マッチングアプリの相手の件で警察を名乗る電話が来たら|ニセ警察詐欺の見分け方

先に結論です。マッチングアプリで知り合った相手の名前ややり取りを持ち出されても、警察官が電話で「あなたは捜査対象だ」と告げたり、LINEのビデオ通話で警察手帳を見せたり、示談や資産確認の名目でお金を振り込ませたりすることはありません。警察庁と各都道府県警察が、そろってこの点を注意喚起しています。電話はいったん切り、自分で調べた警察署の番号か警察相談専用電話「#9110」で確かめてください。

この記事は、アプリで知り合った相手に本名や勤務先、LINEのIDを教えたあとで「警察」を名乗る連絡を受けた人に向けて書いています。相手との関係を知られたくない気持ちにつけ込まれやすい場面なので、何を確かめ、誰に話せばよいかを順番に整理しました。

アプリの利用者に「警察」から連絡が来るときの筋書き

警察を名乗る詐欺は、電話の最初の数分で「自分が疑われている」と思わせることに力を入れます。マッチングアプリを使っている人に向けては、アプリで知り合った相手を話の材料にする運び方が考えられます。次のような話が出たら、まず手口を疑ってください。

筋書き1 相手が捕まり、あなたの情報が出てきたと言う

「やり取りしていた人物を詐欺で逮捕した。押収したスマホにあなたの名前と口座が残っている」という切り出し方です。警察庁の特殊詐欺対策ページ(SOS47)には、捕まえた詐欺グループの持ち物から自分のキャッシュカードが出てきたと告げられ、そこからLINEのビデオ通話へ移された事例が載っています。アプリの相手と急に連絡が取れなくなった時期と重なると、話が本当らしく聞こえてしまいます。

筋書き2 相手とのトラブルで被害届が出ていると言う

「相手があなたを訴えている」「事件にしたくなければ示談金を用意して」と持ちかける話し方です。相手の年齢や会った日の出来事をほのめかし、家族や職場に知られたくない気持ちを刺激してきます。警察は捜査を理由に金銭を求めませんし、当事者の示談金を電話で集める立場でもありません。

筋書き3 やり取り中の相手が「警察」へつなぐ

アプリの相手本人が「私の口座が凍結された」「警察の担当者から連絡が行く」と言い、その直後に警察役が登場する流れです。相手と警察役が同じグループの一員である可能性を考え、どちらの話もいったん止めて第三者に確認してください。

「なぜ私のことを知っているのか」と感じたときの考え方

電話の相手があなたのフルネームや住所、勤め先を口にすると、本物の警察だと思い込みやすくなります。国民生活センターが2025年4月に出した注意喚起でも、詐欺師が氏名や住所をあらかじめ知っていることで信用させる手口が挙げられていました。

マッチングアプリでは、プロフィールや会話の中で次のような情報を渡していることがよくあります。

  • 本名(下の名前だけでも、SNSと照合されると特定されることがある)
  • 勤務先や業種、最寄り駅、住んでいる区や市
  • LINEのIDや電話番号、ほかのSNSのアカウント
  • 顔写真や、身分証を見せ合った記録

これらを相手が知っているのは、アプリで伝えたからかもしれません。個人情報を知っていることは、警察であることの証明になりません。

着信画面の番号も偽装されることがある

2025年3月の警察庁の発表によると、本物の警察署や警察本部の番号を着信画面に出す偽装が確認されています。愛知県警察本部の代表番号が表示された電話に出た人が、ビデオ通話で警察手帳を見せられ、ネットバンキングで250万円を振り込んだ事例です。国民生活センターも、警察署で使われる下4桁「0110」を表示させる手口を挙げています。着信画面の番号が本物らしくても、それだけでは判断できません。

本物の警察がしないこと(警察庁・都道府県警察の注意喚起より)

警察庁、警視庁、大阪府警、北海道警などの公開情報をまとめると、次の行動はいずれも「警察はしない」と明記されています。電話の内容が一つでも当てはまったら、詐欺を疑って切ってかまいません。

電話やメッセージで言われたこと警察庁・各警察の説明
「あなたは捜査対象になっている」警察官が電話で捜査対象だと伝えることはない
「LINEで取り調べをする」「ビデオ通話に切り替えて」警察がSNSやビデオ通話で連絡することはない。個人のスマホへ突然ビデオ通話をかけることもない
警察手帳や逮捕状の画像が送られてきた警察が警察手帳や逮捕状を画像で送ることはない
「資産を調べるので全額を指定口座へ」捜査の名目で金銭を要求しない。ネットバンキングの開設や送金を指示することもない
「示談金を払えば事件にしない」電話やSNSで金銭を求める連絡は、警察を名乗っていても応じない

もう一つの目印は口止めです。「捜査の秘密なので家族にも話さないで」「守秘義務がある」と念を押されたら、周囲に相談させないための言葉だと受け止めてください。

通話中と電話を切った直後の動き方

頭が真っ白になった状態でも実行できるよう、順番を短くまとめました。

  1. 所属・担当部署・氏名・内線番号を聞いて、電話を切る。警視庁もこの4点を確認してから最寄りの警察署へ連絡するよう勧めています。相手が答えを渋っても、そこで会話を終えてかまいません。
  2. 表示された番号や教えられた番号には折り返さない。警察署の番号はインターネットで自分で調べ、そちらにかけ直します。迷ったら「#9110」へ。
  3. LINEの友だち追加やビデオ通話の誘いには応じない。すでに追加した場合も、トーク画面を消さずに残したうえでやり取りをやめます。
  4. 家族か信頼できる友人に、その日のうちに話す。アプリの利用を知られたくない事情があっても、送金の前に一人でも第三者に話すことが被害を止めるいちばん確かな方法です。
  5. アプリの相手とのやり取りも保存する。相手のプロフィール画面、メッセージ、連絡先交換の記録をスクリーンショットで残し、アプリの通報機能で運営にも知らせます。

国際電話の着信を減らす設定

警察庁は、「+1」「+44」など国際電話番号からの特殊詐欺の電話が増えているとして、着信拒否を呼びかけています。携帯電話では国際電話の着信を規制できるアプリ、固定電話では「国際電話不取扱受付センター」(0120-210-364)への申し込みで、発着信を無償で止められます。

お金を送った・口座情報を伝えたときの手続き

すでに振り込んだり、暗証番号やネットバンキングのログイン情報を伝えたりした場合は、支払い方法ごとに急ぐ相手が変わります。

銀行振込・ネットバンキングで送った

自分の銀行と振込先の金融機関に「詐欺の被害に遭った」と連絡し、振込先口座の凍結を依頼します。あわせて警察に被害を届け出てください。口座が止まった時点でお金が残っていれば、振り込め詐欺救済法に基づき、その残高を被害者で分け合う仕組みがあります。対象口座と申請期間は預金保険機構の公告ページに載ります。口座が空になっていれば分配は受けられず、戻る額は残高しだいです。詳しくは振込後の対処の記事にまとめています。

ログイン情報や暗証番号を伝えた

銀行に連絡してネットバンキングを止め、パスワードを変更します。運転免許証などの画像を送った場合は、その事実も警察への相談時に伝えてください。

暗号資産で送った・現金や金を手渡した

暗号資産は利用した交換業者に連絡し、いつ・どのアドレスへ・いくら送ったかと、送金の記録番号をメモしておきます。現金や金地金を渡してしまった、または受け取りに来ると言われている場合は、すぐに110番してください。

証拠の残し方は証拠の保存方法の記事も参考にしてください。

数字で見るニセ警察詐欺 高齢者だけの問題ではない

警察庁の統計(令和7年・確定値)では、警察官などをかたって捜査名目でお金をだまし取る「ニセ警察詐欺」の認知件数は11,014件、被害額は約1,005.0億円でした。特殊詐欺全体の認知件数の39.6%、被害額の70.6%を占めています。令和8年上半期(暫定値)も被害額507.9億円、既遂1件あたりの被害額は1,163.9万円と高額です。

被害額・件数とも最も多いのは70代ですが、埼玉県警は「若い世代の被害も増加」として、携帯電話にかかってくる電話がきっかけになっていると注意を促しています。同じ令和8年上半期の統計では、SNS型ロマンス詐欺の当初接触ツールで最も多いのはマッチングアプリでした。

こうした数字を踏まえると、編集部としては「アプリで知り合った相手」と「警察を名乗る電話」の両方が同じ時期に現れたら、二つを別々の出来事と考えずに、一つの詐欺の流れとして疑うことをおすすめします。

相談先と、相談前に手元に揃えておくもの

  • 警察相談専用電話「#9110」:本物の警察からの連絡かどうかの確認、被害の相談
  • 110番:現金を受け取りに来る、自宅近くにいると言われたなど急ぐとき
  • 最寄りの警察署:被害届の提出。事前に電話で予約すると話が早い
  • 消費者ホットライン「188」:どこに相談すべきか迷うとき
  • 振込先・自分の金融機関:口座凍結とネットバンキングの停止

相談の前に、次のものを用意しておくと説明がスムーズです。

  • 着信履歴の画面(番号と日時がわかるもの)
  • 相手が名乗った所属・氏名・言われた内容のメモ
  • LINEやアプリのトーク画面、送られてきた画像
  • 振込明細、ネットバンキングの取引履歴
  • アプリで知り合った相手のプロフィールとやり取り

警察に相談するときの流れは警察相談の準備、経路ごとの特徴の全体像は警察をかたる電話の見分け方にまとめています。返金の可能性について個別に相談したい方は相談予約からどうぞ。

本記事は公的機関の公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、個別の事案について返金や解決を保証するものではありません。

よくある質問

Q. マッチングアプリで会った相手が逮捕されたと、警察を名乗る人から電話がありました。本当でしょうか?

A. 電話だけでは判断できません。いったん切り、自分で調べた警察署の番号か#9110にかけ直して確認してください。その流れでLINEやビデオ通話に誘われたり、お金の話が出たりした場合は、警察庁の注意喚起にある手口と一致します。

Q. 警察を名乗る人に「示談金を払えば事件にしない」と言われました。払ったほうがいいですか?

A. 払わずに、まず#9110か最寄りの警察署に相談してください。警察は捜査を理由にお金を求めませんし、電話で示談金を集めることもありません。相手とのトラブルが本当にあるかどうかも含めて、第三者に確認してから考えるのが安全です。

Q. 着信画面に本物の警察署の番号が表示されていました。それでも詐欺ですか?

A. 警察庁は、実在する警察署などの番号を偽って表示させる手口を確認しています。番号が本物に見えても、表示された番号に折り返さず、自分で調べた番号にかけ直して確かめてください。

Q. アプリの相手とのやり取りは、恥ずかしいので消してもいいですか?

A. 消さずに残してください。相手のプロフィールやメッセージは、警察に相談するときや振込先口座の凍結を求めるときの手がかりになります。見られたくない内容があれば、相談の際にその旨を伝えれば配慮してもらえることが多いです。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。