ロマンス詐欺で送金してしまった場合の返金と対処法
ロマンス詐欺でお金を送金してしまった場合、できるだけ早く行動することが回収の可能性を高めます。銀行振込なら「組戻し」、クレジットカードなら「チャージバック」が有…
結論を先に書きます。利益を引き出す前に「税金」「保証金」「手数料」などを別に振り込むよう求められたら、払わないでください。金融庁の相談室には、出金を申し出たところ、画面上の資産額の2〜3割ほどを名目を変えて入金するよう求められ、払っても投資したお金を回収できなかったという相談が多く寄せられています。
この記事は、X(旧Twitter)でやり取りするうちに海外に住むという男性と打ち解け、その人の勧めで始めた投資で画面上は大きな利益が出ているのに、引き出そうとした途端に支払いを求められて迷っている人に向けたものです。相手が恋人のようにふるまっていると、「あと少し払えば全部戻る」という言葉を信じたくなります。そこで立ち止まるための材料を、公的機関の資料からまとめました。
警察庁の令和8年上半期(1〜6月、暫定値)の資料によると、SNS型ロマンス詐欺2,509件のうち、最初の接点がX(Twitter)だったのは131件(5.2%)でした。マッチングアプリやInstagramに比べれば少ない数字です。
ただし、恋愛を装わずに投資の話から入る「SNS型投資詐欺」に目を向けると、同じ期間にXが入口となった被害は677件で、前年同期から127.9%増えています。この期間のSNS型投資詐欺は全体で5,893件、被害額は797.9億円でした。Xでは、相場の話題や趣味の投稿への返信から個別のメッセージに移り、親しくなってから投資の話になる流れもあります。恋愛と投資のどちらの形で始まっても、最後に出金の段階で支払いを求められる構図は変わりません。
Xの利用者どうしのつながりは、共通の関心から自然に生まれることが多く、見知らぬ人からの返信にも警戒心が薄れがちです。そこに海外在住という設定が加わると、会えないことや返信の時間がずれることにも説明がつきやすくなる、と筆者は見ています。
公的機関の資料に出てくる名目を整理すると、次のようになります。どれも「払えば引き出せる」という説明とセットで持ち出されます。
| 名目 | 公表されている例 | 考え方 |
|---|---|---|
| 税金・所得税 | 出金時に所得税を払うよう求められた(国民生活センター) | 日本では、投資の利益にかかる税金は確定申告で本人が国に納めるか、源泉徴収口座なら売却代金から差し引かれるのが基本。取引相手が指定する口座へ先に振り込ませる形は通常ない |
| 保証金 | 利益を含む総資産の15%、180万円を求められた(国民生活センター) | 「出金を保証するため」という説明には根拠がない |
| 手数料・認証料 | 残高の8%を「これが最後」として求められた(国民生活センター) | 正規の業者の出金手数料は、出金額から差し引かれるのが一般的 |
| 証拠金 | 口座残高の半分を証拠金として求められた(国民生活センター) | 出金の条件として証拠金を追加で入れる理由はない |
| 口座凍結の解除費用 | 凍結解除のための支払いを求められた(金融庁) | 凍結の真偽を相手の説明以外で確かめる手段がない |
共通するのは、引き出すお金の中から差し引かず、外から新たに振り込ませる点です。本当に利益があるなら、手数料や税金はその利益から精算すれば済むはずです。この一点だけでも、支払いを断る理由として十分だと筆者は考えています。
出金前の支払いの多くは、画面上の資産額に対する割合で請求されます。金融庁は2〜3割程度が多いとしていますし、国民生活センターの事例でも15%、8%、残高の半分といった数字が並びます。
この仕組みには二つの特徴があります。一つは、画面上の資産が大きく表示されているほど、請求額も大きくなることです。画面の数字は運営側が自由に動かせるため、請求額もいくらにでも設定できます。もう一つは、名目が変われば何度でも請求できることです。
たとえば2021年11月に国民生活センターが受け付けた相談(50歳代男性)では、SNSで知り合った女性の指示で取引を始めた男性が、引き出しを申し出たあと税金と保証金を立て続けに求められ、合計約170万円を支払いました。その後さらに「残高の8%にあたる50万円を払えば約600万円を入金する。これが最後だ」と連絡が来ています。
筆者の見方では、「これが最後」という言葉は、支払いが続いていることの裏返しです。一度払うと、相手はあなたがまだ払える人だと判断し、次の名目を用意します。金融庁も、こうしたケースで追加入金をしても回収は難しく、その後連絡が取れなくなった例が多いと説明しています。
出金前の支払いを求める連絡には、ほぼ必ず期限がついてきます。「今日中に払わないと口座が凍結される」「期限を過ぎると資産は没収」「規定により延長はできない」といった言い方です。国民生活センターの事例では、「国際基金の規定に基づく請求だ」と、もっともらしい組織名まで持ち出されています。
期限を切る目的は、考える時間と相談する時間を奪うことにあると筆者は考えています。一人で画面を見つめていると、失うかもしれない金額ばかりが大きく見えてきます。しかし、正規の金融機関が出金と引き換えに外部への先払いを求め、しかも数時間の期限を切るという状況は考えにくいものです。
期限つきの請求が来たら、次のように扱ってください。
相談して払わないと決めた結果、画面の残高が消えたとしても、それは最初から実在しなかった数字だった可能性が高いと受け止めてください。
ロマンス型の勧誘では、出金の段階で恋人役が前に出てきます。よくあるのは次のような持ちかけ方です。
相手が負担を分け合っているように見せるのは、断ることを「裏切り」のように感じさせるためです。警察庁のSOS47は、恋愛感情を抱いている相手からの話はつい信じてしまいがちだと注意したうえで、会ったことのない人から投資の話が出たときは注意が必要だとしています。
断るときは、理由を長く説明する必要はありません。「これ以上お金は出さない。会って話せるまでは何も払わない」と一度だけ伝え、その後の説得には応じないことです。相手が本当にあなたとの将来を考えているなら、支払いを拒んでも関係は続くはずです。逆に、支払いを断った途端に責める、脅す、連絡を絶つといった反応があれば、それが答えだと考えてよいでしょう。
支払いを断ったあとも、しばらくは相手から連絡が続くかもしれません。次のことを済ませておくと、後の相談がスムーズです。
暗号資産で送った分は、銀行振込のような凍結と分配の仕組みが使えません。戻る見込みは低いと考えたうえで、送付記録を警察に届けてください。
出金の支払いを求められている段階でも、すでに払ってしまった後でも、次の窓口に相談できます。
税金名目の請求そのものについては「税金を払えば出金できる」という要求の特徴、出金手数料の請求については出金手数料を求められたときでも扱っています。少額の出金ができた段階の考え方は利益が出た・出金できたときに止める理由、口座を止める申し出の流れは口座凍結の申立て方法で確認できます。
ここで紹介した数字と制度は、2026年9月25日時点で公表されている資料によるものです。税務の扱いは個別の状況で異なるため、具体的な判断は税務署や税理士に確認してください。返金を保証するものではありません。
A. 払わないでください。日本では投資の利益にかかる税金は本人が確定申告で納めるか、源泉徴収口座なら売却代金から差し引かれるのが基本で、取引相手の指定口座へ先に振り込む形は通常ありません。
A. 国民生活センターの事例では、税金と保証金で約170万円を払った後にも「これが最後」と追加の支払いを求められています。名目が変われば請求は続くと考えてください。
A. 相手が本当に払ったかどうかは確かめられません。負担を分け合うように見せるのは、断りにくくするための典型的な持ちかけ方です。支払いは止め、記録を残して相談してください。
A. 振込先の銀行と警察にすぐ連絡し、口座を止めるよう求めてください。止めた口座にお金が残っていれば、救済法に基づく分配を申請できる可能性があります。
※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。
サイト名、サービス名、担当者名、LINE名、決済名などで確認している方は、事例パターンと証拠の残し方を分けて確認してください。個別の違法性、返金可否、削除可否、解決を断定するものではありません。
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