海外在住男性に「友人の分もまとめて投資を」と言われたら|取りまとめ役の危険

結論を先に書きます。恋人のようにやり取りしている海外在住の男性から「友達にもこの投資を教えてあげて」「友達の分もまとめて送ってくれたら手数料が安くなる」と頼まれても、友人を誘う役やお金を集めて送る役は引き受けないでください。お金の流れの途中に自分が入ると、損失が出たときに友人から返金を求められる立場に立ちます。自分の口座で友人のお金を受け取っていれば、その口座が被害金の振込先として扱われることもありえます。

この記事は、海外在住を名乗る男性に投資を勧められていて、友人や同僚を巻き込むよう持ちかけられている人、あるいはすでに友人を誘ってしまい、どうすればよいか悩んでいる人に向けたものです。

「友人も誘って」「まとめて送って」と頼まれる流れ

ロマンス型の投資勧誘では、相手があなたを信用させた後、あなたの人間関係にまで手を伸ばしてくることがあります。持ちかけ方には、次のような型があります。

  • 「こんなにいい話を、あなたの大切な友達にも教えてあげて」
  • 「紹介してくれたら、紹介ボーナスを口座に上乗せする」
  • 「友達の分もまとめて入金すれば、VIP口座の条件を満たせる」
  • 「友達は口座を開くのが面倒だろうから、あなたが預かって一緒に送ればいい」

金融庁は、知り合いからの紹介やSNSを通じて高利回りの投資話に誘われ、勧誘した人に現金を渡して入金したところ、当初は配当や払い戻しがあったものの、しばらくすると突然サービスが止まり、預けたお金も戻らなくなった事例を公表しています。また、同僚や家族、親戚から新しい事業への投資に誘われる、身近な人を通じた勧誘への注意も呼びかけています。

恋人から頼まれると、「彼の役に立ちたい」「友達にも得をさせたい」という善意が働きます。筆者は、この善意こそが、被害を一人から複数人へ広げる通り道になっていると考えています。友人があなたの話を信じるのは、投資の中身を調べたからではなく、あなたを信頼しているからです。その信頼を相手に差し出すことになる、と考えると、頼みの重さが見えてくるのではないでしょうか。

お金が自分を通ると、何が起きるか

友人のお金が自分を経由して相手に届く形になると、あなたは単なる紹介者ではなく、お金の受け渡しの当事者になります。起こりうることを役割ごとに整理しました。

引き受けた役割起こりうること
友人から現金を預かり、まとめて送る出金できなくなったとき、友人から「あなたに渡したお金を返して」と求められる
自分の口座で友人からの振込を受ける友人が被害を届け出ると、あなたの口座が振込先として凍結の対象になるおそれがある
友人を紹介して報酬を受け取る勧誘に関わった側と見られ、友人との関係が壊れる。報酬の扱いで揉めることもある
友人の代わりに口座開設や入金の手続きをする友人の個人情報を預かることになり、流出したときの責任を問われかねない

国民生活センターが紹介した相談(2021年12月受付・20歳代男性)では、職場の同僚に暗号資産のAI投資に誘われ、消費者金融で借りた60万円をそのまま同僚に手渡していました。やめたいと伝えて返金を求めても応じてもらえず、同僚とも連絡が取れなくなっています。この事例で相談者が向き合わなければならなかったのは、見知らぬ業者ではなく、同僚でした。あなたが取りまとめ役になれば、友人にとってのあなたが、この事例の同僚の位置に立つことになります。

警察庁の統計に見る「知人の紹介」からの巻き込まれ

警察庁は令和7年から、SNS型投資・ロマンス詐欺で被害金の受け取りなどに関わった「受け子等」が、どういう経緯でその役割に就いたのかを集計しています。令和7年に受け子等として検挙された304人のうち、SNSからの応募が119人(39.1%)で最も多く、次いで知人などの紹介が115人(37.8%)でした。

この数字は、自分で進んで犯罪に関わった人だけを表しているわけではないと筆者は読んでいます。知り合いから「お金を受け取って送るだけ」「手伝ってくれたら謝礼を出す」と頼まれ、深く考えずに引き受けた人も含まれている可能性があります。少なくとも、身近な人のつながりが、お金の受け渡しに人を引き込む経路として使われていることは確かです。

海外在住を名乗る恋人から「友達のお金も受け取って、こちらに送って」と頼まれる状況は、この経路と重なって見えます。お金を受け取って別の口座へ送る行為は、あなたに悪意がなくても、外から見れば被害金の受け渡しと区別がつきません。自分の名義の口座は自分のためだけに使う、と決めておくことが身を守ることにつながります。頼まれた額が少なくても、例外は作らないでください。他人に使わせるために口座を譲り渡すことは法律で禁じられている点も、覚えておいてください。

頼まれたときの断り方

断るときは、友人や同僚を持ち出さず、自分のルールとして伝えるのが角が立ちにくい方法です。

  • 「人のお金は預からないと決めている」
  • 「投資の話は人に勧めないことにしている」
  • 「自分の口座で他人のお金は扱わない」

そのうえで、相手の反応を見てください。「友達思いじゃない」「二人の将来のためなのに」と責めてくる、紹介しないなら自分の口座の出金も認めないと言い出す、といった反応があれば、相手の目的はあなたとの関係ではなく、集められるお金の量にあると考えてよいでしょう。

筆者は、この段階で投資そのものからも手を引くことを勧めます。友人を誘うよう求めてくる時点で、あなた一人から得られる額の先を見ているからです。

話をしただけで、友人がまだ入金していないなら

投資の話を友人にしてしまったものの、友人はまだお金を出していない、という段階なら、今のうちに話を取り消しておくことが何より大切です。友人は、あなたが勧めたからこそ興味を持っている可能性があります。

伝え方の例を挙げます。

「この前話した投資の件、調べたら公的機関が注意している手口とよく似ていた。私は手を引くことにしたから、あなたも始めないでほしい。勧めてしまってごめん」

理由を細かく説明できなくても構いません。「自分はやめた」「あなたもやらないで」の二点が伝われば十分です。恋人を悪く言いたくない気持ちがあっても、友人のお金を守ることを先にしてください。友人が「もう少し様子を見たい」と言う場合は、警察庁や金融庁の注意喚起のページを一緒に見るよう勧めてみてください。第三者の資料を見せるほうが、あなたの言葉だけより伝わりやすいはずです。

すでに友人を誘った・お金を預かってしまったとき

すでに友人を紹介したり、お金を預かって送ったりしている場合は、次の順番で整理します。

  1. これ以上送らない:自分の分も友人の分も、追加の入金を止めます。
  2. 友人に正直に伝える:出金できない、支払いを求められているなど、分かっている事実をそのまま伝えます。隠すほど、後で信頼を取り戻すのが難しくなります。
  3. お金の流れを一覧にする:誰からいつ、いくら預かり、いつどこへ送ったかを書き出し、友人と同じ内容を共有します。
  4. それぞれが相談する:被害の届け出や相談は、お金を出した人それぞれが行うのが基本です。一覧があれば、友人も説明しやすくなります。
  5. 自分の口座に友人からの入金がある場合:取引している銀行と警察に、受け取った経緯を自分から説明しておきます。
  6. 紹介料を受け取っていた場合:金額と受け取った日を記録し、扱いについて弁護士に相談します。

友人との話し合いでは、どちらが悪いかを決めるより先に、これ以上の損失を防ぐことを優先してください。最初に誘ってきたのは、海外在住を名乗る相手のほうです。あなたも友人も、同じ相手から損失を受けた側だという前提に立つと、話し合いは進めやすくなります。感情的になりそうなときは、消費生活センターなど第三者の窓口に一緒に相談するのも一つの方法です。

相談先と関連記事

友人を巻き込んでしまった場合も、相談できる窓口は同じです。

  • #9110:警察の相談専用電話。自分の口座に友人のお金が入っている場合は、早めに事情を伝えます。
  • 188:消費者ホットライン。友人との返金の話し合いを含め、進め方について助言を受けられます。
  • 各地の弁護士会の法律相談:紹介料の扱いや、友人から返金を求められた場合の立場について確認できます。

友人に紹介された相手から投資を勧められた、逆の立場の場合は紹介者に確かめたいこと、口座の貸し借りを頼まれた場合は「口座を貸して」と頼まれたらを読んでください。借入をしてまで投資を増やすよう言われている場合は「借りてでも投資を」と言われたらも参考になります。

この記事は、2026年9月25日までに公表された警察庁・金融庁・国民生活センターの資料をもとに書いています。友人との間の責任や紹介料の扱いは事情しだいで変わるので、最終的な判断は弁護士に仰いでください。記事の内容によって返金が約束されるわけではありません。

よくある質問

Q. 海外在住の彼に、友人の分もまとめて投資資金を送ってほしいと言われました。

A. 引き受けないでください。友人のお金を預かって送ると、出金できなくなったときに友人から返金を求められる立場になります。自分の口座で受け取っていれば、その口座が凍結の対象になるおそれもあります。

Q. 友人を紹介すれば紹介ボーナスがもらえると言われています。

A. 紹介はしないことを勧めます。報酬を受け取ると勧誘に関わった側と見られ、友人との関係も壊れかねません。友人を誘うよう求めてくる時点で、投資そのものからも手を引く判断を考えてください。

Q. すでに友人を誘ってしまい、友人も入金しています。

A. 追加の入金を止め、分かっている事実を友人に正直に伝えてください。誰からいくら預かり、いつどこへ送ったかを一覧にして共有し、それぞれが警察や消費生活センターに相談するのが基本です。

Q. 紹介料をすでに受け取っています。どうすればいいですか?

A. 金額と受け取った日を記録し、扱いについて弁護士に相談してください。友人から返金を求められた場合の立場も、あわせて確認しておくと安心です。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。