インスタグラムのDMで恋愛感情を使った投資勧誘の手口と対処法
インスタグラムのDMで恋愛感情を使った投資勧誘に注意が必要なケース n インスタグラムのDMで恋愛感情を使った投資勧誘のような状況に遭遇した場合、その内容に不審…
LINEの投資グループに入ったところ、「アシスタント」を名乗る人から個別に連絡があり、「口座の作り方をお手伝いします」「画面のスクリーンショットを送ってください」「このアプリを入れてください」と言われている。あるいは言われるままに送ってしまい、心配になっている。そんな方に向けた記事です。
結論を先に書きます。親切な手ほどきに見えるこの段階は、あなたの口座や端末の操作を相手の手に渡す入口になりえます。米国の財務省で金融犯罪を担当するFinCENは、2023年9月に出した警告の中で、ピッグバッチャー詐欺(Pig Butchering)の実行役が、被害者の端末への遠隔アクセスを求めて代わりに暗号資産の口座を登録したり、スクリーンショットを送らせて購入手順を一つずつ指示したりすると説明しています。
グループ全体の進み方についてはLINEグループの段階別の見分け方にまとめました。この記事では、その中でも「口座開設とアプリ導入の手伝い」に絞り、何を渡すと何が起きるのか、渡してしまったら何から手をつけるかを整理します。
FinCENが2026年9月に出した新しい警告は、東南アジアを拠点とする詐欺組織の資金の流れを分析したものです。そこでは、実行役が被害者に暗号資産を扱う事業者で口座を開かせ、特定の種類の暗号資産を買わせたうえで、実行役が管理するアドレスに送らせるという流れがよく見られると書かれています。日本に置き換えると、手順はおおむね次のようになります。
ここで見落としやすいのは、1と2の段階では本物の業者を使っているという点です。口座開設の審査も本人確認も正規の手続きなので、「ちゃんとした会社だから大丈夫」と感じてしまいます。危ないのは3の送り先で、ここが相手の管理下にあれば、送った時点でお金は相手のものになります。
国内の数字も確認しておきます。令和7年に警察が把握したSNS型投資詐欺のうち、暗号資産そのものを送らせる形(警察庁の分類で暗号資産送信型)は1,898件、被害額215.5億円で、件数は前年の約2.5倍に増えました。
FinCENは金融機関向けの兆候として、交換業者あての少額の送金を何度か繰り返していた人が、ある時点から急に高額の送金を続けて行うようになるパターンを挙げ、本格的に送る前の「試し送金」の表れだと説明しています。アシスタントが「まずは1万円から」「慣れたら増やしましょう」と段階を踏ませるのは、この流れに沿ったものと考えられます。少額で出金できたことは、安全の証明にはなりません。
手伝いの名目で求められやすいものと、渡した場合に起こりうることを並べます。
| 求められるもの | 渡すと起こりうること |
|---|---|
| 運転免許証やマイナンバーカードの画像、顔写真 | あなたの名義で別の口座や契約を作られるおそれ |
| 交換業者や銀行のID、パスワード、SMSの認証コード | ログインされ、残高を外部に送られる |
| アプリ画面のスクリーンショット | 残高、登録メールアドレス、認証の画面などが相手に見える |
| 遠隔操作アプリの接続番号 | スマホやパソコンを相手が直接操作できる状態になる |
| 通帳やキャッシュカード、口座そのもの | ほかの被害者からの入金先として使われる |
最後の項目について補足します。犯罪収益移転防止法は、他人になりすまして取引させる目的があると知りながら、預貯金通帳やキャッシュカード、振込に必要な情報を渡す行為を処罰の対象にしています。暗号資産交換業者のログイン情報なども同じように扱われます。だまされて渡した人がすぐに罪に問われるわけではありませんが、自分の口座が詐欺の入金先として使われると、金融機関に口座を止められたり、警察から事情を聞かれたりすることになりかねません。
FinCENは、ピッグバッチャー詐欺に関連しうる技術面の兆候として、次のような点を挙げています。グループで案内されたアプリやサイトに当てはまるか確かめてください。
FinCENはまた、正規のアプリに外部のプラグインを組み合わせ、表示される情報を実行役が操作できるようにした例にも触れています。見た目が見慣れたアプリでも、案内どおりの設定を加えた時点で中身が変わっている可能性がある、ということです。
「設定が難しいので、こちらで操作します」と遠隔操作アプリを入れさせる申し出は、どんな理由があっても断ってください。画面を見せるだけのつもりでも、認証コードやパスワードの入力が相手に見えてしまいます。
日本では、暗号資産と円の交換などを業として行うには、資金決済法にもとづく金融庁・財務局への登録が必要です。登録を受けた暗号資産交換業者は、令和8年9月1日時点で27業者あり、金融庁が一覧を公開しています。金融庁の相談事例集では、海外の事業者でも日本の居住者に暗号資産交換業を行うなら登録が必要だとしたうえで、マッチングアプリやSNSで知り合った人に登録のない業者との取引を勧められる被害が多発していると注意しています。
ただし金融庁は、登録業者であることは信用性を保証するものではないとも書いています。先ほどの手順でいえば、口座を作る交換業者が登録済みかどうかより、最終的な送り先が誰の管理かの方が重要です。
登録のないまま営業しているとして金融庁が警告書を送った相手の名前も、国内と海外所在の二つのリストで公開されています。案内されたサービス名が載っていないか、一度検索しておくと判断材料になります。載っていないことが安全の証明にならない点は同じです。
金融庁と警察庁は2024年2月、交換業者あての不正な送金への対策として、送金元の口座名義と異なる依頼人名での振込を銀行が拒否する例を示し、金融機関の団体に対策の強化を求めました。アシスタントから「振込人の名前を指定の名前に変えて入金して」と指示されたら、その時点で手を止めてください。
渡したものによって急ぐ順番が変わります。あてはまるものから進めてください。
暗号資産をすでに送ってしまった場合の送金方法別の対応は、送ったお金の行き先と取り戻し方で詳しく説明しています。
抜けたりブロックしたりすると、見られなくなる情報があります。先に次のものを保存しておきましょう。
記録をそろえたら、警察(最寄りの警察署、相談は #9110)に相談します。金融庁にも、詐欺的な投資の情報を受け付ける専用の相談ダイヤルがあります(電話番号は0570-050588、受付は平日10時〜17時)。協会の会員である交換業者との間で解決しないトラブルは、日本暗号資産等取引業協会(03-3222-1061)が相談を受けています。証拠の整理は証拠の残し方、当サイトへのご相談は相談予約のページからどうぞ。なお、ここに挙げたどの窓口を使っても、失ったお金が戻ると決まっているわけではありません。
A. これ以上の情報は渡さず、警察に相談して、送った書類の種類と日時を伝えてください。身に覚えのない口座開設や契約の通知が届かないか、しばらく注意して見ておきます。
A. 金融庁は、登録業者であることが信用性を保証するものではないとしています。交換業者が本物でも、送り先のアドレスが相手の管理下にあれば、送った時点でお金は相手に渡ります。
A. 断ってください。米FinCENは、実行役が遠隔アクセスで被害者の代わりに口座を登録する手口を警告しています。すでに接続した場合は通信を切ってアプリを削除し、各サービスのパスワードを変更してください。
A. 抜けること自体で状況が悪化するわけではありません。ただ、抜ける前にグループ名やアカウント、送金先アドレスなどの記録を保存しておいてください。回復の見込みは送金方法によって異なり、保証はできません。
※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。
サイト名、サービス名、担当者名、LINE名、決済名などで確認している方は、事例パターンと証拠の残し方を分けて確認してください。個別の違法性、返金可否、削除可否、解決を断定するものではありません。
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