警察を名乗る相手にLINEグループへ招待されたら|劇場型ニセ警察詐欺の手口

最初に押さえてほしいのは一点です。警察がLINEのグループを作って捜査の説明をしたり、グループ内で取り調べをしたりすることはありません。警察庁は「警察官がSNSで連絡をすることはない」と明言しており、兵庫県警も「テレビ電話で取調べをすることはない」と注意を呼びかけています。招待された時点で、詐欺の舞台に上げられかけていると考えてください。

この記事では、警察を名乗る電話のあとにLINEグループへ誘われた人、すでにグループの中で指示を受けている人、家族の様子がおかしいと感じている人に向けて、グループで起きがちな演出と、そこから抜け出す手順を説明します。電話そのものの見分け方より、グループに入ってからの対処に重点を置きました。

なぜLINEグループに移されるのか 役者をそろえる仕掛け

電話1本の詐欺と違い、グループを使うと複数の人物を同時に登場させられます。警察官役、その上司役、検察官役、金融機関や金融庁の担当者役などが次々に発言し、「これだけの人が関わっている正式な捜査だ」と思わせる構図です。

グループにはもう一つの狙いがあります。連絡をLINEに一本化させ、昼夜を問わず指示を出せる状態にすることです。通知が鳴るたびに返信を求められると、家族や友人に相談する時間がなくなっていきます。

こんな流れで招待されることが多い

  1. 電話会社や総務省を名乗る電話、または自動音声で「携帯電話が止まる」などと告げられる
  2. 警察官役に代わり、「あなたの口座が犯罪に使われた」「逮捕状が出ている」と言われる
  3. 「出頭できないならオンラインで対応する」としてLINEの友だち追加を求められる
  4. 個別のトークから、担当者が複数いるグループへ招待される

兵庫県警のページでも、電話会社や総務省などを名乗ったあとに警察役へ電話を代わるケースが紹介されています。

「ほかの対象者」や「協力者」が同じグループにいる場合

グループの中に、あなたと同じく捜査対象にされたという人物や、事件の解決に協力しているという一般人が混ざっていることがあります。「この人も同じ手続きで資産を預けた」「もう無実が証明された」と発言し、あなたにも同じ行動を促す役回りです。メンバーの誰が本物の利用者なのか、画面の上からは確かめようがありません。グループ内の発言は、人数がどれだけ多くても、すべて相手側の演出である可能性を前提に読んでください。

警察庁が公表した事例 受理番号とニセの警察サイト

SOS47(警察庁が運営する特殊詐欺の特設ページ)では、途中でグループ招待をはさむ実例が公開されました。要点を整理すると次のとおりです。

  • 兵庫県警の警察官を名乗る男が、詐欺事件の捜査や口座売却への関与、逮捕状の発行を口実に、被害者をホテルに泊まらせ、家族との連絡を絶つよう指示した
  • 「口座の識別番号確認」と称して、複数回にわたり合計200万円を指定口座へ振り込ませた
  • 入金のあと、被害者は別のLINEグループに招待され、別の「警察官」とのビデオ通話でURLと受理番号を伝えられた
  • URLを開くと「警視庁」と表示されたニセのサイトにつながり、受理番号を入れると被害者名の逮捕状のような書類が表示された

お金を払わせたあとでさらに別のグループへ移し、ニセサイトで「本物らしさ」を上塗りしている点に注意が必要です。一度払ってしまった人ほど、次の段階の演出を見せられやすいと考えたほうがよいでしょう。

URLを見せられたときの確かめ方

警察庁のサイトは「npa.go.jp」、警視庁は「keishicho.metro.tokyo.lg.jp」のドメインを使っています。ただ、見た目や名前が本物そっくりのサイトも作られるため、URLの見た目で判断するより「送られてきたリンクは開かない」「検索して自分でたどる」を原則にしてください。そもそも警察庁は、警察が逮捕状の画像を送ることはないと説明しています。

グループ内で出やすい指示と、その裏にある狙い

グループで言われること考えられる狙い
「家族にも話すな、捜査の秘密だ」周囲に相談させず、止める人をなくす
「ホテルに移って待機しろ」自宅の家族から引き離し、孤立させる
「確認のためビデオ通話をつないだままにして」行動を見張り、電話や外出で相談されるのを防ぐ
「ネット銀行の口座を新しく作って」送金の手間を減らし、高額を一度に動かす
「潔白の証明に資産を提出して」「金を買って預けて」現金や金地金を直接受け取る

警察庁は2026年6月、ニセ警察詐欺の「特異な手口」として二つを挙げました。一つは、身体の特徴を確認すると称して裸になることや、入浴中やトイレを含めた常時のビデオ通話を要求するもので、令和7年中の事案として令和8年4月末までに247件(未遂・相談を含む)が報告されています。もう一つは「身の潔白を証明するには資産の提出が必要」として金地金をだまし取る手口で、ニセ警察詐欺では163件、被害額58.2億円にのぼります。

兵庫県警も、警察がビデオ通話で裸になることを求めるなど、わいせつな行為を要求することはないと明記しています。画面越しの要求に応じてしまっていても、それはあなたの落ち度ではありません。

グループから抜ける手順 退会の前に残すもの

退会そのものは数秒で終わります。ただ、抜けたあとはトークもメンバーも確認できなくなるので、手を動かす順番を「記録→退会」にしてください。残しておきたいのは次の5つです。

  1. グループ名とメンバー一覧の画面(表示名、アイコン、人数)
  2. 招待してきたアカウントのプロフィール画面
  3. トーク履歴:指示の文面、送られてきた警察手帳や逮捕状の画像、振込先の口座番号
  4. 送られてきたURLと受理番号(リンクは再び開かず、文字列だけ控える)
  5. ビデオ通話の履歴(日時と通話時間)

保存が済んだら、返信せずに退会し、関わったアカウントをブロックします。LINEアプリの通報機能で運営に知らせておくと、同じアカウントによるほかの人への接触を止める手がかりになります。相手に「詐欺ですよね」と伝える必要はありません。反応があると、別の人物から「このままだと逮捕される」と揺さぶりが続くことがあります。

画像や映像で脅されている場合

ビデオ通話中の姿を録られた、拡散すると言われているといった場合は、ためらわずに警察へ相談してください。性犯罪の被害相談には全国共通の「#8103」もあります。

送金・手渡しをしてしまったあとの連絡先

グループの指示でお金や資産を動かした場合は、手段ごとに連絡の優先順位が異なります。

  • ネット銀行や窓口から振り込んだ:振込先の金融機関と自分の銀行にすぐ連絡し、口座の凍結を依頼したうえで警察に届け出る。口座に残った資金を被害者へ分配する制度(振り込め詐欺救済法)の対象になる場合があるが、残高がなければ戻らない
  • 新しく作らされたネット銀行の口座がある:その銀行にも連絡し、ログイン情報を相手に伝えていればパスワードを変更して取引を止める
  • 金地金や現金を渡した、これから取りに来る:110番。受け渡しの日時・場所、相手の特徴を控えておく
  • 暗号資産を送った:使った交換業者に連絡し、送った先のアドレスと記録を保存する

振込のあとの手続きは銀行振込の被害の対処法、保存すべき記録は証拠の残し方で詳しく説明しています。

家族がLINEグループで指示を受けているかもしれないとき

当事者は口止めされているため、自分から話すことはまずありません。周囲が気づけるサインとしては、次のようなものがあります。

  • スマホを手放さず、イヤホンをつけたまま長時間の通話を続けている
  • 理由を言わずにホテルに泊まる、外出先を隠す
  • 急に金地金を買いに行く、ネット銀行の口座を作ろうとする
  • 「警察の人と話している」と言いながら、内容を一切話さない

声のかけ方として編集部がすすめるのは、本人の言い分を否定から入らず、「本物の警察か一緒に確かめよう」と誘う形です。そのほうが、口止めされている人でも耳を傾けやすくなります。その場で#9110に電話し、警察相談の担当者から直接説明してもらうと、本人も納得しやすくなります。北海道警や大阪府警も、警察を名乗る者からお金の話が出たら警察に相談するよう呼びかけています。

相談先と、相談のときに見せるもの

  • #9110(警察相談専用電話):本物の警察か確かめたいとき、被害の相談
  • 110番:受け取り役が来る予定がある、身の危険を感じるとき
  • #8103:ビデオ通話で性的な要求を受けた、映像で脅されているとき
  • 188(消費者ホットライン):相談先がわからないとき

相談にはスマホそのものを持参し、グループのトーク画面をその場で見せられるようにしておくと確認が早く進みます。保存したスクリーンショットは、別の端末やクラウドにも写しておくと安心です。

電話の段階での見分け方は警察をかたる電話に気づいたら、相談前の確認事項は相談前チェックリストをご覧ください。

この記事は公的機関の公開資料にもとづく一般的な情報で、返金や被害の回復を保証するものではありません。

よくある質問

Q. 警察を名乗る人からLINEグループに招待されました。参加しても問題ありませんか?

A. 参加しないでください。警察庁は、警察官がSNSで連絡することはないと説明しています。すでに参加している場合は、トーク内容を保存してから退会し、#9110で確認してください。

Q. グループで教わった受理番号をサイトに入れたら、自分の名前の逮捕状が出てきました。

A. 警察庁の公表事例では、「警視庁」と表示されたニセサイトで受理番号を入れると逮捕状のような書類が出る手口が確認されています。名前が入っていても本物とは限りません。入力した情報を控えて、警察署か#9110に相談してください。

Q. 「捜査中だからビデオ通話を切るな」と言われています。切ったら逮捕されますか?

A. 切っても逮捕されることはありません。警察がビデオ通話で取り調べたり、常時つないだままにさせたりすることはないと、警察庁や兵庫県警が注意喚起しています。通話を終えて、家族や#9110に連絡してください。

Q. LINEグループを抜けるとき、相手に何か伝えたほうがいいですか?

A. 伝える必要はありません。やり取りを保存したら、返信せずに退会し、ブロックと通報をしておきます。反応すると別の人物から揺さぶりが続くことがあります。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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詐欺返金相談ナビの相談前整理事例

サイト名、サービス名、担当者名、LINE名、決済名などで確認している方は、事例パターンと証拠の残し方を分けて確認してください。個別の違法性、返金可否、削除可否、解決を断定するものではありません。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。