パワーストーン・開運グッズ詐欺の対策|開運商法の手口と取消し・返金の手順

最初に要点をまとめます。「この石を持たないと運気が下がる」「家族に災いが起きる」と不安をあおられて買った開運グッズは、消費者契約法の「霊感等による告知」を理由に、契約を取り消せる可能性があります。この取消権は2023年1月5日から行使期間が延び、追認できる時から3年、契約から10年となりました。訪問販売や電話勧誘で買った場合は、書面を受け取ってから8日以内ならクーリング・オフもできます。

この記事は、パワーストーンや開運ブレスレット、印鑑、数珠、壺などを勧められて迷っている方、買ってしまって後悔している方、家族が次々と買っていることに気づいた方に向けたものです。石やお守りを持つこと自体を否定する記事ではありません。問題にするのは、不安をあおる売り方と、断れない状況で積み重なる支払いです。

開運商法とは:消費者庁がまとめた相談の傾向

消費者庁が2022年8月の「霊感商法等の悪質商法への対策検討会」に提出した資料によると、全国の消費生活センターに寄せられた「開運商法」の相談は、2012年度の3,267件から減少したあと、2017年度以降は年1,200〜1,500件程度で推移しています。2021年度は1,435件でした。

項目2021年度の数字(消費者庁資料)
相談件数1,435件(男性325件、女性1,081件)
平均契約金額約112.9万円(中央値 約21.3万円)
平均既支払金額約96.9万円(中央値 約6.5万円)
主な商品・役務占い・祈とうサービス(インターネット通信販売等)54.4%、占い・祈とうサービス(訪問販売等)15.2%、財布類2.9%

平均と中央値の差が大きいのは、一部に非常に高額な被害があるためです。数万円で済んだ人がいる一方、数百万円に達した人もいる、という分布だと読み取れます。なお、これらは相談者の申し出に基づく数字で、事実関係がすべて確認されたものではないと資料にも注記されています。

同じ資料に載った相談事例

知り合いの占い師に姓名判断をしてもらい、字画が良くない、先祖に供養されていない人がいると言われて、約30万円の印鑑を購入し、さらに家族の分も追加で作った、という相談が紹介されています。消費生活センターは、クーリング・オフ制度と、センターがあっせんに入れることを説明しました。

国民生活センターADRの事例:パワーストーンの次々販売

国民生活センターの紛争解決委員会(ADR)が2019年9月に結果を公表した事案に、「パワーストーン等の次々販売に関する紛争」があります。要旨は次のとおりです。

  • 体調を崩して退職した後、ショッピングモール内の店舗に立ち寄り、店員に「元気が出ない」と話したところ、石を勧められて1万円で購入した。
  • その後も販売会の案内が届き、店員や占い師から「まだパワーが足りない」「もう一つ足した方がいい」と勧められ、十数回にわたって石やアクセサリーを購入。契約金額は合計約400万円になった。
  • お金がないと伝えても、リボ払いや新しいクレジットカードの作成を勧められた。

手続きの中で、クレジット会社の1社が販売店と調整し、カード契約の一部(約20万円)と個別クレジット契約(手数料を除き約160万円)を解約して既払い金を返すことになりました。販売店との間では、仲介委員が「販売頻度や金額から、訴訟等でも過量販売を指摘される可能性がある」と伝えたうえで、最終的に30万円を15回の分割で支払う内容で和解が成立しています。

この事例から分かること

全額が戻ったわけではありませんが、クレジット会社を手続きに入れたことで、一部の契約が解約されています。支払いにクレジットを使っていた場合、販売店だけでなくクレジット会社にも事情を伝えることが大切だと分かる事例です。

開運グッズを売り込む場面の4つの型

  1. 店舗・催事型:商業施設の店舗や展示会で、体調や悩みを聞き出してから石を勧め、販売会の案内で来店を重ねさせる。ADRの事例がこの型です。
  2. 訪問・呼び出し型:自宅を訪ねてきたり、「無料で鑑定する」と会場に呼び出したりして、その場で印鑑や数珠を契約させる。
  3. 占いサイト・電話占い経由型:鑑定のやりとりの中で「このブレスレットで運気を守る」と通販での購入を勧める。消費者庁の資料でも、2021年度の開運商法の相談の半数以上がインターネット通信販売等の占い・祈とうサービスでした。
  4. SNS・ライブ配信型:SNSの投稿や配信で「願いが叶った」という声を並べ、限定品として購入をせかす。

どの型でも共通するのは、「今買わないと手遅れになる」と時間の余裕を奪うこと、そして「一つでは足りない」と次の購入につなげることです。電話占いから開運グッズの購入に進む流れは、電話占い詐欺の手口と見分け方でも取り上げています。

買う前・買った直後に確かめること

買う前

  • 勧める理由が「不幸を避けるため」になっていないか。石の品質や価格の説明より、不安の話が中心になっていないか。
  • 同じ石が一般の宝飾店や鉱物店でいくらで売られているか、スマートフォンで調べる時間を取る。
  • 契約書や領収書に、販売店の名前・住所・電話番号、商品名、価格が書かれているか。
  • その場で決めず、「家族と相談してから」と一度持ち帰る。

買った直後

  • 受け取った書面の日付を確認し、クーリング・オフの期限を手帳に書く。
  • 商品、箱、保証書、付属の説明書きを捨てずに保管する(返品の際に必要になることがあります)。
  • 勧誘で言われた言葉を、覚えているうちにメモする。「不幸になる」「先祖が」などの言葉は、取消しを主張するときの材料になります。

契約をやめる・取り消すための制度

制度対象になる場面期間
クーリング・オフ(特定商取引法)訪問販売(キャッチセールス・アポイントメントセールスを含む)、電話勧誘販売で買った法定の書面を受け取った日から8日以内
通信販売の返品ネット通販・カタログ通販で買ったクーリング・オフはなし。返品特約の表示がなければ、商品を受け取った日から8日以内は送料自己負担で返品できる
霊感等による告知の取消し(消費者契約法第4条第3項第8号)霊感などの特別な能力による知見として不安をあおられ、契約が必要不可欠だと告げられた追認できる時から3年、契約から10年
過量契約の取消し(消費者契約法第4条第4項)通常の量を著しく超えると事業者が知りながら勧誘した追認できる時から1年、契約から5年
支払停止の抗弁(割賦販売法)分割払い・リボ払いで買った商品に問題がある支払総額4万円以上(リボ払いは現金価格3万8千円以上)が対象

クーリング・オフは、書面または電磁的記録(メールなど)で通知します。消費者庁の特定商取引法ガイドは、書面なら特定記録郵便や書留、内容証明郵便などで送り、メールなら送信したメールを保存しておくよう勧めています。事業者がクーリング・オフについて事実と違うことを言ったり、威迫したりして期間内に通知できなかった場合は、8日を過ぎても行使できます。

家族が気づいたとき・相談先

開運グッズの購入は、本人にとって「支え」になっていることがあります。消費者庁資料の事例のように、先祖や家族の幸せを理由に勧められていると、本人は家族のためだと思って買い続けていることも少なくありません。責めるより先に、何をいくらで買ったかを一緒に書き出すところから始めると、話し合いが進みやすくなります。

  • 消費者ホットライン「188」:クーリング・オフや取消しの進め方、事業者とのあっせんについて。
  • 警察相談専用電話「#9110」:脅された、帰らせてもらえなかった、など身の危険を感じた場合に。
  • 法テラス・弁護士:金額が大きい、長期間にわたっている場合に。
  • クレジット会社:カードや個別クレジットで払っている場合は、販売店と並行して連絡します。

占いを入り口にした勧誘全般についてはスピリチュアル系の占い詐欺、支払い方法ごとの返金の流れは占い詐欺の返金方法で詳しく解説しています。

編集部の見解:「価格」と「理由」の2点で判断する

当編集部は、開運グッズを買うかどうかを次の2点で判断することを勧めます。

1つ目は価格です。石そのものの市場での値段と比べて、説明のつかない上乗せがないか。「気が込められている」「特別に浄化した」といった目に見えない付加価値で何倍もの値段になっているなら、一度立ち止まる理由になります。

2つ目は理由です。「好きだから」「きれいだから」ではなく、「買わないと不幸になるから」が購入の理由になっているなら、それは本人の希望ではなく不安から出た買い物です。消費者契約法が霊感等による告知を特に取り消しの対象としているのも、この不安を使った勧誘が判断をゆがめるからだと考えられます。

迷ったら相談予約フォームから状況をお知らせください。返金や解約の結果をお約束することはできませんが、使えそうな制度と相談先の整理をお手伝いします。

よくある質問

Q. パワーストーンを買った後でもクーリング・オフできますか?

A. 訪問販売や電話勧誘販売で買った場合は、法定の書面を受け取った日から8日以内ならクーリング・オフできます。店舗に自分から出向いて買った場合や通信販売の場合は、クーリング・オフの規定はありませんが、消費者契約法による取消しなど別の方法を検討できます。

Q. 「買わないと家族に不幸が起きる」と言われて開運グッズを買いました。

A. 霊感などを理由に不安をあおられて契約した場合、消費者契約法第4条第3項第8号により契約を取り消せる可能性があります。取消しは追認できる時から3年、契約から10年以内に行う必要があります。まず188に相談してください。

Q. 何年も前から少しずつ開運グッズを買い続けています。今からでも相談できますか?

A. 相談できます。国民生活センターのADRでは、十数回にわたるパワーストーンの購入について、クレジット契約の一部解約と販売店からの和解金の支払いで決着した事例があります。購入の一覧と支払いの記録をそろえて相談してください。

Q. 開運グッズの代金をリボ払いで払っています。支払いを止められますか?

A. 分割払いやリボ払いで一定額以上の場合、割賦販売法に基づく支払停止の抗弁を申し出られることがあります。まず販売店と交渉し、解決しなければクレジット会社に申し出ます。対象外になる条件もあるため、カード会社や188に確認してください。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。