インスタDMのアンケート副業|回答や本人確認で個人情報を渡してしまったら

InstagramのDMで「簡単なアンケートに答えるだけで報酬が出ます」と声をかけられ、リンク先で年収や勤務先、家族構成まで答えた。そのあと「報酬の受け取りに本人確認が必要」と言われ、運転免許証の写真と、免許証を顔の横に持った自撮りも送ってしまった――。この記事は、お金はまだ払っていないものの、自分の情報を渡してしまったことが気がかりな方に向けたものです。

要点を先にまとめます。身分証の画像を送った場合は、その書類の発行元への相談と、信用情報機関への「本人申告」を検討してください。答えた内容が名簿として出回ると、別の勧誘や「返金できます」という連絡が届きやすくなるので、しばらくは身構えておく必要があります。以下で順に説明します。

アンケートの質問そのものが「情報集め」になっていることがある

市場調査では、調べたい目的に必要な項目だけを聞くのが原則です。調査会社などが加盟する日本マーケティング・リサーチ協会(JMRA)が定めた綱領でも、個人情報の取得は調査の目的に照らして必要最小限の項目にとどめるよう定めています(第14条)。また、個人情報を集めるときは、あらかじめ自分の身元を明らかにし、取得の目的をはっきり伝えることを求めています(第13条)。

これに対し、DMから誘導されるアンケートでは、商品の感想などはほとんど聞かれず、次のような項目ばかりが並ぶことがあります。

  • 年収、貯蓄額、借入れの有無と金額
  • 勤務先の名前と雇用形態
  • 同居している家族、平日に家にいる時間帯
  • 副業に使ってよい金額の上限
  • LINEのIDや電話番号

こうした答えがそろうと、「お金を払ってくれそうな人」「借入れを勧めやすい人」を選ぶ材料になりえます。回答を終えた直後に個別のメッセージや電話が来たのなら、アンケートは入口にすぎなかったのかもしれません。

国民生活センターも、SNSをきっかけにした副業トラブルへの注意喚起の中で、相手に安易に個人情報を教えないよう呼びかけています。報酬の話が出る前の「ただのアンケート」の段階から、答える範囲を自分で決めておくことが大切です。

「報酬の受け取りに必要」と言われて送りがちなもの

次によくあるのが、報酬を渡す手続きとして本人確認の書類を求める流れです。運転免許証やマイナンバーカードの画像、身分証を顔の横に持った自撮り写真などを送るよう言われます。

情報処理推進機構(IPA)は、本人確認書類の写真を安易に送信しないよう呼びかけています。偽のサイトで本人確認書類の写真をだまし取る手口が確認されているためで、送ってしまった場合の相談先もあわせて案内しています。

身分証の画像と顔写真の組み合わせは、あなたになりすまして別のサービスに登録するための材料にもなりえます。アンケートの謝礼を受け取るだけのために、ここまでの書類が要る理由は考えにくいでしょう。本当に本人確認が必要なサービスなら、運営会社の名前と、書類を何に使い、いつ消すのかが示されているはずです。示されていない相手には送らない、というのが筆者の考える線引きです。

正規の調査で聞かれることと、比べてみる

自分が答えたアンケートが調査として自然だったのかどうか、振り返る目安を表にしました。どちらか一方だけで決めつけるものではなく、全体の傾向を見るための材料です。

見るところ調査として自然な形情報集めを疑いたい形
最初の説明調査をする会社名、目的、個人情報の使い道が示される「簡単なアンケート」とだけ書かれ、主体が分からない
質問の中心商品やサービスの使い方、感想、意見収入・貯蓄・借入れ・勤務先・家族など暮らしの事情
答えにくい質問「答えない」を選べる、途中でやめられるすべて必須で、飛ばすと報酬が出ないと言われる
回答のあとサイトやアプリ内でポイントが付くDMやLINEで担当者から個別に連絡が来る

JMRAの綱領は、調査への協力が自由意思によること、調査対象者がいつでも調査から離脱できるよう保証することも定めています(第12条)。答えるかどうかを選べなかった、やめさせてもらえなかった、という経験があるなら、そのアンケートは調査の体裁をとった別の目的のものだった可能性があります。

身分証の画像を送ってしまったときの連絡先

送ったものまず相談するところ伝えること
運転免許証住所地を管轄する警察署画像を送った日時、送り先のアカウント、経緯
マイナンバーカードカードの交付を受けた市区町村表面・裏面のどちらを送ったか、送った日時と経緯
パスポート交付を申請した窓口(交付元)送ったページ、送った日時と経緯

あわせて検討したいのが、IPAも挙げている信用情報機関の「本人申告」制度です。本人からの申請にもとづいて、本人確認書類の紛失などの申告内容を信用情報に登録する仕組みで、クレジットや借入れの審査をする会社がその情報を確認できるようになります。受付先は、シー・アイ・シー(CIC)、日本信用情報機構(JICC)、全国銀行個人信用情報センター(KSC)の3機関です。申告の方法(インターネット・郵送など)は各機関のサイトで確かめてください。

そのあとしばらくは、身に覚えのない契約の通知、カードの請求、携帯電話会社からの連絡が届いていないかに気を配りましょう。

答えた内容が名簿として回ったかもしれないとき

一度アンケートで答えた情報が、その後どこへ渡ったのかを自分で追う方法はありません。しばらくの間は、次のような連絡が増えるものと思っておきましょう。

  • 別の副業や投資を勧めるDM、SMS、電話
  • 「前回のアンケート報酬が未払いです。受け取るには手数料が必要です」という案内
  • 「被害金を取り戻せます」と名乗る業者や、公的機関をかたる連絡

とくに気をつけたいのは最後の型です。一度被害にあいかけた人に「返金の手続きをします」と近づき、着手金や手数料を求める連絡があります。消費生活センターや警察が、DMやSNSの個人アカウントから返金の手数料を求めることは考えにくいので、届いた連絡の真偽は、自分で調べた公式の番号にかけ直して確かめてください。

Instagramのアカウントと連絡先を守る

  • InstagramとLINEのパスワードを変え、同じパスワードを使っているほかのサービスも変更する
  • 二段階認証を有効にする
  • DMの相手を報告し、ブロックする(その前にプロフィール画面とDMを保存しておく)
  • 知らない相手からのメッセージリクエストの受け取り方を設定で見直す

DMでのやり取りを振り返る方法や、報告・ブロックの手順はインスタDMで届く副業の誘いの記事でも紹介しています。口座番号やカード番号まで伝えてしまった場合は、個人情報を提供してしまった場合の記事で、情報の種類ごとの対応を確かめてください。

個人情報保護委員会に相談できること・できないこと

個人情報の扱いについては、国の個人情報保護委員会に電話の相談窓口があります。名称は「個人情報保護法相談ダイヤル」で、番号は03-6457-9849、受付は土日祝日と年末年始を除く9時30分〜17時30分です。受け付けているのは、事業者や行政機関などによる個人情報の取扱いへの苦情と、個人情報保護法や制度についての質問です。

一方で、ガイドラインやQ&Aに記載のない相談、法律に照らした適法・違法の判断を求める相談には応じていないと明記されています。相手が名乗った会社が実在していて、その会社の扱い方に納得がいかない、という場面では頼れる窓口です。正体の分からない相手に情報を渡してしまった場合は、警察(#9110)や消費生活センター(188)への相談を先にしましょう。

今日・今週・この先1か月でやることの目安

情報を渡してしまった直後は、何から手をつければよいか分からなくなりがちです。時間の区切りごとに分けると、次のようになります。

今日中に

  • DM・アンケート画面・送った画像の送信履歴を保存する
  • InstagramとLINEのパスワードを変える
  • 相手のアカウントを報告し、ブロックする

今週中に

  • 身分証の発行元(警察署・市区町村など)に相談する
  • 信用情報機関の本人申告を申し込むか決める
  • 家族に、アンケートと本人確認のことを伝えておく

この先1か月ほど

  • カードの明細、携帯電話の契約、郵便物に身に覚えのないものがないか見る
  • 「報酬の未払い」「返金の手続き」をうたう連絡には応じない

すべてを一日で終わらせる必要はありません。最初の「保存」と「パスワード変更」さえ済めば、あとは落ち着いて進められます。

相談の前に書き出しておくこと

  • DMを送ってきたアカウント名と、プロフィール画面の保存
  • アンケートのURLと、答えた項目(覚えている範囲で)
  • 送った書類や画像の種類と、送った日時・送り先
  • その後に届いた連絡の一覧(日時・相手・内容)

書き出したメモは、証拠の残し方で紹介している保存方法と一緒に保管しておくと、窓口で説明するときに役立ちます。アンケート副業の勧誘経路の全体像は入口別に整理した記事にまとめています。

よくある質問

Q. インスタDMのアンケートで年収や家族構成を答えてしまいました。何か手続きは必要ですか?

A. 答えた内容だけで取れる手続きは多くありません。大切なのは、今後の勧誘や「返金できます」という連絡に応じないことです。回答のあとでお金や書類を求められたら、その段階で188(消費者ホットライン)か#9110(警察相談専用電話)に電話をしてみてください。

Q. 免許証の画像を送った相手と連絡が取れません。削除を頼めますか?

A. 頼んでも応じるとは限らず、連絡を続けると別の要求につながることもあります。まず住所地の警察署に相談し、信用情報機関への本人申告を検討してください。

Q. 正規のアンケートモニターでも本人確認はありますか?

A. 謝礼の受け取りなどのために登録情報を確かめるサービスはあります。その場合も、運営会社名や取得の目的、情報の扱い方が示されているのがふつうです。示されていない相手に身分証の画像を送るのは避けてください。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。