海外在住男性の投資被害を「取り戻せる」YouTube広告|二次被害の見分け方

結論から書きます。「ロマンス投資詐欺の被害金、取り戻せます」「成功報酬で全額回収」といったYouTubeの動画や広告を見て、すぐに連絡するのは待ってください。金融庁は、「被害を取り戻す」と声をかけてくる人物が実は詐欺グループの側で、二重に被害を受けたという相談が寄せられていると注意しています。返金を求めたいときの相談先として金融庁が挙げているのは、消費生活センターと各地の弁護士会です。

この記事は、海外在住を名乗る男性に勧められた投資でお金を失い、なんとか取り戻したいと動画や広告を探している人に向けたものです。失ったお金を取り戻したい気持ちは当然のものです。その気持ちにつけ込まれないために、依頼する前に確かめたい点をまとめました。

YouTubeは投資勧誘の入口としても増えている

警察庁の令和8年上半期(暫定値)の資料では、SNS型投資詐欺で最初の接点がYouTubeだった被害は438件で、前年同期から129.3%増えていました。広告(バナーなど)を入口にした被害に限ると、YouTubeは347件で、Instagram、投資のサイトに次ぐ多さです。

警察庁のSOS47には、動画配信サイトで新NISAの解説動画を見ていた60代女性が、概要欄のURLから別のSNSのグループに招かれ、合計約2,000万円をだまし取られた事例が載っています。令和7年分の資料では、有名人になりすました広告の見分け方として、映像の唇と音声のずれや、字幕などの日本語の誤りが挙がっています。

こうした数字が示すのは、動画や広告という形式そのものに信頼の裏付けはない、ということです。最初の勧誘が動画から来ることがあるのと同じように、「取り戻します」という二度目の勧誘も動画から来ることがあります。一度被害にあった人は、どこかで被害の相談先を探します。そこに先回りして広告を出すのは、勧誘する側にとって自然な戦略だと筆者は考えています。

公的機関が注意する「被害回復」をうたう接近

被害を取り戻すことを持ちかける連絡について、公的機関は次のような注意を出しています。

  • 金融庁:被害回復を持ちかけて近づく人物が詐欺グループの仲間で、二次被害につながった例がある。被害の回復と引き換えに別の商品の購入を持ちかける勧誘も、詐欺的な商法の可能性が高い。
  • 国民生活センター:国民生活センターの名前をかたり、「示談金の支払いが可能です」「払戻し金」などとメールで持ちかける事例がある。センターが相談したことのない人にこうした連絡をすることは絶対にない。
  • 国民生活センター(2016年):ネット上のトラブル解決をうたう探偵業者について、「調査」の契約であることを十分に説明せず、契約すれば返金されると誤解させる、消費生活センターに似た名前を名乗る、「警察と連携している」と事実と異なる説明をする、といった問題を指摘している。

2016年の指摘はアダルトサイトのトラブルをめぐるものですが、「解決します」とうたって調査費用を先に取る構図は、投資被害の回復をうたう業者にも見られるものです。金融庁も、一般にこうした詐欺で一度送金すると被害回復はかなり難しいといわれていると説明しています。「必ず」「全額」という言葉が並ぶほど、実態からは遠い説明だと考えたほうがよいでしょう。

動画や広告から依頼する前に確かめる7つの点

相談先を探すこと自体は悪いことではありません。ただ、連絡する前に次の点を確かめてください。一つでも引っかかる点があれば、その業者には依頼しないことを勧めます。

確かめる点見方
誰が運営しているか弁護士や法律事務所なら、日本弁護士連合会の弁護士情報検索などで登録を確かめられる。名前や所属が書かれていない広告は避ける
「必ず取り戻せる」と言っていないか回収の見込みは相手の口座の状況などで変わる。結果を約束する説明は疑う
契約の中身は「調査」だけではないか調査報告書が届くだけで、返金の交渉や手続きは含まれていないことがある
先に大きな費用を求めていないか着手金や調査費の名目で、まとまった額を急いで払わせようとしていないか
公的機関との関係を名乗っていないか「警察と連携」「国の認可」などの説明は、公式サイトで裏付けを確かめる。探偵業の届出は、公安委員会が業者の信用を保証するものではない
支払い先はどこか個人名義の口座や暗号資産での支払いを求める業者は選ばない
急がせていないか「今日中に依頼しないと時効」「枠が残りわずか」といった言葉で決断を迫らないか

弁護士に依頼する場合でも、費用と見通しについて書面で説明を受け、納得してから契約してください。複数の相談先で話を聞き、説明を比べるのも有効です。見通しを「難しい」と正直に言う相談先のほうが、耳ざわりのよい約束をする相手より信頼できる、と筆者は考えています。説明を聞いた内容は、その日のうちにメモに残しておくと比べやすくなります。

被害者の側から「探しに行く」ときに起きやすいこと

二次被害が起きやすいのは、被害者が自分から相談先を探している場面です。検索や動画で見つけた窓口は「自分で選んだもの」なので、向こうから届いたメールや電話より疑いにくくなります。

さらに、最初の被害の記録を相手に渡すことにもなります。どこに、いつ、いくら送ったのかという情報は、あなたがまだ支払える人かどうか、どんな言葉なら響くかを相手に教えることになりかねません。

筆者が勧めたいのは、動画や広告で見つけた窓口に連絡する前に、まず公的な窓口に一度相談することです。#9110や188で事情を話し、自分のケースでどんな手段が考えられるかを聞いてからなら、民間の業者の説明が大げさかどうかを比べて判断できます。公的な窓口で聞いた話を物差しにすれば、業者の「必ず」「全額」がどれほど実態とかけ離れているかも見えてきます。相談の順番を入れ替えるだけで、二次被害のリスクは大きく下がります。

広告でよく見る言い回しの受け止め方

  • 「返金実績○○件」「回収率○%」:数字の出どころが示されていなければ、判断材料になりません。
  • 「国際ロマンス詐欺専門」:専門をうたうことは自由です。誰が、どんな資格で対応するのかを確かめます。
  • 「無料診断で回収の可能性が分かる」:無料の診断の後に、有料の調査や契約へ誘導されることがあります。
  • 「LINEで今すぐ相談」:相談の入口がLINEだけで、事務所の所在地や責任者の名前が見当たらない場合は慎重に。

どれも、言葉だけでは善し悪しを決められないものばかりです。だからこそ、運営者と費用と契約の中身という、確かめられる事実に目を向けてください。

実際に使える回復の手段と、その限界

被害金を取り戻す手段は、送ったときの方法によって違います。広告の言葉ではなく、制度の中身で考えてください。

  • 銀行振込で送った場合:振込先の口座を止めてもらい、凍結の時点で口座に残っていた額を上限に、救済法に基づく分配金を申請できる場合があります。手続きの対象となる口座は、預金保険機構のウェブサイトで公告されます。この手続きに、民間業者への手数料は必要ありません。
  • 暗号資産で送った場合:口座凍結と分配の仕組みがなく、送った先が海外のアドレスだと追いかけるのは難しいのが実情です。「ブロックチェーンを追跡して回収する」とうたう業者の説明は、特に慎重に聞いてください。
  • 相手や関係者に請求する場合:民事の手続きで損害賠償を求める道がありますが、相手の特定や財産の有無によって結果は大きく変わります。弁護士に見通しを確かめてから判断します。

いずれの手段でも、全額が戻ると約束できる人はいません。見込みを正直に説明してくれる相談先を選ぶことが、結果的に損失を増やさない近道です。

相談先と関連記事

取り戻す方法を探しているなら、民間の業者より先に、次の公的な窓口を使ってください。

  • #9110:警察につながる相談用の番号。被害の届け出の相談もここから始められます。
  • 188:消費者ホットライン。民間の回復業者と契約してしまった場合の解約についても相談できます。
  • 各地の弁護士会の法律相談センター:返金を求める手続きについて、弁護士に相談できます。
  • 0570-050588:金融庁の相談ダイヤル。業者の説明が疑わしいと感じたときにも使えます。

「全額返金できる」という電話と公表された返金事例の違いは「全額返金できる」という電話は本物か、どの窓口をどう使い分けるかは188・警察・弁護士の使い分けと二次被害で詳しく扱っています。送った後の手続き全体は取り戻せる場合と難しい場合、当サイト経由で弁護士に話を聞きたいときは相談予約から申し込めます。

記載した数字や制度は、2026年9月25日に確認できた公的資料によるものです。特定の事業者や動画の良し悪しを判断した記事ではなく、返金を約束するものでもありません。

よくある質問

Q. YouTubeで「ロマンス投資詐欺の被害金を取り戻せる」という広告を見ました。連絡しても大丈夫ですか?

A. 連絡する前に、#9110や188などの公的な窓口に相談してください。金融庁は、回復を持ちかける人物を通じた二次被害に注意を呼びかけています。

Q. 探偵に頼めば、送ったお金を取り戻してもらえますか?

A. 国民生活センターの2016年の報告書は、探偵業者が行うのは「調査」であり、弁護士などの資格がなければ返金交渉はできないと説明しています。公安委員会への届出があっても、それが業者の信用を保証するものではないとも書かれています。

Q. 「成功報酬だから損はしない」と言われました。

A. 成功報酬とうたっていても、着手金や調査費を別に求められることがあります。契約前に、費用の総額と、何をしてもらえるのかを書面で確認してください。結果を約束する説明は疑ってかかりましょう。

Q. 銀行振込で送ったお金を取り戻す公的な仕組みはありますか?

A. あります。振込先の口座が止められた場合、口座内に残ったお金は、救済法の手続きを通じて被害を届けた人に分配されることがあります。対象の口座は預金保険機構のサイトで公告され、この手続きに民間業者への手数料は必要ありません。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。