メールで案内が届いた特定商取引法とサクラサイトを疑ったときの確認方法
メールで案内が届いた特定商取引法とサクラサイトに注意が必要なケース n メールで案内が届いた特定商取引法とサクラサイトのような状況に遭遇した場合、その内容に不審…
サイトから届くメールに返事を書くたびにポイントが減り、気づけば大きな金額を払っていた。相手はサクラだったのではないか。お金が戻った例はあるのか、戻すには何を残しておけばいいのか。この記事は、そう考えている方に向けたものです。
公表されている判決の中に、参考になる例があります。さいたま地方裁判所越谷支部 平成23年8月8日判決(平成22年(ワ)第252号)です。メール交換を売りにしたサイトに約1年4か月で543万6,000円を払った女性の訴えについて、裁判所は、サイト運営会社とその代表者に、支払った全額に弁護士費用を加えた597万9,600円を連帯して払うよう命じました。判決文を掲載しているサクラサイト被害全国連絡協議会によると、この判決は控訴が取り下げられて確定しています。
この事件で業者側は、「客観的な証拠は原告のメモと供述しかない」と強く争いました。それでも全額が認められたのは、残っていたメールや記録、そして全国の消費生活センターに寄せられた相談の情報が、原告の話を裏づけたからです。以下、判決の中身と、そこから読み取れる記録の残し方を順に見ていきます。なお、判決は個別の事件についての判断で、同じような事情でも同じ結果になるとは限りません。
判決が認めた事実と、原告側の主張をもとに、事件の流れを整理します。
裁判所は、全国の消費生活センターに同じ運営会社について多数の相談が寄せられ、その中に「登録していないのに登録された」という事例が含まれていたことから、このサイトは別のサイトに登録すると自動的に登録される仕組みになっていたと認めています。
このサイトでは、届いたメッセージを読むのにも、返信するのにも、それぞれ23ポイントがかかりました。1ポイントは10円なので、1回のやり取りで460円になります。サイト名は、サイトを通さずに直接メールをやり取りして会えることを売り物にしていました。
裁判所が着目したのは、利用者と運営会社の利害のずれです。運営会社は、サイトのサーバーを通したメールが増えるほど利益が出ます。一方、利用者から見れば、知り合った相手と早めに直接のメールに切り替えればポイントはかからないので、そうするのが自然です。ところが原告の相手は、直接のやり取りに応じないまま、ポイントを追加で買わせる方向に動いていました。
判決は、運営会社がより多くの利益を得るためにサクラを使い、サクラに多数の人物を演じ分けさせ、サーバー経由のやり取りを続けさせていたと認めました。そのうえで、相手が直接メールを交換できないサクラであるのに「直接会える」と偽ったことは詐欺の欺罔に当たると判断しています。
運営会社と代表者は、代理人を付けて争いました。主な反論と、裁判所が判断の支えにした材料を対応させると次のようになります。
| 業者側の反論 | 裁判所が見た材料 |
|---|---|
| 原告の相手が全員サクラだった証拠はない | サクラにポイントを使わせるのが業務の形であり、原告の相手だけがサクラでなかったとは考えにくい。原告が日々多くのポイントを使っていた記録 |
| 相手がサクラでも、日常会話のやり取りなら詐欺ではない | サイトは直接のメール交換と出会いを売り物にしており、原告はその対価としてポイントを買っていた |
| 証拠は原告のメモと供述だけで、ネット上の情報から話を作った可能性がある | サイトから原告に届いたメール、消費生活センターの相談情報(PIO-NET)、ネット上でサクラと名指しされていた相手の名前との一致、原告のメモの内容 |
特に3つ目が重要です。裁判所は、サイトから届いたメールに残っていた相手の名前が、相談情報やネット上の書き込みの内容と合っていることを確かめ、原告が頻繁に数千円から数万円のポイントを買っていたこと、原告が語る心情に不自然さがないこと、原告の作ったメモが虚構とは思われないことを合わせて、原告の話を信用しました。協議会の解説によると、相談情報は弁護士会を通じた照会で国民生活センターから取り寄せたものです。
判決が認めた損害は、ポイント代の全額543万6,000円と、その1割に当たる弁護士費用54万3,600円の合計597万9,600円です。これに、最後に支払った日から年5分の遅延損害金が付きました。
支払いを命じられたのは、サイトの運営会社と、その代表取締役の2者です。判決は、違法なサイト運営が会社の営業方針として構造的・組織的に行われていたと認め、代表者も他の従業員とともにその運営を進めていたと推認しました。2者は共同不法行為(民法709条、719条1項)として連帯して責任を負います。
ただし、判決で支払いが命じられても、相手が任意に払わなければ、財産を差し押さえる手続きが別に必要になります。判決が出たことと、実際にお金が戻ることは同じではない、という点は知っておいてください。
この事件では、サイトの画面や全てのやり取りがそろっていたわけではありません。それでも、次のような記録が組み合わさって、原告の話が裏づけられました。自分の手元に当てはめて確かめてみてください。
メモは、思い出したときに書いたものでもかまいません。この判決は、原告のメモについても内容に不自然さがないかを検討し、証拠として扱っています。
記録は、消える前に複数の形で残すのが基本です。
保存の全体的な手順は証拠の残し方で扱っています。メールの大半が残っていなかった事件でも賠償が認められた例は、名古屋地裁の判決を扱った記事で紹介しています。
この判決は、業者が争った事件で全額が認められた例として意味がありますが、次の点に注意してください。
控訴審で全額が認められた別の判決は東京高裁の判決を扱った記事で、返金をうたう電話との見分け方は公表された返金事例との違いを扱った記事で説明しています。まずは188で消費生活センターに相談し、訴えを起こすかどうかは弁護士と相談して決めてください。
A. 無理とは限りません。この判決でも、業者側は客観的な証拠が少ないと争いましたが、残っていたメール、ポイント購入の記録、原告のメモ、相談情報などを合わせて原告の話が信用されました。支払いの記録を取り寄せ、覚えていることをメモにまとめて相談してください。
A. 保証はできません。判決は個別の事件についての判断で、サイトの仕組み、残っている記録、相手の財産の有無などによって結果は変わります。見込みについては、記録を持って弁護士に相談してください。
A. 期限があります。不法行為による損害賠償は、損害と加害者を知った時から3年で時効になるのが原則です。いつから数えるかは事情によって変わるため、早めに弁護士や消費生活センターに相談してください。
A. サイトにまだ入れるなら、退会する前にメッセージ、購入履歴、ポイントの利用履歴の画面を全期間分保存してください。入れなくなっている場合は、支払いの記録とメモを中心に整理します。
※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。
サイト名、サービス名、担当者名、LINE名、決済名などで確認している方は、事例パターンと証拠の残し方を分けて確認してください。個別の違法性、返金可否、削除可否、解決を断定するものではありません。
LINEで相談前チェックリストを受け取り、支払い方法・証拠・やり取りを整理できます。弁護士確認が必要なケースも確認できます。