や職場に知らせると脅してきた場合も、その文面を保存して警察に伝えてください。
相談先は、何を解決したいかで選びます。
持っていくものは、相手のプロフィール画面、アプリ内と外部チャットのやり取り、口座のログイン履歴と入出金履歴、振込明細やカードの利用明細、送った身分証の種類と日時のメモです。何を先に集めるかで迷ったら相談前チェックリストが便利です。なお、このシリーズのLINEグループ経由で出金できないときの記事では、出金申請が通らない場面を扱っています。
A. ログイン履歴と登録情報を画面に残してから、口座と登録メールのパスワードを変え、二段階認証を自分の端末だけに設定し直してください。そのうえで業者に、第三者に操作されていた事実を書面で伝えます。
A. 相談して損はありません。身分証の画像は名義の悪用につながりうるため、CICの本人申告などの備えを検討し、不審な契約の案内が届いたら警察に相談してください。
A. 業者との関係では本人の取引として扱われやすいのが実情です。ただ、相手にだまされて操作を任せた経緯があれば、相手に対して責任を問えるかは別に検討できます。個別の判断は弁護士に確認してください。
A. 出金を相手の段取りに任せる必要はありません。自分で出金申請を試し、断られた場合の文面を保存しておくと、後の相談で役に立ちます。
※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。
サイト名、サービス名、担当者名、LINE名、決済名などで確認している方は、事例パターンと証拠の残し方を分けて確認してください。個別の違法性、返金可否、削除可否、解決を断定するものではありません。
LINEで相談前チェックリストを受け取り、支払い方法・証拠・やり取りを整理できます。弁護士確認が必要なケースも確認できます。